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「長い灰色の線」マーティ・マーとは〜アメリカ陸軍士官学校 ウェストポイント見学

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アメリカ陸軍士官学校、ウェストポイントの見学記ですが、
今回は、陸軍士官学校奉職しその人生をウェストポイントに捧げた
実在の人物マーティー・マーを主人公にしたジョン・フォードの映画、
「長い灰色の線」の一部をご紹介しながら話してみたいと思います。

本物かどうかわかりませんが、映画は士官学校候補生が、グレイの制服に身を包み、
皆で校歌?らしきものを合唱するシーンから始まります。

タイトルの「グレイ」はまさに彼らの制服の色であるわけですが、
彼らのアイテムである火薬にちなんでいるらしいですね。

帽子の黒、ジャケットの灰、飾りなどの黄色、全て火薬の色とか。

なんかこじつけとしか思えないんですが、まあ海軍のように錨とか、
海を表すブルーとか、一目でそうとわかるシンボルがないものでね。

 

世紀のイケメン、タイロン・パワーが若者から退職時までを演じる
マーティ・マー(Marty Maher)とはそれではどんな人物だったのか。

「marty maher west point」の画像検索結果

Martin "Marty" Maher、Jr. (1876年6月25日 - 1961年1月17日)は
アイルランド生まれ、 1899年から1928年まで
アメリカ陸軍士官学校で水泳のインストラクターを務めました。

ウェストポイントの士官候補生やスタッフに非常に尊敬され、
賞賛された彼は、三回クラスの名誉会員に選ばれています。

84歳で亡くなった後、ウェストポイント墓地に埋葬されました。

最初の二年間、彼は候補生食堂のウェイターでした。
候補生食堂で、ウェストポイントの「下級生しごき」の一種、
いきなり「レザーとは何か」という質問をぶつけられ、

「動物の皮を剥ぎ毛や脂などを除去しタンニン酸に浸したもの!
するとゼラチン質が非腐敗性の物質に変成し水に強くなる!それが皮です」

ととてつもない早口で答えているプリーブ(一年生)を
不思議そうに眺めるマーティ。

陸軍入隊を決めたマーティ。
担当の大尉はジョン・パーシングといいます(本物)

皿を割ったりしてあまり楽しくないウェイター生活。
マーティは2年後陸軍に入隊し、キーラー大佐のもと、
体育のインストラクターになります。

彼はウェストポイントの給養だった同郷のメアリーオドネルと結婚。
子供は映画でも描かれているように生まれて数時間で死亡してしまいます。

二人は候補生たちを子供と思ってウェストポイントで生きて行く決心をし、
そして、任官し戦争に赴く教え子たちの幾多の死を見届けることになる・・・
というのが映画のストーリ。

さて、わたしたちのツァーはチャペルの見学を終えました。
校内見学ツァーのためにこんな立派なバスがあります。

コースはロングコースとショートコース。
わたしたちのは短い方でした。

走るバスの窓からもいろんな軍学校ならではの施設が見られます。
こんな石碑だとか・・

トレーニング中の女子学生とか。
自衛隊と同じく暇さえあれば校内を縦横無尽に走り回る模様。
友人同士らしい二人のアフリカ系女子学生、辛そうです。

フィジカルデベロップメントセンター、それはすなわち体育館だと思われ。

体育館がこんなに広いわけかい、と今更ながらに驚きます。
先ほどの資料によるとウェストポイントは某大の千倍の広さですから、
体育館も単純にそれくらい大きいと考えると納得です。

某大だってここと比べなければかなか立派な施設だと思うんですけどね。 

ところでマーティ・マーですが、経歴によると、陸軍入隊後、彼は
体育教官として軍曹待遇で仕事を始めました。

今はそんなことはないと思うのですが、当時の体育教官(の偉い人)
キーラー大佐の引きがあったからだと思われます。

そして割り当てられたのが、水泳のインストラクター。

ところが彼は実際にも泳ぐことはできなかったのですから驚きます。
ものすごい原始的な方法で水泳の訓練を行うマーティ。

みんなの前で教官らしく取り繕うマーティ。
ところが実際のマーティ・マーは、教官としては大変優れていたらしく、
自分が泳げないのにどんな指導をしたのか、泳げなかった士官候補生も、
彼の元を去るときには泳げるようになっていた、というから驚きます。

オーストラリアから来た兵隊上がりの士官候補生は、水泳の腕は抜群でしたが、
学科についていけなくて悩んでいました。

マーティはそんな彼を自宅に呼び、家庭教師をつけてフォローしてやります。

この生徒はのちに家庭教師と結婚し、二人の間に生まれた男子は
長じて士官学校に入学することになるのでした。

うっかりプールに落ち、泳げないことがバレてしまいました。
でも候補生たちの彼に対する信頼と愛情は揺らぎません。

彼がいかにウェストポイントで愛されていたかは、まだ彼が生きているうちに
この自伝的映画が制作されたことに表れています。

マーティ・マーはタイロン・パワー演じる自分の映画を観ているのです。

サッカーグラウンドの向こうにそびえ立つオベリスク。
その頂上の天使像はハドソン川を眺めるように立っています。

バスの中からグラウンドにヘリコプターが降りたのに気がつきました。
系統としてはフライング・エッグの進化系ですかね。
ドアには陸軍のマークが描かれ、VIP専用機であることがうかがえます。

ヘリの乗員らしい人に候補生が話しかけていますね。

偉い人が用事を済ませるまでここで見張りをしているのだと思われます。

キャンパスのいたるところには迷彩服に大きな黒いバックパックを背負った
士官候補生たちの姿を見ることができます。

ここウェストポイントはニューヨーク州のハドソンリバー沿いにあり、
夏はこの日のように死ぬほど蒸し暑くて冬は凍死するほど寒いお土地柄。

いずれも外に出たくない過酷な環境という、軍学校としてはこれ以上ない
「鍛錬の場」であるからかもしれませんが、
どこかのアナポリスのように地下道で建物同士をつなげたりしないのです。

当然、罰則の「歩け歩け運動」も、この人に優しくない天候のもと粛々と行われ、
いやでも反省が骨身にこたえるという効果があるというわけです。

某大で第4大隊に当たったくらいで遠いの損だの思っている人、世界には
上には上があるということを覚えておくと、ちょっとは気持ちも楽に・・

ならないか(笑)


続く。


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