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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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パウダー・ハンドリング・ルーム〜戦艦「マサチューセッツ」

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シックベイ、つまり医療施設の集まっている区画があるからには
ここも結構艦の下の方だと思ったのですが、このあと、
またしても下に続く階段がありました。





 
ここで艦内断面図を見てみましょう。
撮った写真をすべて遡ってみると、兵員食堂やゲダンクはセカンドデッキ、
つまり甲板の下の階にあり、同じ階にシックベイもあったということになります。
シックベイはいざという時にけが人の救護所となるので、
あまり下の階にないのが普通なのかもしれません。

さらに、「バーベット」という砲塔の外側のカーブが2つありました。
このことから、シックベイは艦橋から艦首よりの甲板下にあったということになります。

というわけで、これからサードデッキに降りていくということになります。



階段をの途中から見えるドアの上部のプレートには

「16インチ 火薬庫と火薬取り扱い室」



火薬室やその取り扱い室まで見学客に公開するという
展示を行っていたのは、後にも先にもここだけでした。
そういう意味では皆様にも貴重な報告ができる、
この通路を歩いていきながら思わず期待で胸がドキドキしました。



そのまえに、ここは「TBXエキップメント・ルーム」。
equipment=機材とこの場合訳したらいいでしょうか。

TBXというのはこのころ使われていたトランシーバーで、
このコンパートメントで管理されていました。

TBX6

小さなポータブル式でバッテリーとアンテナが内蔵しており、
上陸時に携行していくためにここにストックされていました。

この部屋ではまた、無線機器各種の修理も行われました。



まえにもお見せしたと思いますが、このレールで火薬を移動させます。
この写真の右側にある壁はわずかに弧を描いていますが、ここが
主砲の機構を取り囲む「バーベット」と呼ばれる部分です。

バーベットの定義は「ターレットの機能を取り囲むシリンダー」で、
非常に堅牢に作られており、敵の攻撃からも中が守られるようになっていました。

このレールは電動式ではなく、単にコロの上に弾丸を乗せ、
押して滑らせて移動させたようです。



火薬タンクだったキャニスター。
中に火薬が残っていないことを示すために
缶の蓋には「エンプティ」と印が付けられているものもあります。



コロのあるレールの右側に真四角のハッチがありますが、これを
下に向かって覗き込んでみました。

かつてはここは火薬専門のリフトのハッチであったようです。



火薬タンクとラック。



この通路の壁もバーベットになります。
向こうには弾薬が並べられていました。



ここで下の階に降りていきます。
さっきハッチから覗き見た下の部分につながっています。
長年砲員たちが駆け上り駆け下りた階段は角がすり減ってしまっています。



灯油缶のようなキャニスターのラックとなっている通路。

 

ふと上部を見上げれば、ここにモノレールの終点がありました。 



よく見るとレールは扉のあるところを通っているのですが、
いざといときにどうやって戸を閉めるつもりだったのでしょうか。



おお、こここそ「バーベット」の内部!
つまり砲塔の一番根っこの部分に来たというわけです。
右側が外郭、そして左が内郭で二重構造になっています。
ここを「パウダー・ハンドリングルーム」(火薬取り扱い室)といいます。



赤い印の入り口から見た様子が、二つ上の写真です。

パウダーバッグと言われる16インチ砲の弾薬は、「スカットル」と言われる
ドアを通じてこの部分に運び込まれたのち、ここからホイスト(巻上機)で
上部の砲塔に運ばれます。

上の写真で言いますと、右側のゴミ捨て場みたいなところで受け取って、
左側の別のスカットルに移すわけですね。
図でいうと、輪を貫く6つの長方形がありますが、それが
受け取りスカットルとホイストに載せるスカットルです。


安全性のために必ず一つのホイストには一人が就き、持ち上がった先にも
一人が専属で降ろす作業を行います。 

安全性といえば、火薬と弾丸は砲に装填されるその瞬間まで
決して一緒に扱われることはありませんでした。

もし火薬がハンドリングルームにこぼれ落ちるようなことがあった場合や、
火薬の悪化がわかった場合には、それらはすぐさま廃棄処分となり、
水の入ったタンクに入れられました。


 

説明がありませんでしたが、消火器のような形です。



これがパウダー・ハンドリングルームの内側。
上の図でいうところの二重丸の一番内側になります。
ここには立ち入ることはできず、外側からガラス越しに写真を撮りました。

一番向こうにスカットルが見えています。
床は黄色い線が引かれていて、その内側の床はもしかしたら
シリンダーの回転に伴い動くのではないか?と思われました。
(違っていたらすみません)




そこでスカットルなるものがどれかなんですが、



これ。
説明によると「扉が素早く開き、素早く閉まる」ということですが、
どこに扉があるのかよくわかりませんでした。
パウダーバッグは、外部のスカットルから運び込まれ、、プラットフォーム上を
転がされてハンドリングルームに到達します。
ホイストには人の手で乗せられます。

スカットル内部はパウダーバッグにぴったりフィットする大きさで、
カミソリの刃のような薄い、防火扉(写真に見えているもの)で
覆われたのち、稼動して上部に運ばれていきました。


スカットルは「フラッシュ・プルーフ」、即ち金属を扱うときに起こる
火花を防ぐ仕様となっていました。





この写真には、バーベットの二重になっている壁のそれぞれの扉が写っています。
なぜわざわざ二重にするのか?というと、一にも二にも安全性。
「バーベット」はこのようにして、主砲を保護する役目を持っているのです。




そのとき、わたしは細くて狭い階段があり、
ここを登って上に行くことができるのに気がつきました。

つまり、バーベットの内部を登っていく階段です。

上にはいったい、何が・・・・・?!


続く。


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