富士総火演、前段演習が終了しました。
前段と後段の間には15分間だけ休憩と整地の時間が設けられ、
その間富士学校音楽隊の演奏が行われます。
整地といっても、そう大々的なものではありません。
散水車が火砲の火力で草に火がついたりしないように(たぶん)
こういった茂みに水を撒いたり、
グラウンドにも土煙が上がり難いようにか、
水を撒いたりする程度です。
そのせいで地表からはもやもやとした水煙が立ち上っています。
その地面に片膝ついて待機姿勢をとる隊員。
こちらにも。
リールに巻かれているのは・・・・・電気コード?
この「片膝立て」がどうも待機時の基本姿勢のようです。
彼らの横にあるのは
88式地対艦誘導弾。
防衛省的には「シーバスター」、現場では「SSM」です。
「シーバスター」くらい嫌がらずに使ってあげればいいのに・・。
だって、名前を聞いただけで「対艦」ということがわかるじゃない?
まあ、本来なら「シップバスター」となるはずが、
それではあまりに自衛隊の装備名称にしては露骨ではないか、
と最後の最後で腰が引けた結果が
「海をやっつける人」
という不可解な名称になったようなので、現場が嫌がったのも
この中途半端さにあるのではないかという気もしますけど。
状況開始です。見たら分かる。
ここ何年か、といってもわたしの知る限りでは、少なくとも
陸自の訓練展示では「島嶼奪回」がテーマになっていました。
まー何というか、我々フリークェントカスタマーにはおなじみというか、
今さら感すらあるテーマであるわけですが、それも当然で、
これらの訓練は日本の領土を虎視眈々と狙っている
どこぞの国に対し(あとちゃっかり不法占拠している国もね(ゝω・)v
「我々は領土を蹂躙された場合に備え常日頃想定を行っているぞ」
ということを宣伝するという意味があるわけですからね。
と・こ・ろ・が(笑)総火演を取材に来ていた中国メディアが
先日こんな記事を書いているんですね。
「日本はいくら平和国家のふりをしていてもそうは見られない。
総火演は尖閣を中国から奪うための戦争の準備だ」
いやいやいやいや(笑)
平和国家の「ふり」って。
まあそう見えていることは認めるのね。
「日本の軍事力強化の真の意図がたちまち露呈した。
こうした奪島シミュレーションは平和促進のためでないのみならず、
戦争を引き起こすものだ。
日本の民衆は現在政府に多くの不満を抱いている。
日本の民衆はは集団的自衛権の行使容認によって
市民が戦争に巻き込まれることを憂慮している」
勿論そう言う人も、おたくとちがって言論の自由が保障されている
日本にはいるみたいですけどー。
「民衆がこの日演習を見て感じたのは、おそらく国の強大化への
自信ではなく、反対に国と自らの運命に対する憂慮だろう」
まったくはずれてると思いますー。
ていうかそれはあんたらの願望だろっていう。
少なくともわたしなんかは国の護りにこれだけの修練を積んでいる
自衛隊のみなさんの頼もしさにワクワクしましたがなにか。
というか、島嶼奪回の訓練をされるのが中国さんにとっては
不快&不安であるらしい、それはわかった。
うん、ということは、このテーマは「効いてる効いてる」ってことですね。
ついでにこの新聞が、この後段演習の解説をしてくれているので
皆さんに説明するためちょっとお借りしてきました(笑)
まとめてくれてどうもありがとうございます。
想定「敵国による島嶼占拠」
第1段階 事前配置部隊による対処
第2段階 主力部隊の機動展開・進攻
第3段階 占拠された島嶼の奪還
というわけで、始まり始まり〜。
まずは海自から二機のP3−Cが哨戒を行います。
どうでもいいことですが、わたしはアドレスにorionaを使用しています。
この「オリオン座」を意味する名前が気に入っていて、
もし将来馬のオーナーになることでもあったら、名前には迷いなく
「オライオン」とつける予定だったのですが(以下略)
オライオンが通り過ぎた直後の客席。
観客の視線と、上段の自衛隊員たちの視線の向きが全く違うのに注目。
自衛官たちは次に空自のF−2戦闘機がやってくることを知っているため、
全員が左手上空を探しています。
F−2も2機で来ました。
奪回のための戦闘の段階で、F−2はミサイルを実際に発射します。
シーバスター、いやSSMが照準を合わせ、
ミサイル発射態勢を取りました。
ええっと・・・これは・・・
パジェロ?(←ボケ)
立てているのはレーダー的なものだと思うんですが。
正確にはここまでが情報収集の段階です。
拡大してみれば分かりますが、助手席では
大きなモニターを兵員が見ています。
とかなんとか言っていたらいきなり始まっちゃったよ。
いきなり敵艦隊攻撃が。
えーと、これはたしかF−2に登弾された爆弾だったかと。
なんとも綺麗なキノコ雲ができております。
ここは海で、たぶんこれは「遼寧」かなんか。(適当)
ヘリが投入されるのは「機動展開」の段階からです。
まずは先遣部隊として偵察機OH−1ニンジャが。
ちょっとサービスでニンジャのコクピットを拡大。
続いてヒューイがドア全開でやってきました。
拡大してみてびっくり、なんとオート2台が
ぎゅうぎゅうに積まれています。
地上に降りるか降りないうちに固定を外しています。
えと、これどうやってバイクを降ろしたんでしょうか。
ちょうど写真が飛んでいるのでわからないのですが、
ヘリ隊員が持っている長い棒のようなものは、拡大すると
ちょうどオートのタイヤがはまり込むような仕様になっています。
これをラッタルのようにして一瞬で降ろしてしまったようです。
武装ヘリアパッチが機動展開中攻撃します。
ニンジャ「アパッチ先輩、やっちゃって下さい!」
アパッチ「おうよまかせとけ」
おなじみパラパラ攻撃。
よく見ると下方にものすごい数の薬莢がばらまかれています。
しかし、アパッチ先輩が本気になったらこんなものでは(略)
ブラックホーク、UH−60JA登場。
ブラックホークダウンという映画もありましたね。
自衛隊では案の定ブラックホークではなくロクマルと呼ばれているそうですが。
あのアメリカ映画では立派な武装ヘリとして登場していましたが、
日本ではどちらかというと救難ヘリのイメージが強く、
陸自でも固定武装はご予算の関係で装備されていません。
では陸自ではこれを何を目的に運用しているかというと、
偵察と輸送、だそうです。
本想定でも何か運んできた模様。
そこにCH−47、チヌークがいきなりラペリング用のロープを投下。
降下のことを「リペリング」と書いてあることもありますが、原語は
rappelingで「ラペリング」と発音しますので、こちらで書きます。
二本のロープで二人ずつラペリングしてきます。
降下のときにいわゆる安全装置のようなものは一切使っていないようで、
訓練で慣れているとはいえ、いつもすごいなあと思います。
レンジャーならずともこれが普通の陸自隊員の身体能力恐るべし。
しかも小銃背負っているわけですからね。
地上に降り立つなり銃を背中から外して構えて走り出します。
一人ずつ降りるなんてタルいことをやっている場合ではないので、
下に人がいようが上からはどんどん人が降ってきます。
もたもたして追いつかれたら大変。
まあそんな人はこの日の想定には出て来られないでしょうが。
全員降りきったという合図を上に向かってしています。
皆の走っている姿勢を見るに、遠目には分かりませんでしたが
かなりのスピードで全力疾走しているものと思われました。
そして、わたしがCHからのラペリングにすっかりのめり込んでいる間に、
ブラックホークからのラペリングが終わってしまっていました(T_T)
こちらはロープから銃を構えて降りてきていたかもしれないのに・・。
そこにまたもやCHが着陸します。
着陸するなり隊員が一人銃を構えて飛び出してきました。
作業の援護を行う係かと思われます。
そして・・。
カエルの口(としか見えない・・)から出てきたのは、
高機動車「疾風」(はやて)!
ヘリの出口に頭を引っかけないように皆さん身を伏せています。
案の定この「疾風」というのは防衛省の押しつけ、いや考案した愛称で、
現場では「こうき」とかアメリカでHMVを「ハンヴィー」と呼ぶのを
もじって「ジャンビー」とか、あるいは愛称ではないでしょうが
「ジャパニーズ・ハマー」とか呼ばれているそうです。
やっぱり思うんですが、防衛省の愛称はかっこよすぎて
普段使いには?隊員も照れくさいんじゃないでしょうかね。
高機動車の開発はトヨタ、製造は日野自動車が担当しています。
主な用途は人員輸送用。
やっぱり人員輸送に「疾風」はどうかなあ、みたいな。
迫撃砲を牽引するのもこれですけどね。
ちなみに全車ETC対応です。
さて、これで機動展開を終え、いよいよ
島嶼部に機動展開した部隊による奪回作戦が始まります。
首を洗って待ってろよ、人民解放軍(仮名)!
続く。