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ブルーインパルス・前半~平成27年度入間航空祭

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今年の観艦式にはブルーインパルスが演技を行いました。
特にわたしが先導艦「むらさめ」に乗った12日には、ほとんど雲がなく、
風もそう強くない真っ青な空にブルーが描く軌跡が人々を魅了しました。

「海上自衛隊の観艦式」であるにもかかわらず、メインとも言えるイベントが
空自の戦技であるということについては、多少の異論もあったようですが、
この選択については、US-2の海上着水と離水がなかったからではないか、
という噂が少なくともわたしの周辺では囁かれていました。

 US-2が訓練中フロートとエンジンの脱落によって墜落したのは今年の4月。
幸い乗員は全員脱出して無事でしたが、機体は300mの海底に沈んでしまいました。
その後機体は引き上げられ、事故原因について調査が行われている最中でもあり、
他に配備されている3機のUS-2もイベントの参加は控えている状態なのです。

もしこの事故がなければ海自の誇る救難艇の着水は観艦式の航空展示の
ハイライトとなるはずだっただけに、その抜けた穴を埋めるにはもう
ブルーインパルスの力を借りるしかない、と海自が判断したのではないでしょうか。

たぶん。

いずれにせよフネの上から観るブルーインパルスの演技は素晴らしく、
護衛艦とブルーと白の機体のコンボはめったに見られないだけに観衆を沸かせました。

「あたご」に乗っていた時だったと思いますが、近くで見ていた人が
大きな声でブルーの行う演技の名前を全て連れに説明していました。

わたしもこのブログで時々取り上げる関係上、フォーメイションの名前を
幾つかは知っていますが、それでも現場で次々と説明できるほど詳しくありません。

この人はよほどのブルーファンで、おそらくあらゆるところに追っかけをしているのか、
それともご自身がブルーインパルスに乗っていた、あるいは整備をしていた人か・・。




ウォークダウンののち、滑走路右手から4機がまず離陸しました。
最初は1から4番機までが演技を行います。



チヌークのローターとブルーインパルスのコンボ。(笑)



テイクオフして最初に行われるのは

DIAMOND TAKE OFF & DIRTY TURN
(ダイヤモンド離陸と汚いターン)←直訳

です。



フィンガーチップフォーメーション(不均衡なデルタ)で離陸、
直後に4番機が機体を滑らしてダイヤモンドフォーメーションを組みます。



これがいわゆる「汚いターン」か・・・・。(意味不明)



正面を向いていると、着陸灯が点灯されているのがわかりますね?
他のはどうかわかりませんが、このフォーメイションはこれを点けて行います。



1番機はスモークを出しません。
なぜなら後続の飛行機にかかってしまうから。(たぶん)



この角度からも着陸灯が見えますね。
この演技の際、ギアは最後まで出したままです。



シャッタースピードはこれで1/2000です。
このフォーメイションは会場正面から進入し、後方にアウトします。



1番機から4番機がテイクオフしてから時間差で1機が単機離陸します。
このとき5番機が離陸してローアングルテイクオフを見せることもありますが、
本日は6番機が離陸して

ROLL ON TAKEOFF(回転塗布式離陸)←超直訳

を行いました。
離陸のときからスモークを出しつつ飛行し、バレルロール
(樽をなぞるように螺旋を描くことからこの名前がある)を行います。



これは6番機。
6番機も単機で離陸し、その後スモークを出しながらバレルロールを行います。



FAN BREAK (扇壊し)←直訳。


ファンというのは「扇」のファンでしょうね。
この密集隊形は写真で撮ると凄さがわかります。
全てのフォーメイション中、もっとも密集して飛ぶもので、
この隊形を「ダイヤモンドフォーメイション」といいます。



5番機が進入してきました。

4 POINT ROLL(4点転回)

を行います。



これは4つのポイントでロールを行うという名前の通り。
90度ロールするごとにピタリと機体を止め、それを4回行って360度回転しつつ
会場上空を突っ切っていきます。



続いて5機による

CHANGE OVER TURN

が始まりました。
こういう飛び方をトレイルというそうですが、縦並びでスモーク出しつつ進入。
 


正面に達した瞬間、こうやって編隊を組み替えます。



そしてデルタ隊形に変換し、上昇。



デルタ隊形のまま旋回を繰り返します。



自分たちの出したスモークなのか、それとも上空の霧か。
飛行機の半分にスモークがかかっている様子。



このフォーメイションのポイントは、なんどもターンを行いながら
だんだんと隊形を密集に詰めていくことです。

これが最終形ですが、最初と比べて随分縮まっていると思いません?
ずっとそのまま飛んで間隔を維持するのではなく、徐々に変わっていくというのが
ブルーインパルスの技術の高さを表していると思います。



続いては5番機1機での演技です。

INVERTED & continuous ROLL。
(ひっくり返り&連続回転)←直訳




背面で5番機が滑走路を左から進入してきて横切ります。



その後急上昇してハーフロール、ハーフキューバンエイトを行い、
進入方向と逆方向を向くように降下し、連続ロールを行いながら離脱。



続いては#1、#2、#3、#4、#6の5機による

RAIN FALL(雨滝)←直訳

です。
デルタ編隊で進入してきました。



ループに入ってスモークデター。
このとき、飛行機の機体はほぼ真下に向かって墜落していく感じです。



文字通りの「レインフォール」。
見ている間にスモークが長く長く尾を引きます。



本来のレインフォールはこのあとブレイクして傘のように開くのですが、
今回は、



降りていきながらカーブを描き、



下方で上昇に転じてそのうち1機が次の演技に移りました。

どこかで誰かに「最近はレインフォールはあまり行われない」と聞いたことがあります。
少し前に読んだ武田頼政著「ブルーインパルス」という本には、過去のブルーの事故が
創世記から事細かく書かれていたのですが、あの有名な「下向き空中開花」の事故と、
この傾向には何か関係があるのかと思ってしまいました。



フィンガーチップ隊形(不均衡なデルタ)で飛んでいた編隊のうち1機が
スモークを出すと同時に離脱して単機の演技に入りました。

VERTICAL CLIMB ROLL(垂直上昇回転)←直訳

です。



急激な引き起こしで編隊から離脱し、単機上昇しながら連続的にロールを行います。



スモークを出し終わったときにも、ロールしながら描いた煙の航跡は残っていました。

この1機が演技を終えた後、明らかにアナウンスがアドリブで

「おっと、ここにもう一機進入してきました」

と言ったと思ったのですが、どなたか聞いておられた方おられませんか。



わたしの周りはこの飛び入りの単機演技に大喜びしていましたよ。


続く。 

 


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