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呉艦船めぐり再び〜潜水艦の白煙

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呉港をめぐる「艦船巡りクルーズ」、続きです。

客引き兼添乗員兼解説の方の白いジャンパーは
クルーズを企画している会社の支給品だそうです。

「今はいいんですが冬もこれなので寒いです」

クルーズで解説はされませんが、こういうのにも注目してみる。
「工作部」とあるここは正確にいうと

呉造修補給所 工作部

造修補給処は英語で「リペア・サプライ・ファシリティ」。
修理し、補給を行う後方支援組織です。

「総務科」「計画調整部」「艦船部」「武器部」「資材部」

と並んでこの「工作部」があります。

工作部では各艦艇の修繕に関わるでしょうし、例えば
ここではなく江田島にLCAC専門の調整・修繕を行うところがありますが、
そこも造修補給所工作部の一部門です。

続いて見えてきたのは掃海母艦「ぶんご」。

向こう側に見えるのは輸送艦「くにさき」です。

「ぶんご」の甲板上にいた数人の乗員が手を振ってくれたので、
船の何人かが自衛艦旗を振ってそれに応えました。

「女性隊員がいますね」

宮崎で行われた掃海隊訓練のとき、艦内を案内してもらいましたが、
その時女性の幹部が指揮官配置についていると聞いたものです。
掃海艇にはまだまだ特殊(艇長がそろそろ誕生しているかもしれない)
ですが、掃海母艦には女性乗員が普通に1割くらいいる印象です。

それよりわたしが気になったのは艦腹の黒い傷跡。
何かにぶつけて擦ってしまいましたかね。
手すりに赤い旗が結びつけてあるのも気になるんですが、
この傷とは全く無関係でしょうか。

こちらも修理中らしい、艦番号3513、練習艦「しまゆき」。
2013年、海上自衛隊史上初の女性艦長(大谷美穂二佐)を
戴いた練習艦でもあります。

大谷二佐と同日、やはり練習艦(せとゆき)艦長となった東良子二佐は、
その後一佐に昇進し、現在護衛艦隊司令であるのは皆さんもご存知でしょう。

「せとゆき」の艦橋を拡大。
CIWSはじめアンテナなど、艦橋の下部分がカバーで覆われているので、
おそらく全面的に塗装を行う(行なった?)のだと思われます。

輸送艦「くにさき」が見えてきました。
人生初めて参加した観艦式で、乗っていた「ひゅうが」の隣の
「くにさき」が出航していく様子をこれも初めて見て感激したものですよ。

海軍の伝統を受け継ぐ出航の儀式、なんて美しいんだ!

ってね。(〃'∇'〃)ゝ

というわけでわたし的には非常に感慨深い思い出のある「くにさき」。
「くにさき」の横には「油ぶね」が横付けしてお仕中。

YO37は支援船第1種たる燃料補給船です。
自船の周囲にオレンジ色の浮きをめぐらせていますが、
これは万が一オイルが溢れてしまったとき、海に広がらないように。
だと思います。

「おおすみ」型輸送艦にはLCACを2隻搭載しますが、
「くにさき」にはどうなんでしょう。乗るのかな?

えーと、これはドアが両側に開いて、ラッタルが降りてきているところ?

解説の人が「一番小さな護衛艦」と繰り返していた「とね」。
ちなみに同じ名前の居酒屋が呉市内にありますが、ここには
代々「とね」艦長が写真とサインを贈呈する決まりがあるようです。

ちなみに戦前、巡洋艦「利根」というのがあって、
こちらは流石に普通の巡洋艦なので「とね」の二倍の全長でしたが、
初代の防護巡洋艦「利根」は奇しくもほぼ同じ大きさ
(利根=109.7m とね=109.0m)でした。

ちなみに今年の練習艦隊司令官である泉海将補が、かつて
艦長を務めたたことがあり、艤装艦長は、あの練習艦「かしま」の

「女王陛下にキスされて光栄に思っております」

で有名になった上田勝栄2等海佐(当時)でした。

 

ちなみにこの岸壁は有名な「大和」の写真が撮られたバースだそうです。

船はずいずいと進んで、潜水艦基地付近に差し掛かります。
「しお」型潜水艦が見えてきたぞ!
おまけに着岸してすぐらしく、背中にいっぱい人が乗ってる!

潜水艦は皆同じように見えますが、水上艦より見分け方は簡単で、
まずセイルの前部が直角なら「おやしお型」、カーブがあれば「そうりゅう型」。
後ろの潜舵がまっすぐ立っているのが「しお」、斜めのX舵なら「りゅう」型。

さらに、艦橋の小さなドアが丸いのは川崎重工製、
ドアに角があるのは三菱重工製、という区別もできます。

というわけでこいつは川崎重工生まれの「おやしお」型ということになります。

しかしこんなシーンは初めて見ます。
たくさんの乗員が全員潜舵に正対して傾斜に並んで立っているの図。

舫かけ作業の一環でしょうか。

ちなみに区別といえば、この写真で黒っぽい服を着ているのは幹部、
ブルーの作業着は曹士です。

迷彩服はどちらもが着ると思いますがどうでしょう。

なぜ岸壁に自転車があるのか。

はともかく、興味津々でこの作業を見るうちあることに気がつきました。
ダイバースーツを着た人がいる!

あーもう、後ろのピンクなんとかならないかな(イライラ)
せっかく潜水艦乗員の着岸後の作業を写真に撮れるチャンスなのに、
このピンクが写り込むせいで画面にいまいち緊迫感がな〜い!

という怒りはともかく、ここにはダイバーが三人もいることがわかります。
なんだろう。なんのためにダイバースーツを着ているんだろう。

ホースで水をかけているわけはわかりますよ。
解説の方が、

「潜水艦は港に帰ってきたらまず艦体に水をかけて、
潮を洗い流すんです」

と言ってましたから。
ちょっとびっくりしましたよ。
海に沈むものなのに、いちいち水洗いしてるんですか我が軍は?

US-2やP-3Cが海上を飛んだ後必ず水で洗うのはもっともだと思うし、
そうしないと機体が傷んでしまうというのはよくわかるのですが。

いやでもこれ、自衛隊だけでしょ?
アメリカ海軍が原潜にいちいち水をかけてるなんて想像できません。

ホースで艦体に水をかけて半世紀、この道のレジェンド、みたいな海曹。
(あくまでもイメージです)
ホースが金剛力士像のスカーフみたいになってます。

その向こうの「しお」型潜水艦はただいま充電中。
朝ここにくると、朝日を浴びながら白煙をだす潜水艦の
実に麗しい光景が見られるものですが、帰還後にもやります。

潜水艦は帰還すると艦体のハッチ部分にこのような「舷門」を立てます。
お天気が悪くても雨が艦内に入らないし、ハッチを一眼から隠せますね。

そうそう、解説の方は

「潜水艦が停泊してすぐにすることは、ハッチにカバーをかけること」

とも言ってました。
ハッチのドアの厚み=艦体の厚みなので、カバーで隠してしまうのです。

ラッタルを渡ってきた民間の作業員が、セイルを登って行きます。
もう一人の写真を撮っているおじさんに、教えてあげたのですが、
あっという間に丸いドアの中に消えていきました。

こちらは白煙を吐いている「しお」型の向こう側のやはり「しお」。
こちらの潜水艦のハッチカバーは全て黒で統一されています。

潜水艦基地のあるアレイからすこじまの海沿いには、
ご覧のような戦前から伝わる赤レンガの倉庫が立ち並びます。
いずれも現役で使われているようですが、やはり旧海軍時代から変わらない
岸壁の素材と相まって、本当に風情があります。

解説の方が自衛隊基地ではないところに泊まっている
この民間船についての説明を始めました。

「じょうみち丸」

という名前のこの船は、「イルカに乗った少年」で有名な
(というかこの歌しか有名にならなかった)城みちるさんという
地元出身の歌手の同級生が、同氏をリスペクトしてその名前を冠した
貨物船なんだそうです。

船が回り込めなかったので微かにしか見えませんが、
船橋に「イルカに乗った少年」のイラストが描かれてます。

イルカにのった少年 城みちる(1974)

城みちるさんは解説の人によると現在

「電気屋の店員をしている」「時々地元のイベントに出る」

そして、

「さすがは元芸能人、という感じで普通の人とは違うオーラがある」

とのことでした。
画像検索すると現在のお姿を見ることができますが、
「ほぼビデオのデビュー時そのまま」と言っても
過言ではありません。

某沢田研二さんにはいろんな点で見習ってほしいものです。

さて、「じょうみち丸」のところでクルーズ船は帰途につきます。
帰りにこのしお型の横を通りかかったら、甲板で幹部が
こちらを双眼鏡?でガン見しているのに気がつきました。

やっぱりクルーズ船に怪しい動きをしている中国人とかが
いないかどうかチェックしているのかしら。

文化産業遺産(だっけ)に指定された「大和の大屋根」が奥に見えます。

呉港にきて真っ先に目に留まるのはこの「大和のふるさと」の文字です。
最初にここにきた頃にはまだ「IHIマリンユナイテッド」といったものですが、
その後いつの間にかJMUという名前に変わりました。

海側から呉地方総監部の長官庁舎を臨む。
手前の地下司令室は、「ディア・ボス」でも紹介されていましたね。
TOの職場の人たちが皆で観ていて、後から

「あの地下壕、ぜひ一度見てみたいです!」

と興味津々だったそうです。

わたしは「池や」の天ぷらをぜひ食べてみたいと思いました。

というわけで、艦船巡りツァーは終了しました。
わたしはこの夜も、次の朝も呉の街を歩いてみたのですが、
またそれは別の日にお話しします。

 


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