ザルツブルグを後にし、国道158号線、通称ヴォルフガングゼー通りを通って
車でウィーンに戻ることになりました。
ヴォルフガングゼーというのは、ザルツブルグからウィーンにいく途中にある
ヴォルフガング湖のことです。
UボートのUは「ウンターゼー」で「海の下」、ゼーは「海」という認識でしたが、
ドイツ語では潮の有る無しに関わらず、水が溜まったところは「ゼー」のようです。
整備されていて、高速並みに走りやすい一般道路です。
もともとウィーンからザルツブルグまでは汽車で移動するつもりでしたが、
出発の日気まぐれを起こし、車で行くことになったため、帰りにはこれも思い付きで
車ならではの自在性を生かし、湖のほとりの街に立ち寄ることになったのです。
鉄道の旅を選んでいたらそれなりに楽しい体験ができたとは思いますが、
こちらは車で来ていなければ一生縁がなかったかもしれませんん。
さあ、それではヴォルフガングゼーに向かって、
ヴォルフガングゼー・シュトラーセを Lass uns gehen!
ザルツブルグ市内を抜けたらもうそこは普通に田舎で、
道路脇で牛さんが草を食んでいたりします。
オーストリアの牛はご覧のように茶色〜白い毛並みです。
ホテルを出て20分も行かないうちに、わたしは道路脇に戦闘機がいるのに驚き、
助手席のMKにカメラを渡して走る車から写真を撮らせました。
さりげに向こうに見えている重機がボルボ製なのにもちょっと驚きますが、
それにしてもこの戦闘機は一体・・・・なんでしょうか。
画像を調べてみたものの、またどうせ当たらないのは確実なので、
ヨーロッパの兵器に詳しい方々に特定をお任せしたいと思います。
でもF35のノーズにちょっと似てるよね?(言ってみただけですのでお気になさらず)
ところでこの建物、この写真に「museum」と写っていたので調べてみたら、
ここは
「マンロー・クラシック アウト・ウント・ムジーク・ムゼウム」
といって、フェラーリやメルセデスなど、ヴィンテージ・カーの
博物館であるらしきことがわかりました。
ムジーク、音楽については、見てみましたがなんだかよくわからない展示です。
なんかもしかしたら、単なる個人のコレクション自慢、つまり
レッドブルオーナーのコレクション自慢ハンガー7のしょぼいバージョンだったりして・・・。
それにしても博物館の内容に全く戦闘機関係ないのでワロタ()
この戦闘機以降、MKにカメラを渡して窓の外を適当に撮ってもらいました。
まるで絵のような一本道の突き当たりにある家は現在新築中。
写真を拡大してみたら人が働いていました。
冬は雪に覆われるので、工事は夏の間に終わらせるのでしょう。
さらに走っていくと、岩山の山脈が見えてきました。
オーストリアのバス停はガラス張りの三方囲まれたブースで、
雪の降る冬でもバス待ちが辛くないように工夫されています。
国道沿いのレストランも日本人の目にはどれもおしゃれな作りに見えます。
右側にある「ギムセンヴィルト」というレストランはハンガリー料理だそうですが、
スープが辛そうなのと、デザートの巨大さで、オーストリア風だと思いました。
この辺りには結構とんでもない形の岩山が多いです。
ザンクト・ギルゲンという街に差し掛かりました。
日本からはオーストリアの観光地としても有名です。
観光の目玉は・・・・・・・、
そう、ロープウェイ。
可愛らしい数人乗りのゴンドラが行き来しているのが車道からも見えました。
ゴンドラは4人乗りで、家族やカップルだけで乗ることも
空いている時なら可能ですが、大抵は相乗りになるようです。
ゴンドラは小さくて、大人四人のるとかなりキツキツだとか。
建物に「Zwölferhorn-Seilbahn」とありますが、これが乗り場です。
開業して60周年を迎えたと書いてありますね。
黄色と赤の二色のゴンドラが可愛らしい。
ザンクト・ギルゲンのロープウェイは10分くらいかかるので、
長い間空中散歩が楽しめるそうです。
子供連れはもちろん、恋人同士や新婚旅行のカップルに超おすすめです。
地図を見ると、こんな長い距離(赤い点線)の路線でした。
右側はヴォルフガングゼー。
終点は山の頂上で、今の季節は問題がないですが、冬は雪に覆われています。
そこからはスキーコースになっているので、地元のスキーヤーには
板を履いて山頂まで自力で登り、一気に滑り降りたりする人もいるとか。
道の横が切り立った崖で、上まで1.2kmあり、岩が落ちてくるかも、
という立て札ですが、こんな垂直の崖の上から岩が落ちてきたら
注意していてもどうしようもないと思います。
程なくヴォルフガングゼーに到着しました。
信じられないくらい水が透明で、深いところは濃いエメラルドグリーンです。
この辺の地形は、切り立った岩山が屏風のようにそびえており、湖は
その岩山の合間に細く切り込まれるような形で水を湛えているのですが、
つまり、湖の底質は泥ではなく岩石多めなのでしょう。
水に濁りのないのはおそらくその岩質も白っぽいからだと思われます。
対岸はすぐそこに見えていますが、これは湖が細長い形をしているからです。
湖を気持ち良さそうに泳いでいる人が。
水の色を見る限り、彼の泳いでいるところはとても深そうです。
湖の周りは全く護岸など人の手が加わっていない状態で、
湖岸の芝生には、多くの市民が湖水浴を楽しんでいました。
この地方もこの季節日向は猛烈に暑いですが、湿度が低く木陰は清涼で、
湖水もおそらくは温度が低いのだろうと思われます。
海水浴と違って真水の、しかも飲めそうに綺麗な水ですから、
シャワーなども必要ありませんし、もちろん入場料も要りません。
ついでに、車は道路沿いにパーキングスペースがあって、無料。
それほど人も多くないのでのんびりできます。
こんな週末の楽しみ方があるなんて、羨ましい限りです。
また車に乗って走り出しました。
「あんな岩山の頂上、今まで誰も登ったことないんだろうね」
「それがあったりするんだよ」
「なんのためにあんなところに登るの?」
「イーサン・ハントが休みの日ににロッククライミングするんだよ」
ウィーンに帰る前に、早めに給油しておこうとガソリンスタンドに寄りました。
ところがこのガソリンスタンドというのが・・・
こんな農場の一角にあったりするわけです。
ガソリン入れながら牛の群れを眺めるこの不思議な体験。
そのうち、お食事タイムが終了したらしく、牧童が牛を追い立て、
彼らはお行儀よく一列に並んで歩き出しました。
わたしたちはアメリカに行くと、いつも「ホールフーズ」という
全米チェーンのオーガニックスーパーを利用していますが、肉を買うとき、
値札に書いてある
「グラス・フェッド(grass fed)」
「グレイン・フェッド(grain fed)」
を必ずチェックします。
一般的には牧草を食べて育った牛は、
穀物を食べた牛より肉が美味しいので、高価だとされます。
これは、安い肉牛を扱っている畜産場の管理の問題でもあり、
穀物の持ちを良くするために保存料を入れたり、ひどい場合には
飼料桶の手入れが悪く、腐ったような餌を食べている牛だと、
当然ながらその肉は安いが劣悪であるということになっているからです。
ちなみにホールフーズの場合、時としてそれらの値段は同じですが、
つまり、ここと契約している畜産場は、穀物を食べさせているとしても
管理がしっかりしていて飼料はノーケミカルであるという意味でもあります。
それにしても、高価といっても日本の一流店で食べれば
いくらするかわからないようなテンダーロインが、たっぷり三人分
(日本の四人分)30ドルくらいで買えるのですからたまりません。
これをレアに焼いて食べるとめっぽう美味しいので、我が家ではこの夏、
家ではかつてやったことがない「ステーキ祭り」が開催されております。
このヴォルフガンブゼーの牛さんたちが乳牛なのか肉牛なのかはわかりませんが、
きっと牛乳も肉も美味しいのだと思われます。
余談ついでに、わたしがアメリカに来るといつも選んでいる、
ケリーゴールド社のアイリッシュバターをご紹介しておきます。
今まで、何の気なしに選んで、ただ美味しいからと買っていたこのバター、
気づけば有名なグラスフェッドの発酵バターだったのです。
日本で見る真っ白なバターと違い、色は本当のバター色。
食欲をそそる色をしていますが、これは牛が牧草を食べているからだとか。
日本でも買えるそうですが、一箱1000円くらいするとか。
さて、ヴォルフガングゼーの
ザンクト・ヴォルフガング・イムザルツカンマーグート
に行くためにを湖を左回りに回り込んでいく途中に
湖沿いにあるシュトローブルという街に差し掛かりました。
ところどころ山がトラ刈りにされています。
「まさかスキー場?」
「あんなところ滑れないよ」
「だとしたら超上級者向けゲレンデだ」
そういえばゲレンデってドイツ語ですよね。
調べてみたら、この近くにはスキー場がいくつかあるようです。
続く。