海保観閲式、艦艇の観閲が終了しました。
当ブログ的には延々とお話ししているようですが、実は船隊の
パレードが始まってから終了するまで7分しかかかっていません。
しかし進行は「ミリミリ」というわけではなく、幅を持たせてあり、
観閲が開始されたのはわたしのカメラの記録によると1414、
開始予定時間を14分も経過してからのことでした。
観閲に予定された12分のうち残りの8分で航空機の観閲が行われました。
今から観閲を受けるヘリが観閲船隊とまず逆行していきます。
この日観閲を受けたヘリは、シコルスキー76D、ベル412、
アグスターウェストランド139、
そしてユーロコプターのシュペル(スーパー)ピューマ225など。
どれも自衛隊では見たことのない機体です。
これはシコルスキー、函館所属の「くまたか」。
こちらがベル、広島の「せとづる」だと思います。
航空機に名前がついているのは海保ならではですね。
第5小隊の「ちゅらわし」。
なんとこれ、おフランスのあのダッソー・ファルコン900なんですぜ。
ビーチ350はもちろんアメリカだし、ボンバル300はカナダ、
羽田の「うみわし」はガルフストリームV、アグスタWLは英国とイタリア。
海保の航空機って全方位に気を遣っていろんな国から買ってるという印象です。
さて、ここからは放水展示が始まりました。
放水が可能な船艇が放水しながら受閲するというもの。
横浜で「いず」の一足先に出航していった「ひりゆう」がまず先頭に立ち、
「いず」の前で放水を開始しました。
続いてPC22巡視艇「はまぐも」が、なんと真っ赤な水を出しながら通過!
それにしても、この水、何で着色しているのか・・・食紅ってことはないだろうし。
・・と思ったら、本当に食紅でした。(あるサイトの報告による)
この「ひりゆう」さんですが、あの東日本大震災の時発生した
コスモ石油千葉製油所の火災の時に出動し、冷却放水を実施しています。
あの時、被災地に危険な任務を行うために出動していった関係機関船艇は
海保、海上自衛隊、消防庁を問わずたくさんいたわけですが、
この「ひりゆう」もその一隻だったというわけです。
あの爆発を伴う火災が鎮火したのは3月21日だったと言います。
「ひりゆう」の当時の乗員たちはその時この操舵室から
どんな景色を見、どんな気持ちで冷却放水を行っていたのでしょうか。
巡視艇「はまぐも」は毎分2,000l放水できる操舵室上の設備以外にも、
放水塔を備え、そこから毎分5,000リットルの水を放水することができます。
蛍光グリーンの水を三丁の放水ノズルから吹き出しながら行くのは
川崎市消防局所属の「第6川崎丸」。
赤い色は食紅で納得したのですが、この緑は一体?
と思ったらこれも、他の色もみんな食紅なんだそうです。
食紅ってこんな色に着色できるんだなあ・・・。
まあ、アメリカのデコレーションケーキには割とよく見る色ですけどね。
第6川崎丸は消防ポンプ2基を装備しており、放水量は
一基当たり毎分11,000リットルにもなります。
訓練海域に隣接する市川市消防局所属の消防艇「ちどり」は
なんとオレンジ色の水を放水しています。
4隻が色水を放水しながら航行するこの光景は、
実は海保の訓練展示ではお馴染みなんだそうです。
ところで、こちら見ていただけます?
Kさんからいただいた次の日の放水展示なんですが、
・・・・・・あれ?全部色水ではなく真っ白だ・・。
どこかから「海を汚す」とかなんとかクレームでも出たのかしら。
そしてヘリコプターの編隊飛行訓練展示となりました。
3機くらいづつヘリが編隊を組んで通り過ぎます。
前にいるのが「くまたか」、後ろが「せとづる」か「はなみどり」。
ヘリはこの日の天気では(当方の技術的な問題で)大変撮影が難しく、
失敗が多かったのですが、関係機関の訓練機などは全滅でしたorz
この編隊は赤っぽい機体なので、
「かもめ」東京消防庁
「はまちどり」横浜市消防局
「おおとり1号」千葉市消防局
の3機であろうと思われます。
ヘリ展示が終わった途端、「いず」は面舵で右に転舵を行いました。
受閲が予定海域の先端まで到達したため、Uターンし、
転舵しながら右舷側で行われる人命救助訓練を観覧するのです。
おお、いつの間に。
海面にオレンジの認識浮き輪とともにぷかぷか浮いている人が!
この日のために選ばれた「要救助者」役の職員さん。
お役目ご苦労様でございます。
と思ったら、これもいつの間にか向こうにボーボー燃えている船が!
シナリオによると、船はケミカルタンカー。
どう見ても「伊勢丸」というタグボートにしか見えないが?
などと言ってはいけません。
海上の人は、ケミカルタンカーで爆発が発生した際、
海中に転落し漂流しているという設定なのです。
ちなみにこちらがKさんにいただいた次の日の炎上中「伊勢丸」。
あー、いいなあ。
寒くても風が強くても、この天気で撮ってみたかった・・・。
火の前に人がいるのでびっくりです。
航行中は炎が絶対に前方に来ないという前提で、
ガスバーナーのような発火装置を搭載しているのでしょうか。
「伊勢丸」・・・君は大変な仕事を引き受けたね。
そこに我らが海保の救難ヘリがやってきました。
向こうに「はたかぜ」の一部が見えます。
ヘリは海難現場の上空にピタリ!と停止しホバリングを行いました。
ちなみにこの時の受閲船体の陣形。
完璧に後方の3隻の姿が「いず」から見えるようになりました。
リペリング降下で救助隊員を海面に降ろしているのは「かみたか」です。
この懸垂下降を陸自では「リペリング」と呼ぶことについて、英語では
「Rappelling」
なので、正しくは「ラッペリング」だろう、と突っ込んだことがあります。
どう解釈して読んでもこのスペルが「リペリング」になりようがないので、
きっと最初に陸自の偉い人が間違えてそう表記してしまい、訂正しようがなくなって
現在に至る、という事情でもあるのかと穿ったことを書いたものですが、なんと、
陸自だけでなく海保でも「リペリング」が正式な名称として使われているようです。
それはともかく、そのリペリングで救難員が海面に達しました。
ヘリのダウンウォッシュが海面に円形の波を作ります。
救助員は要救助者の背中からロープを掛けています。
翌日の同じ瞬間を「だいせん」から。
向こうに見えている船は前日わたしが乗った「いず」です。
どうしてUターンを行いながら救助を見学したかがわかりました。
並列に並んだ状態では、後ろの船は海面の状況が全く見えなくなるからです。
カラビナで体をロープに固定した救助員は、ロープに引き揚げてもらいます。
この足ひれをつけている救助員が、いわゆる「海猿」な人なんでしょうか。
わたしは「いず」最後尾からこれを撮っています。
後方の「やしま」と「いず」との角度はほとんど90度?
訓練に見入る「やしま」船上の皆さん。
アンテナの前のヘルメットの三人はカメラクルーですね。
三番船の「そうや」もこんな角度で見ることができます。
「いず」は回頭を終えたので、四番船の「だいせん」と平行になりました。
先ほどのKさんの写真は、この時向こう側から撮られたものです。
救助はまだ続いています。
実はケミカルタンカーから転落した人はもう一人いました。
オレンジの発煙筒を炊いて、自分の位置を知らせています。
「はまちどり」からリペリング降下してくる救助員。
こんなこともできるよ!ということを見せるためか、
すごい角度をつけたロープを斜めに滑り降りていきます。
向こうのオレンジは先ほど救助した人のための目印。
救助された人を乗せた「かみたか」はすでに病院搬送のため離脱しています。
着水〜!
引き揚げの時もロープの角度がすごい。
無事二人目もヘリに収容することに成功しました。
さて、人も助けたことだし、次はボーボー燃えてるタグボート、
じゃなくてケミカルタンカーの消火に入らなくっちゃですね。
先ほど色水を出しながら楽しげに通り過ぎた「はまぐも」が
今度は本気と書いてマジと読む消火活動で別の顔を見せます。
・・・見せますよね?
ケミカルタンカーに接近する「はまぐも」。
いつだ?いつ放水を始めるんだ?
しかし・・・・
「この訓練では実際に放水して水をかけることはありません」
まあそうだよね。
タグボートの方も発火設備含めて船体に、火事でもないのに
毎分11,000リットルの水をかけられても困るわな。
というわけで、「ひりゆう」さんが、絶対に水のかからない距離をキープして
後ろをついていき、「はまぐも」は横を航行するだけ、ということに。
ノズルの角度をもう少し上げたら水届きそうだけどなあ・・・・。
ちょっとくらいかけたってまずくなくない?
続く。