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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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映画「イン・ザ・ネイビー」〜ウォーゲームの勝利

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さて、案の定「 DBF」で脇道に逸れて三日で終わらず、
四日目になだれ込んだ映画「イン・ザ・ネイビー」です。

「生きてて良かったぜ、DBF!」

と叫んで、第二次大戦の生き残り、CPOハワードが、エンジンに
自分がそれまで飲んでいたウィスキーを注ぎ入れます。

しかし、「バラオ」級潜水艦ののスクリューはトランスミッションからではなく、
というよりむしろ、バッテリーを動力としたジェネレーターで動きます。
もちろん理論的に「エンジンが50回転は良くなる」ということはあり得ません。

というような映画にありがちな部分は実は指摘しきれないほどあるのですが、
その専門の人が見たら

「ないわー」

ということだらけ、というのが映画・ドラマのお約束ですので、仕方ありません。

そもそも最初の訓練で、ダッジが限界深度を越えた潜航を命じた時点で
彼は海軍裁判所送り、というのが海軍の常識だそうですし。

「スティングレイ」に魚雷をターゲットしようと追う「オーランド」。
セイルの上に人が3人立ってるんですが、この状況でこれってあり?

かたや「スティングレー」艦長は魚雷の装填を命じました。
ウィンスロー提督との約束である、

「ダミー艦を魚雷で攻撃」

を、後ろからロックオンされる前にやっちまおうという考えです。

このシーン、本当に装填っぽいことをしているんですが、
やっているのは映画のどのシーンにも登場したことのない人ばかり。

もしかしたら本職に手伝ってもらってる?

発射孔側から見た装填される魚雷の先端。

発射チューブのハッチが閉められました。

「ファイアー・ワン!」「ファイアー・ワン!」」

「ファイアー・ツー!」「ファイアー・ツー!」

「スティングレイ」から放たれた二本の魚雷が海中を滑走している間に、
「オーランド」は後ろから「スティングレイ」をロックオンしました。

勝利を宣言するためにグラハム提督は「スティングレイ」に連絡してきます。

「君の艦はミサイルのターゲットになったぞ」

キルコールに対し、ダッジ艦長は至極あっさりと、

「キルを認め、オーランドとその素晴らしい乗員におめでとうと申し上げる」

なんだ?結局負けたのかよ?と暗い雰囲気の乗員たち。

艦長の降参宣言にがっかりを隠せないエミリー・レイク大尉です。

「しかしながら」

「この無線が入る前に我々は二本魚雷をすでに発射している」

「なにっ?」

「我々の魚雷(フィッシュと言っている)は、今海軍基地にある
ダミー船に向かっているところである。
これが当たれば・・・・我々の勝ちだ」

「サノバビッチ!」

「オーランド」副長、 内心が隠せてない〜!

一発目命中!

二発目も。

「Sweet!(やった!)」

最初に確認したのはソナーマンのソナー。

いつも食堂から覗き込んでいるバックマン、ガッツポーズ。

海賊コスが気に入ってやめられないニトロも。
体を張って無線を繋いだ甲斐がありました。

「イエスッ!!」

早く艦を降りたくて作戦が失敗することを願っていたはずのスタパネック、
いつの間にかこんな熱〜い男に。

仲がいいのか悪いのかわからない操舵コンビも、互いの健闘をたたえ合います。

そして静かに微笑むエミリー・レイク大尉。

「God, I love this job! (楽しい仕事だ!)」

ダッジ少佐お得意のセリフがまたもや出ました。

艦内ではみんなで喜びのダンス。

なんかいいコンビですねこの二人。

副長「・・・・・」(ニコニコ)

艦長「・・・・・」(20ドル札を渡す)

あんたらこっそり賭けをしとったのかい。

さて、というわけで「スティングレイ」凱旋帰還です。
いちいちそんなことをするのかどうかわかりませんが。

後ろにいる支援船の上の人は本物らしいです。(多分潜水艦を引っ張ってきたタグ)

しかし、艦長はじめ全員が出てきた出入り口は・・・

これって展示用に作られた観光客用のものですよね?

こんなドアを使う潜水艦は古今東西ありません。
潜水艦の出入りには垂直のハッチを上り下りするものです。

埠頭を行進する「スティングレー」のメンバー。
・・・なんですが、男性士官やCPOより、水兵が前を歩いております。

こちらわざわざヘリで言い訳に駆けつけるグラハム少将。

「模擬戦は無効です。ダッジは指定海域を離れ・・・」

「君が勝手に指定海域を狭めただけだろうが」

「しかし彼は私の命令を聞かず・・」

「彼はもっと上からの命令を受けておる。
君は三つ星はもう諦めろ」

でもまあ、模擬戦に負けたから中将になれない、というものではないし、
こんなに上の人から嫌われている時点で昇進はないよね。

将官人事も、結局「人が決める」わけですから。

ウィンスロー中将が乗員を直々にお出迎えです。

∠( ̄^ ̄)∠( ̄^ ̄)(´・ω・`)∠( ̄^ ̄)

一人敬礼しない子は誰だ〜?

「よくやった。

が、

君をロスアンジェルス級の艦長にすることはできない。
代わりにシーウルフ級潜水艦の艦長にしてやろう」

このセリフも一見まともなようでかなり変です。

なぜなら「シーウルフ」級潜水艦は「ロスアンゼルス」級の不具合を補う
という意味で建造された後継型だったからです。

この映画撮影時にはまだ艤装中で、海軍的にはこれを宣伝したかったのかもしれません。

ただ、アメリカ海軍がその後コストパフォーマンスの点で最終的に
「ロスアンゼルス」級の後継に選んだのは「ヴァージニア」級でした。
「シーウルフ」は建造費用が高すぎて、3隻で製造をやめています。

こんな事情を踏まえると、この提督の「その代わり」という言葉の真意は
いまいちよくわかりませんが・・・一旦がっかりさせてあとで喜ばせるための演出?

「次の金曜日に進水する潜水艦のメンバーを選びたまえ」

ちょっと待って?
進水まで一週間を切っているのにまだ艦長も決まってなかったてこと?

それはスルーして(笑)、ダッジ少佐はお約束の

「お断りします」

おことわり、キター。

「今回のクルーなしでは私の昇進もありませんでした。
彼らと一緒でなくては私も乗艦することはありません」

ちなみに彼女の徽章はこの時だけ潜水艦に変わっています。
誰かが気づいたんでしょうね。

調理員のバックマン。

ソナーマンのソナー。まともな人に見える。

電気技師のニトロ。こちらも海賊コスの時とは別人。

ギャンブラーの操舵手スポッツ。

バスケットプレイヤーのジャクソン。
ジャクソン、いつの間にヒゲを生やしたのか。

ウィンスロー提督、そこで爆弾発言。

「そうか。倅(スタバネック)の根性も直るだろう」

「ぶっ」

噴き出す機関室チーフ、ハワード。
慧眼のチーフは彼がウィンスローの息子だと知ってたんですね。

ところでこのアロハシャツに昔の軍帽という服装規定違反の
見本のような格好のハワードですが、ハワードを演じた俳優の、
ハリー・ディーン・スタントンは、1979年の映画「エイリアン」で
やはり機関士であるサミュエル・ブレットの役をした人です。

覚えてますかー?
繭にされちゃった人ですよね。

ハワード役は、この時と同じようなアロハを着ているのです。

「しかも彼の敬礼はなっとらん」

さっきいい加減な敬礼をしたのもちゃんと見られてました。
それを聞いて、これでどうだ、とばかり敬礼をする息子。

ちなみにこれが同一人物の登場シーン。
父はそんな息子に答礼してその場を去ります。

「解散!」「わーーーーい」

ところで「スティングレイ」が着岸した岸壁に、
潜水艦基地にはありえない柵が見えるんですが・・・。

「ところで、(よく話題になってた)刺青ってどういう意味ですか?」

「それは、話せば長いことなんだが・・・・」

うーん、その話はせっかく好意を持ってくれている彼女をドンびかせると思うが。

そしてこれがラストシーン。
あー、この写真でこれがどこかわかっちゃった。

サンフランシスコのフォートメイソンの、3本付きでた突堤の一番右側、
「フェスティバルパビリオン」と言われているところです。

ここにはお気に入りのレストラン「グリーンズ」があったり、
息子の「お歌の会」があってよく通ったものですよ。

映画のために「パンパニト」をフィッシャーマンズワーフから引っ張ってきたのね。

さて、映画は終わりましたが、続いてのエンドロールでわたしは思わず、

「これだったのかー!」

とつぶやいてしまいました。
その昔、ヴィレッジ・シンガーズのヒット曲に「インザネイビー」ってのがあって、
当時人気だったピンク・レディが「ピンク・タイフーン」という題でカバーしました。

インザネイビーの歌詞など全く気にも留めなかったわたしですが、

「インザネイビーがどうしてピンクレディーになるんだ」

と、まるで今なら「もぐもぐタイム」に通じるある種の気持ち悪さを感じていたものです。
(え?あの語感気持ち悪くないですか?)

それはともかく、この映画を見たことで初めてわたしは
あの曲が海軍のリクルートソングであることを知ったのでした。

Village People-- IN THE NAVY, OFFICIAL Music Video (1979) HD

彼らが乗り込む船は、

フリゲート艦「リーズナー」(USS Reasoner, FF-1063)

で、撮影が行われたのは1979年のことだそうです。
「リーズナー」は2002年に退役し、標的艦となりました。

最後にはなぜかブルーエンジェルスが上空を通過(しているような演出)。

 

歌詞を要約すると、

「飛行機の操縦を教えてくれて、
スポーツはもちろんダイビングもでき、
海洋学も学べるところはどこだ?

サインナップするか
観客席で見ているだけか
君のチームが相手を迎え撃つことになったらどっちを選ぶ?

海軍に入ろう 七つの海を越えて
海軍にきてね 気持ちがいいぞ
応募しよう 海軍に
君の手が必要なの  わからない?
さあ一緒に母国を守ろう」

みたいな?

ちなピンクレディの歌で

「やっちゃいな やっちゃいな
やりたくなったら やっちゃいな」

と言っていたところですが、

「They want you, they want you

They want you as a new recruit」

(海軍は君の入隊を待っている)

となります。
アメリカでも海軍は常に人手を必要としているんですね。
地本の人に提案して、これを海自隊員募集のテーマソングにするように
進言してみようかしら(笑)

ヴィレッジ・シンガースの「インザネイビー」がヒットしたのは
1979年で、映画公開時にはすっかり懐メロとなっていました。
エンドタイトルでは出演俳優が当時のヴィレッジシンガーズと一緒に登場します。

この映画も日本公開時は原題の通り「潜望鏡を下げろ」でしたが、
DVD発売に際して「イン・ザ・ネイビー」にタイトルが変えられました。

まあ個人的にはっきり言って全くその必要はなかったかと思います。
それと、wikiの映画説明で「戦争映画コメディ」とありますがこれ間違い。

「ウォーゲーム」は「戦争」ではありません(きっぱり)

 

 

終わり〜。


 


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