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朝鮮戦争慰霊碑〜旧プレシディオ軍用地 サンフランシスコ

サンフランシスコに夫の知人を案内したときのことをもう少し。
どこに客を案内するかということは、車を運転するわたしに
完全に任されていたので、わたしはゴールデンゲートブリッジのあとは
半島の北西角に当たる太平洋に面した海岸に車を向けました。

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何度かこのブログでもこの海岸の写真をご紹介していますが。
なんどもこれもいうように、いつ来てもここはこんな風です。

この写真を撮ったのは8月の中旬ですが、この一帯には雲が垂れ込め、
海流の関係で常に強い風が海から吹き上がってくるおかげで、
霧が立ち込めることはありませんが震え上がるほど寒いのです。
わたしはここに来るときには必ずこちらで買った冬物を着ます。
寒さに鈍感なアメリカ人も、ここでだけはあの「スターターパック」な人は
ほとんど姿を見ることもありません。 





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これも前にご紹介したことがありますが、ここには昔、

サットロ・バスズ

という温水プール施設がありました。
これはかつての海水プールの遺構です。
サットロというのはオーナーであったアドルフ・サットロの名前です。
1896年に建てられ、1966年に不審火で焼失するまでここにありました。

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上の写真に見えている部分にあったプールの内部。
右手窓の外に海が見えているのがお分かりでしょうか。

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部分拡大。
ノーダイビングの看板の横で落ちるふりをして飛び込む若者。

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当時の水着を復刻してマネキンに着せていました。


冬はもちろん夏でも海水浴などとんでもない気候のサンフランシスコで、
年中プールに入れるとあって市民の人気を集めましたが、何しろ
維持費が大変すぎて、経営はいつも赤字だったといいます。

1966年に廃業してすぐ、なぜか不審火が起きて建物は失われました。
サットロはサンフランシスコを離れ、保険金を主張したそうです。

お荷物だった店などがある火突然不審火によって焼けてしまう。
なんかこういう話、世の中にはよくありますよね(棒)

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遺構には自由に立ち入ることができます。
3組ともハネムーン?

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わざわざこんなものを落書きしに来る人がいます。

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この遺構に隣接したところに、レストラン棟ががあります。
これからいく「クリフハウス」がここにあります。
カフェはいつ来ても混んでいますが、レストランの方はお値段が高く、
(一皿20ドル台)そのためいつも席がなかったことはありません。

この斜面に人がいるので写真を撮ってみました。

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みんなで寝転んで楽しんでますね。

このあたりに分布する植物もご覧のように独特です。
まるでコケのような柔らかい草がみっしりと生えて、
まるで絨毯のようになっているのです。

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かつてのクリフハウス部分。
プールなどの入り口でもあり、ここから皆入場しました。

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年中吹く強風を利用して、この建物は風力発電を取り入れています。
そういえば、この周りにはかつて稼働していた風車が2基あります。

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あまり満席になることはないとはいえ、一応予約して一番乗りしました。

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ここのパンは絶品です。
「ラタトウィユ」(レミーのおいしいレストラン)ではありませんが、
パンをちぎるときにパリパリと香ばしい「音」がします。

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家族が取った鴨のロースト。
少しもらいましたが大変滋味溢れる肉でした。

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わたしはホタテと海老がクスクスのサラダに乗ったもの。

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ところで一番乗りだったので窓際の席に案内され、
そこからはこんな風に外が見えるのですが・・、

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なんと、カップルがこの極寒の海で青春ごっこを始めました。

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男の子が何かを言って逃げ、女が追いかけて転び、全身びしょ濡れ(お約束)
サンディエゴならともかく、ここでこんなことをやっていたら、
まず間違いなく呆れた目で皆に見られることは間違いありません。

この後、日本の、12月くらいの寒さの中、濡れた服で
この後どうやって過ごしたのか少しだけ気になるところですが、
いずれにせよ若いって無謀と同義なのね。

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砲台が張り巡らされ、サンフランシスコ湾入り口には機雷が撒かれていた、
という前回のエントリで貼ったYouTubeを見た方ならお分かりのように、
ゴールデンゲートブリッジを中心としたこの一帯は、1994年まで
軍による運用が行われていた「軍用地」でした。

対日戦のため日系二世兵士を集めて情報部隊を作り、
教育していたのもここでしたし、複葉機の時代には滑走路もありました。
クリッシーフィールドの皆がキャンプを行う芝生の一隅には防空壕があり、
それらは皆現在歴史建造物として保存されています。

1776年に最初にここを軍用地として使い出したのはスペイン軍でした。
1821年、メキシコがスペインから独立し、ここはメキシコの一部になります。
プレシディオもそうですが、サンフランシスコにヒスパニック系の名前の
通りや街が多いのはそういうことからです。

米墨戦争でアメリカがここの所有を宣言してからのち、
ゴールドラッシュによってアメリカ人がつめかけ、
アルカトラズに要塞を築いたりして、街は発展していきます。

わたしがここでいまだに口座を持っているウェルズファーゴという銀行は
1800年代にできていますし、チョコレートのギラデリ、衣料会社の
リーヴァイ・ストラウスも同じ頃に創業しています。

観光地として世界中の人々を惹きつけるこの一帯には、ユーカリとアメリカンパインが
森林を形成し、ここに来るとわたしは車の窓をあけて独特の芳香を吸い込みます。

そんな森の一角に、戦没兵士が眠るサンフランシスコ国立墓地があります。
わたしは去年初めてこの中に入り、写真を撮ったのですが、
なぜか入り口の写真を残して全てが消えていました。

もちろん単なる事故か、どうせわたしのことだから何か気付かないうちに
データが消えるようなことをやったのだとは思いますが、
それを何かの啓示ととらえることもまた吝かではなく、この中で
写真を撮ることをわたしはそれ以来きっぱり諦めることにしました。

そのかわり、と言ってはなんですが、去年来た時に建設予定となっていた
朝鮮戦争のメモリアルコーナーが完成していたので、立ち寄ってみました。

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Pusan Perimeter(June-September 1950)
とあります。
釜山の石ででもあるのでしょうか。

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ここで現地にあったこの戦線の移動の様子をみてみましょう。


●一番左 1945年、日本が降伏し、北半分をソ連が、南半分を
アメリカが占領していたときの様子です。

元シールズの奥田という人が最近熱唱したという「イムジン河」という歌には

「誰が祖国を二つに分けてしまったの」

という歌詞がありますが、誰も何も、アメリカとソ連なんですよね。
ところでついでにこのひと、参院選の時投票用紙に◯をつけた、
とかツィートしていたそうですが、
(指摘されてツィート削除)なんかもう隠す気なさそうですね。

何って、ほら、選挙に行ったことがないってことを。


●左から2番目 北朝鮮が1950年6月25日に北緯38度線で砲撃をいきなり始め、
奇襲してきたときです。
ソウルは占領され、韓国軍は敗退して釜山に追い詰められました。

ちなみに、奇襲の2日後の6月27日、李承晩は南朝鮮労働党の党員を
共産主義者として処刑を命じ、裁判なしで20〜120万人の民間人が
虐殺されるという「保導連盟事件」が起こっています。


●真ん中 そこで、我らが?マッカーサーがバターン号で日本から駆けつけ、
東京を起点にそこから毎日専用機で戦場に通い、アメリカ軍を指揮。
9月15日から10月24日で戦線を大きく押し戻しました。

ちなみにこのとき最初に韓国軍の参謀総長になったのは(すぐ解任されましたが)
陸軍士官学校49期卒で砲兵科少佐であったチェ・ビンドク(蔡 秉徳)でした。

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Inchon Landing(1950 September 15)

マッカーサーが9月15日に行った仁川上陸作戦、「クロマイト作戦」の日が
ここに記されています。
それまで苦戦していた国連軍ですが、この作戦以降、 米英軍と
韓国軍を中心とした国連軍の大規模な反攻が開始されると、戦局は一変しました。

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仁川で、上陸作戦でレッドビーチの防波堤を越えていく海兵隊員たち。
このときにバルドロメオ・ロペスという海兵隊員は、壕に投げられた
手榴弾を自分の体の下に引き入れて戦友を爆発から守ったという話があります。

●右から2番目 
11月25日になんと中国人民軍が参戦してきます。
人海戦術の前に国連軍もアメリカ軍も疲弊を強め、
戦線はまたも大きく南下することになりました。 

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1950年8月に撮られた戦場での一コマ。

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1952年、ハートブレーク・リッジというところの塹壕で
40フィート向こうにいる敵と対峙している第27砲兵師団。

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上の写真で傷ついた兵士に手を貸している左の人物と、
上の写真で自分のジープを祭壇にミサを行っている従軍牧師は
同一人物で、エミール・ケイパーン大尉といいます。

彼はこのあと戦線で捕虜となりましたが、収容所で従軍牧師としての務めを果たし、
それだけでなく皆に食べ物を分け与えて勇気付けました。
1951年に結核を罹患し収容所で亡くなっています。

朝鮮戦争には4人の従軍牧師が参加していますが、その全員が
捕虜になり、朝鮮半島で没しました。


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雪の中休息を取るハンナム貯水池の海兵隊員たち。
1950年12月撮影。

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M-26戦車(パーシング)の前に立つ子供。1951年6月撮影。

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ハンナムの戦士の墓にたたずむオリバー・P・スミス海兵隊少将

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北と南の国境、DMZ(非武装地帯)で向かい合う両軍の兵士。

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このメモリアルゾーンに出資したパトロンの名前が刻まれています。
サンフランシスコ市、韓国政府を始め個人名も。

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国立墓地を見学していた連れと入り口で合流しました。

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さて、というところでサンフランシスコ案内は終わり。
これは知人と別れた後、買いものしたオークストリートのジャズカフェ外壁。
サッチモと右はニーナ・シモン。

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ロスアルトスに帰ってきました。
これなんだと思います?

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答え;自転車スタンド。

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おまけです。
2015年の夏、スタンフォードで節約したつもりで安いホテルに泊まったら、
2日目に火事になった、という話をしたかと思いますが、今年、
近くを通った時にどうなっているか見てみました。

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全く直してません(笑)
窓の隙間から真っ黒焦げの部屋の中がそのまま見えていました。
ホテルは営業しているみたいでしたが。

多分保険金も受け取ったんでしょうにねえ・・。(呆)

終わり。 


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