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打ち上げ花火〜令和元年度 自衛隊音楽まつり

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 航空中央音楽隊の演奏をもって、全音楽隊のステージが終了しました。

真っ暗な会場の一隅からドラムの音が響きわたり、会場は
スポットライトに照らされた音のする方を注目します。

バルコニーのようになった部分には陸自中央音楽隊の打楽器陣が
まるで戦いを挑むかのようにドラムを連打していました。

それが終了すると、別の一隅から海自東京音楽隊の打楽器が
呼応するように聴こえてきます。

これは面白い。陸海「ドラム合戦」です。
ドラム合戦といえば思い出すのは「嵐を呼ぶ男」ですね。(わたしだけ?)
石原裕次郎演じる主人公が敵役のチャーリー(笈田敏夫)と、
交互にドラムを叩いてやっておりましたね。ドラム合戦。

左手を怪我していた裕次郎が痛みに顔を歪めるとニヤリと笈田が笑ったり、
苦し紛れに裕次郎がスティックを右だけで持って、

「♬オイラはドラマー ヤクザなドラマー」

と歌うとなぜか試合に勝ててしまうという展開に大いに笑わせてもらったもんです。

というのは余談もいいところですが、このドラム隊、
長方形の会場の対角線上に位置していたため、音は聴こえても
どこにいるのかわからないという人も多かったと思われます。

わたしも予行演習の初日、陸自は後ろから二人が見えただけ、
海自は大きなスクリーンに隠れて全く見えませんでした。

陸海ともに独自性を出していて、陸の叩き方はまるでドラムを叩く人形のような。
いつもスティックが地面と平行になっている感じの奏法です。
ところで今この画像を見て初めて気付いたんですが、後ろには北部方面音楽隊もいます。

海自は頭を深々と下げ、スティックを縦にして。
応酬が一頻り済むと、(位置が遠いので難しかったと思いますが)
両者が同時に演奏を行いました。

さて、またしても唐突にこの日行われていた航空祭の写真です。

わたしの知り合いは、音楽まつり常連ですが、日にちが重なった今回、
百里基地を選んだ理由をこう言っていたそうです。

「ファントムが飛ぶのを見られるのはおそらくこれが最後だから・・」

アメリカの航空博物館に行くとすっかり過去のヴェテラン機として
長いことお疲れ様状態で展示されているところのF-4ですが、
我が航空自衛隊ではアップデートにアップデートを重ね、今日まで現役でした。

随分前からもう最後といわれてきましたが、今回は本当に最後の展示となります。

このシャークペイント、アメリカでよく見るタイプです。
でも明らかにペイントが日本の方が丁寧でキマッています。
向こうのは時々シャークの顔がヘンだったりするんですよね。

空自大サービス、各種ペイントを施してのサヨナラフライトでした。

ファイナルイヤー塗装(赤い鷲)のF-4。
長い間お疲れさまでした!

さて。

暗い会場にスポットライトが浮かび上がらせたのは、
陸自の迷彩服を着た隊員の姿です。

自分が座っている木の箱を打ち鳴らし始めました。

この木の箱は「カホン」という打楽器で、このように座って叩くのが正式です。
跨って演奏するのがペルー式カホンだそうです。

カホンのリズムにピアノのイントロが絡んで始まった曲は
米津玄師の「打ち上げ花火」。

DAOKO × 米津玄師『打上花火』MUSIC VIDEO

アニメが素晴らしいですね。
風景の美しさに見入ってしまいました。

出だしのメロディを海自のサックス奏者が取ると、陸自がそれを受け継ぎ、
ワンコーラスだけの演奏が行われます。

と思ったら、アニメ「天気の子」の挿入歌、RADWINPSの
「愛にできることはまだあるかい」のメロディをベトナム人民軍が演奏しながら登場。

愛にできることはまだあるかい

RADWINPSといえば、「HINOMARU」という曲で左翼(と自称する日本嫌い)
に非難轟々だったという事件を思い出しますが、彼らはすでに
そんな炎上などなんの瑕疵にもならないくらいの評価を築いています。

反対側からはドイツ連邦軍の女性奏者が吹きながら輪に加わります。

ソロを受け渡しながらカホン奏者を中心に四重の輪ができました。

曲は同じRADWINPSの「グランドエスケープ」にかわりました。

【天気の子】グランドエスケープ(RADWIMPS) / めありーfeat.カタムチ cover

そういう効果を狙ったのかもしれませんが、このステージの三曲は
どれもよく似た曲調で、全く知らない人には違いがわからないかもしれません。

というより、三曲のYouTubeを見ればおわかりのように、本ステージの曲は
全てアニメの挿入歌から選ばれているのです。

いまや日本独特の文化として世界に認知されているアニメの曲を
外国バンドを加えた全員で演奏するということがテーマだったのでしょう。


曲を変えながら人の輪は一つ、二つと増えていき、最終的に7重にまでなりました。

これが入場して輪を形作っている時の楽器の持ち方基本形。
ところで一番後ろのクラリネット奏者のズボンにはなぜラインがないんだろう。

ちなみに彼らの階級は前から伍長(コーポラル)、軍曹(サージャント)、
一等兵(プライヴェート・ファーストクラス)で、真ん中の女性が最先任です。

 「グランドエスケープ」の

♬ 夢に僕らで帆を張って 来るべき日のために夜を超え
いざ期待だけ満タンで あとはどうにかなるさと肩を組んだ

の部分をアカペラで全員で歌うという趣向です。

会場に拍手を求め、歌える人は歌ってね、みたいなひととき。
ただしここの部分、外国招待バンドの隊員さんたちには歌えないと思うのですが、

ほんのたまーにいるんだよ。一緒に歌っている人が。
ドイツ連邦軍のこの人は、偶然口を開けていただけかもしれませんが、
在日米軍の中には真面目に紙を見ながら歌ってる人もいるのでびっくりです。

駐日しているうちに日本語が堪能になったとか?奥さんが日本人とか?
音楽家は耳がいいので歌詞くらいなら覚えて歌えてしまう人もいるのかも。

ついドイツ連邦軍の皆さんはこの場を楽しんでいるかしら?
と、わたしは目で追ってしまうのでした。

謹厳なドイツ人にはこういうのって肌に合わないんじゃないかと・・・。

あ、よかった。問題なく楽しんでおられるようです。

初めての日本での公演、彼らにとって、いい思い出になればいいですね。

あと、ベトナム人民軍参謀部儀礼団軍楽隊の皆さんは、この出演を糧として、
他の軍楽隊のステージパフォーマンスからいい刺激を受け、さらなる発展をして欲しいです。

アメリカ陸軍軍楽隊には何もいうことはございません。
どんなときでもその場の空気を読んで盛り上げてくれます。

というか、彼ら自身が本当に楽しんで音楽をやっているって感じ。

そのあと、一瞬会場が静かになり、「ひゅう〜〜〜〜」と音がしました。
会場の全楽隊が手をかざして上を見上げると、スクリーンでは、
そう、「打ち上げ花火」が。

花火が炸裂したあとは、最初に戻って「打ち上げ花火」を演奏します。

一番外側の列には海自と空自のカラーガード隊も加わっていました。
全部隊出演ということですが、流石に第302保安警務中隊はおりません。

いわゆるスイッチオフの姿は決して人前で見せないのが保安警務中隊なのです。
(でも正直ちょっと見たい気もする。彼らのそういう姿を)

「打ち上げ花火」を全員で演奏しながらフォーメーションを変えていきます。

その間32小節。
曲が終了した時には・・・・

ピースマークの顔が二つ、会場のどちらからも顔がちゃんと見えるように
向きを変えてできていましたとさ。

 ベトナム軍の左側のかたまりがピースくんの右目となります。
こんな大々的な人文字を描けるのも代々木体育館ならでは。

最初の日は音が遠くに聞こえるような気がして、
「やっぱり武道館の方が迫力があっていいなあ」と思ったものですが、
こういうことができる広さは効果の点で替え難いですし、武道館より
「いい席とそうでない席の格差が少ない」という公平さもあります。

なにより、今回人の出入りを管理しやすかった、と自衛隊が判断したら、
もしかしたら来年から会場はここになるかもしれません。

 

さて、このステージで皆がピースマークを作りだしたとき、
ステージには後ろに防衛大学校の儀仗隊が進入してきていました。

防大儀仗隊、ファンシードリルの始まりです。

 

 

続く。

 

 


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