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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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艦長操艦〜平成27年自衛隊観艦式

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訓練展示も終わり、艦橋ウィングで首相訓辞を聞き終わった後、
わたしは操舵室で残りの作業を見学することにしました。

艦橋といえば(笑)当ブログコメント欄のレギュラーコメンテイターである
雷蔵さん(仮名)が、当日のツィッターを貼って送ってくださったのですが、
雷蔵さん(仮名)はずっと艦橋に張り付いて操舵に集中していたそうです。

リアルタイムで海自OBからの叱咤激励が入り、読んでいるだけでハラハラドキドキ。
ご本人に無断で(無断かよ)一部を抜粋させていただきますと、

木更津を出港したあすかがくろべを追い越す。
あすかは先頭艦で、くろべはその列四番艦。

あすかからくろべに発光信号。「お互いに楽しみましょう」

発光信号でそんなメッセージが送られていたのか・・・・・。
というか、雷蔵さん(仮名)発光信号を横にいて読んだんですね。 

観閲付属部隊あすかを先頭に制形完了。
三番艦とねとの間がやや遠い(くろべが遅れている)頑張れ。航海長!

艦橋はピリピリ。

ピリピリしてる様子もわかっちゃいますか・・。 怖いね。

前の船と開いてしまうのはみっともないので、OBアルファから
「赤黒(速度の微調整)は使わないのか」とか、
現役ブラボーから「(とねの呉)入港時に言っておく」とか、外野までイライラ。


遅れるとそうなるんですね。回頭した時の「しらゆき」艦橋もそうなってたのかな。

観閲開始。陣形は整っているので、艦橋も静か。
艦長は相変わらず居眠り。外野からもコメントなく静か。

相変わらず・・・居眠り・・・・だと? 
というか雷蔵さん(仮名)、観閲の時にも全く外見ておられなかった?

観閲終了。反転。とねが早く回り過ぎ、列の内側へ。
こういう時のフォローには気を遣います。艦長もピリピリ。

OBチャーリー「技量が落ちてるね。他の艦も同じようですがイージス艦はよかったと思います」

雷蔵「航海長はバッチリでしたが、もう一人の人が判断が甘く
艦長がピリピリしていました」

OBデルタ「 お客様を乗せていること、膨らみ過ぎたら戻すのに舵がハードになり、
傾斜がきつくなるので早めに回ってしまうのでしょう。
距離が維持できればいいのですが。後続が大変ですね」

雷蔵「(艦長は)ピシャリと入るまではピリピリしていましたが、
入ったら居眠りしていました。自分が当直士官になったようで気が気ではありませんでした」


入るまで艦長は当直士官の後ろに立っていたそうです。

観艦式には誰を乗せているかわからない。
というか、こういう日は客にOBがてんこ盛りだったりするわけで、
だから操艦についてもこーゆーことを言われるかもしれないってこと(笑)
さぞかし変な緊張をする日なんでしょうねー。

で、 観艦式ともなると、こんな人も乗ってます。

東郷元帥曾孫「淡々とカバー、チームワークは完璧」

東郷元帥曾孫氏がこの日「きりしま」に坐乗されたとのことでした。
ずっと艦橋におられたんでしょうかね。
これは東郷元帥の曾孫からお褒めの言葉いただきました!ってことみたいです。

ちなみに雷蔵さんは、この日艦橋に集中し過ぎて、祝砲やIRフレアや爆弾投下などの
訓練展示はもちろん見られず、気が付けば、ブルーの航跡だけが艦橋から広がっていたそうです。


合掌。


さて、わたしはもちろん、このようなコアな観察はできません。
ただそこにいて一般平民の目でそこに起こっていることを眺めるだけ。



艦橋は暖かいので(笑)、後部の腰掛けに荷物を置いて住人と化している人もいましたが、
立ってずっと眺めている中には、雷蔵さんのような、詳しすぎる方も混じっていたはずです。

わたしの3人向こうには、アメリカ人らしい白人のおじさんがいて、
最後まで天井についているバーにつかまったまま、ずっと作業を見ていました。
おそらく日本語での海事用語は全く理解できないはずですが(わたしたちにも時々分からないのに)、
それでも長時間眺めていたところを見ると、おそらく元船乗りでしょう。

まず艦橋にこの日初めてちゃんと入り、モニターの「WELCOME」に和みます。
あとは耳をダンボにして、そこで交わされる言葉をチェック。

「両舷前進ゲンソウ〜」


うっ、いきなり謎の言葉が!
「両舷前進減速」じゃないの?

それとも海軍はなんでも「セサ」(先任参謀)とか「ネザ」(燃料在庫量)
とかちょりざとかとよととか言葉を短く言うという、あれ?
最後の「く」くらい言えよ、と思うんですが、そういうことじゃないのかな。


「マーク減速」「マーク減速」

号令はかならず二回繰り返します。
その間、前方で艦橋に張り付いている航海長が刻々と状況を報告します。

「こんごうまで4600」「了解」「40度」

「70度まで回る」「もどーせー」

「とりかじにあて」

「あて」は「当てよ」という命令形ですよね。
ただの「とりかじ」とはまたちょっと違うみたい。

「70度よーそろ」

でたー!「ヨーソロ」いただきました。

「今変進点で1分の遅れです。黒かけていきます」

「黒10」「黒10」ブーッ!「変速黒10」

でたでた。「黒」が。
先ほど、OBアルファのツィッターに「赤黒は使わないのか」とありましたが、
「黒10」は原速として定められた回転数から10回転だけ増すということ。

1分遅れているから少し回転数上げて追いつきましょうってことですね。
なんで「赤黒」なのかというと、それが海軍時代からそうと決まっているからです。

その間も、あちらこちらから状況を知らせるため入ってくる無線に対応し、
例えばプレジャーボートが進路に近づいてきたことなども確認します。
そして何度となく双眼鏡を目に当ててそれを視認します。



この双眼鏡の当て方というのも人によって微妙に違いました。
ある幹部は目に当てるとき、双眼鏡を持つ人差し指を顔に当てるように持ち、
見ていると、かならず毎回同じ持ち方をしていました。
おそらく自分の一番ぴったりくる構え方というのが決まっていて、
それが個性となっているのに違いありません。

さて、いよいよ「ちょうかい」は入港準備にかかります。

「分かれ。入港準備。右横付け用意」

全艦にアナウンスがかかります。



この窓際の二人は艦橋にいたアナウンス担当で、次々と入ってくる指令、
たとえばラッパ展示などが行われるという参加客に向けたお知らせ、
そして航路で通り過ぎる史跡の説明や、観艦式の歴史や故事はもちろん、
艦内での注意事項に至るまで、事細かに放送を行うのが仕事です。

とくに入港作業は作業員以外は甲板から退避しなくてはいけないので、その旨注意があります。

このとき、どういうわけか雷蔵さんの乗っていた「くろべ」との間に交信がありました。
「くろべ」に対して「06お願いします」と言っていたと思いますが、
「くろべ」は横浜入港のはずなので、 もしかしたら艦隊の列から離れて行ったのでしょうか。

そのうち「領地まで(この字でいいの?)5マイル」という声がかかり、
すぐさまそれが全艦にアナウンスされ、さらに一般客に向けて

「木更津港まであと10kmのところまで帰ってきました」

と丁寧な説明があります。
そこで「黒15」の指示がありましたが、これがホームスピードというやつかな。

ちなみにだいぶ前から、艦橋の前部からは人払がされ、ロープが後ろに貼られて
隊指令の椅子には近づけないようになっていました。
ちなみに、隊指令の椅子は写真撮影用に解放されていましたが、シートのカバーは
黄色ではなく、一般来客用にか、白だったのが印象的でした。

この間も東京マーチスからの無線が何度となく入ってきます。
そのとき、

「ハイ、木更津航路を出た」 

すぐさまこれは全艦アナウンスされたのですが、「航路を出た」、つまり
港に入ったということだと考えればいいのでしょうか。

そして「変進点」に来た瞬間、「とーりかーじ」が入ります。



あと3キロ、というところで前方に見えてきたのが曳船。
朝に支援してもらった「くくる丸」と、「ちくら丸」 というのが待っています。
「あすか」はすでに岸壁に付け、防眩物もちゃんと設置済みです。
もしかしたらもう下艦も始まっているのかもしれません。

そのとき艦橋では「110度よーそろー!」の声が。
さらにそれからしばらくして「赤黒!」ときたのですが、これは「赤でも黒でもない」、
つまり全進プラスマイナスゼロの状態になったということかな。
(想像ばかりですみません)

さて、そして最後の最後に、来ました。

「艦長操艦!」



雷蔵さんのツィッターによると、艦長が後ろで立ち上がってピリピリ、ということがあったそうですが、
艦長ってずっと自ら操艦するわけではなく、こういう最後の最後に、あたかも
すべてのセッティングを弟子が行ったあと、シャッターを切るだけの大物カメラマンのように、
要所をピシッとシメるために出てくる役目なんだなと思いました。

たとえば海峡などの難所でいざというときに操艦を行うのは艦長ですし、
着岸直前の低速のときは風に「持ってかれる」ことなどもあり、難しいので、
これも必ず艦長が操艦を行うのではないかと思われます。

そういえば難所で「つっ掛けて」昇進できなかった艦長がいたという話も聞いたことがあるなあ。


「艦長操艦」

の声がかかった瞬間、わたしはおそらく外から見たら目にお星様が入った状態で
これを逃すまいとあわてて動画をセットしたのですが、まず艦長が交代のときに何を言ったか
(「もらいます」とか?)聞こえなかったのと、この写真(動画キャプチャ)のように、
艦長はしょっちゅう左目をつぶってジャイロを見ているものの、あまりいろいろ言いません。
むしろ周りの人の声が大きいので、せいぜい

「とーりかーじ」「70度」「もどーせ」「キュウテンマルマル知らせ」「ヒトヒトテンマルマル」

みたいな言葉がときどき聞こえてきただけでした。
おまけに、前にしょっちゅう人が立ちふさがっていて、あまり見えなかったの(T_T)




ちなみに「ヒトヒトテンナナマル」のときに見えていた艦橋の窓からの景色。
水中作業員のゴムボートもちゃんと待機しています。

「両舷前進搬送」(この字であってますか?)

「キュウテンゴマル、まもなくキュウテンマルマル」

ということは、速度が落ちていってるってことですね。
このときであとちょうど1キロというところです。

「両舷前進微速」(どう聞いても”びそう”と聞こえる)

「ナナテンマルマル」

 「両舷前進最微速」

「ヨンテンヨンマル」

「両舷前進最微速赤フタジュウ」

最微速からさらに20落とすということですね。

「ヨーソロ78度」

「赤黒なし」・・・・「赤10!」



そのときちょうど曳船が押し始めました。
朝と同じ「きみつ丸」がお仕事しています。


不思議なことに、この辺りになると、すべての指示は航海長が行っており、
艦長はジャイロの前からいなくなっていました。



いつの間に・・・・?



平成27年自衛隊観艦式シリーズ、最終回に続く!
 



 




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