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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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体験型装備展示の意味するもの〜ドック型強襲揚陸艦「アルビオン」

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さて、晴海で一般公開された強襲揚陸艦「アルビオン」に乗艦し、
車路になっている傾斜を昇って甲板にたどり着きました。

車輌が展示してあり、その上には海兵隊のいかつい兵士が。
太い腕に筋肉隆々な体躯、炯炯たる鋭い目つき。

・・これは何人か殺してる顔ですわ(比喩表現)

こちらにも。

予想通り甲板のうえは黒山の人だかりです。
それにしてもこの人の動かなさ、ただ珍しい装備を見ているだけではなさそう・・。
よくよく見ると、装備の周りに列ができてるじゃありませんか。

ええっ、もしかしたら車輌の上の銃の前に座らせてもらえるの?
まさか・・・・と思ったら、本当でした。

一度でいいから本物の銃の前に座って写真を撮りたい、
と願う少年と元少年、時々女性が甲板に長い列を作っていたのです。

車上の海兵隊員は一人ずつ銃の前に座らせ、カメラなりスマホを受け取って、
写真撮影をするために動員されていたのでした。

こちらはヴァイキング。
今緑の帽子の人が銃を構えています。
しかし、手間も時間もかかるこんなサービスをこの炎天下によく・・。

素晴らしい。王立海兵隊、なんて太っ腹なんだ!

こちら「コヨーテ」車上のロイヤルマリーンも、時々このように
誰に向かってかはわかりませんが、ポーズを取りながら、
にこやかに、というのではありませんが、実にフレンドリーな感じで
次々とやってくる日本人の相手をしています。

そうそう、車上のマリーンだけでなく「コヨーテ」も撮っておかなくては。
さっき艦内の壁にたくさん吊り下がっていたベルトのようなものは、
このように使われる(もしかして牽引用?)らしいことがわかりました。

ライトや信号灯が海中で浮遊物に当たって破損しないように、
車の前部にはガードが装着されています。

「コヨーテ」の武器は前部座席と後部上段に搭載されており、
今回皆が乗せてもらえるのはその後ろ側です。

ライフル銃を真横から撮ってみました。
銃座が車体に固定され、車両に座ったまま安定した姿勢で撃つことができます。
男子なら一度くらいこれで実際に撃ってみたいかも・・。

こちらも順番にのぞいて見ることができます。
この海兵隊のお兄ちゃんも、肘から先は(おそらく腕の根元まで)
倶利伽羅モンモンを入れています。

これはミニガンというやつでしょうか。

皆無茶苦茶楽しそう。

銃の型番とかはわかりませんでした。

それにしてもこの人の背中、汗でびっしょり濡れてますね。
とにかく甲板の暑さは大変なものでしたが、皆暑さもなんのその、
目を輝かせて銃を覗き込み、照準を合わせて引き金を弾いています。

甲板の上にはウォータークーラーが3台運び込まれて、
水分補給をすることができました。
わたしが手前のクーラーから水を注ごうとすると、
そこに座っていたおじさんが親切にも、

「こっちのが冷たいよ」

と教えてくれました。
わたしがこの日日焼けから肌を守るために掛けていたストールが
肩から落ちていたのを目ざとく見つけて、

「おネエさん引きずってる、引きずってる」

と教えてくれた人もいますし、全体的に雰囲気も和やかというか、
観艦式のあの殺伐とした雰囲気とは全く違うこの日の艦上でした。

おかげで人混みのなかで不快な思いをすることも全くなく、
心から楽しく過ごせたことをご報告しておきます。

女性なのにこんな巨大な無反動砲?を担いでる?

ということはありません。
三脚で固定した

NLAW(次世代型軽対戦車ロケット弾)

Javelin(対戦車ロケット弾)

(のどちらか)の下に潜り込んでスコープを覗かせてもらえるのです。
画像を検索すると、これ、実戦では普通に肩に乗せて撃ってます。
ということは、そんなに重くないのかな・・・。

指導しているマリーンの肩には「ロイヤルマリーン・コマンド」とあります。
この写真で気がついたのですが、この対戦車砲は練習用らしいですね。
砲身の上に「 DRILL」と書いており、砲口はダミーです。

アロハの人が担いでいるのがジャベリンだと思うのですが・・。
ちなみに「ジャベリン」とは槍投げ、または槍投げの槍を意味します。

それにしてもこの熱気を観よ。

東京ビックサイトでサバゲーに使うモデルに目を輝かせているのと
ほぼ同じ層の男たちが、嬉々として本物の銃に触るために
我慢強く順番を待っている様子は、なかなか微笑ましいものがありました。

つい夢中になって後ろに人がいるのにいつまでもブツを離さない人もあり。

わたしはこの光景からも日本の歪んだ現状を思わずにはいられませんでした。

一般公開で装備の銃を持たせたところ、たちまちパヨラーが発狂して大騒ぎ、
その後市民が銃火器に手を触れる機会は全くなくなったというのは一例です。

「武器を見せるな、持たすな、人目から隠せ、ないことにしろ。
つまり武器を持ったら戦争になる!っていう考えですよね」

「武装しなければどの国も戦争を仕掛けてこないって理屈に繋がりますね」

「そういうのを『ダチョウの平和』っていうんですよ」

こんな呆れた「常識」に屈しざるを得ない自衛隊の皆さんに対し、
国民の一人として隔靴掻痒のようなもどかしさと共に慚愧の念に絶えません。

自衛隊にこんな忖度をさせている責任は、実はわたしたち一人一人にあります。

海上自衛隊でもおなじみ、防火や救助のためのグッズ展示。
防火服の上にある測距儀みたいなのは何でしょうか。

Warfare、というのは交戦状態を意味する言葉で、

「The Warfare Department はHMSアルビオンを軍艦たらしめるものです」

というタイトルの元に、搭載できる最大の車両が

チャレンジャー2戦車

であることや、

LCUs(Landing Craft Utility)汎用揚陸艇

LCVPs(Landing Craft,Vhiecle, Personel)上陸用舟艇

4隻などを搭載している、という説明、さらに
2機の汎用ヘリコプター、ファランクスCIWS、

GPMGs(General Purpose Machine Guns)20mm汎用機関銃

Mk 44 6-barrelled Mini-gunsミニガン

を舷側に備えていることが書かれています。

それにしても皆さん、この景色を見て何か変だと思われませんか?

そう、女王陛下の強襲揚陸艦、一般見学というのに

柵がないのです。

もちろんこの向こうは海、と言ってもキャットウォークがあるので、
万が一端っこから落っこちたとしても大したことにはなりませんが。

自衛隊ならキャットウォークがあっても柵を張って、しかも
見学者にはもたれないようにとかいう注意が入るはずです。

「かが」の事故のように、自分で勝手にふらふらと歩き回り、
その結果穴に落ちたとしてもそれは自己責任。
軍艦の艦長がそんなことに責任を取らされることはありません。

日本以外の国ではだいたいそうなっております。

こちらでは匍匐姿勢による銃撃のエア体験ができます。
各銃に一人説明のマリーンが付いてくれるのが嬉しい。

ここは野営セットでしょうか。
テントも寝るだけのスペースにはこんなに低く建てるんですね。

つい先日海自のサマーフェスタでもお目にかかったばかりの
AED(自動体外式除細動器)人形にロイヤルネイビーの艦で再会しました。
救急医療セットの展示台になっているのは簡易式折りたたみベッド。

このコーナーでは防弾チョッキを(多分)試着できるぞ。
二人掛かりで装着してくれ、仕上げにはヘルメットも被せてくれるというサービスの良さ。

この甲板で見た光景は全くのカルチャーショックでした。

イギリス海軍は、おそらく自国でも一般公開の際には同じように
見学者に老若男女を問わず、装備を公開して、触ってもらい、
自国の防衛の実態を余すことなく知ってもらうということを
常日頃から普通にやっていて、ここでも同じことをしているのでしょう。

当然です。それが「普通の国」の軍隊というものです。

今、アメリカのニューアーク空港で飛行機を待っているのですが、
テーブルに備え付けのアイパッド(これで食べ物を注文する)では、
ゲームの待ち時間にすかさず海軍のそれはそれはかっこいいCMを入れてきます。


一方日本では、自衛隊に入隊を志望する人員が最近減少しているので、
年齢制限を引き上げるというニュースを最近耳にしました。

自衛隊がもしこの日の「アルビオン」艦上のような展示をやったら、
というか、もしここまでできるような組織であったら、おそらくですが、
ここまで募集に苦労するようなことにはなっていないはずです。

 

ついでに、この際真面目にいいますが、自衛隊の志願者を増やすためには、
まず大前提としてもっと国民が軍人にリスペクトを持たなくてはダメだと思います。

大災害の時には自衛隊の力をちゃっかりあてにする癖に、
学校や自治体で募集をさせてくれないとかは論外です。

また、一見味方のようでも、自衛隊員の労働環境をやれブラックだの
日常必需品にも困窮してるだの、殊更論って可哀想だ気の毒だと叫ぶ人を、
当の自衛隊員たちは決して自分たちの代弁者であるとは見なしていない、
むしろ自衛隊反対と叫ぶより「タチが悪いと思っている」とわたしは最近
「中の人」から伺ったので、ここにこっそりと書いておきます。

 

続く。

 

 


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