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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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平成26年度富士総合火力演習〜ヒトマル式戦車と曳下射撃の富士山

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平成26年8月21日に行われた富士総火演についてお送りしています。
冒頭写真はこの日の「国防男子大賞・陸上自衛隊の部」受賞者です。

この日の御殿場は時々霧がかかり、都会よりはずっと涼しかったものの
それでもジリジリと照りつける直射日光で大変な暑さだったのですが、
彼はそれも一瞬忘れさせてくれる一涼の風のような青年ではありませぬか。


ところでこのイベントに予行本番問わず参加された方、
日焼けはしませんでしたか?
雷蔵さんはこの日一日で赤くなった末「皮がむけた」そうですが、
もう人生も半分を折り返し今さら一皮むける必要も感じないため、
わたしは完璧に日焼け対策をして臨みました。

日焼け止めは基本使わない主義なので、帰国直前にノードストロームの
バーゲンで見つけたヘレン・カミンスキのUV加工のつば広帽子、
あまり体にぴったりつかない(暑いので)ユニセックスのTシャツ、
(岩国の海兵隊基地でブラッド大尉にもらったスコードロンマーク入り)
それに肘上から指半分までを覆う裏メッシュのドライブ用長手袋。
下は少し暑かったけどジューシークチュールのタオル地スェットパンツ、
熱を逃がすために高分子吸収体の冷えパッドを首に巻き、
さらにひんやりタオルで時々手や顔を拭うという念の入れよう。

我ながらかっこわるいと思いましたが、背に腹は代えられません。
おかげで全く日焼けはしませんでした。ブラボー。 




さて、前段演習は続いております。
偵察教導隊隷下のこの87式偵察警戒車は、この日
全課程を通じてなにかと目立っていました。

陸上防衛構想によるところの対処態勢では
このRCVなどは先遣隊の即応展開に続き、即応機動連隊として
1次展開を行う部隊となります。

具体的にどういうことかというと、平素地域配備によって即ち
抑止態勢をとるということなんですね。

因みに海自の艦艇が統合機動防衛に投入されるのはこの次の、

「機動運用部隊などの実力部隊による緊急的かつ急速な機動展開」

の段階となります。
おそらく緊急的機動展開においては輸送艇などが投入されるでしょう。
そして最終の第3段階とはこれ即ち

万が一我が国領土の占領を許した場合

の奪回作戦を意味します。


そして、「万が一」の場合。
そう、これがこの日の後段演習のテーマとなっているわけです。 

「島嶼部の奪回作戦を想定した訓練」

ですね。



RCVから降りてきた兵員たちは89式小銃で近接目標を狙います。



草葉の陰でぼーっと立っていた人影に命中しそれが燃えております。
実際は相手はこんなにじっとしていてくれないと思いますし、
おそらく向こうも撃って来るのでこんな簡単にはいかなそうですが。



前段演習の解説で、近距離火力の攻撃目標となっていた台に
着弾しました。
着弾するたびアナウンスが「弾着!」というのでわかりやすいです。
案外シート席からは全体的な着弾状況がわかりにくいので・・。



89式か榴弾砲かはわかりませんが、ドンピシャで
着弾の瞬間を撮ることができました。
画面中央に黒い棒状のものがありますが、これは命中して
すっ飛ばされた真ん中の黒い的と同じものです。



この画面の空中を拡大してみると、着弾前の弾薬が。



これはリハでも写真を撮った発煙弾。



銃で青いバルーンを撃ちます。
これは06式小銃擲弾によるもので、射撃からおよそ10秒後(長かった)
着弾してから破裂しました。



一つ撃ち損じたのか?と思ったあなた、ご安心下さい。
これは、最後の弾着寸前にシャッターを切ったためで、
実際は全部破裂していましたので念のため。



黄色いバルーンはすべて破壊されました。
これは96式40ミリ自動擲弾銃の射撃によるもの。



87式自走高射機関砲(ガンタンク)

陸上自衛隊広報館りっくんランドにもあり、ついつい
「ハエたたき」という愛称にウケてしまったわたしですが、
このガンタンクも後継型の開発が進められているようです。
最近あるきっかけで後継型の模型を見る機会があったのですが、
あまり現行との共通点はないようなデザインに見えました。

共通しているのは「どっちもかなり変」ということくらいかなー(←)
あ、いや「変」というのは「変わってる」という意味です。(; ̄ー ̄A 

この形を特徴的にしている皿のようなのはレーダーです。
後ろに突き出しているブームの先はくるくる回っており、
こちらは対空レーダーです。

レーダーで敵機を発見したら即座に撃墜します。
「ハエたたき」の名前はだてについていません。




ガンタンクをwikiで調べると、これと全く同じ構図の
(ヘリコプターがニンジャじゃなくてアパッチの違い)
写真が掲載されています。

総火演の前段演習では、近距離火力の終了後、ヘリ火力の展示に移り、
ガンタンクはヘリとリンクしながら砲撃を行うことになっています。

この段取りは毎年決まっているため、
構図も全く同じものになってしまうということみたいです。



そして武装ヘリ、アパッチのパラパラ攻撃。
(総火演見た方、そうでしたよね?)

このパラパラはチェーンガンによる射撃だと思うのですが、
アパッチがイラクで人を狙うとき、このパラパラじゃなく
ロケット弾や対戦車ミサイル攻撃をを遠慮なく行います。



そしてガンタンクが2台同時に砲撃。
ガンタンクには35mm対空機関砲が搭載されています。
国産の装備ですが、弾薬は輸入をしているようです。

機関砲に対空とついている通り、対空火力にカテゴライズされます。




お次は74式。
前段は対空火力に続きいよいよラストの戦車火力へと。



わたしはこちらが近いので左方からの攻撃だけを見ていましたが、
広い会場の右側にも同じ数の戦車が配備されていたようです。



これは大変悩みました。
元画像を仔細に点検したのですが、これはどう見ても
ガンタンクがレーダーやらなんやらをたたんでるとしか思えません。
でもそもそもあのレーダー部分、たたんじゃって大丈夫なの?
ってところからもうお手上げです。

これはなんなのでしょうか?

乗員が戦車を見ているのも、ガンタンクが索敵レーダーで得たデータを
戦車に送って攻撃を任せている、というストーリー?だった気がするし。



ところでそのデータを送られた方の戦車ですが。

ヒトマル戦車、来たわあ〜(AA省略)

もう周りの盛り上がること盛り上がること(笑)



縦横にスラロームしながら砲撃を行うヒトマル。
これはすごかったっす。
砲塔から下は信じられないくらい激しくスラロームをしているのに、
上は目標に対してピタリと照準を据えたまま。
まるで上と下が別のようなキモい動きでした。

そして演習で披露された静止目標に対する射撃よりも難易度の高い、
動目標に対するスラローム射撃でも、百発百中の命中精度だそうです。

すごいよ。あんたすごい。



そう言えば、この前日お会いした元陸幕長は、現職にあったとき

「なぜ今どき戦車なのか」

という空気の中、導入を決めたのはわしだ!と
(一人でじゃないと思いますが、つまり制服組代表としてという意味かと)
誇らしげにおっしゃっておられましたっけ。
元陸幕長の10式に関するその他のお話は(忘れなければ)また別の日に。



目標に向かって前進し、



バックしながら(ながらですよ)砲撃を行います。

急速後退しながら正確な射撃を行うこれを「後退行進射撃」といいます。


続いて停止態勢を取ったときのときのこの車体の傾きをご覧下さい。
おそらく中の操縦員はこの瞬間ほとんど真上を向いた感覚でしょう。



そして砲撃終了。(写真撮れませんでしたorz)
旗を緑に付け替え、ものすごいスピードでバックしてきます。 



ぶほおおおっ!と噴き上がる黒煙。
どうしてバックのときだけ黒煙を吐くのかは分かりませんでした。



陣地変換となり移動して行きますが、
移動中も敵陣の方向に砲身を向けたままです。

この激しく上がる黒土を見よ。
場内にはこのとき

「10式戦車の軽快な走りにぜひご注目下さい」

と気のせいか誇らしげなアナウンスが流れました。



演習場左手にさしかかるころには完璧に砲塔だけ後ろを向いた状態。
世にヒトマルの写真はたくさん出回っていますが、
こういう瞬間のものはあまりないかと思われます。



キャタピラが巻き上げる土が砲身の下に見えるという
非常にシュールな光景です。
アナウンスの通り、軽快でありながらとてつもない力強さを感じさせます。



オーロラビジョンの車の上からカメラが回っています。
総火演の様子は毎年DVDとして自衛隊から販売されるのですが、
2012年のデビューから三回目の参加となった今年もまだ
10式に対する暑い、じゃなくて熱い興味は冷める気配もありません。

カメラマンもそのことを十分意識して撮影していたことと思われます。



それから空挺団の空挺降下がありました。
今までの総火演の記録によると、手前のグラウンドに降下していたようですが、
今年は気象条件の関係なのか、遥か向こうの降下です。
落下傘がこんな風にしか見えず、残念でした。

さて、この前段演習では火砲の発砲技術を見てもらうために、
「同時弾着」や「富士山型弾着」が行われ、総火演名物となっています。

わたしもこれを撮りたかったのですが、だめでした。
シート席というのは、案外前の人が写り込んでしまうことが多く、
最前列でもない限り結構難しいものだということがわかりましたが、
同時弾着も富士山も、ちょうど右側の最前列の人たちに遮られてしまったのです。

ですのでネットから拝借して参りました。
ネットにもあまりちゃんとした写真がないところを見ると、
綺麗に形が揃ってそれを撮ることができる確立は
案外少ないのかなと思います。 




FH−70、155ミリ、203ミリ自走砲の特科火力トリオで行います。
前方からと後方から、種類も距離も違う場所に、
弾着が一つずつ移動して行くように点火します。
まさに職人芸というべき練度です。



19日予行演習の富士山キャプチャです。

この形を成功させるのには100分の1(だったかな)の精度が
タイミングとして要求されるとアナウンスでも言っていました。


これは曳下(曳火ともいう)射撃によって空中に形作られます。
曳下射撃とは一般の砲撃のように弾着と同時に爆発するのでなく、
空中で砲撃が炸裂するという射撃です。

なぜ曳下射撃という方法があるかというと、一般的には

その方が殺傷力があるから

という物騒な理由です。
地表や目的物に破片を吸収されることなく、広範囲にそれが散布され、
伏せの姿勢でいたり、塹壕に隠れている人間にもダメージを与える。
これが曳下射撃の本当の目的なのです。

しかし我が日本国自衛隊はその曳下射撃をあくまでも
砲兵の練度の結晶を披露するという目的に運用しているのです。
しかも、皆を喜ばせる富士山を象って・・・。

これはある意味実に象徴的なことではないか、
とわたしはこの日の富士山を思い出しながら考えていました。



前段演習と後段演習の合間には富士学校音楽隊が、
陸上自衛隊のテーマソング?である「大空」や、
「富士学校校歌」などを演奏しました。


さて、いよいよ後段演習。
テーマは「島嶼部に対する攻撃への対応」です。


続く。






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