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MAST Asia 2015を見てきた〜科学の粋

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横浜パシフィコにて行われたMAST Asiaに潜入(本当に場違いでこんな感じだった)
してきた報告、後半です。

前回のエントリを上げたあと、自衛隊について色々と勉強させていただいている
元自衛官が、同日同時刻にパネリストとして講演をしておられたことを知りました。
教えていただいて慌ててディレクトリをみたところ、会場ですれ違っていたというタイミング。

全く気づかなかったのは現地にそのようなお知らせがなかったのと、告知HPも
会場で配られる資料も全て英語であることでしょう。
パネルディスカッションも当然英語で行われ、通訳もないのかもしれません。

英語でだけ告知をするのは誰でもかれでも来てもらっては困る、ということと、
妙な団体に絡まれるといった不要のアクシデントを防ぐためなのかと思いました。

ところで、このイベントの「プラチナ・スポンサー」で、どの媒体でも
一番最初に名前が出てきていたのが、 このロッキード・マーチン。

これが全体プログラムの裏表紙ですが、冒頭写真の

「我々はより良い明日を約束します」

といい、

「次のミッションにできることから何かのために」(適当)

といい、気合が入りまくっている感じがひしひしと伝わってきますが、
彼らの気合はこんなところにも。



アメリカ人の考えるところの「和」をさんざんあしらってみました(笑)
丸障子に(紙なし)紙のランプシェードの照明。
日本庭園をイメージしたフェイクグリーンはわざわざ白石を敷き詰めて。

障子の桟ごしに、こちらはいかにもアメリカーンなソファに、これも
いかにもアメリカンなおじさまが談笑しているロッキードマーチンのブース。

ブースというとパネルに囲まれた3畳くらいのスペースがほどんどなのに、
このコーナーは仕切りすらありませんでした。



ロッキードマーチンがヘリコプターを作っているという話は、
大統領専用機のVH-71「ケストレル」くらいしか聞いたことがないのですが、
これはどう見てもシーホーク・・・・。



なんだかすごく見覚えのある形、と思ったら「こんごう」でした。
ロッキードマーチンはイージスシステムを導入しているからですね。



艦番号がないですが、「アーレイバーク」型駆逐艦でしょうか。



ネクストジェネレーション「フリーダム」ということなので、ロッキードマーチン社が手がけた
次世代型「フリーダム」級のようです。

フリーダム (USS Freedom, LCS-1) は、沿海域戦闘艦(LCS)。

本艦は正式採用を目指してロッキードマーチンによって設計され、ジェネラル・ダイナミクス社の
インディペンデンス (USS Independence, LCS-2) と競合して建造されました。

艤装中に火事が起こって就役が遅れたそうですが、2008年9月から運用されています。





サーブってあの車のサーブですよね?
いやー、軍需産業にも手を出していたとは初めて知りましたが、もともとこの会社は
航空機メーカーで、第二次世界大戦中には軍用機を生産していたという歴史があり、
今でもその流れで対艦ミサイルや無反動砲なども作っています。


車メーカーのサーブは、昔は同じだったのですが、今は資本関係はなく別会社だそうです。

このポスターを見てお分かりのように、サーブは「シージラフ」というものを作っています。
そこで「Girraffe」って何かしら、と調べてみると、レーダーなんですね。



これはもう「キリン」以外の何物でもないというシェイプである。

これはエリクソン・マイクロウェーブ・システムズであった現在の「サーブ」が、
最初に開発した探知距離40kmのレーダーですが、第3世代の今では
それはアンテナをフェーズドアレイ化した三次元レーダーとなっています。

今のシステムになっても見た目はやっぱりキリンです。



サーブ、こんなものも開発しているのだった。

黄色いのは、機雷探査機。
右側の赤いのは、オペレーターのトレーニング用に使う無人の訓練機だそうです。



無人機といえばこれ。
愛称「ブラックジャック」と言われるRQ-21 インテグレーターが飾ってありました。
それを見ながら無料のコーヒーを飲む来場者。

何に使うのかわかりませんが、とにかく回収の仕方が面白い。
スカイフックというもので回収するのですが、その映像が見つかりました。

無人航空機 RQ-21 インテグレーター(Integrator)


なんか信じられませんが、空中に張った糸に翼がうまく引っかかって止まります。
”とんぼつり”という言葉を思い出してしまいました。



これもサーブと同じくスウェーデンのボフォースという会社の57ミリ砲。
なんとピアノブラックの豪華家具調対空砲?!

・・・と思ったら、これはただ実物の大きさを示しているだけのようです。



本物はこの色。そりゃそうだ。
なかなかすっきりしたシェイプの艦砲ですね。



ブラジル海軍も使ってるよ!ということですが、速射能力、追随能力に優れ、
多くの国海軍に採用されており、最新型はアメリカ海軍と沿岸警備隊の大量導入が決まっているそうです。



ソリューションズという会社でしょうか。



こちらは英国の企業コーナー。
ということはこの後ろ向きの軍人さんも英国海軍?

それにしても、海軍の夏服というのは全世界共通なんですね。



イギリスの会社がヘリコプターを作っているという話も初耳でしたが、
それを海自が導入しているというのはさらに初めて知りました。

アウグスタウェストランド社の掃海・輸送ヘリ、MCH-101。

現在すでに5機が導入されており、全部で11機を運用する予定だそうです。 




潜水艦の潜望鏡やオプティカル・センサーの会社。



潜水艦の前を泳ぐイルカさんたちに注目。



航法装置などを専門に製作している会社です。
搭載するものによって仕様が違い、例えば奥の緑のものは戦車用。



機雷処理のためのセンサーですね。



この会社は海底探査機を開発していました。
どんな機械か写真を撮るのを忘れたのですが(←)、海底に沈む戦跡、
航空機や船舶などをこうやって探査するためのシステムです。

これはもしかしたら旧日本軍機・・・零戦でしょうか。



機雷対策・水中偵察・港湾セキュリティ・捜査&探索

についての製品開発をしている会社のポスター。
まるで昔の戦闘機のようなシャークの顔が書いてあるのが「脅威」の象徴?

わたしはGE日本支社にいたとっても偉い人を知っているのですが、
彼のお父さんは元海軍軍人でした。 
ユーボートに沈められた船に乗っていて、漂流の末助かったという経歴があるそうです。

彼はまた硫黄島にいたこともあり、目の前で海兵隊の兵隊が投降してきた
日本兵を容赦なく撃ち殺すのを見て心からショックを受けたという話を聞きました。
その父上は、わたしがその話を聞いたわずか1ヶ月後にこの世を去ったそうです。

と、全く関係ない話でしたが、GEも軍需産業だったんですねー。 



主にエンジンを製作しているそうです。



ローデ・シュワルツはドイツのエレクトロニクス企業。
日本では、主に高周波用高性能測定器のメーカーとして知られています。

「情報優越」って、日本人にはイマイチというか、いかにも外人さんが考えたって感じ?



入場者は多くはありませんでしたが、なんらかの形で参入している業者など、
関係者がほとんどのように見受けられました。
わたしのように「物見遊山」組はおそらく超少数でしょう。



我が日本からNEC。
電子情報システムの分野で参入しています。



prevent illegal activities というのは不法侵入などを予防するということだと思うのですが、
そのためのシステムについてちょうど来訪者が社員の説明を受けていました。



そのために開発されたのがこの「NEXTER」のようです。



衛星システム「ネクスター」は、例えば地球を視る目として、
短期間に低コストで高機能な人工衛星を市場に提供し、より一層の宇宙利用促進に貢献します。
NECでは長年に亘るバス機器開発のノウハウを元に、その機能構成を大幅に見直し、
機器間を標準ネットワークでつなげ、オープンアーキテクチャや民生技術などを
積極的に採用しシステム開発を進めています。(NECのHPより)



ネクスターでできること。
衛星写真から地図を作ったり、大災害の被災による地形の変化を調査したり。



オーストラリア企業群の展示。


さて、わたしが注目した展示はこんな感じでしたが、少なくとも本日一堂に会した国は
「国防」を目的とした装備をお互い売ったり買ったりしているわけで、
ということは皆「こちらがわ」(西側とも言いますが)なわけです。

それでは我々の仮想敵は彼らの敵であり、彼らの敵は日本の敵、ということになるのですが、
MAST Asiaというわりに日本以外の企業はいなかったし、どうもわたしの浅薄な知識では、
この催しに見える構図は少し理解にあまりました。

単純に、この日の参加企業国は日本と同じ価値観を有する、で良いんですよね?


日本が降伏した時、最もそれを悲しんだのはボーイング社の社員だった。

という冗談があるように(わたしが今作っただけですが)、世の中には
戦争が金輪際なくなってしまうと困る人たちもいるわけです。
しかしそういう構図はともかく、産業革命以降の科学技術というのは
軍需産業ありきで発展してきたという現実があります。

科学を大きく推進させた軍需。
かつての航空機の発達に始まり、今は衛星システムを駆使した情報の分野
(イージスシステム含む)にこそ、科学技術の粋が結晶されているらしいということを
改めてこの目で確かめることになったMAST Asiaでした。






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