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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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「はたかぜ」登場〜海上保安制度創設70周年記念観閲式

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海上保安庁観艦式は、横浜会場防災基地から出航した「いず」を先導として、
晴海埠頭から出航した「やしま」「そうや」「だいせん」が単縦陣になり、
受閲船隊、観閲船隊が向かい合わせに進行しながら行われます。

まず船艇の観閲式で、大型船が通り過ぎました。
続いては小型巡視船です。

ここからは第二小隊、1番船は銚子から来た
「らいざん」型巡視船、PS13「つくば」。

180トンクラスで乗員は15名となっています。
舷側で敬礼しているのは10名なので、5名で操船しているということです。

船首部分には「S」マークを隠さないように、Sがプリントされた
防舷クッションが標準装備されているのが海保流。

前甲板にはまるで海自の艦艇のような兵装らしきものが。

これ、RFS(Remote Firing System)遠隔射撃システムというもので、
海保が所有する射撃指揮システム(FCS)なのです。

「つくば」の船橋部分をアップにしてみると、ベイブリッジを通過する時に
探照灯と間違えた赤外線捜索監視装置があり、その前に見える、
アンテナの立っている装置がRFS光学方位盤です。




2番船は茨城から来た PS14「あかぎ」。

「海保の船の甲板は武器がない」というのはあくまでも大型船のことであり、
不審船対策に武装が必要な巡視船、巡視艇には全く当てはまりません。

先ほど出航した横浜の防災基地には、2001年に発生した

九州南西海域工作船事件

で海上保安庁の巡視船と交戦の末爆発、自沈した工作船が
引き揚げられて展示してありますが、その時の巡視艇「みずき」からの射撃は
3メートル以上の波のうねりがある中でも十分な命中精度を発揮したそうです。

もう一度「海保の敬礼」を。
全員敬礼していない方の腕を後ろに回しています。

海自は基本使っていない手は拳にしておくことが多く、
写真を撮る時にも膝に乗せる手は拳ですし、挙手の時もグーです。

海保は「手を見えないように後ろに回す」というわけですね。

3番船、徳島からやって来た同じ「らいざん」型 PS15「びざん」。

「らいざん」型は昔「びざん」がネームシップだったので、
「びざん型」という型名だったことがあります。

これも海保の船文化の不思議なところで、巡視艇は管区をまたいで転勤すると、
転勤地に伴って名前を変えてしまうのです。

例えば、PS-06は

「びざん」(徳島)→「ばんな」(石垣)→「らいざん」(福岡)

ということで現在福岡にいるため名前が「らいざん」になり、
PS-06がネームシップなので自動的に同型は「らいざん」型になるのです。

第二小隊の最後はPS35「ともり」、宮古島の所属です。

「ともり」は2年前から宮古島に配備を始めた「しもじ」型巡視船で、
自身も今年の2月28日に収益したばかりの新鋭船。

なぜ「しもじ」型を宮古島に集中配備させているかというと、それは
もちろん尖閣諸島防衛を見据えてのことです。

それを考えると、なぜ船端全面に防護プレートを張っているか思い当たりますね。
これは、脱着式の防護プレートで、同型は船体も本来のアルミ合金から
高張力鋼へと変わっています。

みなさん、かつて民主党政権が公開せず、一海保職員が流出させて、初めて
国民の知ることになった中国船衝突事件の映像を思い出してください。

当時の内閣府特命大臣だった福島瑞穂が、視聴した後、

「車が道路でちょっとコツンとぶつかるような、あてて逃げるという映像だ。
(挑発行為は)離れてるし、分からなかった」

と言い放った、あのビデオです。

実際はそんなものではなかったことは、流出したビデオを見れば明白で、
それがゆえに当時の民主党政権は中国政府に忖度し映像を非公開にしたのでしょう。

その後、仙谷由人官房長官は菅内閣の意を受けて検察に圧力をかけ、
船長を釈放させるという、法治国家にあるまじきブラック内閣ぶりを見せて
国民をドン引きさせてくれましたよね。

あー、思い出すだけで血圧が上がってきた。


宮古島に配備された最新鋭型巡視艇「しもじ型」全てに、この緩衝装置が
標準装備されているのは、中国船の体当たりのようなことが起こること、
そして、何より尖閣周辺で保安官が

強行接舷

して不審船に乗り移ることを想定してのことなのです。

なお、「ともり」始め「しもじ」型巡視船には、放水設備が装備されており、
この写真でもその装備を確認することができます。

続いて第3小隊の観閲が始まりました。
画面一杯の写真なので大きさの比較ができませんが、これは

35メートル型巡視艇「ふどう」(神戸)

でトン数でいうと125トンと、より小型になります。

23メートル型巡視艇 PC43「おきなみ」。
横浜を一足先に出航していった船です。

こちらも船室部分は防弾設備が施されています。

ちなみに巡視船と巡視艇の違いは、前者が

「法令の海上における励行、海難救助、海洋の汚染及び海上災害の防止、
海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕
その他海上の安全の確保に関する事務に従事するもの」

後者が

「基地周辺海域における上記(巡視船)の事務に従事するもの」

となり、海上巡視か沿岸巡視の違い、という位置付けです。

さて、ここからは関係機関船艇のパレードとなります。
最初に現れたのは・・・もちろん、DDG-171「はたかぜ」。

観閲船の通過に伴い、舷側に並んだ自衛官たちが艦首側から順に
敬礼を行なっていくところが写真に写っていました。

この日の観閲式に参加した全ての艦艇の中で、最大級はPLH「やしま」、
5,259トンですが、「やしま」は「いず」の後ろを航走していることもあり、
わたしは「はたかぜ」の大きさにあらためて目を見張りました。

そしてこの存在感。

いろんな場所でわたしは護衛艦を含む自衛艦を見てきましたが、この日、
白と青の瀟洒なカラーの海保の船列に続く「はたかぜ」を見たときほど、
この「黒鐵(くろがね)の浮かべる城」を頼もしいと感じた瞬間はなかった気がします。

就役から32年が経過し、艦齢延伸を続けてきた「はたかぜ」に、流石に
退役が囁かれている、という噂もそう感じた理由の一つだったかもしれませんが。

 

 

 

そして何と言ってもこれ、海士のセーラー服ですよ。

海保の皆さんの活躍にもわたしは十分感謝と尊敬を払う国民ですが、
個人的な思い入れというのはここに来て如何ともし難く(笑)
頭の中で鳴り響くバーチャル行進曲「軍艦」とセーラー服の堵列に
激しく胸が高鳴るのを抑えることができなかったことを告白します。

ちなみに冒頭写真は、いつもわたしにイベント情報を送ってくださり、
ご自身も参加して写真の提供を許してくださるKさんが、
この翌日の観閲式で「だいせん」から撮った「はたかぜ」の雄姿です。

見てもお分かりのように、翌日は素晴らしい晴天でした。
写真を撮る立場からは全く羨ましいコンディションだったのですが、
とにかくこの日は海上は風が猛烈に強く、皆震え上がったということです。

パレードの2隻目、

漁業取締船 「はまなす」水産庁。

消防艇「みやこどり」 東京消防庁

しつこく「はたかぜ」の後ろ姿をカメラで追いかけてしまうわたし(笑)

信号旗は「RY」を揚げているのでしょうか。
そして「JSOZ」は「はたかぜ」のコールサインと見た。

例年外国の海上保安機関から、パレードに参加することになっているようです。
というわけで、ユナイテッドステイツから、

「USCGC アレックス・ヘイリー(WMEC-39)」

沿岸警備隊には、コーストガードアカデミーの見学のために、わざわざ
東海岸はコネチカット州のニューロンドンまで行ったことがあります。
ここでお話しするために、その歴史を調べてかなり詳しくなったつもりなので、
日本でこの白いカッター(沿岸警備隊の船の呼び方)を見ると、大変親近感が湧きます。

なにしろわたくし、自慢ではありませんが、

「センパーパラタス( SEMPER PARATUS)」

というコーストガードの公式歌も(歌詞を見れば)歌えちゃったりするもので。

それはともかく、さすがの「常に備えあり(センパーパラタス)」な皆さんも、
言っちゃーなんだが所詮アメリカ人、やっぱりカッターのサビはほったらかしかい。

 

搭載ヘリは赤一色、大変目立ちます。

ちなみに「アレックス・ヘイリー」の母港はアラスカだそうですが、
わざわざアラスカからやって来たんでしょうか。

それともたまたま第7艦隊に勤務でやって来ていた?

マストの大きな星条旗が実に美しいですね。
揚げられている信号旗は「NZPO」、当カッターのコールサインです。


船艇パレードの最後は横浜税関の監視船「みらい」と、
千葉県警察本部の警備艇「ぼうそう」。
なぜかぼんやりしていて単体の写真を撮り損ねました。

この写真の最後尾にいるグレーが「ぼうそう」、白い船が「みらい」です。

このまま全艦船向こうに行ってしまうのかー、と寂しく思っていたら、
とんでもない、今向こうを向いて航行している船のほとんどが、
この先でユーターンしてもう一回姿を見せてくれることになっていました。

船艇および護衛艦の観閲式は終わりましたが、実は

"YOU AIN'T SEEN NOTHIN' YET!"
=お楽しみはこれからだ!

・・・・・だったのです。

 

続く。



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