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いわゆる任官拒否問題の話〜防衛大学見学

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行進を見学しながら、しばしの間ツァーに合流して解説してくださっていた
防大勤務の陸佐がふとこんなことをおっしゃいました。

「もしかしたら、”ネイビーブルー”っていうブログって◯◯さんのですか」

うおおおきたよ。いつかはと思っていたけどすでに身バレしてるよ。 
平静を装って引きつった笑いで

「バレましたかーあははは」

と答えつつも、自衛隊の中の人っていうのはネットで自衛隊情報を
各自ちゃんとチェックしているものなんだな、とまたしても震撼した次第です。
まあ防大が校内LANを敷設しているくらいなんだから当たり前か。 

いまさらですが、若い隊員だけでなく将佐クラスや退官した元将官ですら
そういったネットでの情報収集を普通にやっておられるということを
わたしは行く場所行く場所で身バレするたびに実感するのでございます。



さて、防大名物課業行進はそんなわたしの動揺を裏腹に続いております。

歩き方を指導しているのが上級生と思しき学生であるところをみると、
この一団は四月に入学したばかりの新入生かもしれませんね。
そう思ってみればなんとなく全員顔つきがまだ幼いような・・。

もしかしたら彼らは「青虫」から脱皮して『黒アゲハ」になった
最初の学年なのかもしれません。
(この比喩についての詳細は前項参照)



行進する彼らの中から時々「おー」という感じの声が上がっていました。
気合を入れているのかな?
朝昼、食事の後に教場に向かう際必ず行われる課業行進ですが、
この行進そのものが訓練の一環であるそうです。

一般大学を卒業して入隊した幹部たちが最初に苦労するのが

「行進がうまくできない」

ということらしいですが(ソースはDVD"幹部候補生”)、軍隊の基本は
行進にあるのかもしれないなあなどとこの光景を見て思いました。 



女子学生のスカート姿はけーん。
何年か前までは女子学生はスカートの制服だけだったそうですが、
今では男子と全く同じ紺のズボン姿で記念祭などの行進を行っているので、
遠目には女子学生かどうかは全くわかりません。

女子航空学生に7つボタンが採用されたくらいですから、性差のボーダーは
女性の進出とともに見た目もなくなって行く傾向にあります。
あとは、女性海士のセーラー服姿が出てくるかどうかですね。


「建学の碑」手前まで行進して第1学生舎の端の入り口から入っていく学生が
何人かいたのですが、陸佐によると

「午後一の課業がないので学生舎に戻っていい学生である」

ということでした。
ちなみに陸佐は防大時代第一大隊だったので、「行進は短くてすんだ」とのことです。



露出高杉ですみません。
行進を見学後、わたしたちは売店に向かいました。
売店での買い物もツァーに含まれているんですね。

こんもりと樹の生い茂った一角に和風の入り口と灯籠がしつらえてあるここは
なんとお茶室なんだそうです。

防大の校友会活動(クラブ活動)にも茶道部があるのですが、それ以外に
ここで海外からの賓客をもてなしたりすることもあるのでしょうか。



茶室であると教えてくれた案内の女性陸曹が、

「あそこには猿島が見えます」

と指差してくれました。
その向こうに位置するのがみなとみらいの高層ビル群だそうです。



学生食堂と売店のある棟は「小原台」と名前があります。
ここは学生の福利厚生施設で、学生会館です。

この島には委託で入っているコンビニがあり、理容、美容、クリーニング、
宅配、喫茶、電気製品、スポーツ用品やお土産、日用雑貨の販売が行われています。



せっかくだからとやっぱりなんだかんだ買ってしまうのだった。
(ちなみに自分ではほとんど食べたことがない)

先ほどの久里浜駐屯地で買ったのは三色迷彩カステラ「精鋭の休息」、
ヒトマル式戦車チョコクランチ、久里浜の通信機器が印刷された何か。

ヒトマル式がなぜチョコクランチなのかというと、土みたいだから?

ここ防大で購入したのは防大カレーせんべいと、左下のチョコレート。
どちらもまんまとパッケージにつられたものです。
防大生招き猫、かわいいよね。



このインソール、商品名

「BMZ キュボイドパワーミリタリー 隊長!走っても走っても、疲れません!!」

(本当にこの商品名だけど、アマゾンでは残念ながら隊長以下省略)
は、そういう魔法のインソールを常に探しているわたしには
願ってもない商品でしたが、残念ながら女性用がなさそうでした。

世界で唯一のBMZキュボイドバランス理論 
立方骨を下から適度に支え土踏まずを支えすぎない。
★BMZインソールを履くだけで、より自然に、より快適に、より力強く、
理想的な「姿勢」と軽快な「動き」を生み出し、無意識のうちに
足から健康な体へと導く、足の筋力回復が見込めます。
★自衛隊員のハードワークに耐えられる特別仕様
★登山・ウオーキングなどに!足・膝・腰などの疲労軽減・ケガの防止に!

使用した隊員のアンケートより抜粋 
 ・まめができず100キロ行軍を歩きとおせた。
 ・武装障害走のタイムアップ
 ・自然に足が前に出る感じ
 ・40キロ行軍の翌日もまったく筋肉疲労を感じさせないetc.

100キロとか40キロとかの行軍に豆ができないとか疲労がなかったとか、
それは本当にこのインソールのおかげなのか?と問いただしたいですが。
これ、いいなあ。高いけど(3000円)一つ欲しい。

確かに土踏まずを支えすぎる靴って楽なようで疲れるんですよね。



防大構内には退役した武器が展示されています。
F-1は日本が独自に開発した超音速戦闘機。
1977年から運用され、2006年まで飛んでいたそうです。

F-1の耐用年数、というか耐用時間は3,500時間とされており、
1990年(平成2年)に最初の飛行隊が維持できなくなるという予定だったので、
予想より長持ちしたということなんでしょうか。

後継機のF-2が運用開始になったのは2000年ですから、しばらくは
どちらもが飛んでいたということになります。



説明の写真を撮るのを忘れましたが、多分93式酸素魚雷。(違ってたらすまん)
もう腐食し放題ですごいことになっています。
かつてこの魚雷は、当時の最新兵器で、映画「パールハーバー」でも、
作戦会議の時に石碑に彫り込まれていたくらいなんだぞ(意味不明)



この、餅のような形の砲塔から見て多分74式戦車。
テレビカメラのようなものは内部が曇って水滴が付いていました。

今でもバリバリ現役の戦車ですが、ヒトマル式と違って
駐屯地祭では試乗体験なども気前よくやらせてもらえるらしいですね。
ぜひ死んだ気で砲手の席に座ってみたいもんですが、それは無理かな。

何しろ74式戦車の中は異様に狭く、砲手席に乗り込むには

一旦車長席に座り、次に砲塔天井裏の取っ手につかまって体を持ち上げ、
その足先にある座席に滑り込む。
部隊配備された当時、本車を見学に来て車長席に座った米軍将校は、
そこを砲手席と勘違いして「車長席はどこか?」と尋ね、
今座っているのが車長席で砲手席はその足先にあると教えられ、
その狭さに驚いたという(wiki)

くらいなんだそうで。

あと、砂多めの国の軍人がこれを見て「これでは砂漠では戦えない!」
とドヤ顔で言い放ったそうですが、別に鳥取砂丘で戦闘する予定はないので
これでいいんだよ!と自衛隊側はきっと言い返したに違いありません。




おおこれももうボロボロだ。
めんどくさくて説明を写真に撮らなかったので何かわかりません。




これもなんだろう。シャーマン?(M4中戦車)
だとしたら自衛隊は硫黄島で我が軍隊が戦った戦車を所有してたってことになりますが・・。



以前なら「何このバケツ」と見向きもしなかったものが今となってはお宝。
なんとこれ、掃海母艦「はやせ」がペルシャ湾から持ち帰った機雷用係維器なのです!

先日金毘羅宮境内での掃海殉職者追悼式に行ったとき、慰霊碑の入り口に
「はやせ」の主錨が展示されていたのを覚えておられるでしょうか。
追悼式はこのツァーと同じ週の週末だったのです。
この写真を撮っている時には全く考えてもいませんでしたが偶然とはいえこれはすごい。

ここにあるのは、1990年の湾岸戦争の際、ペルシャ湾にイラク軍が敷設した
触発機雷「LUGM-145」を係維でつないで海底に沈んでいた係維器。
つまり機雷の錘の役をしていたものです。

わが海上自衛隊の掃海派遣部隊の掃海艇はこの機雷を爆破処理し、
その係維器を(多分記念に)持ち帰ったということのようです。

ところでこれ中を覗いてみなかったのが悔やまれるのですが、
底はあるのか、あるのなら水が溜まって夏ボウフラがわかないか心配です。




陸軍の山砲(山地用の大砲、バラバラにして運ぶことができる)の
主流となって日華事変以降使用されていた41式山砲。

腐食を防ぐためなのか、金色にペイントされております。
右側の車輪は逸失してしまっているんですね。


さて、というわけで防衛大学校の見学は無事終了です。
わたしたちはこれが済んでから昼食となりました。



なぜ昼食時間がおそくなったのかというと、定期的に行われる
防大ツァーに便乗するため、時間が動かせなかったのだとわかりました。

バスで火事の起こったばかりの「小松」の横を通り過ぎ、小松の近くの
中華料理で昼食をとることになっていました。
中華のコース料理で、悪くありませんでした。

ところで、バスが小松の焼け跡を通り過ぎたとき、ガイドが

「出火したとき、ちょうど定休日で誰もいなかったそうです」

というと、参加者の一人が

「怪しい」

とつぶやいていましたが、何が怪しいんだろう(棒)



この食事のときに、父上が陸軍少佐だったという奥様がいて、
その方はとにかくこんな旅行で世界中に訪れておられるようなのですが、

「ウィーンのニューイヤーコンサートに行きましたら、中国人が
ジーンズとセーターで聞きに来ていましたの。
本当にあの人たちには困ります!声も大きいし」

と柳眉を逆立てて大変お怒りでいらっしゃいました。
いつも思うんですけど、中国人ってブティックで何を爆買いしてるんでしょうか。

また、男性の参加者が、女性参加者に向かって

「女性の方々はどうしてこういうツァーに来られたんですか」

と尋ねると、誰かが口を開く前に一人の女性が滔々と話し始め、
しかもそれが自分語りで全く質問の答えになっていないので、
皆気まずくてうつむいてしまった、というようなこともございました。

この食事のときがかろうじて他の参加者と話せた唯一の時間だったのですが、
そのうち一人の男性がわたしに

「僕はいとこが海軍兵学校にいてね。
夏の帰省で帰ってきたのを見て憧れたもんですよ」

とおっしゃったのをバスに乗り込むまでのほんの数分聞いたくらいが
会話らしい会話だったでしょうか。 


ところで、防衛大学校で課業行進を見学していたとき、陸佐が

「今年の任官拒否が多かったと報道されましたが、あれは少し事情があって、
今まで一旦卒業するが着任をしないという者が一定数いたのを、
そんなことをさせずに防大卒業の段階でできるだけ辞退させるという指導した結果、
数だけはいつもより多いというようなことになってしまったんです」

と話してくれました。

そもそも、トータルの数で言うと辞める人は時代に関係なく必ずでてくるもので、
必ずしも防大卒業時の任拒数が何か特定の傾向を表すということはいえないのです。

ちなみに防大を出てすぐ辞めるのを「任官拒否」、おとなしく出ておいて着任しないのを
「着任拒否」というそうですが、幹部候補生学校では、着校時には全員が来るものとして
いろいろ迎えるための準備、たとえば、海上自衛隊ならば、
短艇係や当直の割り振りも済んでいるので、来なくなるのは迷惑この上ないことです。

任官辞退者の増加を安保法案と関係付けたくて仕方がないマスコミは
あたかも法案が成立したから辞退者が増えたと言いたげな報道をしましたが、
そういう「数のマジック」であったということらしいです。

ところがですね。

横須賀市というのは軍港都市として軍の遺産を
観光資源に集客しようということを積極的にやっていて、
先日参加した歴史ウォークの企画などもそういうNPOが行っているわけですが、
このツァーにも、横須賀に着いたときから(かどうか忘れましたが)
自衛隊関係の解説のために乗り込んできたガイドがいたわけですよ。

そのガイドが防大を出たあと、なんとバスの中でこんなことを言ったのです。

「防衛大学の今年の任官拒否者は47人で去年の倍でした。
昨年はご存知のように安全法案が採決されましたが、この法案は
今までなら戦地に行かなくてもいいのに、今後は行かなくてはいけないというもので」

わたしはよっぽどちょっと待ったあ!と叫び前にいってマイクをひったくり、
今の発言のツッコミどころに対して速射砲の勢いで突っ込もうかと思ったのですが、
一応常識人でありたいと思っていることもあり、黙ってその言葉を記憶にとどめ、
次の日「お◯場カードお客様相談室」におもむろに電話をかけました。

概要を説明し、まず旅行のガイドが政治的にある政党の主張することを
あたかも一般論のようにいうことの非常識さと、そもそも彼の言う法案の説明が
全く事実とは違っていること、このような話題そのものが不適切ではないか、
とできるだけ冷静に、淡々と説明したつもりです。
(『最後の最後で不愉快な思いをさせられました』なんていっちゃったけど)
 

窓口に電話をして1時間後、声だけでも偉そうな雰囲気の方から
「まことに申し訳ありませんでした!!!」といった雰囲気で電話がかかってきました。
今後はこのようなことのないようにしてくださるそうです。よかったよかった。

参加している年齢層がインターネット世代でないことも気になりましたね。
こういう層が対象だからこそあやつらはしれっとこういう思想を刷り込むのか、と。

その後、防衛団体でお話しした自衛隊の方にこの話をしたところ、

「法案と任官するしないはあまり関係ないと思いますね。
一定数はかならずどこかで辞めていくわけですし。
そもそもわたしらは任官しない者に対して何の否定的意見も持ってません。
任官せずとも自衛隊に関わる、あるいは支える仕事をする者も少なからずいますし、
そうでなくても同じ釜の飯を食った仲間なんですから」

とおっしゃっていました。



海上自衛隊横須賀地方総監部。
横須賀から帰るとき、いつもは自分が運転するので横目で見るだけでしたが、
この日はバスの窓から写真を撮ることができました。
「いずも」はお留守かな?

護衛艦を車窓から見つつ、この日の横須賀に別れを告げたわたしです。

結論。

老舗ツァーで行く自衛隊関係施設見学、他にはないアクシデントあり、
知り合いの自衛官にお会いするという僥倖あり、ブログネタになる事件あり(笑)
で大収穫があったといえるでしょう。

またこんな感じのツァーがあったら、怖いもの見たさで(笑)参加してきます。 



 


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