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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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映画「海底軍艦」~ムウ帝国の最後

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やっとのことに最終回にこぎつけた「海底軍艦」です。

この予告編、藤木悠が「鉄腕カメラマン」、高島が「正義の新聞記者」となっていますが、
彼らはカメラマンとその助手の間違い。
お調子者担当でほぼ何もしていない藤木が「鉄腕」というのもウケましたが、
海軍基地のシーンに、20年前は生まれていたかどうかも怪しい水兵さんがいるのも爆笑です。



ところで、わたしが知らなかっただけで、この映画結構その筋では有名だったらしく、
当時アメリカでも公開されたことが判明しました。



アメリカ公開時の「海底軍艦」予告編です。
なんか、DVDで観る元バージョンとまったく同じシーンなのに、
英語で解説されているせいかちょっとましな映画に見える・・・。

現代のデジタル化で、画質は昔に比べたら別次元レベルで良くなっているわけですが、
この「よくなった」というのもこの手の映画においては考えもので、画質がいいほど、
潜水艦を吊っている糸が鮮明に見えたり、模型であることが手に取るように分かったり、
つまり映画館の大きなスクリーンで、粒子の粗い映像を見ている分にはおおすごい迫力、
と感心していられたのが、CGに慣れた現代人にとっては文字通り子供騙しが嫌でも目につき、
当時の人とは違って大笑いしながらみるはめになるわけです。

おそらく映画公開当時映画館に足を運んだ人は、それなりにすごい!と思ったに違いありません。

そう思ったのは日本人だけではなかったという証拠に、アメリカではこの映画に

「ATRAGON」(Atmic とDragonの造語)

と独自のタイトルをつけ、おまけにこのコンセプトで「アトラゴン2」も
現地で独自に作ってしまったといいます。(観たい~)

そして、なぜかドイツでも公開され、その時のタイトルは

「U−2000」

やっぱりドイツ人は潜水艦というとUボートから離れることはできないんですね。
そしてわたしが畏れ多くもバカにしまくったこの海底軍艦のアイデアは、
よほど新機軸だったらしく日本では近年になって
「新海底軍艦」というアニメーションが制作されています。

新海底軍艦 OP


これも観たい~!
ただし、サイドストーリーはまったく別のものだそうです。そうだろうなあ。

それでは、100分耐久、海底軍艦マーチを聴きながら続きをどうぞ。



本作は「ゴジラ」の映画音楽を作曲した日本作曲界の大御所、伊福部昭が
音楽を手がけ、一度聴いたら忘れられない「伊福部節」が炸裂しております。



東京湾に現れたムウ帝国軍の石棺型潜水艦。
上から竜の形をしたものが出てきて、口から出す光線で次々と船舶を焼き払っていきます。



しかしそこに飛来したのは・・・・そう、海底軍艦「轟天号」でした。



「おのれ警告を無視しおったな、神宮寺!」

後ろの外人さん二人も横田基地の軍人さんかしら。



逃げるムウ帝国潜水艦を追いかける海底軍艦。
後ろで腕組みをしているのは警視庁の刑事。
轟天号基地のある南方まで飛行機で行って、海底軍艦に乗って東京まで帰ってきたようです。
飛行機代が浮いちゃいましたね!

「ベント開け!」「ベント~開け」「深さ500!」「深さ~500!」

神宮寺の指令に乗員が復唱するその様は、今まさに帝国海軍が
国難に立ち向かう英雄として完全に復活したことを物語っていました(T_T)



こちら海底のムウ帝国。
アメリカの潜水艦が水圧で潰れるような深海にあるにもかかわらず、
この人たちはまったく圧力に影響を受けておりません。
与圧装置完備かな?



そこにやってきたムウ帝国皇帝とその取り巻きの女官。
右側はエキストラの横田基地司令官の妻で、左は参謀の妻(適当)

海底軍艦を始動させたことにお怒りの女帝は、4人をマンダ(ペットの龍)
の生贄にさせようとします。



しかし女帝はSPをつけていなかったため、高島ごときに隙を取られ逆に人質となってしまいます。



というわけでここから脱出するため、みんな銀色の鱗を模った「気密服」を着ました。
嫌がる女帝を脅して無理やり拉致する一同。

しかしここは深海。どうやって地球まで帰るつもりなのか高島。



そこにムウ帝国の潜水艦が帰還してきました。



後をつけてきた海底軍艦。
米原子力潜水艦は水圧で潰れましたが、さすがは海底軍艦、びくともしません。



ぼうや~よいこだねんねしな~(BGM)

というわけでマンダ登場。



気密服を着た一同、そのまま海底へ・・・・・ん?
もしかしたら、ここが深海で米船がセンベイに(しゃれ)なったという設定は
すっかりなかったことになってないか?

とにかく、一同がハッチを開けたとたん、嗚呼そこに見えるは我が帝国海軍の海底軍艦。
海底軍艦の方も彼らを味方だと認め、救出口を開くのでした。

ムウ帝国の気密服を着て全身を隠しているのになぜわかったんだろう(棒) 
そして彼らはフィンもつけないでゆっくりと平泳ぎしながら潜水艦まで泳ぎ着きます。



そして乗艦。
ムウ帝国特製気密服は、深海を泳いでも濡れるどころかヘアスタイルすら乱れません。
ここで高島、神宮寺の娘に「お父さんだ」といい、
後ろからどん!というかんじで背中を押して父親の元に行かせます。

お前に言われなくてもお父さんであることはわかっとる。

ところでこの後ろには、旧帝国海軍ではそうなっていたということなのか、

「ハ3 天 サ−1507」

などとペンキで書かれております。

 

ここで娘が父に抱きついたのは、

「お願いした通り地球のために戦ってくださるのね!」

ってことだと思います。

 

そして最後に乗艦してきたムウ帝国皇帝陛下。
帝国海軍の皆さん、どんびきしてます。



皆が凝視する中、彼らの視線を跳ね返すように昂然と歩む誇り高き女帝。
(という設定だと思われます)



「神宮寺、無駄な抵抗はやめよ!ムウ帝国に勝てるつもりか」

「無駄な抵抗はあなたの方だ」

「たとえ余は殺せてもムウ帝国の心臓は滅びぬ!」

そこででしゃばり男の高島、

「心臓とはムウ帝国のエネルギー源とみられる神聖なところで地熱を利用した動力室です」

うーん、そういう意味で言ったのかな皇帝陛下は。



「和平に応じぬのならムウ帝国の心臓を攻撃してご覧に入れよう」

きっとなって神宮寺をにらむ皇帝。
神宮寺大佐が命令を下すたび睨みつけてますが、司令官のこんな近くに捕虜を置いとくなよ。



そのとき龍のマンダが襲いかかり海底軍艦に巻き付くも、高圧電流を流して撃退。

 

さらにノーズから「零線砲」を出してマンダを凍らせてしまいました。
海水の中で噴射して対象物だけを凍らせる物質とは一体・・・?



そしてそのまま轟天号は海底を掘り進んで行き、ムウ帝国に突入。
なぜ海水が入ってこない(笑)



そこで挺身部隊が結成され、基地への潜入が試みられます。
真琴の護衛をしていた安藤兵曹がいるのは当然として、なぜここに高島や
警視庁の刑事が混ざっているのは謎です。



突入した挺身隊員は手に棒を持っただけの丸腰のムウ帝国人を次々と殺めていきます。



それも、マンダを凍らせた零線で、次々とナイフを手にしただけの人々を石にしていくという残虐さ。
これはオーバーキルというか、虐殺というやつなのでは。

ちなみに右側の零線使用後はイラストです。



そして心臓部に爆弾を仕掛け、壊滅を図るのでした。
ムウ帝国のすべての人々が一瞬にして海の藻屑になる強力な爆弾は、
周りをブリキ板でカバーした持ち運び簡単なものでライトな感覚の組み立て式です。



海底軍艦の零線砲で心臓部の動力を止め、あっという間に地表に到達。
なんども言いますが、ムウ帝国は潜水艦が水圧に耐えられないほどの深海にあります。

海面に浮上し、艦橋に皇帝を連れていく神宮寺大佐。

「ふははは、お前の帝国が滅びていく様をその目でとくと見るがよい!」

とは言ってませんがつまりそういうことですよね。
サディストなのか神宮寺大佐。



そのとき爆発音とともに二本の火柱が立ち上がります。
ムウ帝国がその無辜の民とともに地上じゃなくて海中から消え去った瞬間でした。

なんども言いますが、ムウ帝国は海深3000メートル以上の深海(略)



その様子をまるで花火大会のような気軽な様子で見守る海底軍艦の人々。



そこにムウ帝国の潜水艦が現れ攻撃してきます。



戦闘状態なのに外に面した艦橋に佇んだまま攻撃命令を下す神宮寺大佐。

「発射!」 

その命令を聴き「はっ!」と振り返る皇帝。



ムウ帝国潜水艦は凍ってしまいました(-人-)ナムー
ところで後ろで爆発している炎ですが、これどうやって撮ったと思います?

キャメラを上下逆にして、水槽に絵の具を落としたものなのだそうですよ。
やっぱりCGのない時代これだけのものを作れる円谷監督は偉大だったと思います。



それを見た女帝、艦橋から走り去り、海に身を投じました。



「死を覚悟で帰るのだ。帰してやろう」

武人の情けというやつですねわかります。



それを見てなぜか「しんいちさん!」(いつの間に・・・)と旗中に抱きつく真琴。
またもや待ってましたと抱き寄せる旗中。いやそこは父親だろう。



神宮寺大佐は当然ですが、楠見元少将が、軍人でもないのにいつのまにか
艦内帽着用の上、双眼鏡のストラップまで艦長仕様のものをかけているのに注意。

絶望的な目をして無言で顔を見合わせる海軍の男たち二人でした。



炎の海を抜き手をきって泳いでいき、大きく手を挙げたあと沈んでいく皇帝。
その様子を勝利し地球を守ることに成功したはずの轟天号の人々は、ただ粛然と見守るのでした。

地球は守れても、それは殺戮のあと、自動的に海に葬られて見ずに済んだにすぎない
ムウ帝国人の累々たる死骸を築かれた平和(もの)だということを、人々は
女帝の自死によって思わずにいられなかったからです。(たぶんね)



ところでわたしの予想ですが、この勝利に対し、この後朝日新聞や左派、そして中国韓国なんかもきっと、

「そこまでする必要があったのか」「ムウ帝国人だって同じ地球の仲間」
「日本の軍国化」「帝国海軍の軍靴の音が聞こえる」

などと喉元過ぎればで非難轟々、皆で日本を、何より海軍を抑えにかかることはほぼ確実でしょう。
だから豪天寺大佐の悲願であった「帝国海軍の復活」もおそらく実現はしない、に10ムウ帝国通貨。


 

というわけで終わりです。
てっきり無視されるかと思っていたのですが、意外な盛り上がりを見せた「海底軍艦」シリーズ、
その後のSFのある意味原型となっていたり、のちの作品に影響を及ぼしていたりしたこともわかり、
当ブログ的には大収穫でした。

「愛国心」が悪いことになっていたらしいこの時代、しかし地球を守るためなら戦いもやむなし、
とオチをつけてくれたことで、実はこの映画はこの風潮に一石を投じたのではなかったか?
などとも考えてみたのですが・・・・たぶん買いかぶりでしょうね。


糸冬


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