西海岸滞在中に最低でも2度は足を向けるのがゴールデンゲートブリッジの
サンフランシスコ側橋脚から海岸線に沿って伸びて作られた公園、
クリッシーフィールドです。
ここは昔、パナマー太平洋国際博覧会のために展示飛行が行われ、(1915年)その後
アメリカ軍が防衛拠点にしたため、飛行場となっていた時期があります。
クリッシーという名前は、黎明期の飛行家で、1927年に耐久レースに出場し、
墜落死したダナ・クリッシーにちなんでつけられています。
遊歩道の脇の地面に、よくよく注意してみないとわからない
飛行帽とめがね、バイプレーンのモニュメントが埋め込まれています。
説明が何もないのですが、クリッシーにちなんだものでしょうか。
去年はまだ工事中で通行止めだったここに続くトンネルが開通していました。
まるまる3年、回り道をさせられましたが、ようやく直接来ることができました。
その開通したトンネルのすぐ上は、実はお墓だったりします。
公園から見えているサンフランシスコ国立墓地。
主に戦争で亡くなった人のお墓があるのですが、クリッシーもここに埋葬されています。
この一帯はプリシディオといい、1700年代はスペインが統治していたため、
スペイン人が住み着いたのが最初の住人となりました。
その後、まずスペインがここに要塞を作りました。
まだゴールデンゲートブリッジができていない頃にすでにこの要塞は存在しました。
そののち、地形上ブリッジをこの建物の真上に作るしかないということがわかり、
さぞかし関係者の間では危険性を懸念する意見が巻き起こったのではないかと思われます。
何年か前は夏の間中、内部を公開していたので、息子を連れて
大砲を撃つデモンストレーションなどを見学したものです。
これは今にして思えば南北戦争中に使われた「ナポレオン12パウンド砲」でした。
フォートですから、堅牢なレンガの壁にある窓は、砲口だけが出される小さなもので、
周りは鉄鋼で崩れないようにカバーされています。
フォートポイントは映画にも登場しています。
ヒッチコックの1958年作品「めまい」。
キム・ノヴァクが海に飛び込もうとするシーンはここで撮られました。
しかし、ここから飛び込んだら、普通の人はまず間違いなく流されて死ぬよ?
と思ったら、流されている人がいた(笑)
このフォートポイントでボディボードをしている人を見たのは初めてです。
こんなところで一体何を?と思ったら、実はこのあたり、風が強くて波も高いところがあり、
そこまで泳いで行って波乗りするつもりだったようです。
ここ、結構岩だらけなのに、大丈夫なんだろうか・・。
結構男前で、観光客の注目の的となっていました。
このエリアは地元民の散歩でなければ来ているのは観光客ばかりで、いつもここで
釣り糸を垂らして釣りをしている中国人ですら、皆にガン見され、話しかけられています。
この「中国人」というのがポイントで、わたしはかねがねここで釣りをしているのは、
中華街で料理店を経営していて、ガチで材料を仕入れているつもりなのではないかと
ずっと思っています。
こちらサンフランシスコの太平洋に面した海岸でまじ釣りしていた人。
この人も東洋系で、まず間違いなく中国人。
いやー、ほんとうに仕事熱心というか(決めてかかっている)
フォートポイントから市内を臨んだところにあるこの建物、
一時息子をここのサマーキャンプに行かせていたエクスプロラトリウム(科学博物館)でした。
「でした」というのは今年フィッシャマンズワーフに行ったら、
ピアに移転して新築されていたので初めて知ったのです。
こちらは歴史的な建築物なので、その方向で保存することになったのでしょう。
ところで、アメリカでは最近「原爆を2発も投下したのは悪いことだった」
という意見が若い人を中心に増えているらしい、と先日8月6日のニュースで見ました。
しかし、ここアメリカでは表面的にそれは絶対に表には出てこず、
あくまでもインターネットで広島や長崎の写真などを検索して持つ個人的感想にとどまっています。
8月6日の原爆慰霊式典の様子はこちらでもニュースで流れましたが、
時間にしたら、そう、せいぜい15秒といったところでしょうか。
「投下から70年目にあたる広島で慰霊祭が行われ、ケネディ駐日大使が出席した」
という言葉とともに、ケネディさんの顔が大写しになって、おしまい。
思わず「これだけかい!」と口に出てしまいましたよ。
和歌山で「たま駅長」のお葬式が営まれたというニュースの方がよっぽど大々的でした。
さて、ここからはいつもの望遠レンズでの写真となります。
NIKON1専用望遠レンズ70-300mmで撮りました。
このシギは、ここに定住している
Marbled Gotwit
という鳥ですが、ゴットウィット・・・神の機知?
ゴー・トゥイットだと・・・・・バカになるっていう意味になるかと思いますが、
もちろん前者でしようね?
頭の大きさの割に嘴が異常に長い鳥さんです。
多分小さな泥中の生き物を食べるためにこんな長いのかと。
水辺ではおなじみ、ヘロン。
望遠レンズで思いっきりアップにしてみました。
中洲にはサギとウが仲良く共存しています。
水中にしょっちゅう潜って何かを加えて浮いてくるときもありますが、
このときには長い藻を加えていました。
見ていたら食べてしまったので、時々緑のものもたべるのかもしれません。
この日サンフランシスコは珍しく気温が高い(日本だと4月くらい)1日でしたが、
風はとても強く、長い羽が煽られてこんなことになっていました。
カワウが皆で餌探しを始めたら、サギも一緒になって
何かいないかな?という様子でソワソワしだしました。
共生ではなく、あわよくば人の獲物を横取りしようという考えのようです。
人と鳥。
ここは立ち入り禁止区域なので、関係者が何か作業をしているようですが、
それを一羽の鳥が横でずっと見守っていました。
お天気の良い1日だと、こんな風にブリッジが全く霧で隠れずに見えます。
毎年来ていますが、これは案外珍しいことでもあるのです。
そういえば前に来たときは・・・・・・・そう、ここで車の鍵をなくしたんだった・・・。
嫌なことを思い出しちまったぜ。ちっ。
巨大なグレートハウンドを散歩させていた女の人。
こんなでかい犬は日本でもほとんど見たことはありません。
今は大型犬でも室内飼いするのが普通である日本では、
こんな大きな犬が家の中にいたら場所ふさぎですし(笑)犬もストレスでしょう。
ベンチに座って携帯メールを始めました。
犬はおとなしく長い脚をたたんで座っていたのですが、
他の犬が通りかかるとその度にウーファーサウンドのような低音の、
思わず振り返るような大音声でうおんうおんと吠え、その度に
通りがかりの犬は怯えて首を縮めて通り過ぎていました。
やっぱり大きすぎる犬って、犬同士でも怖いもんなんですかね。
手前の男の子は、写真を撮るために飼い犬のリーシュを持たされています。
おそらく犬が全力で走ったら、男の子は引きずられると思われ(笑)
「CA」のTシャツは、他所から旅行に来たものの思っていたより寒いので
あわてて長袖のお土産シャツを買ったらしいことまでわかります。
話には聞いていても、サンフランシスコの夏の寒さは他州の人間には予想以上です。
何人かの「犬友達」同士で来て、飼い犬を遊ばせている人たちもいました。
赤い引き綱がよく似合う黒犬くん、脚に綱を結んであるのかと思ったら
たまたま脚に絡まっていただけでした。
黒くん、友達が水に入ろうとしているので一緒に水際まで来たのですが、
どうやら水に入るのが怖いようです。
尻尾の先が扇子のように広がった白黒の犬が水浴びして出てきても、
黒くんは恐々で、興味はあるもののどうしても水に浸かれないという感じ。
「お前濡れてんだろ?近づくなよお〜」
「黒くんいいこと教えたげる。あのねえ」
「だから濡れてるんだから近づくなって〜」
ここクリッシーフィールドの犬は、散歩業者につながれて10匹単位で
散歩している犬たちはともかく、飼い主ときている犬は皆元気に走り回って、
時々は冷たい海にも果敢に飼い主の投げたボールを取りにいったりします。
ここに見えている建物は全てプレシディオの、大変古いものばかりです。
鳥は・・・・
あ、アジサシ?
と思ったのですが、どうも尻尾が違いますね。
上空で円を描いて飛び、獲物を見つけると急降下して水にダイブ、
というのも一緒なのですが・・・・・。
ちょうどGGブリッジがよく見えるところに止まってくれたので、
かがみこんで下の方から狙って撮った絵になるカラス。
スズメはもちろんのこと・・・・・、
テリムクドリモドキもいつものようにいました。
ところで、時々は晴れることもあるGGブリッジですが、こちらの太平洋側は
ほぼいつもこんな感じで曇っている(特に朝は)日が圧倒的多い様な気がします。
寒々としたこの海の向こうの日本では、猛暑で人が死んでいて、
西海岸でも、もう少し南に下がればガンガン日差しの強い場所もあるというのに・・。
本当にサンフランシスコって不思議な町だと思います。
この海岸にも『神さまのウィット』がいました。
ところで、2年前の夏、ここでCSI:NYのロケに遭遇しましたが、
ここはサンフランシスコの名所だけあって、一夏に必ず一回はテレビや映画の
撮影ロケが行われているのを目撃します。
もちろんバックにゴールデンゲートブリッジの映るこのポイントは
撮影ポイントとしてたいへん「絵になる」からですが、この日は、
お揃いのスーツを着た男性二人が、プロのカメラマンとフォトセッションをしていました。
写真家が前衛的な作品でも撮影しているのかと思って見ていたのですが、
カメラマンが軽装備すぎるので、単なる「カップル写真」の撮影かもしれません。
サンフランシスコというのは、前にも書きましたがカストロストリートを中心に
全米でも有名なゲイ・コミニュティがあります。
またカリフォルニア州では2013年に同性婚を禁止していた法律を無効とし、
婚姻関係を結ぶことが可能になっていましたが、つい先日の2015年6月26日、
合衆国最高裁判所は「法の下の平等」を定めた「アメリカ合衆国憲法修正第14条」
を根拠にアメリカ合衆国のすべての州での同性結婚を認める判決をだし、
これによりアメリカ合衆国において、同性婚のカップルは異性婚のカップルと
平等の権利を享受することになりました。
というわけで、この法律制定後、晴れて夫婦になって他州から新婚旅行に来たカップルが、
プロを雇って結婚アルバムに載せる写真を撮っているのだとわたしは思いましたが、
確かめる訳にもいかないので、本当のところはわかりません。
ここまで書いて、もし間違いだったらごめんなさい。
とにかく、いかにもサンフランシスコな風景ではあります。