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「いずも」自衛艦旗授与式観覧記~防衛省代表・乗艦

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「いずも」引渡式はなんと式典開始5分で終了していたことに、
式次第を後から見て気がついたわたしです。

「引渡」というのは、造船会社から防衛省との間で引渡書と受領書が交わされ、
社旗が降下された時点で完了してしまうということなんですね。
というわけで、式典のほとんどが「自衛艦旗授与式」に含まれるということなのですが、
その自衛艦旗とともに乗員が全員(といっても式典要員のごく一部の隊員ですが)乗艦し、
最後にサイドパイプとともに艦長が乗艦するというところまで進みました。 




「いずも」艤装艦長並びに初代艦長、吉野淳一佐。



続いて「防衛省代表乗艦」です。
「ふゆづき」のときには1日違いで「すずつき」も就航したため、
そのどちらかに防衛大臣クラスが出席するとバランスが取れないということだったのか、
「ふゆづき」のほうには政務官が防衛省代表を務めましたが、今回は
ワンアンドオンリーの防衛大臣出席です。

先日コメント欄で「カレーがついた帽子をかぶっているのが4人もいて驚き」という
雷蔵さんのコメントを真に受けて、「(カレーのシミは)何かの見間違いでは」
などと天然ボケをかましてしまったエリス中尉でございましたが、それはともかく、
カレークラスが4名幹部として勤務するということそのものが、
「いずも」の陣容が「厚い」ことをあらわしているらしいこともわかりました。

この4人とは副長以下、

砲雷長、船務長、航海長、飛行長

ってことでいいですか?



というわけで「防衛省代表」として「いずも」に乗り込む中谷防衛大臣。
先導のために前を歩くのも海将で、後ろは海上幕僚長が付き添います。
防衛大臣旗を持って歩いてきた人はスロープの所で立ち止まり、 



舷門で外側に向かって旗を立てて待機です。
やっぱり護衛艦の中は狭くて、階段とか廊下とか大きな旗が移動するのは大変だから?



乗艦した乗組員たちは甲板整列して大臣乗艦をお待ち申し上げております。



大臣は実にラフな感じで談笑しつつ移動。
中で吉野艦長と合流したらしく、艦長が説明をしている模様。
武居海幕長は笑いを浮かべておられます。



この時にはいつの間にか社旗に変わって自衛隊旗が掲揚されていましたが、
どう見てもこれが「海将旗」にしか見えませんでした。
海幕長が乗るからには下に錨のついた”海上幕僚長旗”を揚げるものと思っていたので
あれ?と思った次第です。



そしてまず自衛艦旗が掲揚されます。
この瞬間、護衛艦「いずも」には魂が吹き込まれ、名実ともに彼女は自衛艦として船出をしたのでした。




自衛艦旗掲揚の間敬礼をしている海将たち。



モニターのスクリーンはは翩翻と翻る自衛艦旗を大きく映し出しました。



そして防衛大臣訓示。

日本は戦後70年の間平和国家として歩み続け、世界からの信頼を得てきたが、
しかし昨今の国際情勢は、今までのような消極的な防衛戦略が許されない状況であり、
いまこそ「積極的平和主義」を旗印にせねばならないこと、そして
この「いずも」の就役は、そのための歴史的な第一歩であり、また、
災害救助の場面でも国民のさらなる期待に応えるであろうこと、さらに国際的にも
これから日本に求められる役割はいっそう重要なものになるであろう。

これは何度かこのような自衛隊イベントに参加してきた者に言わせると、
安部総理が幾度となくこういう場で語ってきた政府方針そのままの内容でした。
そして、確かめてはいませんが、マスコミは案の定、この訓示内容を

「中国を牽制したものであった」

などと書くであろうことも容易に想像できました。
実際マスコミは、「牽制」というよりむしろ向こうの立場に立って

「刺激する(刺激したらどうするんだ・刺激するな)」

という論調でこれを論じたことは皆様も周知の通り。
もっというと、

「近隣諸国に日本を非難してほしい」


というのが本音だったんじゃないですかね。



さて、防衛大臣はこのあと、艦内を視察に入ったわけですが、「ふゆづき」の時と違い、
何しろ大きな船なので時間がかかります。
そこで、立ったまま見ている出席者のために、正面のオーロラビジョンでは、
「いずも」の海上公試の記録を説明付きで少しだけ放映してくれました。

海上公試は、平成26年9月22日から27年の3月5日までの間に行われたそうです。



まずスペックから。
全長248m、ということは333mのジョージ・ワシントンより85mも小さいわけだ。
それをわざわざ「いずも」の半分ぐらいに見える大きさのGWを並べたイラストで

「いずもはこれほど大きいのだから、ほら、いつだって空母に早変わり!」

とかやっていたNHKっていったい。
ちなみにGWの333mは東京タワーの高さと全く同じです。
どれだけ大きいんだ。



まずは航空機移送試験。
つまり、初めて「いずも」の甲板にヘリコプターが着艦した瞬間です。

 

お次はそのヘリを昇降機、外付けの方の第一昇降機で降ろします。
ヘリパットの周りにはロープが張られていますね。
これ、SH-60のしっぽは完全に外に出ちゃってませんか?

っていうか、これに戦闘機載せるのは到底無理そうな・・・。

 

下の階の内部から取られた昇降機の下降の様子。



続いて艦橋脇の第二昇降機もテスト。
どう見てもSH60に特化して作ったサイズにしか見えません。
ローターとかもうギリギリですよね。



航空管制室からの指令も公試において初めてなされるということになります。
右の「手空き 手を振れ」は、ヘリコプターが公試を終えて去っていくので、

「手の空いている人はヘリコプターの人に手を振ってくださ~い」

といってる、ってことでおk?
(カレーの件みたいにこれもまたとんでもない間違いとかでなければいいな)



お次は武器の海上公試。
火を噴くファランクス。



チャフランチャーも。

 

こちらがSeaRAMですね。
R2D2みたいなのが付いていると皆同じに見えてしまうんですよわたし。



かっこいいい!

「いずも」のロゴマークはなんと一般公募されていたそうです。
真正な選考の結果決まったこのデザインは、

「いずも」という名前から受けるモチーフをわかりやすく表現しました。
“ヤマタノオロチ”を背景とし、そのヤマタノオロチを討伐した際に生み出されたとされる
“天叢雲剣(草薙の剣)”を中心に配置することによって、圧倒的な力を抑え込む
さらなる強力な存在というイメージで表現しました。
また隠し要素として円形としたヤマタノオロチを赤色にすることで、日の丸のイメージも盛り込んであります。

なるほどねえ、「圧倒的な力、大蛇(おろち)を抑え込む剣」ですか・・・。




というわけで海上公試の記録放映、終わり~。



途中で儀仗隊がまたもや甲板から陸に移動している儀仗隊発見。



「エリスさん(仮名)、あそこのカメラにボクとエリスさん映ってますよ」

現地で知り合いになったMさんが舷門の上を指差すので見てみると、監視カメラがあるのに気付きました。 
今もどこかでモニターを見ている人がいるのかも・・。 



というところで見学を終えた中谷防衛相が出てきました。



見学の間ずっと舷門で起立して待っていたと列員たちは敬礼でお見送り。



何を思ったか中谷防衛相、一番手前の海士くんに握手を求めます。
勿論それを拒否しようはずはありませんが、何より彼は驚いたのではないでしょうか。



左の頬を打たれたら右の頬も差し出せ、ということで(違うかな)
左と握手したからには右側ともちゃんと公平に握手をする大臣であった。

自衛隊の最も若い一隊員の手を取り、目をしっかりと見て激励の言葉をかける防衛大臣。
(という政治家的には美味しい絵です)
もし艤装員家族席に彼らのご両親が来られていたらこれは嬉しかっただろうな。



というわけで意気揚々とラッタルを降りる中谷元・防衛大臣。

「元レンジャー教官の防衛大臣は頼もしい」

というご意見をコメントにいただきましたが、自衛隊出身だからといって
ゴリゴリの保守かというとそうでもなく、リベラリズムを称揚し日韓議員連盟にも所属しており、
大東亜戦争に関しては「日本が他の国土を蹂躙していた」という視点から「広い心で」
他国、ことに近隣諸国との関係を発展させるべきであるという立場の政治家のようです。

しかし改憲派でもあり靖国神社の政府要人参拝にも問題無しという立場で、
つまり保守とリベラルの間くらいの立ち位置ですかね。



下艦してきた防衛省代表の栄誉礼に続き、退場。
公式行事における中谷元・防衛大臣のお仕事はここまでです。



というところでわたしたちも祝賀会場へ・・・・・。

と思ったら、あれ?
なんのアナウンスもないまま、艦内に向かってまたもや入っていく一団が。
そう、特例だと思うのですが、ここでゴッドファーザーとなった小野寺五典元防衛相が、
可愛い娘であるところの「いずも」の中を見学することになったようです。

「多分ご本人が見たいと言ったんでしょうね」

「もしかしたら小野寺さんが視察を終えるまで僕たちここで待ってないといけないの?
頼むよ~!みんなが祝賀会やってるときにゆっくり見ればいいじゃない、ねえ?」

わたしたちがここに到着してこの時でちょうど1時間が経過していました。
式台の上ですこしは楽とはいえ、立ちっぱなしは堪えます。
このとき、ふと防衛省席をみると、自分の名札の前に起立し続けていた海将たちが
一斉に脚を片方持ち上げて足首を回したりして「まいったまいった」みたいな様子をしていました(笑)

乗員たちが整列して立っていた時間はそれどころではなかったと思いますが、
海将くらいのお年になると、一時間立ち続けるともう足が痛くなるものらしいです。

というかこっちが普通なのであって、隊員たちの鍛えられっぷりは本当に凄いなと思います。



しかしMさんが心配するようなことにはならず、小野寺さんがまだ中にいる間に、
わたしたちは順次祝賀会場に移動をすることになりました。
よかったよかった。

退場の順番は、入ってきたのと全く逆で、防衛省関係者に続き会社招待者、
最後に艤装員家族となります。

移動のバスに向かう途中で紅白垂れ幕の外から「いずも」を撮ってみました。



えっとー、こちらは左舷なのでSeaRAMってことでよろしいでしょうか?

これはCIWSのミサイル版的なもので、11連装発射機を持ちます。
ちょうど、CIWSの機関砲部分をミサイル発射機に替えた外見です。
RAMとは、ローリング エアフレーム ミサイル の略で、回転しながら飛翔し、
その回転により安定して飛ぶというメカニズムです。
誘導方式は、Block0であれば、中間誘導がパッシブ(敵ミサイルから発射されているレーダ電波を追尾)、
終末誘導が赤外線。Block1であれば、一貫して赤外線誘導です。

・・というコメントをいただきましたので、そのまま掲載させていただきました。
wivernさんわかりやすい解説をどうもありがとう存じます<(_ _)>


  

ほんとだ~。よく見ると形が違う。
しかし自衛艦旗の掲揚竿の横についている階段と張り出したところは
航行中は絶対に使用しないんだろうなあ。
おそらく上から見たら海の上に突き出した「ピーターパン」の処刑台に見えるに違いありません。


我々はこのあとバスで祝賀会場に移動となりました。



続く。 


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