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護衛艦「てるづき」見学〜"MAD"アバウト自衛隊

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「痩せ馬」に思わず食い付いてしまい(笑)1回に収まらなかった
護衛艦「てるづき」見学記、続きです。 

この3月に「あきづき」型の4番艦である「ふゆづき」を見学したばかりで
その2番艦である「てるづき」の内部を見ることが出来たのは
まことにタイミングがいいというか、なんといっても「ふゆづき」のときに
集めた資料がそのまま役に立つのがブログ主的に嬉しいです。

ところで、「あきづき」型3番艦の「すずつき」は、「ふゆづき」ほとんど
同時に完成したわけですが、引渡式が一日違いです。
こういう式典に海軍的こだわりというか、たとえば「仏滅にはやらない」
みたいなジンクスがあるのかどうかは分かりませんが、
わざわざ一日違いにしたのは、出席しなくてはいけない海幕長などが
同日に佐世保から岡山に移動することができないため、
3番艦である「すずつき」を一日早く就役させたということのようです。

 

 さて、甲板に出てきてまずCIWSにご挨拶。

「あたご」型や「たかなみ」型の一部は
BlockIBという、光学照準設備を装備した、
つまりバージョンアップされたものを搭載しているのですが、 
「あきづき」型のCIWSは従来型の、
対水上射撃能力のないBlockIを搭載することになりました。

これも「痩せ馬」と同じ事情なんでしょうか。

ところで、このCIWSですが、射程距離の関係で、
たとえ目標を撃破することが出来てもその破片は艦を直撃する、
ともいわれているのだそうですね。

こればっかりは実戦通りに予行演習することもならず、
いざというときにはその破片でこちらが傷つく可能性もあると。

この辺りを現場の自衛官たちがどう考えているのか、
今度護衛艦見学の機会があったらぜひ聞いてみたいものです。



キャプスタンや揚鎖機が床にある部分はネットが張られ、
立ち入りが出来ないようになっています。
艦首旗部分にも行ってみたかったのですが、そこの人口密度が高く、
やる気満々な男性ばかりがひしめいており、気後れしたのでやめました。

後から、こんなに艦首旗の近くまで寄れる仕様の艦は初めてだったのに
惜しいことをしたと思いましたが後の祭り(笑)



はい、こんな感じ。
鎖が伸びていますが、脇から抑鎖機が伸びていて
動き回らないようにがっつりと留められています。

見学者が歩いている部分には滑り止めが施されていますが、
「あきづき」型の場合、「むらさめ」型のように戦闘通路として
白線で縁取りがされていない仕様になっています。



艦首部分から下を撮ってみました。
「てるづき」搭載機のSH−60が公開展示されています。

これから入って来る人の列は取りあえず解消した模様。



「あきづき」型の主砲はMk 45 5インチ砲で、現在のところ最新鋭型。
「あたご」型から初めて制式採用になったというもので、
勿論わたしにとっては見るのも初めてのものでした。

そのわりに近くで写真を撮るのをすっかり忘れていて、
写っていたのは辛うじてこの一枚だけでした。





ところで不思議なのは「5インチ砲」といわれる「51番砲」(5インチ・1番砲)
なのに、実際砲身は62口径なのです。
最新型のMod4は対地攻撃力を上げるために砲身を延長しているんですね。

名称を「6インチ砲」になぜ変えないのでしょう。

とにかく6インチにかえたことで、射程は今までの24kmから37kmに
飛躍的に伸びました。

「ここから撃ったらどこそこまで届きます」

と言っていたような気がしますが、どこだっけ。
距離的に羽田空港くらいかも。っていうか国内で撃たないでね。


砲の代わりに展示してあった砲弾と砲殻だけ撮ってきました。

砲殻には「教練」砲弾には「試」が記載されています。
砲殻の先を見れば傷がついているのが分かりますが、
これは勿論床にばらまかれたときのものだろうと思われます。

「素材はなんですか」

と近くにいた隊員に聞いたところ「真鍮です」とのこと。

「やっぱりこれも甲板に散らばると傷がつくんですか」

と妙な質問をする見学者。(わたし)
やはり普通の軍オタとは目の付け所が(全く)違うわね。

「付きますね。その度に塗り替えますが」

それを横で聞いていた男性の見学者が床を指して

「あ、ここに傷跡がある」

指差す方を見ると、ペンキの下にかすかに
細い三日月状の凹みが見て取れました。

「あー、これですね」

納得とちょっとした連帯感に包まれる周りの見学者たち(笑)
声をかけてきてくれたおじさんもそうですが、こういう
同好のよしみの触れ合いというのがあると、艦艇見学が
また一層楽しいものになると思った瞬間でした。



う・・・・・美しい。
舫索をこのように置くのは世界共通の慣習なんですか?
きっちりと編まれたかのように並べられた索はもはや工芸作品の域。



VLS 発展型シースパローミサイル。

アスロック、つまりアンタイ・サブマリン・ロケットが
発射可能な垂直発射装置です。

この写真は腕を思いっきり上に上げて撮りました。
一番低い部分から撮ってもこんな感じです。

Mk.41VLS垂直発射機のセル面は艦首に向かって低くなっているように見えます。
水平に対しても少し前傾しているように見えますが、なにしろ
「垂直発射」だから、実際はどうなんでしょうか。


なお画面右に少しだけ写っているのはセルにアクセスするための
短いラッタルです。



左舷側の舷梯は降ろされていましたが、通行できないようになっていました。

舷梯の踊り場のようなところが中央一点留めですが、
ここを支点として角度を調整することが出来ます。
地上の自衛官がみんなで力を合わせて引っ張るのですが、
場合によっては陸自隊員のお力を借りることも・・・。

「きりしま」仙台港に入港の様子

こうして見ると、全くの手動なので結構力が必要な作業みたいです。



出口近くにHOS−303、Mk.32。

この名称の意味は

H=発射管

O=水上艇用

S=短魚雷

さらに300番台は3連装を意味します。
この303は「ひゅうが」と、それ以降の護衛艦に搭載されています。

先日ハイラインの話をしましたが、この魚雷も、
補給艦から移送することがあります。

その際、精密機器である魚雷は専用のキャニスターに収められ、
そのまま運搬され搭載されます。



そういえば砲雷長が菊地という人だったフネがあったことを思い出しました。

右側のツマミは「管体部ヒーター」のスイッチのようですが、
魚雷ってヒーターであっためなくてはいけないんでしょうか。

二昔前くらいまでは、車の運転をする前にエンジンを温める作業が必要で、
特に寒冷地や冬期にはエンジンに負荷を与える前の必須事項だったそうですが、
それと同じようなことをしているのかも。

わたしが免許を取った頃はすでに暖機運転、とくに停車してのアイドリングは
推奨されていなかった記憶がありますが、それというのも環境問題が
クローズアップされてきたためで、最近は不要な排気ガスの排出を抑えるため、
低負荷や回転数を抑えた走行による走行暖機が推奨されているのだそうです。

というか、暖機運転って今の車にも必要だったんですか?
わたしは免許を取ってこの方一度もしたことありませんけど(笑)



ちゃんと発射管には艦番号が書かれていました。



何を意味するのか分かりませんが、
丸いものは「てるづき」の「月」ではないでしょうか。



魚雷を前から。
「あきづき」型は発射管はステルスシールド内に収められており、
使用するときだけ舷側のシールドを開き、そののち
発射管を底から斜め45度に指向して発射を行いますが、
このときはステルスシールドは開けられています。

展示のために開けてみせていたということでしょうか。



そのステルスシールド部分を外から見るとこうなります。

二つのシールドの間に丸く穴があいているように見えますが、
これは(確認できませんが)舷窓かもしれません。
シールドを閉じているときの確認用、かな? 




黄色と黒のテープを貼っていたにもかかわらず、つまずいた謎の物体。



というわけで「てるづき」見学終了。
ラッタルを降りてきました。

右側がこれから見学しようとする人たち。



岸壁から海面を覗き込む人がいるかもしれないので
(わたしも制限されていなければ覗いていたと思う)
必ず見張りが立って警備をしています。



さて、それではヘリコプターの見学に向かいますか。
近くに行けるどころか、コクピットに座らせてもらえる模様。

このヘリはローターの先端がまっすぐなので、SH−60Jですね。
先が折れているように波打っているのが「K」です。



とりあえず外側を一周してみました。
こちらは後部座席で、レドームのような「下を覗ける」ガラス窓から
子供が外を見ています。



アップにしてみてあらためて思うけど、航空機って近寄ってみると結構汚れてます。
「排気に注意」と書かれていますが、ここから後部に向かって噴出するのでしょうか。



この四角いハッチはどうやら給油口らしい。
皆が触るので真っ黒です。

四角く空いている窓は通風口と説明があります。

ヘリコプターもアースを取るのは必須らしく、
ここにアースがあると示されています。



尾翼のフラップはさらに風を終止受けるせいか真っ黒。
なぜか「ハンドホールド」と書かれた穴があいていて、
それに手を入れて自分で写真を撮っていた人がいたので
わたしもついでに撮らせてもらいました。

わざわざつかむための穴が穿ってあるというのは、力を入れて
このフラップを手動で上げたり降ろしたりすることが
しょっちゅうあるということなんでしょうか。



近くにいた女の子が

「魚雷積んでる、魚雷〜!」

と盛り上がっていましたが、残念ながらこれは魚雷ではありません。
これは

AN/ASQ-81 磁気探知装置(MAD)

MADバード、ともいうようですが、このミサイル状のものは潜水艦を発見するために
ワイヤーで長く伸ばして曳航するものです。

SH−60は「対潜哨戒機」で、だからこそ護衛艦に艦載されているのです。

このセンサーは、機体の金属部分や電気機材の干渉を減らすために、
このような機外にできるだけ機体と離すようにして保持し、
使用時も空中に曳航されなくてはなりません。

しかしそれでもなお、地磁気の乱れや変化を探知するには、
潜水艦が海面の近くにいて、かつ航空機も非常に近い位置にいる必要があります。

もちろん潜水艦の大きさや船体の材質によって発見可能範囲も変わってきます。




二列ができていて、コクピットに座る列、後部座席の列でした。
後部座席の列は比較的短いものでしたが、コクピットはかなりの長さ。

わたしはこの日午前中一杯を見学に費やすことに決めていたので、
迷うことなくコクピットの列に並びましたが、これは日頃から

「並ぶの大嫌い」

なわたしには画期的な行動と言えます。
カレーグランプリのときに並ばなかったのも、
護衛艦見学と秤にかけて護衛艦を選んだからだし、
つまりわたしの「自衛隊装備好き」は食い気を凌駕するだけでなく、
行動の基準まで左右しているらしいことがわかりました(笑)

これが本当の”MAD about~”ってやつですか。



続く。



 


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