強襲揚陸艦「アルビオン」の見学が続いています。
甲板に展示されている演説台には「アルビオン」の木彫の徽章が。
もう一度舷門のところにあったトレードマークを。
海の上にそびえる岩にライオン?が怖い顔をして吼えてます。
王冠のような帆と木造の船のモチーフはいかにも伝統的なロイヤルネイビーな感じ。
甲板に展示されているのは武器装備だけではありません。
例えばこのテーブルでは、戦闘糧食の紹介をしていました。
チューブに入った何か(歯磨き粉じゃないと思う)をスプーンに乗せて
試食させてくれるロイヤルマリーン。
見ていると、口にしたものの「うーん」と言ったきり、そのあとに
美味しい、とテイストグッド、とか言う人はほぼ皆無。
きっと微妙な味だったのではないかと察せられました。
お皿に出してあるのはほぼ皆シリアルとかナッツとかの類で、
こんなの美味しいも不味いもないのでは、と言う気がしましたが。
この画像のお皿に乗っているのなんか、どう見てもオートミールなんですが、
これは煮て食べるのが正しい食べ方のはず・・・・え、このまま食べるの?
食べ物が美味しくない、と言う風評だけは立ってしまっている大英帝国の、
しかも比較的どの国でもハンブルがスタンダードの軍隊糧食が、
美味しいわけがあろうか、いやない、と皆が考えているらしいことはわかりました。
この糧食についてはわたしは食べてみたわけではないので論評は控えますが、
イギリスでわたしはとんでもなく美味しい料理を食べたこともあるので、
風評は風評に過ぎない、とイギリス人の名誉のためにここに言明しておきます。
糧食コーナーは怖いもの見たさというのか(失礼)どれだけイギリス軍の食事が
ほにゃららなのか試してみたい人たちで賑わっておりましたが、
この日ここに詰めかけた人々の興味からは全く対象外だったらしいのがここ。
そう、女王陛下の軍艦での正式なディナーを紹介するコーナーでございます。
白いテーブルリネンにいまいち雑とはいえアレンジしたナプキンがあしらわれ、
よくまあ割れずに焼き上げることができたものだと感心するクッキー地で作った
オーナメント(たぶん)が誇らしげに飾ってあります。
どういう場面にあしらうのかわかりませんが、またこの巨大なオーナメント、
よくよく見るとリスさんがいたりしてこれが可愛いんだ。
わたしが眺めていると、やっと見学者が来た!とばかりに
「これは艦長とオフィサーのためのメニューです」
などとなどと張り切って説明してくれました。
あとは、自衛隊の幹部を招いてのレセプションなどでもこういうメニューだそうです。
ちなみにそのメニュー内容ですが、
ワイン 白ワイン リンデマンズ シャルドネ65年
赤ワイン リンデマンズ シラーズ50年
Maitre d'hotel kalowekamo(メートル・ドテル カロウェカモ)
メニュー
前菜 帆立貝 カリカリパルメザン乗せ オランデーズソース添え
ソースとコナッセトマト
主菜 パンフライドステーキ、自家製チップス乗せ
サイドサラダとコールスロー
デザート レモンチーズケーキ
コーヒー
シェフ・ド・キュイジーヌ LCh リンチ
ヘッドウェイターの名前はカロウェカモ・・・どこの人だろう。
また、シェフのタイトルLChはランゲルハンス島細胞組織球症・・
ではなくてランス・コープラル・ヘッド(嘘)
ちなみに、こういうメニュー付きのコースは毎日ではなく、
特別なオケージョンの場合に限られるとのことでした。
「自衛隊の幹部を招いてのお食事」などもこれに入るそうです。
そんなキュイジーヌの一例として写真がありました。
うーん・・・・・肉いかにも硬そうじゃね?
実は今、ワシントンDCにおりまして、さっき、ミシュランの
星を取った「ワシントン一のイタリアン」を食べて来たばかりなのですが、
雰囲気と接客はいいけど、肝心のお味が・・・・。
「これなら東京フォーシーズンズのコースの方がずっとリーズナブル」
「なんで食後のチョコレートの中に本当のフォアグラ入れるかな」
「アメリカンチェリーに金箔まぶす意味ってある?」
「アメリカン・ワギュウって・・・和牛の意味知ってるのかな」
家族も文句の言いっ放し。
結論としては、日本、特に東京の食のレベルの高さを
改めて確認することになりました。
みなさん、日本に住んでるだけではっきり言って食事に関しては
世界の勝ち組だとわたしは太鼓判を押します。
ここにはジェネラル・メス、つまり兵隊さんたちの食事メニューが展示されています。
こんなのも熱心に写真を撮ったりしているのはわたしだけでした。
こんな感じ。
ちなみに、今年の6月26日、海上における1日の食事は・・?
朝食 シリアル グリルドベーコン ソーセージ スクランブルエッグ
ベークドビーンズ 焼いたトマト トーストとジャム デニッシュペストリー
昼食 今日のスープ BBQプルドポーク チキンとマッシュルームパスタの焼いたの
ベジタブルナゲットとガーリックマヨネーズ(ベジタリアンメニュー)
V字型チーズ ベークドビーンズ
お好みのバゲット お好みのサラダ フレッシュフルーツ
夕食 ビーフシチュー チキンとブロッコリのラザニア モロッコ風ラム
マッシュルーム・ストロガノフとライス(ベジタリアンメニュー)
マッシュド&ボイルドポテト 焼き野菜 キャベツソース
ミックスフルーツのクランブルカスタード添え
見ると、毎食必ずベジタリアン用のメニューも用意されているのがわかります。
しかし・・・どうなんでしょう。
みなさん、このメニューだけで「美味しそう!食べてみたい」って思う?
説明してくれたこの彼は尋ねるとシェフであるということでした。
ということはこの人がリンチさんかしら。
シェフが髭を生やす傾向はイギリスにもあるようです。
長靴まで一体型?
消火活動用、耐火スーツがぶら下がっていました。
さてこちら。どうもダメコン、ダメージコントロール部門の道具展示です。
見本用?あるいは訓練用?
亀裂を入れた金属ブロックに、信じられないくらいぴったりと、
応急に木材片がぎうぎう詰め込んで穴を塞いであります。
穴に木材を突っ込む時にはトンカチでガンガンやるようです。
「床に穴が空いてしまった時にも木材突っ込むんですね」
「こんなんで水が防げるもんでしょうか」
などと見ながら話していると、テーブルの向こうにいた人が
急ぎ足でこちらにやって来ました(足が写ってます)
もちろん木材片だけではダメで、その上に金属製のボウルのようなものを被せ、
さらにその上に平らな木材の板を乗せるのだ、と実演してくれました。
なぜ平らな板を最後に乗せるのかというと・・・・・、
その板の上に、このテーブルの一番向こうにある伸張式の鉄の棒を乗せて、
天井まで伸ばしてテンションをかけ、浸水を防ぐのだそうです。
これが横壁に入った亀裂なら、壁に突っ張った棒をかまして抑えるのだとか。
初めて知りました。
自衛隊でも艦艇の公開の時にはダメコンの展示もしてはどうでしょうか。
こちらも完全に暇そうにしていた、天測の係。
白いボールは天測用気球だと思います。
甲板での展示は、基本このような艦上レセプションに使うような
天幕を張ってその下で行われました。
暑いことに変わりはありませんが、直射日光がないだけ過ごしやすかったです。
「ヴァイキング」が一台(というか2両連結)だけテントの下にありました。
ペイントでなく、黒いテープで車両番号を書いているので、
「82B」などはこのようになってしまいます。
せめてデジタル文字風にすればいいのに・・・。
後甲板のこの「ヴァイキング」は医療用らしきマーク入り。
柵がないのでその気になればですが、キャットウォークに飛び降りることも可能。
甲板にはそこここにいろんなマークが描かれており、見ていて楽しいです。
ちなみに「DEMIN」とは
Disaster and Emergency Management Information Network
=災害・緊急時管理情報ネットワーク
のことです。
キャットウォークに備えてあるサバイバルキットのバレルは、
「一度だけ使い切り」とマークされています。
すぐそこにいるのは湾岸クルーズのボート。
屋根も何もない座席だけのクルーズ、大丈夫か?という気もしますが。
なぜここにいるかというと、船の漕ぎ手が「アルビオン」を見に来たらしいです。
「アルビオン」の後甲板にもファランクスCIWSが装備されています。
冒頭写真は艦尾の海軍旗ですが、わたしは今回ロイヤルネイビーの旗を
初めてちゃんと認識しました。
この海軍旗を正確には「ホワイト・エンサイン 」と称します。
イギリス海軍には、海軍旗とシップス・バッジズの使用に関して、
正式な習慣と伝統が存在しています。
航海中、そして港では、海軍艦艇は海軍旗を掲揚させ、艦艇と潜水艦は、
日中ホワイト・エンサインを艦尾に、航海中はメインマストに掲揚します。
艦首に掲揚してあるのは厳密には国籍旗なので、国旗を意味する
「ユニオン・フラッグ」ではなく「ユニオン・ジャック」と称します。
これはまたロード・ハイ・アドミラル(海軍司令長官)を含む
司令官が乗艦している、という意味でもあります。
このデザインのベースになっている白地に赤い十字の旗は、
もともとイングランドの旗であったもので、その一隅に、
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
通称イギリスの国旗があしらわれているというわけですね。
続く。