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海軍記念館の展示品~軍港の街舞鶴を訪ねて

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さて、舞鶴訪問の続きと参りましょう。

岸壁で「あたご」を見学した後は、海軍資料館です。
案内をしてくださった広報の隊員の運転する車の後をついて行き、
道を隔ててほとんど向かいのところにある地方総監部へ。

というか、さっき間違えてこちらに先にきてしまったんですけどね。

今度は帰れと言われることもなく(さっきも別にそう言われたわけではありませんが)
東郷平八郎も車で登ったであろう坂道を上っていくと、
坂の上の開けた部分には舞鶴地方総監の建物と、芝生の美しい広場があります。



左の部分はどう見ても後から付け足した感じ。
現在は舞鶴地方総監部の第一庁舎として機能していますが、
かつてはここに海軍機関学校がありました。
兵学校の同窓会でグループは「江田島」「舞鶴」と表示されていました。

もともと横須賀にあった海軍機関学校ですが、関東大震災で校舎が倒壊し、
ここに移ってきて、その後昭和5年に新築した校舎がこれです。

この右側に白い建物があり、パッと見た目戦後のものに思えたので、
写真を撮りませんでしたが、じつはそちらも海軍機関学校時代の建築だとか。

芝生の囲いが艦砲弾の形をしているのに注目。



芝生は立ち入り禁止、という札がわざわざ立てられていますが、これは
この日海軍資料館が一般公開されるためだったようです。



こちら海軍資料館。
こちらはじつは「裏口」というべきで、この建物は昔「大講堂」でした。
昭和8年、天皇陛下御行幸をお迎えすることが決まり、そのために建てられたのだそうです。
天皇陛下をお迎えするためとはいえ、そのためだけにこのような大掛かりなものを
建ててしまうというのもすごい話です。



正面に立つと、旭日旗の前に東郷元帥のブロンズ像が。

冒頭写真でもごらんいただけるこの旭日旗は、海軍が建造した最初の飛行艇母艦
「秋津州」の軍艦旗でした。
「秋津州」は昭和17年4月29日(つまり当時の天皇陛下の誕生日)に完成し、
第11飛行隊とともにソロモン方面で活動していましたが、
昭和19年9月フィリピンのコロン湾で、米軍艦載機の攻撃を受け戦没しています。

この旗は、沈没の際、乗組員によって持ち出されたものです。



この大きさから実際に軍艦で使われていた時鐘だと思われます。

ところで、案内の方はここに入る前に、

「大変申し訳ないのですが、ここは駆け足で回ります」

と言われました。
わたしの勘違いでスタートが5分遅れた上、「あたご」の見学に時間がかかり、
予定が押してきてしまったようです。

後からわかったことなのですが、この後の東郷邸見学は、
ご紹介いただいた地方総監部の偉い人の解説を仰ぐということになっており、
ずれ込むと偉い人を外で立ったまま待たせることになるのでした。

ですから、わたしにとって垂涎の海軍資料の前はほとんど立ち止まることなく、
通り過ぎながらの見学と成ってしまいました(T_T)

皆がさっさか歩いて行くのに少し遅れ、せめて写真をとシャッターを押しまくるわたし。
資料館の最初は、「海軍の歴史」。

嘉永6年、1853年にペリーが浦賀に来航した時から歴史は始まります。
このときアメリカが日本の門を叩き、無理やり開国させたことから、
その52年後の日露戦争の勝利も、日本が武器をとった戦争も起こることになったのです。
逆説的に言えば、このとき開国しなかったら、日本は戦う必要もなかったということになります。

東京裁判のとき、

「日本の戦争責任を日清、日露戦争まで裁くというなら、ペリーを連れてこい。
鎖国していた日本を無理やり開国させたのは君達ではないのか」

といった

石原莞爾の一言が真実です。

ここには坂本龍馬、観光丸(幕府がアメリカから受領した最初の海軍艦)、
西郷隆盛などの写真があり、



「海軍創設トリオ」、勝海舟、西郷従道、山本権兵衛の写真があります。
この資料で今まで考えてみたこともなかった「日本最初の海戦」(合戦じゃないよ)
がいつ行われたかもわかりました。

戊辰戦争の際、蒸気艦によって行われた、「阿波沖海戦」です。
そういえば靖国神社には、戊辰戦争以来の戦死者が祀られているんですね。



兵式を、海軍はイギリス、陸軍はフランス式にすることが決まったときに、
制服もこの形に決められ、それは終戦まで変わることはありませんでした。



正装用のタキシードと外套。



六分儀と時計。
時計の箱は鍵付きです。



「峯風」「春雨」「野分」「初雪」・・・・。

右上と左下が分かる方おられますか?
舞鶴所属の駆逐艦です。



昭和19年の1月に撮影された、高木惣吉少将とその家族。
高木少将の行った終戦工作については、このブログでもお話ししたことがあります。
奥方が上品でお美しい。



初代東郷平八郎、二代目日高壮之丞。
歴代舞鶴鎮守府長官の写真。
皆正装で写真を撮っていますが、7代目の名和又八郎と14代目の小林宗之助は通常服です。
それはともかく、この写真みてくださいます?



名前を見て思わずわたしが「おおっ!」と内心叫んでしまったのは、
8代目舞鶴要港長官の清川純一少将。



東郷平八郎元帥と秋山真之参謀が一緒に写っている、
確か「三笠」艦上で後ろに立っている若き参謀、(当時第一参謀)
このイケメンが清河純一大尉(当時)であることを、
セイルタワーの見学で突き止めたわたしですが、その後清河大尉が
どのようになったのか知れる写真は今まで見たことがありませんでした。

ここにあったよ。ここに。
ウィキによると、清河純一は海大を首席で卒業し、その容姿も買われたか、
伏見宮博恭王付きの武官を務めたり、ロンドン軍縮会議にも出たりして、
この舞鶴要港司令官を最後に予備役についたということです。

若き日のイケメンは歳を重ねてもなおシブい。
娘は三菱財閥の岩崎家に嫁いだということなので、良家の出だったのでしょう。



これは東郷平八郎の関連資料。
珍しい家族の写真なども展示されています。

左上は噂の「トーゴービール」。
解説してくださった方は、このビールを作ったフィンランドは
日本がフィンランドを統治していた憎きロシアをやっつけたので、
喜んでこのようなビールを作った、とおっしゃったのですが、調べてみると、
この会社は特に東郷さんだけのビールを作ったわけではなく、
「世界の提督シリーズ」として、ネルソン、ロジェストベンスキー、マカロフ、
そして東郷などの6人のラベルを冠したビールを作っていたようです。

このビールの存在はずっと知られていなかったのですが、昭和58年に
フィンランドからこれを買ってきた人が、東郷神社にお供えしたことから知られるようになり、
今では舞鶴でも買えたりするそうですが(案内してくれた自衛官談)
提督の数はその後増えて、最終的には山本五十六ビールも実際にはあったのだとか。



「海軍精神注入棒」という名前のバッターかと思いましたが、説明には

「東郷元帥の訓示が彫り込まれた訓示棒」

とあります。
彫り込まれた文句は日本海海戦の時の「皇国の荒廃・・」というあれです。



東郷元帥の直筆手紙。
故郷鹿児島の義理の姉に出した手紙で、日本海海戦より前、ここ舞鶴で
「無聊を囲っていた」ころに出されたものだそうです。

上は、日本海海戦後の「感想」として書かれた短歌で、

日本海海戦後言志 

日の本乃 海にとどろく かちときは 御稜威かしこむ 聲とこそしれ

とあります。



日露戦争を報じる海外の新聞。
急いで撮ったので何語かもわかりませんが、明治天皇が
とてもカッコよく描かれているのはよくわかった。



東郷平八郎ともなると、あちこちに揮毫を頼まれるわけですが、現存する
東郷平八郎直筆といわれるものの多くは贋作なのだそうです。
丸いお皿に書かれているのは、

愚かなる 心につくす誠とは みそなはしてよ 天地(あめつち)の神

だと説明にありますが、二行目は「つくす」ではないような気が・・。

左のフォークと砂糖壺は、東郷元帥が「三笠」艦上で実際に使用していたものです。

砂糖壺の上の書類は、なんと

「日露戦争 日本海海戦参加人名表」。

下の欄に、「三笠艦上の図」の絵で左端にかがんでいた、
海軍兵学校33期首席卒の男、枝原百合一(当時大尉)の名前もあります。

この名前が気になって仕方がない(笑)わたしですが、枝原大尉は、
その後海軍初の航空工廠のトップに就任します。
航空機の時代の先駆けであり、その後の零式艦上機などの誕生につながる
「7試計画」を立案したという歴史的な任務を負った人物でした。




砂糖壺の上にもちゃんと海軍のマークが刻印されています。
これらは銀のサビで真っ黒になっていたのですが(なるよねー、シルバーのアクセサリーって)
自衛隊員が「一生懸命磨いた」ということで、ピカピカでした。



舞鶴工廠で作られた羅針儀。
二つの鉄球はなんの役目を果たすのかな?
それから、下にまるでテーブルの上にありそうな木のお椀がありますが、
どうやらこれは羅針儀の「蓋」である模様。
竹らしい木材を編んだものを表面に貼って、ニスをかけ、
さらに取っ手をつけるなど、手の込んだ細工です。


さて、これだけの写真を(実はもっと撮ったけど、急いで撮ったのでぶれていたり)
撮りながら皆の後をついて行きますと、この海軍資料館の本体、大講堂の部分に出てきました。

天皇陛下御行幸の際に、ここで陛下がお言葉を皆に賜ったという場所です。


続く。

 







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