空母「ニミッツ」艦長イエランド大佐は、ついにタイムパラドックスを起こす可能性に手を出しました。
一般人を攻撃していてもただ見ているだけだったのが、
零戦に「ニミッツ」を目撃される可能性が生まれたのでそれらを撃墜する命令を出したのです。
つまりこの零戦は未来からやってきた航空機に葬られてしまったということになるのです。
しかもよせばいいのに(笑)70年前の人間を海面から救助し、
おまけに撃墜したパイロットを捕虜にして 彼ら三人を「ニミッツ」に連れてきてしまいます。
初っ端からバタフライ効果御免で歴史修正しまくり。
いやこれが最初から「歴史」だったのか・・・?
捕虜にした零戦搭乗員の持ち物を点検するイエランド艦長。
彼の持っていた日記を、
「これは翻訳しろ」
と軽~く言い放って部下に渡します。
戦中の手書きの日本語を翻訳できるアメリカ人が「ニミッツ」に乗っているとはとても思えんのだが。
ようやく艦長は今日が1941年12月6日であることを認める時が来た、と表明します。
今こうしている間も、日本軍が真珠湾に向かっている。
それでは我々はどうするか?という問題に直面したのです。
真珠湾に向かう途中の敵を攻撃するべきか?
歴史の唯一性を重んじ、未来からの旅人として看過するのか?
そこでイエランド艦長が実に軍人らしい結論を出します。
「我々の任務は国を守ることだ。
過去、現在、未来に関係なく」
そうきたか。で、その先は?
「その先は合衆国の軍総司令官の命令に従う」
つまり、目の前で我が国が攻撃されるのを、アメリカ軍人としては
見逃すわけにいかん、それがいつの出来事であっても、ということですか。
歴史ヲタのオーエンス中佐は、歴史を修正するべきではない、
とたった一人真っ当な意見を述べるのですが、
航海長、サーマン中佐はもちろん、ラスキーまでもが
「”ニミッツ”のこの時代での力を試せる」
などと言い出すのでした。
そうだよね。本音は皆やってみたいよね。
アスロック米倉こと米倉一尉ならずともさ。
「そんなに・・僕たちの力が見たいのか・・・」
ってね。
「貴様、一人で戦争おっ始めるつもりか!」
って言わなきゃいけないはずの航海長だってイケイケだし。
あ、戦争もう起こってます? それは失礼しましたー。
こちら救出されたヨットの二人。
チャップマン上院議員は至極御機嫌斜めですが、
秘書のローレルは愛犬のチャーリーと再会できてご満悦。
犬は当初救助から見捨てられそうになっていたのですが、
オーエンス中佐が着の身着のまま飛び込んで助けてやったのです。
「彼らは何者だ?
ロケット飛行機といい、我々を釣り上げたヘリといい・・。
艦の名は”ニミッツ”だって?
チェスター・ニミッツはまだ現役の大将だぞ?!」
このチャップマンというのは架空の人物です。
この物語では、
日本軍の攻撃を事前に予見しており、真珠湾攻撃の2週間前に、
太平洋戦力拡大を主張したが、攻撃後になぜか行方不明になった野心家の政治家で、
もし生きていればルーズベルトの死後大統領に立候補した
という設定です。
予見だけならルーズベルトもコーデル・ハルもしてましたがね。
こちら捕虜になった零戦搭乗員。
なぜか都合よく乗り組んでいた日系人のカジマ大尉が尋問しています。
「あなたの名前は?」「忘れた」
「軍番」「覚えていない」
「所属部隊名」「知らん」
「あなたの出発」「知らないと言ったら」
と、どちらもカタコト日本語で笑わせてくれます。
(カジマ大尉は中国系、搭乗員は韓国系)
そもそも日本軍人が自決もせずおめおめと捕虜になるか?
と前回ツッコましていただいたのですが、ニミッツの方でも
40年昔の帝国軍人を捕虜にして、これ一体この後どうするつもりだったんでしょうか。
処刑にでもしたらそれは起こらなかった歴史を起こすことになり、
生かしたままなら40年後に連れて帰らざるをえなくなり、これもまた歴史を変えることになってしまうのに。
しかも捕虜なのに扱いが甘い。
手錠もかけずドアを開けっ放しにしているものだから、犬のチャーリーがまず部屋から逃げ、
みんなが慌てたその隙に見張りの銃を奪われてしまいました。
あーあ。だから言わんこっちゃない。
「オーマイガー」
皆が息を飲んで静止する中、またもや搭乗員のおかしな日本語が始まります。
「せきにんしゃに話したい。
かんちょ!しれいかん!連れて来いと言っているんダ!」
wikiには
「かなり力んだ調子で発声しているが、セリフそのものは聞き取りやすく、
日本人が聞いても、何を言っているのかは十分に理解できる」
とかばうような書き方がされていますが、聞き取れればいいってもんじゃないと思うのよ。
「つうやくッ!つうやくをよべ!
でんわを使っていい!つうやくをよべっ!」
「そうだ!ゆっくりあるく。(オーエンスに)どうでもへんにうごいたら、うつっ!」
「そうだ!でんわを使っていい。責任者をよぶんダ。」
そこで再びカジマ大尉登場。
「あなたのー、ようきゅうじょうけんはなんですかー」
「ようきゅうじょうけんは、無電送信機の単独自由操作!」
いや、意味はわかります。わかりますが。
「理由はいわん!要求条件は同じ!聞いてくれなければ・・・・」
わたしここでつい噴き出してしまいました。
「くれなければ」ってなんでそんなに弱気になってんの。
「ひとじつを・・・・ひとりずつ・・」
人質のことですねわかります。
その後いろいろあって、ローレルが単独捕虜になってしまいます。
緊張を破ってラスキーがオーエンスに
「彼に明日起こることを話してやれ」
と提案し、オーエンスは話し出します。
通訳はカジマ大尉。
「11月26日、6隻の空母がちしまれつの北東を出発した」
さすがの戦ヲタ、空母の名前を挙げるオーエンス中佐。
「アカンギ、コンガ、ショカク、ズイカク、ヒルリュウ、ソーリウ」
アカンギは赤城、コンガじゃなくて加賀ね。
そして極め付けが、
「Your cord is ”Climb mountain NITAKA”!」
「暗号は、ニイタカヤマニ ノボーレ!」
惜しい。「に」は要らんのよ。「に」は。
彼は驚き、油断した隙に機関銃で撃たれてしまいます。
しかし、何のためにこれを彼に言って聞かせんたんでしょう。
驚かしたところで結果がこうなるとは限らないのに。
驚きから覚めやらないままチャップマンは、艦長を怒鳴りつけながら
真珠湾の司令官に連絡を取らせろと居丈高に叫びます。
ところが、通信の相手は
「空母ニミッツもイエランド大佐も存在せん。
よく聞けas◯hole、軍用電波を無許可で使用すると犯罪だ」
と無線を切ってしまいました。
態度の悪い上院議員が間抜け呼ばわりされているのでついニヤニヤするラスキー。
人質になり目の前で人が沢山死に、さらに全く状況が理解できないのは
チャップマンだけではないのですが、
こちらは全く平常運転、秘書のローレル。
着替えを持ってきたオーエンス中佐を
「一人になりたくないの」
と部屋に引き止め、わざわざ着替えの途中で出てきて体を見せつけ、
自分と上院議員には個人的な関係はない、と弁解します。
悪いけどそれまったく説得力ありませんから。
乗員用のシャツとパンツに着替えたローレル、前でシャツの裾を結ぶ着こなしと、
男性用なのに体にぴったりしたパンツでキメています。
さすがは日本のファッションブランドにその名前を持つお洒落番長ですね。
そして自分が野心家で能力があるのでここまで来れたと高らかに自慢するのでした。
しかしオーエンスはこういうタイプが好きらしく、
二人はこの後恋に落ちるというか落ちざるを得ない予定。
オーエンスから見ればこの女性は祖母と同じ年なんですが、それはいいのか。
真珠湾に向かう機動部隊を偵察しているE-2ホークアイ。
ところでホークアイもコンピュータによる戦術情報処理装置を搭載していて
それを使用していると思うのですが、その辺はどうしていることにしていたのかしら。
「ほーーーーひーーーーー」
がまたもや鳴り響きました。
「総員注意!総員注意!」
艦長による演説が始まりました。
「我々が今遭遇しているのは自然現象である。
嵐にあって時間に影響を与え別の時代の入り口をくぐった。
本日は1941年12月7日である。
我々は我々が生まれる前に敗れた戦闘を行う。
神のご加護により戦況は変わるであろう。グッドラック」
いや、グッドラックじゃないでしょ。
艦長、そんな決断してしまっていいのか?
神様になって歴史を書き換えるつもりか?
しかし艦長の命令は神の命令。
「ニミッツ」は総員合戦用意を始めます。
赤い服を着た武器員が、爆装を始めました。
これはもちろん本物です。
一つの爆弾を5~6人で装填しています。
さすがに赤い「リムーブ・ビフォア・フライト」を外すシーンはありません。
さて、こちらでは何が起こっているかというと。
「我々を真珠湾に送り届けろ!」
頑強に主張するチャップマンに、艦長はあっさりと
「いいですよ」
歴史がどうなろうと(!)艦長は今から帝国海軍相手に合戦を仕掛けようと決意したのです。
そのためにはこの際民間人は邪魔と判断したのでした。
オーエンス大佐に命じて、二人を真珠湾から離れた無人島に連れて行かせます。
「民間人の自分も真珠湾に連れて行ってくれ」
とラスキーはオーエンス中佐に頼みますが、中佐は実はヘリは真珠湾には行かない、
とラスキーに目で告げ、ヘリに乗り込んで言ってしまいます。
後には連れて行ってもらえなかったラスキーとチャーリーが残されました。
無人島に到着。
しかし、激怒したチャップマンは乗員の銃を奪い、脅して真珠湾に行かせようとします。
ヘリにしがみつくも振り落とされて海に落ちるオーエンス中佐。(があげた水しぶき)
チャップマンと乗員が空中でもみ合ううち、銃が暴発してなんとシーキングは
チャップマンと4人の乗組員を乗せたまま爆発してしまいました。
これでニミッツの乗員は40年前に戻ったためこれでもう7人死んだことになります。
どうする艦長。
しかし、
「ヘリが消えた。捜索機を出しましょう」
という意見具申を
「Too late.」
と言下に却下し、もはや日本軍をやっつける気満々の艦長。
捜索機ではなく戦闘機の発進命令を高らかに下すのでした。
おいおいおいおいおいお(笑)
頼むから日本軍攻撃より乗組員の命を優先しようよ艦長。
いくら実戦で出撃命令をやってみたかったんだとしてもさ。
しかしエリス中尉の言葉もテンパっている艦長の耳には届きません。
航空管制室から発進の合図が出され、まずはF-14から。
そういえばオーエンス中佐はジョリーロジャースの隊長なのに、指揮官なしで出撃させるのか艦長。
続いてA-6イントルーダーが。
ちゃんと本物のパイロットがカッコよく挨拶をしてカタパルト発信する様子が描かれます。
ジョリーロジャースの隊員も。
あの、おたくの隊長は今いったいどこに・・。
いなくなったオーエンスとシーキングの乗員のことは
とりあえずもうイエランド艦長の頭には全くなさそうです。
しかしこの映画の一番の見所は、これらの発艦シーンではないでしょうか。
次々と爆装した航空機が爆音を響かせ飛び立つ様子を見ていると、この映画が「理由はどうでも」
ニミッツが戦うということにしなければならなかった、という制作側の事情がよくわかります。
イントルーダーがカタパルト待ちをしているところ。
この1秒後、左のトムキャットも飛び立ちます。
コルセアII発進!
・・・・さて。こちらは無人島。
自分たちを連れてきたシーキングが爆発してしまい、呆然と途方にくれるオーエンス中佐とローレル。
携行食料の日付に「1979年」という文字を見つけ、ようやく彼女は彼らがどこから来たか知ったのでした。
というか、知るのが遅すぎないか?
でもまあ、無人島に憎からず思っていた相手とたった二人なんて、
お互い満更でもないシチュエーションだったのではないだろうか、と下衆顏で言ってみる。
どうなるこの二人?!
最終回に続く。