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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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WELCOME HOME "PANOPOS" ! 〜原子力潜水艦「ノーチラス」

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さて、何回かに分けて語ってきた「ノーチラス」シリーズ最終回です。
「ノーチラス」の内部について説明しながら、彼女の誕生、そして
偉大なミッション「オペレーション・サンシャイン」についても説明しました。

今まで名前しか知らなかった世界初の原潜ですが、これだけ毎日そのことだけ
集中してエントリを制作していると、愛着すら湧いてきます。
特に、リッコーヴァー提督やジェンクス中尉、初代艦長のウィルキンソン中佐、
乗員にもすっかり興味が出てきたので、また何か関連書が出ていたら
今度はじっくりと書かれた本を読んでみようかなと思っています。

さて、今日は歴史に一人一人の名前は出てこないけれど、「ノーチラス」
が凱旋帰還したとき、「A HEROES」と呼ばれたクルーたちの居室から
ご紹介しようと思います。



せめてリネン類に濃淡のブルーを使っているところが心安らぐ感じ。
我が自衛隊では全て白一色にせざるを得ないみたいなのですが、
この空間が白とグレーだけだったら、と考えてみれば、色の効用は
バカにできないものだと実感しますね。

究極のスペース利用術。ベッドの外側に布の物入れをつけました。
ロッカーには限られた私物しか入れられそうにありません。
彼らは出帰港や寄航のために正式な軍服も必要だったはずですが、
あのかさばりそうなセットは一体どこに収納していたのか・・。



右側の跳ね上げ収納式のベッドに寝られるのはじゃんけんで勝った人(嘘)



いや、ベッドの下にみんなの物入れがあるので、たいへんだったかな。
写真には写っていませんが、ベッドは4段あります。

 

左の部屋の前に立ったとき、「狭いねー」といっていたら、
さらに奥にある右の写真の部屋の前で絶句しました。
写真では分かりにくいですが、こちらの方がドアが狭くて、
わたしでも体を横にしないと部屋に入ることすらできないくらい。

こんな狭くても空気の循環はちゃんと行われているので、少なくとも
匂いがこもったり息苦しくなるようなことはないでしょう。

まあ、人間立って半畳寝て一畳(アメリカではどういうのか知りませんが)
のスペースさえあれば十分、ということをひしひしと感じますね。



これは魚雷発射管室横にあったバンク(寝台)。
部屋全体が広い上、ベッドは三段。
さっきの部屋と比べれば天国のような開放感に違いありません。

昔から潜水艦乗りの間では魚雷発射室のベッドは人気だったと言いますが、
その理由はこの開放感ですね。



さて、それではその乗員たちのお腹を満たす「クリューズ・メス」キッチンへ。

色が変わってしまって何かわからなくなってますが、これはコーヒー豆。
コーヒーがないと生きていけない(潜舵席にも一つづつカップホルダーがあった)
うえに、潜航中は寝ないという噂もあるアメリカの潜水艦乗りが
1日に消費するコーヒー量100人分は考えただけで眩暈がするほどです。



クルーのための食事を調理中。



こちら、同じ場所で屈んでいる賄係。
キッチンも当然ですが狭いですね。
彼のかぶっているキャップには「USS ノーチラス」と書いてあります。



ちなみに、キッチンに貼ってある当時の予定表によると、

700 朝食
600 朝食用意

0315 液体物浄化

1115 夕食
1500 夕食片付け

1315 訓練ブリーフィング
   チーフ・ロバートによる試食の用意

1415 艦内清掃

1515 スープ煮込み

1615 離艦訓練

1515 supper(夜食)

2045 映画「マンハッタン物語」映写係:誰それ


「マンハッタン物語」(Love with the Proper Stranger)は1963年作品。
つまりこれはサンシャイン作戦以降のある日の予定表です。

艦内の食事の時間ってなんか無茶苦茶っぽいですね。
ランチがなくて夕食が11時15分、の次が夜食というのが。



朝食か夕食か夜食かはわかりませんが、いずれにしてもハンバーガー(笑)



パンの後ろにはビーツとひよこ豆の缶詰。



アメリカ人は滅多に筆記体で字を書きませんが、これがそうなのは
せめてものレストラン風の演出ってやつでしょうか。
一回の食事にずらずらと品数があるのでどんなフルコースかと思ったら、

ある日の夜食

ポークチョップスメキシカン風

フランセーズ・ポテト

コーンのオー・ブリアン風

ナチュラルソース

コールスローサラダ

暖かいディナーロール

ココナッツ・カスタード・パイ

冷たい飲み物(多分コーラとかのこと)

コーヒー・ティー・ミルク


このようにソースまで一品として書いているのでたくさんあるように見えるだけ。
でも、これを見たクルーが「美味しそうだな」と思うように
(実際はそんなに変わったものでなくても)書き方に工夫しているようです。
ポテトフライのことをアメリカ人はフレンチフライといいますが、
「ポテトフランス風」ではなく「フランス人ポテト」にはジュール・ベルヌもびっくりだ。




ウォータークーラー。
この頃はペットボトルなどというものはありませんでした。



この狭い空間に人多すぎ。
関係ないクルーがなぜか入ってきていますね。



キッチンの隅に冷蔵庫のような扉があり、さらに小さな扉が付いています。



各状況の際のリグつまり艤装と、ダメコンの機材目録などが
ここに収納されているということでしょうか。



救命ベストは海上でも目立つようにオレンジに蛍光テープ付き。



ここにも武器関係の収納庫があります。



さて、というところで最初に降りてきた階段の下に戻ってきました。
左の奥が魚雷発射装填装置になります。



「ノーチラス」が北極点潜行通過を成功させて帰国してきたときには
アメリカは国を挙げてこれを迎えました。

まず、左ですが、ニューヨークに到着した彼らを歓迎するため、
ニューヨークのファイアーボート(消防艇)が、水を噴射して
その意を表すデモンストレーションを行っているところ。

上陸した彼らは、そのまま全員がオープンカーに乗って、
市街をパレードし、市民は旗を振ってそれを迎えました。

彼らがパレードしたのは、「キャニオン・オブ・ヒーローズ」とよばれている
ブロードウェイの基点から、市庁舎前のシティ・ホール・パークまでの道。

赤の部分

フィナンシャル・ディストリクトの真ん中を貫く道で、
両側を金融機関などの超高層ビルが立ち並びますが、ここは
宇宙飛行士や帰還した兵士、スポーツ選手などの凱旋が行われ、
そのときには両側のビルから「ティッカーテープ」が英雄に降り注がれます。

ティッカーテープというのはもともと銀行員が電信用のティッカーテープを
凱旋行進に向かって振りかけたのが起源でそう呼ばれているのですが、
現在では市が紙吹雪を配布するそうですが、トイレットペーパーやシュレッダーにかけた
事業ゴミ?を使用するオフィスもあるそうです。

 

ニュース映像はこのように大々的にノーチラスの作戦成功を報じました。



熱狂する市民にオープンカーの上から手を振るクルー。
純白の軍装に身を包んだ海軍軍人が、このように迎えられたのは
少なくとも先の大戦が終わってから初めてだったはずです。



本日のタイトルにも使った「PANOPOS」ってなんだと思います?
乗員の一人が名付けた自らのあだ名で、これは

「 Pacific to Atlantic via the North Pole」
(太平洋から北極点を通過して大西洋に行った)

からきています。

そして「パノポス」してきたノーティラスが一般公開されるとご覧の騒ぎに。
見たところ背広とつなぎと海軍の軍服ばかりなので、一般人じゃないかもしれません。

しかし潜水艦の上ってたくさん人が乗れるものなんですね。
やっぱり100人乗っても潰れ・・・るわけないだろうが!
どれだけの水圧に耐えてるんだっての。



というわけで、最後に発射管室の広々としたベッドで気持ちよさそうに寝ている
この乗員のおじさんに別れを告げて、「ノーチラス」を後にしました。

おやすみなさいー。



最後に出入り口になっている建物から艦首部分を撮ってみました。
舫の巻き方がなかなか芸術的です。
というかこういう風に巻くことは普通なのでしょうか。




さて、潜水艦博物館を見たあと、ニューヘブンの右下に当たるところにある、
ブランフォードという街で夕食をとりました。
港にあるシーフードの店、で適当に調べた「ドックサイド・シーフードアンドグリル」。



ヨットハーバーの前のおっしゃれーな白いレストランです。
 


オマールのビスクとクラムチャウダーをまず。
ここは普通のレストランのようにパンは出てこず、その代わりに
コールスローサラダが結構な量でてきます。
スープとコールスローを食べていると、メインのロブスターがきました。



なぜか時間が経っても固まらない不思議なバターをハサミで抱えております。
ハサミを割る独特の道具の使い方を教えてもらって食べた茹でたてのロブスターは
リーズナブルなお値段の割に満足度が高い一品でした。



一応一人一つづつ皿を頼もうとスキャロップサラダを頼みましたが、
ロブスターがあまりに巨大すぎて一口も食べられず、持って帰りました。

アメリカでは残したものをバッグに入れてもたせてくれます。



でもデザートは別腹なのだった。
キーライム・パイを二人で一つ食べて大満足の夕食でした。 



この博物館で見たことは、またそのうちお話しすることもあるでしょう。


ノーチラスシリーズ・終わり


 


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