さて、格納庫でP-3Cの機体と、エンジン部品換装の貴重な瞬間を
見せていただいた後は、航空隊基地に必須の消防施設です。
冒頭youtubeは、ここに装備されている消防車の放水の様子です。
この時に哨戒に出ている飛行機は2機だと思うのですが、
エプロンには見渡す限り2機しかP-3Cの姿はありません。
格納庫の中に2機いるのは確認しましたが、まさか全部で4機ってことはないでしょう。
2017年現在で、海自のP-3C保有機数は62機ということですが、
全国に航空基地は全部で六ヶ所にあるので、少なく見積もっても
10機くらいは保有しているはずですよね。
しかし、航空基地のページでも飛行機の保有数って明らかにしませんね。
何か軍事上の機密に属するんでしょうか。
海自の航空基地見学に訪れるのは下総2回を足すと3回目です。
下総でも、基地消防隊の消防車に乗せていただいたことがあります。
おお、消防車の下に一般人でも乗車できる脚台が用意されているぞ。
消防車の車庫に近づいていくと、最新型の救難消防車の横に、
消火活動の時に着る防炎服が立っていました。
隊員さんが消防服と寸分違わない立ち方をしているのは
偶然か、それとも、いつもこの消防服を着ているため、
消防服の「中の人」であることが常態化して、
ついつい普段からこのポーズを取らずにいられないのか。
この右側の消防服が、誰も入っていないのに(入ってませんよね)
どうしてこんな状態なのか、その理由はあとでわかりました。
消防車はこれも下総基地で見た
救難消防車 IB型 OSHKOSH
となります。
救難消防車、というのはイコール自衛隊所有のこのタイプであり、
航空事故に備えて空港に配備される化学消防車を意味します。
●水槽が大きい
●強力な放水の衝撃に耐えるため大型車
●広大な飛行場で速やかに展開する速力
●高い不整地走行能力
これらの条件を備えた車体で、これはアメリカのウィスコンシンに
本社がある「オシュコシュ」というメーカーのものを輸入しています。
オシュコシュ社について調べると、日本でこの「グローバルストライカー」
救難消防車を輸入しているのは陸自、としか書いていないのですが、
わたしは下総でも確かに同じタイプを見た記憶があります。
「オシュコシュ」というと、アメリカの子供服ブランドで、
向こうでは安いので息子によく買ったものだ、という話も確か
下総基地見学の後ここでした覚えがあるので、間違い無いでしょう。
車両の前面上部に放水ノズルがついています。
もちろん手で持ってホースから放水することもできます。
この隊員さんの制服は所属が「航空警備隊」となっています。
第二航空隊群の編成表を見ても「消防」という文字はありません。
八戸航空基地隊隷下の警備隊として消火部門を担当、という位置付けのようです。
ちなみに、この隊員さんが被っている八戸航空基地隊の隊帽は、
鍬形の立派な兜がモチーフです。
この後はグローバルストライカーの運転席に乗せてもらい、
気持ちの赴くままに放水をさせてもらいました。
(が、カメラを自分が持ったままだったので放水シーンはなしです)
この運転席に座って滑走路を見ると、ちょうど正面にポツンと
消防車が停まっているのが見えました。
滑走路にいつでも侵入できる場所で待機しているのです。
ところで、ふと疑問に思ったのですが、今この時、
消防車の中に誰か乗っているのでしょうか。
何か滑走路で事故が起こった時、人がもし乗っていなかったら、
人は建物から駆けつけることになり、ここに車を置いておく意味がありません。
ということは・・・やっぱり中に人が・・・。
例えばアメリカの空母では、「アラート」の状態になった時には、
カタパルトにつながった機体にはパイロットが乗り込んで、
コクピットの電源はいつもONにしたまま待機するそうです。
パイロットは1時間か2時間で交代するそうですが、アラートの間は
他の作業ができないので、そこでじっとしているしかありません。
カタパルト発進しないヘリコプターなどはいわゆるトラブルシューターという
係が機内でドアを閉め、こちらもじっとしています。
流石に寝るわけにはいかないので、横になって目を閉じるだけです。
これは人によっては「寝ている」と解釈される場合もあります。
何が言いたいかというと、もしこの滑走路で待機している消防車に
待機する人がいるなら、その人は飛行機のアプローチがあるまで、
「目を閉じてじっとしている」こともアリなのではないかということです。
ちなみに空母のトラブルシューターを買って出る人は「大変多い」そうです。
そんな推測はどうでもよろしい(笑)
次にこの救難消防車の設備について説明していただくことになりました。
「どうぞこちらからお入りください」
訓練では滑走路を走るだけなので、タイヤはとても綺麗です。
いや、たとえオフロードを走っても毎日ピカピカに磨き上げるのかな?
まず、車体右側から。
車体後部から中を見せてもらいました。
椅子は跳ね上げ式になっていて、基地を出るような時にしか使わないようです。
自衛隊の消防部隊は、地域災害の時にも出動し消火を行う場合があります。
リール、ボンベ、ストレッチャー、ソリなどが整然と収納されています。
ちょっと「ソリなんですか?」と聞いただけで、全部引き出して見せてくれました。
ところで、先ほど乗った運転席に、こんな状態で防炎服が置かれていました。
これ、どういうことかわかります?
座席に乗り込み、席に座ると同時に、足を長靴に突っ込み、
上着とマスクも瞬時に付けられるようにスタンバイしているんです。
いやー、これは暑い(断言)
八戸の冬は厳しいらしいので、冬場の訓練はいいけど、夏は魔法瓶状態、
一度訓練で着用したら1キロくらいは体重が減っていそうです。
こちらも、整理整頓を異常なくらい旨とする海上自衛隊にしては、
まるで脱いだまま散らかした如く乱雑に捨て置かれているように見えますが、
これも、車両に乗るなり、ここに足を入れて次の瞬間ズボンを引き上げ、
防災服を身につけることができるような置き方をしているんですね。
これを見る限り、防災服のズボンは長靴と一体になっていることがわかります。
もう一度防災服(中の人なし)を見てみましょう。
ズボンが靴と一体型なので、こんな風に人の形を保って立っているんですね。
この夜間消防訓練の映像は必見です。 皆が「みんな〜」のAAみたいになって、猛烈な火に立ち向かっております。 参考画像 USJで「バックドラフト」を見たことがある人なら、実際の経験がなくても
いかに火というのが恐ろしいか、お分かりだと思います。 上のyoutubeも、防災服をフル装備で身につけ、
その猛烈な炎に平常心で立ち向かっているように見えるとしたら、
それは恒常的な訓練の繰り返しの賜物なのに違いありません。 実際の消火訓練は、この飛行機を模した構造物で行われています。
この中に取り残された搭乗員を救出する、という説明が出てきたので、
実際にその搭乗員の役を誰かがするのか?とびっくりしたのですが、
映像を見ると、現場から担いで救出している隊員というのは、
この「中の人のいない防災服」でした。 これだけリアルだし適当に思いし燃えないので、救助訓練人形にもなるんですね。 防災服を担架に乗せて緊縛し、救急車に乗せて運ぶまで行いますが、
担架に乗せている女子隊員がつい笑っているように見えるのは気のせい? こちらは従来型のタンク車。
海上自衛隊も救急車を保有していることを改めて知りました。 自衛隊の救急隊員は、救急医療に必要な技能を持つスペシャリストです。 彼らは救急車積載器具取扱訓練やAEDを使用した心肺蘇生法訓練、
外因性・内因性救急シミュレーション訓練などを受けています。
大規模災害が起きると、航空基地所属の消防部隊はすぐさま現場に出動し、
他機関と連携・協力して人命救助に当たることを任務の一つとしています。 消防車庫には、このような出動ランプがあり、非常時には点灯するようになっています。 向こうに見えるのは管制塔です。
わたしたちはこの後、管制塔の見学を行いました。 今のうちにお断りしておきますが、管制塔に上る前に、わたしたちは
またしてもカメラと携帯電話を没収されたので、内部の写真はありません。 続く。