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首相訓辞〜平成27年自衛隊観艦式

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さて、訓練展示が終わりあとは港に帰るだけ、と最後に書きましたが、
実はこの観艦式にとって、公式には一番重要なイベントが残されていました。

首相訓辞です。

わたしはちなみに前回の観艦式で、時の首相であった野田佳彦が何を言ったのか、
全く、すっかり、欠片も覚えていないどころか、訓辞があった記憶すらないのですが、
多分そのときに乗った「ひゅうが」でもアナウンスされていたはずなのです。

一応確かめるためにわたしは、 買っておきながら今まで一度も見たことがなかった
平成24年度観艦式のDVDを鑑賞してみました。
いやー、これ面白かったっす(笑)

合間に鈴木善幸首相の頃の「昭和の観艦式」、小泉総理のときの「国際観艦式」など、
過去の観艦式映像がその時行われた訓練展示も含めてバッチリ記録されています。
そして観艦式の記憶がまだ新たなうちに見ると、前年度との違いもよく分かる。

例えば、参加艦艇は「はたかぜ型」と「くらま」「あたご」「ちょうかい」以外は
総取っ替えというくらい、特に駆逐艦は同じ艦艇は少ないのですが、
思った通り

「あすか」「ちはや」「てんりゅう」

などの人員を積むのに適している艦艇は連続で参加していたり。

というわけで、野田総理の訓辞を聞いてみたのですが(もちろん一部)、
抜粋してみるとこんな感じです。


今年は海上警備隊発足から60年目の節目である

我が国を取り巻く環境は大変厳しさを増している
(名前は出さず、人工衛星と称するミサイルを撃つ国、領土に問題のある国と指摘)

自衛隊の活躍は世界各地に広がるようになった

皆に言いたいことは三つ
「部隊の力を磨き上げよ」「果敢に行動する勇気」「信頼の絆を深めよ」

震災の時の諸君の働きは素晴らしかった
トモダチ作戦でアメリカにもお世話になったので仲良くしよう

至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか 
言行に恥づる勿かりしか 
気力に缺(か)くる勿かりしか 
努力に憾(うら)み勿かりしか 
不精に亘(わた)る勿かりしか 

五省の問いかけを胸に、国を守るという崇高な使命を必ずや果たし、
常に国民に寄り添って優しき勇者であり続けてくれると信じる

今こそ国民の高い期待と厚い信頼に応える自衛隊であるために
諸君は一層奮励努力されることを切に望み私の訓示とする


「優しき勇者」・・・・・・。

なんと素晴らしい!わたし感動してしまいました。いや、皮肉でもなんでもなく。
そういえば、海軍五省を訓辞に取り入れたことを受けて、マスゴミが
「中国や韓国が厳しい反応を云々」とか懸命に煽っていましたっけね。
さすがにどちらもあんまり反応してくれず、空振りだったみたいですが(笑)

しかしマスゴミというのは、時の政府が自民であろうと民主であろうと、
揚げ足をとって中韓にご注進し、ことを荒立てようとする点においては全くぶれないんですね。
その揺るがぬ姿勢と確かな立ち位置に、ある意味感嘆しちゃう。


さて、それでは今回の観艦式における安倍首相の訓辞はどうであったかなんですが、
それをお話しする前に、航海中の艦上で客に退屈させないよう&理解を深めてもらうため
行われたイベントや武器の展示説明について、先に少しだけ報告しておきます。



まず、先日散々文句をつけた他国(とくにあの国)の登舷礼の際の姿勢ですが、
ここで見本というか基本形というか、我が自衛隊のふっつーうの登舷礼の姿勢を例に挙げておきます。

受閲艦隊旗艦「あたご」が行う登舷礼の、この自衛官たちの姿勢の良さを見るがよい。
我々にとっては当たり前の光景ですが、誰一人として首が動いたり脚を開いたりしてません。



さて、場面変わって、これは「あたご」の防火スーツと装備一式着用デモ。
「むらさめ」では格納庫にこの一式を着ることができるコーナーがあり、
わたしの前で若い女性が、きゃっきゃとこれを身につけて写真を撮っていました。

「今年の年賀状はぜひこの写真で作ってください!」

と隊員さんもノリノリでした。



「あたご」と「ちょうかい」では主砲とシウスの稼働展示がありました。
主砲の横の三人が展示説明係です。
これは「あたご」のMk 45 5インチ砲。



砲塔をこちらに向けたあと、なぜか隊員たちが空の一点を皆で凝視しています。
一般公開のときに「ちはや」「いずも」とドローンが落ちたとかいう話があったので、
とりあえず上空を警戒するようにとお達しがあったのかもしれません。



といっても、砲塔をぐるーっと回し、砲身を上げ下げしただけ。
見ていたみんなが空砲でも撃ってくれるのかと期待していたわけでもないでしょうが、
なんとなく「なーんだ」といったような空気が流れたと思ったのは、気のせいでしょうか。

ところでこの射程は37キロメートルなので、横須賀港から撃ったら、
直線距離で羽田空港に届く感じですかね。凄っ!

 

さあ、ところでこの蓋はなんでしょうか!
(説明を聞いていなかったのでわかりません)



続いてCIWSの展示です。
海上自衛隊が搭載しているのはレイセオン社のファランクスです。

映画「バトルシップ」で、「みょうこう」という設定で実はこの「あたご」が
CGのモデルになっていたのですが、劇中、エイリアンの攻撃に対抗して
まさにこのCIWSが火を噴くというシーンがありましたね。


自衛隊がCIWSを導入するとき、イタリア製のシステムと比較検討されたのですが、
対艦ミサイルを無力化する際の思想として、

「ミサイルの誘導機能を破壊するか、弾頭を直接破壊するか」

という選択肢があり、前者であるファランクスが選ばれたということのようです。

歴史にもしもはありませんが、このときにイタリア製が選ばれていたら、
「バトルシップ」で「みょうこう」がCIWSを撃つシーンはなかったはずです。



「ひゅうが」ではCIWSが海に向かって空砲を撃ち、さらには
「ミサイルくんとCIWSくん」という寸劇までやってくれたものですが、
この3年の間に寸劇の方はともかく、空砲を撃つことも禁止になったのか、
それともCIWSの位置のせい(みんなの頭の上)なのか、こちらも展示といっても
砲塔があっちむいてこっちむいて銃口を上げて下げておしまい。

こちらも「なーんだ」といった雰囲気が漂った気がしました。

「ちょうかい」でも、艦橋ウィングにいるときに実演のお知らせがアナウンスされ、
何人かはそれを見るためにわざわざ下に降りて行きましたが、「あたご」で
実演のなんたるかを見切ったわたしは、毛布を膝にかけて仮眠を取っていました。

人目があったり横になれなかったり乗り物の中だったりする環境では
めったなことでは寝ることのできない無駄に神経質なわたしですが、
さすがに朝5時起きが続いていると、8時間の航海の合間には眠くなります。

訓練展示が終わり、定位置に戻って少し目を閉じたとき、
首相訓辞が始まりました。
とりあえずカメラを動画モードにして音声を録音することにし、
(その間ずっと画面は毛布を映していた)
訓辞の内容を目を閉じたまま一言も聞き逃すまいと耳をすませます。

後日首相訓辞は全文がニュース媒体で公開されていたので、
このとき撮った毛布の画像は全く意味がありませんでしたが、それはともかく、
その内容を、先ほどの野田首相のときのようにまとめてみます。



困難な道を自ら選び自衛隊員となった諸君は、日本の誇りである。

戦後70年間、日本は平和国家としての道を歩んできたが、
それも自衛隊あってこそ実現できたのである。

諸君の先輩たちは心ない多くの批判に晒されてきた。
"自衛隊の存在自体が憲法に違反する"と言ってるやつもいる。
しかし諸君の先輩たちはそんな中でも国を守り続けてきたのである。

相次ぐ自然災害、そこには必ず諸君たちの姿があった。
16年前の8月15日、宮崎県・新田原基地で、F-4に乗り
領空侵犯した国籍不明機を追ってスクランブル発進し、その後殉職した
近者明宏2等空佐と森山将英3等空佐は、
その命を懸けて、自衛隊員としての強い使命感と責任感を私たちに示した。

日本の平和が守られてきたのは、彼らのような自衛官の命を惜しまぬ献身と
日米同盟のおかげである。

"雪中の松柏、いよいよ青々たり"。

雪が降り積もる中でも、青々と葉をつける、凛とした松の木の佇まい。
いかなる困難に直面しても、強い信念をもって立ち向かう人を讃える言葉は
そのまま崇高なる覚悟を持ち、危険を顧みず任務を全うする諸君のことである。

これからも、どんな風雪にもびくともしない松の木のごとく、
いかなる厳しい任務にも耐えてもらいたい。
そして常に、国民のそばにあって、安心と勇気を与える存在であってほしい。

海上自衛隊は間違いなく世界の平和に貢献している。
諸君の派遣活動のおかげで今年海賊による襲撃事案はついにゼロになり、
「いせ」はかつて戦艦「伊勢」が戦った海で災害救助にあたり、
フィリピン国民に心から感謝された。
世界が諸君の力を頼りにし、頼みにしている。

本日の観艦式に外国から来てくれた各国海軍の皆さん、ありがとう。
「ロナルド・レーガン」は東日本大震災のとき、被災地にかけつけてくれた
"トモダチ"であり、今月から横須賀を母港に、再び日本の守りに就いてくれる。
ありがとう、ようこそ日本へ。

日本は積極的平和主義の旗を掲げ進んでいく。
平和は人から与えられるものではなく自らの手で勝ち取るものである。

イギリスの元首相チャーチルは、第二次世界大戦について
"最初は全てが容易であったが、後には事態が一段と困難になり、そして、
この戦争ほど、防止することが容易だった戦争は、かつてなかった"。
といった。

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二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。
そのために、私たちは国際情勢の変化に目を凝らし、必要な自衛の措置とは何かを考え抜く。
そして不断に抑止力を高め、不戦の誓いをより確かなものとしていく。

望むと望まざるとに関わらず、脅威は容易に国境を越えてくる。
もはやどの国も一国のみでは対応できない。
そうした時代になっても、国民の命と平和な暮らしは断固として守り抜く。
そのための法的基盤が、先般成立した平和安全法制である。
積極的な平和外交も今後一層強化する所存である。

私たちの子どもたち、そしてそのまた子どもたちへと、戦争のない、
平和な日本を引き渡すため、諸君にはさらなる任務を果たしてもらいたい。
私は諸君とともに、その先頭に立って全力を尽くす覚悟である。 

隊員の諸君。諸君の前には、これからも荒れ狂う海が待ち構えているに違いない。
しかし、諸君の後ろには、常に諸君を信頼し、諸君を頼りにする日本国民がいる。
私と日本国民は、全国25万人の自衛隊と共にある。

その誇りと自信を胸に、それぞれの持ち場において、自衛隊の果たすべき役割を全うしてほしい。





続く。



 


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