8月15日、終戦の日に出す安倍主将の戦後70年談話、
皆様はどう思われましたか?
わたしは、事前に「おわび」「反省」などを盛り込むつもりという報道が
インターネットに流れた時、マスコミがよくやる手口の「飛ばし」ではないか、
とまず思い、ついで、各方面からの圧力と政治的判断でそれらの文言を
拒否できなかったのかなと思っていたのですが、蓋を開けてみると全く違いました。
某テレビ局ではキーワードを画面に表として揚げ、言葉が出るたびに
チェックをつけていくという異様な方法でそれを検証し、
別のテレビ局ではそれらのワードを幟にわざわざ仕立ててスタジオに立てたそうです。
そんな中行われた談話、確かにキーワードは全部入っていました。
使い方においてレトリックを弄したわけでもなく、文句のつけようのない文言で。
ただし、今までの談話を一掃し、しかも今後日本の首相が談話という名前の
謝罪を永遠に繰り返すことをこれにて「打ち止め」にしたいと述べた点が、
歴史的といえるものでした。
ここアメリカのCNNニュースは、この談話についてなんども、
深夜にまで亘って放映し、東京特派員のコメントもライブで電波に乗せました。
タイトルは
安倍:日本は第二次世界大戦のことを謝罪し続けることはできない
です。
うーん・・・・なんか違う・・・。
この一言が、CNN的にはもっと報じるべき部分であったということです。
一方、アメリカ政府は、この談話に対し肯定的でした。
我々は、安倍首相が次の2つを表明したことを歓迎する。
1つは、歴代首相が出した歴史認識に関する談話を継承するとのコミットメント。
もう1つは、第二次大戦中に日本が(近隣諸国に)与えた苦しみに対する痛切な反省だ。
また我々は、国際社会の平和と繁栄に対する貢献を
日本が今後いっそう拡大していく意志を確認したことを評価する。
戦後70年間、日本は平和、民主主義,法の秩序への変わらぬコミットメントを具現化させてきた。
これは世界中あらゆる国とってのモデルである。(プライス報道官)
アメリカがこういう大上段に立って日本が「反省」することを歓迎する、
そのこと自体、「お前が言うな」と内心苦々しく思う人々も日本にはいるはずです。
(実はわたしも内心そんなことを・・・)
ということは、安倍首相が談話で謝罪を盛り込むことそのものに、
「なんで日本だけが謝らなければならないんだ」とと不満を持つ向きもあるということです。
(わたしは今回はそうは思ってませんが)
こういう人たちを「右」だと仮定した場合、それでは「左」はどうだったかというと、
こちらも、この談話が「誠意がない」ものと激しく非難しているのです。
日本のメディアは、予想されたことですが、この談話に賛否真っ二つです。
「なんのために出したのか。主語がぼかされて反省が足りない」・・・朝日
「侵略」について「日本の行為かどうかの特定は避けた」
「誰に向けて、何を目指して出されたのか、その性格が不明確」・・毎日
「植民地支配に対する反省とお詫びを表明したとは受け取りがたい」・・中日・東京
「どこか傍観者的」・・・沖縄タイムス
「言葉の裏を見極めたい」(ネガティブな意味で)・・・・信濃新聞
「先の大戦への反省を踏まえつつ、新たな日本の針路を明確に示した」・・読売
「重要なのは、この談話を機会に謝罪外交を断ち切ることだ」
村山談話は「度重なる謝罪や決着済みの補償請求の要因となるなど国益を損なってきた」・・産経
「侵略」や「植民地支配」について「何を反省すべきかをはっきりさせた」・・・日経
「『不戦の誓い』が伝わった。多くの国民の胸にも響いたのではないか」・・・北國新聞
新聞以外の、テレビやその他個人の言論を見ていても気づくことは、
非難派は自動的に安倍政権の安保法案反対をセットにして非難している
という法則があり、たとえば
「談話は支持するが安保法案は反対」
という人も、またその逆もいないように思われました。
つまり、安保法案を掲げる首相のいうことだからどんなことを言ってもそれは
間違っているはず、と最初から非難ありきで報道するといういつもの姿です。
わたし自身は、安倍首相のブレーンはただただ優秀だなあと思いましたね。
日本語では「主語が曖昧」などという、いちゃもんレベルで非難できても、
それが各国語に翻訳された途端、そんなファジーな部分は消えてなくなり、
「日本国は、村山談話を継承し、過去を謝罪し反省して前に進んでいきたい」
となります。
日本語と違って大抵の言葉は主語をつけずに翻訳することはできませんからね。
現に、たとえどんな談話であっても最初から非難することが明らかであった
韓国のパク大統領ですら、非難すべき点がみつからず、
「日本政府は歴代内閣の歴史認識を継承すると公言したことを一貫して
誠意をもって行動で支え、隣国と国際社会の信頼を得なければいけない」
という、「えーなんだその、つまり」みたいな声明に終始しました。
しかも、いわゆるかつての支配側大国にとって、安倍談話は結構扱いに困る
「爆弾」を含んでいたんですね。
それが、
「百年以上前、世界は西洋諸国に植民地支配されていた。
日本は植民地支配されそうになったので立憲政治を打ち立て独立を守った。
日露戦争の勝利は被支配国の人々を勇気づけた」
という出だしです。
これは、かつて植民地支配をしていた国々にまず牽制をし、さらに
「欧米諸国が進めた経済ブロック化によって日本は追い詰められ、
行き場がなくなって力の行使をした」
という部分で、日本が戦争に突入していった原因は、決してかつての列強のような
国土拡大のための侵略とは違い自衛のためである、ということを非常にマイルドに、
しかしはっきりと釘をさす形で言明したわけです。
いやー、これは朝日新聞始め左派メディアと左翼たちには業腹でしょうねー(笑)
彼らはこの70年間、日本が戦争をした理由を述べれば、それを
「正当化」「美化」と罵ってきましたし、
日本人は未来永劫子々孫々まで土下座するべきというのが基本的な考えなんですから。
(土下座なら日本には土下座要員として鳩山さんがいるから、
いくらでも土下座させて、ついでに賠償金もポケットマネーで払わせればいいと思う)
そして、CNNです(笑)
結論からしてこのテレビ局は、安倍談話に対して否定的でした。
考えられる理由は二つ。
「子々孫々まで謝罪をさせてはならないというのが気に食わない」
「韓国が文句を言っているから」
です。
まずCNNでは、かつての列強の植民地支配に対して
「別にお前ら、被支配国に謝ったことなんかないだろ?
胸に手を当ててちょっと考えてみてくれよ」
という匕首を突きつけた部分については全く触れられませんでした。
ええ、そういう部分があったことすら報じられなかったんですよ。
アメリカはどちらかというとイギリスに植民地支配を受けた側なんですが。
そもそも、この番組、談話の「子供たちに謝らせる未来を背負わせてはならない」を、
意図的に「日本は謝り続けることはできない」言い換えて取り出したうえ、
談話以上の時間を使って、この韓国特派員である、どうみても韓国系(笑)の
キャスターに、「韓国は慰安婦の件で誠実でないと怒っている」
ということをレポートさせていたわけですが、
まずもって、なんで日本の首相の談話に対してトップに韓国首脳の
非難を持ってくるのかという疑問が・・・
ここはアメリカですよ?
そもそも談話には「韓国」の「か」の字も含まれていなかったのに、です。
ニュースでは日本の立場での謝罪と感謝には全く触れず、
朝鮮の2カ国は当時日本であったということをろくに説明もせず、
「北朝鮮と韓国には日本に植民地支配された恨みが云々」
などと・・。
なんでこの2カ国が現在戦争中かについてはもちろんスルーです(笑)
そういえばこのCNNは、ロンドンオリンピックの放映で、日本に対して
さんざん『やらかして』くれたのをわたしはリアルタイムで目撃しています。
その理由というのは、オリンピックのメインスポンサーに「サムスン」が
入っていたからだというのは、あまりにも明白でしたが、
今回の報道の偏りは、どんな「利権」からきているのかと思って調べてみたら、
CNNはNHK・朝日新聞社・テレ朝と提携
していましたー(大笑い)
なるほどねー。そりゃ韓国側の主張をメインにするはずだ。
アメリカの最高裁で「解決済み」と判決の出ている慰安婦問題ですが、
当番組は全くおかまいなしで、慰安婦のことを
「セックススレイブ(性奴隷)」とする韓国の主張を強調していました。
これも提携元の面子を見れば納得です。
韓国軍はベトナム戦争で多数の一般民虐殺と女性への暴行を行っていますが、
それについて謝ったことなどありません。
しかし、この番組はなぜか法的に「解決済み」の慰安婦問題を明らかに未解決として語り、
植民地支配について反省を述べたにもかかわらず「誠意が足りない」
という韓国側の主張をそのまま自局の意見として発信することに終始しました。
さて、一方日本のメディアには、この談話について、
「あちこちに気を使った結果、焦点がぼけて右派左派両方に不満を残す結果となった」
という批判もありました。
こういう非難をする人に聞きたいのですが、それではどうすればよかったでしょうか。
安倍首相は一国を代表してあの談話を出しています。
日本の歴史的立場を強弁すれば世界に叩かれるし、逆に土下座すれば右と保守派は敵に回る。
しかも下手に言質を取られる発言を残せば、近隣諸国が嵩にかかってゆすりたかりにくる。
何よりも将来に遺恨を残し、それが国益を損なう恐れもあります。
どこに一歩多く踏み出しても千尋の谷底、という状態の中で、とにかくも
どこからも問題にされにくい談話となると、あれしかなかったとわたしは思いますし、
そんな談話の中に、痛烈な中国・韓国に対する
「歴史が政治的、外交的な意図によって歪められてはならない」
という批判とも取れる一言を入れたのは快挙という他ありません。
過去を謝ったかどうか、それが誠実かなどということを鵜の目鷹の目で検証するばかりで、
名もなき人々を戦争に巻き込ませない、とした「不戦の誓い」という言葉には目もくれず、
CNNは、「子供たちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」という部分から
わざわざ「子供たち」を省き、「日本は謝り続けることはできない」と翻訳し、
これを非難調で報じました。
CNNのようにこの部分に反感を持った海外メディアは他にもあったようですが、
そもそもこの談話は「日本が戦争を謝罪するための談話」でもないのです。
戦後70年間の日本の平和な歩みが、反省も謝罪も踏まえた戦争の痛みの上にあること、
日本を「許してくれた」戦後国際社会への感謝と、これからの抱負を述べる
「決意表明」なのです。
この談話が国際社会から強制されたものではなく、日本の自発的な表明として出されている、
という本質を、非難するメディアは、総じて敢えて無視しているかのように見えます。
そのうえで、この部分は世界に向かって「もう謝り続ける必要なし」
と啖呵を切ったのではなく、あくまでも日本国民に向けて、
子供たちに謝罪を負わせないためには、日本国はどう過去と向き合うか考えましょう
と提言したのであるということを、ほとんどのメディアは理解せず、
また理解しようともしなかったようにわたしは思いました。
とにかくわたしはこの節目に日本国の首相が安倍晋三であったことを感謝します。
もし今が民主政権下で、この談話を出すのが菅や野田、いや、鳩山由起夫だったら?
真夏の暑さも吹き飛んでしまうくらい背筋が凍りませんか?
この談話が、日本がこれまで縛られていた戦後レジュームを、70年目の節目において
断ち切ってくれるきっかけになってくれることに期待したいと思います。