天皇陛下の即位の礼、みなさまご覧になりましたでしょうか。
朝から降り続いた陰鬱な雨が、式典の始まる少し前から晴れたことに、
人智を超えた神秘的な力を感じた方は多かったでしょう。
巷にこれを「天皇晴れ」と呼ぶ向きもあるそうですが、
わたしはやはり天照大神の御意志を思わずにいられません。
このような奇跡のような存在である象徴を戴く国に生まれたことを
こころから嬉しく、有り難く感じさせてくれた一日でした。
さて、今日こそは最終回の観艦式中止に伴う艦艇一般公開シリーズです。
9時前から船越に始まり逸見の基地を4時間休みなしで歩き、
さすがのわたしも疲労を覚えつつ最後に乗艦した三隻の護衛艦。
「はるさめ」の甲板を舷側に沿ってできた列に並びながら歩いていたとき、
となりの「あさひ」艦橋の窓に人影を認めました。
一人の海曹さんが見学客の現在状況を確認しているようです。
理由はすぐにわかりました。
なかなか前に進まない列に粛々と並ぶ多くの乗艦客に向けて、
「あさひ」艦橋ではウィングからパフォーマンスを行うことにしたようです。
先ほど来客状況を確認していたのとは違う海曹がMCを行い、
「総員起こし」に始まるラッパの展示を行いました。
終わると、
「みなさま拍手をお願いします」
というコールに対し、並びながら皆素直に拍手を送ります。
続いて「食事」のラッパに続き、アナウンスの人が
「それでは陸自の食事のラッパをお聴きください」
予定になかったのか、ラッパ手は一瞬え?とためらっておられましたが、
「どっどどどっど みっみみみっみ どーみどーみそっそっそー」
「みなさん、こちらはコマーシャルで聴かれたことありますよね。
そう、正露丸です!」(商品名バッチリ)
正露丸はもともと日露戦争のとき「征露丸」(ロシア征伐のお供という意味)
として売り出されたもの、ということをこの海曹くんは知ってるかな?
続いて、「課業はじめ」、そして、ラッパ的に難しいらしく、
時々失敗してしまうこともある「出航ラッパ」が演奏されました。
そのとたん、後ろに並んでいた女の人が、
「あ、この人上手い」
とわたしが思ったのと同時に言いました。
「ドミソドー、ドミソドー、ドミソドッミソッソソー」
という音形はゆっくり吹けばたぶんなんでもないのですが、
出航のシーンにちんたら吹いていてはいけない!と気が逸るのか、
たいていの人は急ぎ過ぎて失敗しているようにお見受けします。
【出港らっぱ10連発】いろんな護衛艦の「♬出港よ~い!!」集めてみた
ちょうど面白い(そして画質がいい)出航ラッパ特集を見つけました。
初ラッパなのか超失敗して動画を撮っている人が笑ってしまっている艦あり。(-人-)
「あさひ」のこの上手なラッパ手さんはベテランの余裕でしたが、
誰でも最初に吹く出航ラッパは、とにかく緊張するものとお察しします。
ところでこのビデオで一番上手いの、みなさんはどの艦だと思われますか?
わたしは決して速すぎず、最初のドミソが潰れず、最後のソーに伸びがある
「かしま」を推します。
「ふゆづき」は最後の「どみそどっみそっそそ〜〜」のあとの「ド」が
わざとなのか間違いだったのかで評価が分かれるところです。
「あさひ」の舷門にたどりつきました。
なぜ列がなかなか進まないかというと、ラッタルは安全上一人しか乗れず、
前の人が渡り切るまで待たなくてはいけないからでした。
就役してまだ1年半の「あさひ」の看板は木肌も新しい感じです。
新鋭艦だけに、舷門脇には電光掲示板があるという充実ぶり。
ちょうど「ださい!」となっていますが、狙ったわけではなく偶然ですよ?
近接武器システムは「むらさめ」以降一貫してファランクス。
本体の右側に見えているレンズ状のものは赤外線センサーです。
「あさひ」甲板から「はるさめ」甲板に並ぶ人たちを見たところ。
こちらより混雑しているように見えますがその通りで、「はるさめ」でも
艦内見学を実施していたため、艦橋に上る列の外側に
通過して「あさひ」に行きたい人の列ができていたからです。
「あさひ」の主砲はアメリカ海軍製のMk.45 5インチ砲。
自衛隊では「あたご」以降の汎用DD、つまり「あきづき」型、
この「あさひ」型(『あさひ』『しらぬい』)、そして
現在公試試験中の「まや」型にこのMod4を搭載します。
「あさひ」艦首部分。
せっかくここまで来たので、中も見学することにしました。
艦橋やその他の見学はできませんが、当たり障りのなさそうな食堂の階は公開しています。
現在はまだ2代目で余白の方が多い歴代艦長の名簿、そしてまだ艦歴は始まったばかり。
平成30年3月1日 第二護衛艦隊 第二護衛隊に編入
令和元年5月17日〜6月3日 日米豪韓共同訓練(PV19-1)
令和元年6月19日〜7月2日 G20大阪サミット支援
これだけです。
まだまだ廊下もいたるところに巡らされたパイプの類もピカピカです。
艦内神社の神棚も白木も芳しい状態ですが、写真に撮ってみると・・・
「あさひ」には御祭神がまだ座しておりません。
祖神のないままの神棚というのは初めて見たわけですが、
特に御祭神を定めず鏡を御神体としているとか・・・・?
休憩所の案内プレートは・・・大正モダニズム?
食堂を通り抜けるのになぜか列が全く動かず、時間がかかるので、
何があるのだろうと思ったのですが、本当にただみんな
中を通り抜けているだけでした。
休憩所として開放していたらしく、テーブルには何人かがすわっています。
ロッキードマーチン社では、弊社VLSをお買い上げくださった皆様に
もれなくVLS使用中の想像画を豪華額縁入りでプレゼントしております。
MK 41 Vertical Launching System (VLS)
ついでにRM社のVLSイメージビデオをご覧ください。
新鋭艦ならではの最新機器を発見しました。
ダイヤルキー付きのスマホ収納ケースです。
任務中スマホを持てないことが若い人の募集の支障になる、
という自衛艦勤務ですが、こんなふうにチェックしやすくなっていれば大丈夫。
・・・・かな。
格納庫には艦尾に揚げるための大きな自衛艦旗が
「撮影スポット」となっていました。
そこに現れたのが特別警備隊らしき隊員の皆さん。
警備と臨検などを行う特殊部隊なので銃を携えています。
観艦式が実施されていたら、特に旗艦には重点配備されていたのでしょう。
「あさひ」では、インスタ用ボード(手作り)を投入。
船務長がシャッターを押してあげています。
そして、護衛艦艦上で入隊を決めたらしい若者が。
この日艦上でどれくらいの申し込みがあったのでしょうか。
この公開がすこしでもたくさんの募集につながったことを祈るばかりです。
「あさひ」からは「はるさめ」「たかなみ」の後甲板を通って退出します。
「はるさめ」格納庫内に飾ってあったバナー。
DSPEとは、
Deployment Surface Force Counter Piracy Enforcement
のことで、「はるさめ」が参加したのは2009、2012、
そして一番最近では2014年でした。
ソマリアの海賊対処なので、髑髏をあしらったんですね。
ここにもインスタボードをスタンバイしている隊員さんがいます。
春雨さんボードも、ある種の人々に向けての広報効果を期してのことでしょうか。
ところでこの画面の左に写っている女性が持っているバッグは、
この日の「観艦式土産」ですが、これが非常にセンスがよろしくてですね。
このようなデザインの布巾でした。
船越と逸見、どちらでももらいましたが、いくつあっても困らないので大歓迎。
その他、訪問した艦艇ではパンフレットと「艦艇カード」を配っていましたし、
「はるさめ」では、ファイルケースを全員にプレゼント中。
一人一つづつということなので、二種類のうち最初潜水艦柄を選んだのですが、
よく考えたら同じのを持っていたので、取り替えてもらおうと、
「すみません、やっぱりUS-2に変えてください」
と持っていくと、
「いいですよ、返さなくて。どっちもお持ちください」
と結局二種類頂いてしまいました。
ところで、観艦式のチケットがオークションで売られているかどうか
確認するために某オクを知らべたら、なんとこのお土産バッグが
オークションに出され、それに何千円も出して落札している人がいました。
売る方の神経も買う方の意図も全く理解できないんですがそれは。
ところで、先ほど乗艦したとき給油作業を始めていた油船ですが、
「あさひ」艦上で見ると、給油の真っ最中。
そして艦艇見学を終えて出口に向かうころには、作業が終わり、
ちょうど給油ホースを片付けているところでした。
引き揚げながら真水をホースにかけて塩分を洗い落としています。
自衛隊には実にいろんな仕事があると基地を訪れるたびに思います。
こうして令和元年度の海上自衛隊観艦式は終わりました。
海上での観艦式が実施されなかったことは残念でしたが、
一堂に集まったこれだけの数の護衛艦を、いわば自分が観閲官となって
その全部を巡るなんて、通常の一般公開では体験できることではありません。
次回の観艦式の時に海上自衛隊がどうなっているのか、そのときには
どんな形で、どんな艦が、誰によって観閲されるのか。
そんなことを予想しながら待つのも、また一つの観艦式の楽しみと考えながら
横須賀基地をあとにしたわたしでした。
観艦式中止に伴う一般公開シリーズ 終わり。