海上自衛隊呉地方総監部の昭和岸壁で行われた「いせ」の壮行行事と、
出航見送りも無事に終わりました。
広島空港への空港バス発車までまだたっぷり時間があるので、
とりあえず入船山公園にでも行こうか、となんとなく考えていたのですが、
次に行くところまで送ってくださるというS一佐の車に乗り込む前に
鉄火お嬢さんが呉港クルーズはどうか、と言い出し、時間も調べたところ、
ちょうどいいタイミングで船が出ることが判明。
「入船山じゃなくて、ターミナルまでお願いします」
と行き先変更を告げると、S一佐、ターミナル入り口で車を留め、
ご丁寧にも中の受付デスクまで先導して連れて行ってくださいました。
受付はターミナルに入れば誰でもわかるところにあるので、
わざわざご案内までしていただかなくても問題なかったのですが、
なんと言ってもバリッとした男前の一等海佐に先導されてロビーを歩くと、
心なしか周りの見る目もちょっと違っている気がしてくるではないですか。
わたし「せっかくだからもう少しギャラリーがいてほしかったなあ」
鉄火お嬢「そこで見栄をはりますか・・・」(呆れ)
艦船めぐりの運行は日中に平日は3回、土日祝は4回、
最終便は時間が決まっておらず、日の入り時刻15分前に出航します。
「夕呉クルーズ」と銘打ったこのクルーズだけが、呉軍港の自衛艦が
喇叭譜君が代の吹鳴とともに自衛艦旗を降ろすところを間近で見られます。
一度参加してみたいものですが、この日はなぜか欠航となっていました。
所要時間は30分。
潜水艦桟橋の少し先まで行って帰ってくるだけなので、
時間もかからず、料金も1300円というものです。
チケットを買うとき、デスクの係の方が
「今日はテレビの取材陣が乗っていますのでご了承ください」
と断りを入れて来ました。
先ほどまでの「いせ」の出航には、朝日新聞の記者もおり、
「防衛問題と絡めて、なんかまたつまらんことを書くつもりだな?」
とわたしはそちらに向かって密かにガンを飛ばしていたのですが(笑)、
クルーズを取材するくらいならきっとローカル局でしょう。
取材はお断りしますけど、どうぞ宣伝してあげてください。
と思って乗ったら、結局取材クルーは、最初から最後まで二人だけ
甲板?に立ちっぱなしで写真を撮りまくるわたしたちを
触れてはいけない人だと判断したらしく、取材どころか近寄っても来ませんでした。
船は船室と船上に席があり、全員がデッキに乗りました。
カップルが多く、見るからに外国人のお二人もいて国際的。
デッキ後方はまるでヘリパッドのような甲板になっており、
わたしたちは相談もなく当然のようにここに立つことに。
船尾にはちゃんと国旗が掲揚してあります。
甲板の隅に、布製の自衛艦旗がたくさん刺してあるのでわたしたち大喜び。
自衛艦に向かって振ることができるように、という心遣いです。
いいねいいねー。
自衛艦を見せていわば「お金をとってる」のだから、遊覧船の会社も
こういう具合に、自衛隊に配慮するのが礼儀というものですよね。
時間通りに遊覧船は10時きっかり出航しました。
岸壁では係の人が両手を振ってお見送りしてくれています。
海上から見るてつのくじら館の「あきしお」は格別。
スクリューの下には、イエローサブマリン、「しんかい」が見えます。
この画面の左からほぼ右端までが「大和」実際の大きさ。
わたしは最初に来たとき、「大和ミュージアム」が休館日だったので、
MKとこの公園を散策したのでよく知っていますが、地面には
大和の甲板を縦半分に切った形が示されていて、その大きさだけでも
せめて体感できるような工夫がされているのです。
ツァーの解説の方はあとで聞いたらやはり自衛隊OBでした。
最初に見えてくる「大和のふるさと」を示しながら、その昔
「大和」が極秘に造られていた頃にそれを隠すために作った
「大和の大屋根」
の紹介から始まりました。
と思ったらいきなり曳船が登場!
ここぞと自衛艦旗を振ると、船上の自衛官が手を振り返してくれました。
一人はなんと帽振れしてくれています。
この曳船はさっき「いせ」を押していた子かなと思ったのですが、
「いせ」を回頭させている写真を確かめると「97」と「08」でした。
おそらくこの曳船は「かが」の入港を支援してきたのでしょう。
あっ、こちらの子は「いせ」を押していた08だ。
彼女は「かが」の着岸作業を終えたばかりでしょうか。
「いせ」に続いて「かが」を支援する、曳船にとってこれは
なかなかやりがいのある仕事だと思いますがどうでしょう。
続いて「くにさき」の作業艇が通ります。
湾内の哨戒でも行なっているのでしょうか。
こういう時の自衛官は完全に「仕事モード」なので手も振りません。
昭和桟橋の艦艇たちが見えてきました。
掃海母艦「ぶんご」、手前が護衛艦「いなづま」。
奥にいるのは訓練支援艦の「くろべ」のようです。
いくつもの艦檣がそそり立つくろがねの塊の中に、鮮やかな旭日旗。
誰がなんと言おうと、我が海上自衛隊旗は世界で最も美しい軍旗であると思います。
それらが過ぎると忽然とその巨大な姿を表した「かが」。
やっぱり「いせ」が出て行くと同時に同じ場所に着岸していたのね、
「かが」の前には青い制服の自衛官の姿が何人も見えます。
3月22日の就役以来、その姿を横須賀基地に見せていた「かが」ですが、
「いせ」の佐世保移転のために横須賀から太平洋をやってきました。
乗組員が上陸するのも久しぶりのことに違いありません。
ところで、「かが」就役の時に、こんなものを送ってきてくれた方がいました。
「かが」のキャッチフレーズ?は「ホワイトベース」・・・・。
”White Base”というのは、ご存知の方はご存知だと思いますが、
「ガンダム」に出てくる架空の兵器で、「地球連邦軍」の母艦です。
なぜ「かが」がホワイトベースなのかといいますと、実は空母だから。
・・・・ぢゃなくて、加賀の名山である「白山」とかけているのだとか。
送っていただいた方によると、
マンガ由来としては「ゆうぎり」の”Dragon Ball”と
「すずつき」の”Sailor Moon”がありますが、
”White Base”は世界のガンダムヲタクに通じることでしょう。
Cool Japan!
その通りだけど、ドラゴンボールもセーラームーンも、
世界中のアニメヲタクに十分過ぎるくらい通じると思うぞ。
ちなみに「いせ」は" Ocean Queen"、「みょうこう」は"Samurai Sprits"、
「あしがら」は”Golden Boy "(金太郎)・・・・。
最後のは嘘です。ごめんなさい。
さっきまで同じ形の「いせ」がいたところに、生まれたてのピカピカ、
芳紀1ヶ月の「かが」ちゃんがおります。
さすがに若い娘は艦肌のツヤが違いますわ。ってわたしはおっさんか。
しかし、岸壁からではなく海上から船に揺られて見る護衛艦はまた格別ですなあ。
「さざなみ」のスマートな姿と「かが」の取り合わせ。
さっきまで立っていた突堤がとても小さなものに見えます。
遊覧船はこのまま「さざなみ」を左舷に見るように入り込んでいきました。
護衛艦群にこんなに近づいていけるツァーは呉だけかもしれません。
「さざなみ」の後甲板越しに「いせ」のハッチが見えてきました。
舷門にはリラックスした様子で隊員が佇んでいます。
暖簾のように「加賀」と漢字で書かれたトレードマークがかかっていますが、
これは肉眼で見る限り素材がわからなかったので、
「まさか加賀友禅でできてたりして・・・?」
と騒然となったのですが、(二人で)さすがに高価な友禅を
護衛艦の暖簾に寄贈するほど気前のいい企業はなかったようで、
普通のシート素材であることがアップしてわかりました。
ここに見える「かが」のロゴマークは、一般公募されたもので、
採用されたのは群馬県在住の大学生の作品であるとか。
金箔や加賀友禅など加賀藩の名産品や、加賀藩主である加賀前田家の
家紋でもある梅などを取り入れたデザインである。
日本を代表する四季の花々を春夏秋冬の順番で配置し、そのバックに広がる蔦には、
日本海の波しぶきと、加賀を吹き抜ける風を表し、
中央の海鳥はヘリコプターが力強く飛び立つイメージを表している。(wiki)
著作権の関係でインターネットにロゴそのものをあげることはできないので、
ぜひ皆さんちゃんとしたマークは自衛隊のHPで見ていただきたいと思います。
ロゴにあしらわれた季節の花と、花言葉、そして自衛官の心構えは以下の通り。
梅 「fidelity 忠実」 「使命の自覚」 桜 「a good education 優れた教育」 「個人の充実」 牡丹 「compassion 思いやり」 「責任の遂行」 桔梗 「honesty 誠実」 「規律の厳守」 コスモス 「harmony 調和」 「団結の強化」桜の花言葉が「優れた教育」だったなんて、初めて知りました。
この花言葉と心構えの比較は概ね賛成ですが、梅の「忠実」は、
昔でいうと「忠勇」とかもっというと天皇陛下への至誠となっていたはずで、
その辺りがタブーとなってしまった戦後の日本では、忠実とはあくまでも
「職務に対する忠誠」
と解釈するしかありません。
それが「使命の自覚」となっているのは、単純に
「〇〇の〇〇」
という字数制限に合わせるためなのだと勝手に推測します。
真面目に考えると「優れた教育」が「個人の充実」というのにも
かなり無理がありますが、これも解釈が回り回ってこうなったのでしょう。
帰りにもう一度「かが」左舷側を通りました。
91の番号をつけた支援船が艦腹に近づいていきます。
91の番号で現役なのは、調べても「曳船91号」しかないのですが、
どうも防舷物を設置しに行っているように見えます。
「かが」の向こう側には、今回初めて見る掃海艇「あいしま」がいます。
続く。