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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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ニューヘイブンの街角

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去年の夏と随分前のことになりましたが、サマーキャンプで訪れた
アメリカ東部の大学街について、息抜きがてらお話しします。

 

キャンプはアメリカ東部名門大学、イエールのキャンパスで行われました。
アメリカの大学、特に名門と呼ばれる古い大学は広大なキャンパスを持ち、
大学の敷地がほとんど街3つ分くらいだったりするのですが、イエールも例外でなく、
この辺りには数百年を経た石積みの建築物が延々と続いています。

もちろん近代的設備を備えた最新式のビルも常に建築されており、
大学全体が新旧取り混ぜて渾然一体となっているのです。



何度か展示物についてお話しした、イエール大学の美術館。
建物そのものは「最後の巨匠」ルイス・カーンの最後の作品(1974)で、
細部も新しい設備ですが、古くからの部分も建物の一部としてちゃんと残されています。

これがロビーで、モダンな休憩用の椅子を配しているのですが、



同じ建物の窓はこの通り。
西半球で最も古い大学美術館で、こちらの建築は1832年です。



ガラスがかなり昔のものであることがお分かりいただけるでしょうか。
屈折率が高くて外が何も見えません。



創立当初からある螺旋階段の手すりが優美で美しい。



古代ヘレニズム文明の展示のある部分も当時のままなのですが、なんとここに
「この下にこの人が眠ってますよ」のプレートが。
フランスやイギリスの教会や聖堂などでは、建物の床やら壁やらに
棺を埋め込んでしまって「ここに誰々眠る」という碑を残したりします。
建物の中にご遺体をねえ、と日本人としては妙な気分なのですが、もっと微妙なのが、
皆が歩く床の下に棺を埋めてしまう風習。

ロンドンのセントポール大聖堂に行ったことのある方はご存知かもしれませんが、
あそこは観光客が歩く通路のそこここに棺が収められているのです。
なるほどなあ、と思ったのは、教会のオルガンの床に

「ここのオルガニストだった誰それ、ここで眠る」

とあったことで、このオルガン弾きは、自分が死んだ後も
自分の職場でずっと眠りたいという願いが聞き入れられたものでしょう。

いずれにせよ、われわれの感覚では棺の埋まっている上を土足で歩くのに
失礼というか申し訳ない気がするのですが。



で、ここでお眠りになっているのはどなたかというと、

ジョン・トランブル

説明には、この美術館を作った人物で、パトリオットでありアーティストとあります。 
レバノンに生まれニューヨークに死す、とありますが、このレバノンは
あのレバノンではなく、コネチカットのレバノンです。

バンカーヒルの戦いアメリカ独立宣言、 サラトガ、ヨークタウンなど、
独立戦争にまつわる絵を多く残しています。
ここにはご本人だけでなく、なんと!奥さんも一緒に眠っているとか。



キャンパスは、建物で四方を囲み、内側に公園のような庭があるのが定番。
ハーバードなどもそうですが、アメリカの大学は独自の警察組織を持っていて、
大学警察の名前でパトロールが行われています。



建物のところどころに記念のプレートが填め込んであります。
大抵は誰か有名人の記念だったりするのですが、これは・・・



ノア・ウェブスターの家が建っていた場所。
誰かと思えばウェブスター大辞典のあのウェブスターさんでしたか。
1778年卒業のクラスだったとあります。



学生街には必須の自転車屋さん。
お店の看板に実際の自転車が・・・。



自転車やバイクを放置したら、鍵をかけていてもおそらく1時間以内に盗られるのがアメリカ。
というわけで、歩道にはいろんなタイプの自転車&バイク係留バーが設置されています。
右端の緑のは自転車用で、まるでオブジェのようなのがバイク用。

しかしバーにチェーンで繋いでも、タイヤだけ外して盗まれるのはしょっちゅうです。
日本っていい国なんだと思いますよ。



あるときお昼ゴハンを食べに入ったレストラン。
この建物も相当古いです。
カーテンがありませんが、日差しはどうしているのかな。



メキシコ料理で、石の鉢でウワカモーレ(アボカドとサルサ)を練り練りして潰し、
トルティーヤにつけて食しました。



大学構内にはキャンプを行っている子供達の姿がそこここに。



片方だけジーンズをきっちりと折って裾上げしていた人。
わかりませんが、何か彼なりのこだわりのある着こなしなのでしょう。



この辺にはトウブハイイロリスが多く生息しています。
木の上から降りてきてこちらを気にしながら見つけたものに接近。



木の実だったようです。
リス愛好家としては、可愛さにおいてはトウブハイイロリスより
カリフォルニアジリスやシマリスの方が上だと思っていますが、
それでもリスを見ると目の色変えて写真を撮ってしまいます。



何も手を入れられていない芝生だけの広場、という贅沢なものが
ふんだんにあってしかも立ち入り自由なのがアメリカ。
この写真も日陰をズームすればたくさん人がいますが、日向で寝ているのは一人。



靴がでかい(笑)
居眠りしながらついでに日焼けもしてしまおうという考え。



さて、「オールドキャンパス」というところにやってきました。
息子はここでキャンプに参加していたのですが、キャンプ半ば頃、
様子を見るために連絡を取って自由時間に会うことにしたのでした。



このゲートの内壁にも記念のプレートがいくつか。
1895年卒業クラスによって作られた「ベンジャミン某」の思い出のための碑。
亀の甲文字でほとんど解読できません(笑)

卒業20年後くらいの皆がまだ壮年のとき、若くして先立った級友のために
クラスの皆が集まったのだと思われます。
そのときこの前に立った彼らのうち誰一人として、もうこの世にはいません。



ロバート・ヒクソンという卒業生は、調べたところ「ロバート・ヒクソン基金」
という奨学金のファンドに名前を残しています。
基金設立は亡くなった夫の思い出のために未亡人が行ったとか。

アメリカ人は、イエールやハーバードに限らず、自分の卒業大学に卒業後も
寄付を続けたり、財を成せば多額の基金を自分の名前で設立したり、
自分の名前の学舎を持つことに大変熱心です。



オールドキャンパスの中庭では、息子のキャンプの一団が野外のゲームに興じていました。



しかし息子はビルから「洗濯機がなかなか空かなくて大変だった」
とトホホなことを言いながらドミトリーから出てきました。



待ち合わせしたのは

NATHEN HALE

の銅像の近く。
ネイサン・ヘイルはイエールの卒業生で、アメリカ独立戦争のとき
アメリカ初のスパイとしてイギリス軍に絞首刑になった「コネチカットの英雄」だそうですが、

「彼が何をしたからではなく、彼が何故それをしたかのために、
アメリカの英雄に含まれている。
ネイサン・ヘイルは将軍のテントがヘイルの学校校舎の直ぐ隣にあったので
イギリス軍をスパイした」

という説もあるようです。



ABRAHAM PIERSON(アブラハム・ピアソン)の像。

ピューリタン派の牧師で、彼自身はハーバード大学を卒業しており、
のちにイエール大学になる学校の創始者です。
1702年、日本では元禄年間にこの大学の歴史は始まりました。



イエール大学の学生もスターバックスがないと生きていけないようです。
いつ行っても、勉強している学生でテーブルが占領されています。

となりのパネーラなどとは明らかに学生占有率が違うのですが、
コーヒーが飲める「公共の場所」のような雰囲気が好まれるのかもしれません。





 


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