イベントがたくさんあって行きつ戻りつしますがご容赦ください。
11月3日に入間で行われた空自の航空祭の続きです。
本来なら救難ヘリでの展示が行われていたはずの午前中のプログラムは、
事故を受けて中止され、次はC−1の飛行と空挺降下です。
朝一でC-1に乗り込んでいく空挺隊員の雄姿をもう一度。
空自のC-1は物資輸送の他には第一空挺団の戦術訓練・支援が主任務なのです。
第一空挺団の皆さんは、早い時間に乗り込んでずっと待たされていたことになりますが、
おそらくその間落下傘のチェックを入念に行うのでしょう。
テールの観音開きのハッチを開けたままメカニックが集合。
ここは貨物扉なんだそうですが、航空祭で貨物を積み込むことはしていなかったはず。
おそらく、観客に貨物扉の開き方を見せていたのではないかと思われます。
彼の指差す先には何が。
搭乗前のクルーとメカニックのひととき。
あくびをしているところを写してしまってすみません。
こういういつも通りの様子を見ることができるのが入間航空祭の楽しみです。
搭乗前、おそらく全機のクルーとメカニックが集合を始めました。
今更ブリーフィングでもないだろうし・・・。
記念写真撮影でした(笑)
最初のプログラム、チヌークの水撒きが始まっています。
そして前の展示が行われている間にもタキシングが始まりました。
C-1全機が編隊を組んで帰って来るためには、遠く海上にまで出ないといけないのかも。
次々と C-1が離陸していく様子はそれだけで大迫力です。
輸送機ながら駆動性が機敏なのが自慢のC-1。
荷物の輸送と空挺団の支援が主任務です。
基本人員を運ぶことを想定していないので(第一空挺団は人ではないのか?)
乗客としての乗り心地は騒音的にも振動的にも全く配慮がされておらず、
たまに基地間を高級将官を乗せて飛ぶこともあるようですが、
よっぽどの場合(それしかなかったとか)に限られるのではないでしょうか。
前にも書きましたが、 C-1計画時、航続距離の長い輸送機導入は
覇権主義の復活だ
と国会で野党が大騒ぎしたため、政府がこれをかわす目的で
C-1の航続距離を極端に短くしたということがありました。
結局C-1は沖縄や硫黄島にも増槽なしでは行けないということがわかり、
それを補うためにCH-130Hを購入するなどという無駄なことをしていたのです。
しかし、航続距離の長さ=覇権主義という考え方って、そのまんま
その時の野党=社会党の残党がオスプレイに反対しているのと同じ理屈ですね。
あ、そういえば今年はCH-130Hハーキュリーさんの展示もなかったぞ。
なんか今年は全体的にスカスカした感じだと思ったら、随分展示自粛していたようです。
さて、アナウンスがあり、6機編隊のC-1が入間上空に進入してきました。
これだけ大きな輸送機が編隊飛行をすること自体、珍しいことのような気がします。
もちろん入間航空祭以外では見たことがありません。
傘型の編隊飛行なので、後ろから見るとこうなります。
続いてはいつもC-1と展示を行うことになっている YS-11。
中型輸送機にカテゴライズされるので一緒に紹介するんでしょうか。
2機のC-2とYS-11が一緒に飛ぶ、アナウンスによると
『難易度の高い編隊飛行』は今年はなぜか行われませんでした。
昔は海自もこの輸送機としてYS-11を運用していたそうですが、今では全て退役、
空自のYS-11も一機また一機と退役していって、今ではこの機体が見られるのは
ここ入間基地だけだそうです。
尾翼付け根のところと前部の前脚にライトが点灯しています。
先ほど編隊飛行をしていたC-1が戻ってきました。
先ほどから1機減って、5機編隊で入間基地上空をパスします。
航空自衛隊は今後輸送機をC-2に順次置き換えていく予定です。
リンク先を見ていただければわかりますが、明らかにシェイプは
このC-1をベースにしているものの、薄いブルーのスマートな印象の機体は
まるでC-1の綺麗な娘さん、といった風情(ただし父より大柄)です。
C-2の航続距離はC-1の、なんと4倍になりました。
札幌の丘珠空港から那覇まで行けちゃう感じですか。
装備が近代化されているのはもちろん、搭載重量もC-1の3倍と飛躍的に多くなります。
C-2は平成28年度に開発完了し、その後は美保基地に配備されるのを始めとして、
今後、2個飛行隊に配備される予定ということですが、入間には来るのでしょうか。
このC-1のシェイプに親しみを覚えるものの一人として、 C-2が先代の面影を
色濃く受け継いでいるのは嬉しい限りです。
さて、編隊飛行に加わらなかった一機が単機飛来しました。
ドアが開き、いわゆる「お試し降下員」が降下します。
上空の状況が落下傘降下をしても支障がないかとりあえず飛ぶ係なのですが、
それにしてもこれって、
「もし何かあってこの人がピーーーーも最悪一人だから」
「少なくもピーーーは一人ですむ」
という考えのもとに行われてるわけですよね・・。
まあそれだけ熟練の隊員が飛ぶんでしょうけど。
そのピーーーの可能性を試される一人が今飛び降りました。
一人で乗って一人で飛び降りる孤独で危険な任務。
メンタル的にも強靭で、フリーフォールの資格も持っているような
ベテランが務める役だとみた。
時速300キロの速度で飛ぶ飛行機から飛び降りる気分や如何に。
飛行機のドアからテープのようなものがなびいていますが、これは
彼が飛び降りる時に機体の飛び降り口上部のバーにカラビナをかけ、
飛び降りることによって体重に引っ張られて自動的に傘が開いたあと、
機体に残ったテープです。
この方式は「空の神兵」の昔から変わっていません。
ここでもお話ししたことのあるアニメ「海の神兵」(海軍落下傘部隊)
でも、環をかけている様子が描写されていました。
瞬間には、人の重みで傘は一瞬縦に開きますが・・・、
この日は上空に風があったらしく、真横に傘が引っ張られました。
人体も傘に引っ張られて地面と平行に飛んでいきます。
お試し降下員は無事に降りてきましたが、風で随分向こうの方に流されてしまいました。
フリーフォールの降下に使われる傘とは違い、こちらの696MI・通称12式落下傘は
自分が降りたいところにピンポイントで降りるということができないのです。
確かこの後、単機で結構いちびって飛んでいったと記憶します。
人が乗っていないのでやりたい放題、って感じ。
体がごついくせに不気味なくらい身が軽いんですよねこいつら。
朝方黙々と列を作って飛行機に乗り込んでいった空挺団のみなさんが、
なんと一気に大空にばら撒かれるという事態になりました。
「降下降下降下!」
というおなじみの号令が聞こえたら、等間隔に人が連なって降りてきます。
一人でもためらったり、どこかに引っかかったりすれば、
あの、絵に描いたような傘が一列に並ぶ降下は成功したことになりません。
飛び降りることそのものより、自分のタイミングを外して、あとで正座させられ、
全員が連帯責任で叱られる方が彼らにとって恐ろしいのではないでしょうか。
想像ですけど。
写真を拡大してみて、向こう側からも降りていることに気づきました。
向こうとこちらで飛び降りるタイミングは同時のようです。
あの一列に並ぶ傘は、計算しつくされたタイミングの賜物なんですね。
飛び降りた次の瞬間、皆同じように傘に引っ張られ横向き状態。
空挺降下はC-1を使用する場合陸空の共同訓練となりますが、
固定翼機で訓練を行う場合、習志野から入間に移動するのは大変なので、
海上自衛隊の下総基地を借りて行うという話をどこかで読みました。
これが本当の三自衛隊共同訓練です。
脚は閉じて飛ぶことになっているようですが、態勢によっては開いてしまう模様。
そうやって飛行機が一航過したあとはこの通り。
上空で傘がほとんど一列にきれいに並んで降りてきます。
この日は雲がほとんどなかったので、目をみはるほどの美しさでした。
しかし不思議なことに、高度が下がるとこんなに降りてくる速さに違いができてきます。
やっぱりあれ?体重の重い人は早いとか?
でも、最初の写真を見ていただくと、皆ほとんど同じ体型なんですが・・。
ピンポイントでは降りられませんが、とりあえず柵の向こうに落ちないように
調整するくらいはできるようです。
まあ、習志野ではたまーに隣のグラウンドに降りちゃったりするんですけどね。
傘が重なった瞬間を狙ってみました。
地面に降りる頃の傘の速度は時速20mくらいにはなっているそうなので、
彼らは着地の際地面に転がって衝撃を緩和します。
滑走路やエプロンでなく、草地に降りているのも衝撃緩和のためでしょう。
鍛えている彼らもさすがにコンクリートの上に落ちるのは怖いのではないでしょうか。
着地したらすぐさまパラシュートの索を引いて傘を纏めていますが、
本来の彼らの任務はここから戦闘を行うことです。
降ろすものをおろして身軽になったC-1がまたもや不気味な身軽さで
変態飛行を行って皆に愛嬌を?振りまいていました。
続く。