話し出したら案外面白くて3日目になってしまいました。
東京ビックサイトで行われた全日本模型ビックショーの模様です。
全日本、というだけあって、当日パーキングでは多くの他府県ナンバーを見ました。
浜松ナンバーが多かったのはまあわかるとして、京都府や大阪からというのも・・。
それほどまでに模型の世界に魅せられるたくさんの人々がいるということですね。
青島のコーナーで見たウォーターラインシリーズです。
潜水艦にウォーターラインの需要があるとは知らなんだ。
まず右上の英海軍航空母艦「イラストリアス」。
「イラストリアス」というのは傑出した、とか高名なという意味で、
イギリス海軍に代々受け継がれてきた艦名です。
なんと初代「イラストリアス」は戦列艦、てことは帆船時代の船ですね。
このモデルは初代の空母であろうかと思われます。
こちらは帝国陸軍の誇る上陸舟艇母船(強襲揚陸艦)の「あきつ丸」。
ななんと飛行甲板を持ち、上陸用舟艇も多数搭載できる船を陸軍が・・。
陸自が強襲揚陸用にアンフィビアンを持ってるみたいなもんですか。
この「あきつ丸」、艦上に搭載するのは九七式戦闘機と三式指揮連絡機。
兵士約1000名、1個大隊の上陸が可能とされていました。
また、カ号観測機というオートジャイロを搭載し、
偵察や対潜哨戒が行うことも陸軍的には可能でした。
ヘリ搭載艦の先駆けだったということも一応できそうですね。
「あきつ丸」は戦時徴用船という身分なので本来の所属は日本海運です。
もちろん軍「艦」ではないので、指揮官は「船長」と呼ばれていました。
1944年11月、五島列島航行中に米潜水艦の攻撃に没しています。
どこの会社か忘れました。「いずも」。
空母「ジョージ・ワシントン」。
原子力空母としては最初に日本に派遣されました。
ところで、「ジョージ・ワシントン」が第7艦隊に派遣されることになり、
横須賀入港したとき、「市民」の反対派が現地に詰めかけ毎日
「原潜は帰れ」とデモしていたそうですが、きっちり2週間目を境に
さっぱり消え失せたのだそうです。
なぜなら彼らは日当1万円で2週間雇われたバイトだったからですとさ。
そういえば他府県から沖縄に基地反対運動にいく人には飛行機代が5万もらえるそうですね。
いったいどこからお金が出てるんだろう(棒)
ジャンプ台式の空母、「アドミラル・クズネツォフ」。
一目見てなんと古めかしい、などと思ってしまいましたが、さにあらず。
1990年に就役し、バリバリの(かどうか知りませんが)現役です。
左舷側にカタパルトもあるのでこちらも併用しているようですね。
静岡模型教材協同組合(御三家始め静岡の模型会社の組合)
によるウォーターラインシリーズ各種。
病院船がありますが、これ氷川丸でしょうか。
ところで「 静岡模型教材共同組合」で調べていたところ、なんと、
静岡模型教材共同組合が「艦船ファン創出」「艦船模型の社会的認知度の拡大・発展」
に寄与したということで、感謝状を艦これ運営に授与した
というニュースを見つけました。
やっぱり模型業界は艦これのご利益がかなりあったってことみたいですね。
93式陸上中韓練習機、「赤とんぼ」。
練習機ゆえ生産台数が多く、そのためかつて赤とんぼにお世話になった、
という人が戦後たくさんいて、同期会などの活動は盛んだったそうです。
終戦間近には飛行機がなくなって特攻機にも借り出されましたが
これは ガソリンがない時代、アルコール燃料でも稼動できたからなんですね。
機体全体を濃緑色で塗装し(この時点でもう”赤とんぼ特攻”ではないのですが)
後席に増槽としてドラム缶を装着し、250 kg爆弾を積み込んでの出撃でした。
しかし、練習機というだけあってたいへん性能はよかったようです。
レーダーピケット艦でもあった駆逐艦「キャラハン」は、この赤とんぼ
(じゃないか)特攻で撃沈されていますが、これは、本機が木造製で
近接信管(目標に直接当たらなくとも一定の近傍範囲内に達すれば起爆する)
が作動しなかったためだったといわれています。
さて、船飛行機のモデルはこの辺にして。
会場にはエアガンを製造している会社の試弾場まであります。
初めて知ったのですが、エアガンなのに弾丸には薬莢があるんですね。
アニメのヤマト2が来年公開されるようです。
宇宙戦艦ヤマトのモデルもそれに合わせて出る模様。
そうかと思えばこのような世界も展開しておりました。
「蒼き鋼のアルペジオ」という漫画とのコラボ商品。
旧軍艦が「ヤマト」「ムサシ」とカタカナであるのは、
この世界の基準で、彼女たちは
2039年、突如現れた第二次世界大戦時の軍艦を模した正体不明の大艦隊。
現代の科学力をはるかに超える超兵器と、独自の意思を持ち乗員なくして動く、
“霧の艦隊”と名づけられたその勢力により、人類は海上から駆逐された。
という設定のキャラだからなんだそうです。なんだこれ。
つまり、この「艦むす」たちは人類の敵ってことですか。
その後、人類は「霧の艦隊」から潜水艦を仲間につけて彼女らと戦うのですが、
味方についたのがイ401などの潜水艦・・・・。
モデルは形は一緒でも塗装が全くオリジナルというのがポイント。
全体をくまなく見て回ったわけではありませんが、
今年はなぜかジオラマをあまり多く見つけることができませんでした。
しかし、ジオラマの世界には胸をときめかせずにはいられない魅力があります。
盆栽の鑑賞の仕方というものを聞いたことがありますが、
その世界の縮尺によって小さくなった自分を想像し、
その目線から木を眺めることを思い浮かべる、というものでした。
ジオラマの楽しみ方も実はそれに近いのではないかと思っています。
さて、そろそろ帰ろう、と思って出口に向かったところ、
そこは入り口であったことに気づきました。
とって返そうとしたところ、わきのブースにジオラマ作品を集めた
作家のコーナーがあることに気がついたので入ってみました。
ジオラマ作家の荒木智氏のコーナーでした。
何か混沌とした情景であるのが普通のジオラマと違う雰囲気です。
荒木氏の本職は家電メーカーで製粉のプロダクトを手がけるサラリーマンで、
ジオラマの世界は完璧に趣味なのですが、その作品はコンクールで賞を総なめ。
いまや世界にもその名を知られる作家だそうです。
この作品は「トタン屋根の造船所」。
リンク先を開いていただければ、ライトアップした本物そっくりの写真がみられます。
イカ釣り船の部分をアップしてみました。
上のリンク先を見ていただければ、工場内のディティールも半端でないのがお分かりでしょう。
「混沌の街」。
大地震の起きた直後?
御本人によると、この車の飛散防止窓ガラスのヒビは、
カッターの歯を鋭角にナナメに切り込んで割れを描いているのだとか。
「オール・イン・ザ・BOX」というシリーズで、タミヤのパンサーG型をつかったもの。
このタイトルの意味は、
「プラモデルの箱の中のものだけで作る(文字通り)」
という意味だそうです。
つまりそれを逆手にとって
「箱の中のもの全てを使ってどれだけすごいものができるか」
に挑戦したという作品。
どういう意味かというと、このジオラマ全て、箱の中のもの、
紙の箱はもちろんのこと、プラモ製品が最初の状態の時についてくる
部品を支えるためのプラスチックを火で炙って引き延ばすなどして、
ウインチや電線までを作っている、ってことなのです。
土は説明書などの紙を細かくちぎり水と木工ボンドを混ぜた粘土で。
石垣から生えている植物も説明書の紙を薄く削って作ってあります。
こちらのシャーマンもオールインザBOXシリーズ。
この人間は、ランナーを溶かしたもので成形してあります。
シャーマンのドーザ部分はもともとキットには含まれていませんが、
この部分は模型の外箱を利用して作ってあります。
ちなみにこのアメリカ兵は、シャーマンが道を作る時に、道端に咲いていたひまわりを
自分のヘルメットに入れて助けてあげているんだそうです。
「赤灯台の防波堤」
荒木氏のお父さんの故郷、五島列島の小さな漁港がモデルだそうです。
会場に飾ってあった写真。Photoshopかな?
ミゼットの焼き芋屋さんと呼び止める女の人。
「やきいも ミゼット」
ホームページのジオラマに写り込んでいる空は本物だとわかりました。
Photoshopじゃなかったんですね・・。
息子がこれを見せたら「行けばよかった」とつぶやきました。
(ちなみに彼はバットマンシリーズが大好き)
この製作についてはぜひアラーキーさんのHPをみてください。
ゴッサムシティー
いやー、美は細部に宿ると言いますが、もう宿りすぎ。
しかもそれがゴミだったり落書きだったりするというね・・。
ちなみに冒頭写真の東京タワーとビル群も荒木氏の作品です。
というわけで、3日間にわたってお話ししてきましたが、
わずか1時間少し、「小さな人になったつもり」で、全ての模型と
その世界を心ゆくまで堪能した「ビッグショー」でした。
ご招待いただいたハセガワさんにこの場をお借りしてお礼を申し上げます。
どうもありがとうございました!
終わり。