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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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映画「オキナワ 神風との対決」〜史上最低の戦争映画

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「世紀の駄作」と人のいう戦争映画、「OKINAWA」2日目です。

オキナワと題名につけるのであれば、沖縄上陸もからめ、
陸戦の様子や、せめて艦砲射撃によって死んでいく
挺身隊の女生徒などの描写もあればまだ見られるのですが、
この映画における「沖縄」とは、どこにあるのか知らないけれど、
アメリカ海軍の一個艦隊で全体を隙間なく周りを包囲できる、
淡路島の半分くらいの大きさの島であり、
彼らがどこかわからないまま艦砲を打ち込んでいる(らしい)
観念上の島にすぎず、相変わらず映画は
艦上で総員配置と解除をくりかえして時間稼ぎしております。

先日「マーフィーの戦争」の項でご紹介した
「SAVE THE CAT」の法則に当てはめるまでもなく、
まったくこの映画には、人の興味を継続させる要素が見当たらないのです。

もしブログで扱うという使命?がなければ、
おそらく始まって10分で観るのをギブアップしていたに違いありません。

何度目かわからない総員配置の間にも、
無線からは前方の艦が特攻にやられたと連絡が続々とはいってきます。

「機関室が炎上中!」「こちらも複数命中した!」

映像はありません。通信だけです。

全速でそちらに向かうことになった駆逐艦「ブランディング」ですが、
それを全く知らされない(のもなんか変じゃね?)乗員たちは呑気です。

ヒスパニック系のクリスマスの思い出を語るのはデルガド。

「あのとき棒で叩いた人形の中から出てくるのはお菓子だったが、
今空に向かって棒を振り回して落ちてくるのは人間だ」

と無理やり今の状況にこじつけて眉を曇らせるのでした。

はて、ピニャータ(中にお菓子を入れたハリボテの人形などで、
木に吊るして目隠しをしたその日の主人公が叩いて壊し、
参加した子供たちが皆で中のものを分け合う)の儀式は
確か誕生日のイベントだったような気が。
クリスマスにそんなことする風習あったっけ。

その後特攻の被害を受けた艦のいる海域に到着し、
彼らが黒煙を吐きながら炎上している僚艦(実写による映像)
を目の当たりにしてショックを受けていると、
またしても総員配置が命ぜられます。

しかしまたすぐ解除。 
本当にこの繰り返しがしつこくて、
ここで映画を観るのをやめてしまう人は多いと思われます。

彼らが見たのは、カミカゼ攻撃を受けた無残な僚艦の姿でした。
艦首が全くなくなってしまった惨状に息を呑み目を背けます。

そしてついに彼らは特攻機に遭遇することになりました。

とは言え映像はどこかで見たことのある特攻機突入のシーンと、
登場人物たちのいる砲塔内の退屈なクロスカットが続きます。

そしてついに駆逐艦「ブランディング」は船倉に損傷を受けました。
被害を受けたのはなぜかビールだけでした。

ところでもう設定から無くなっているようだけど、
爆発した蒸気配管っていつの間に直ってたの?
みんなで噛んだガムで穴をふさいだのかしら。

特攻で欠落して欠けてしまった船を地図から外しながら、

「今の私を子供が見たら遊んでると思うだろう。
遊びは戦争の本質だがな。
あっちこっち撃ち合って互いの玩具を壊し合う」

という艦長。
相変わらず地図の上では少数の艦で南西諸島の周囲を
円形に取り囲んでおります。

戦争に関して悟ったような比喩をかます俺イケてる、と思ってるのでしょう。

次の戦闘でついにまともに特攻の激突を受けます。

本作品唯一の模型を使った戦闘シーンですが、
姑息にも艦橋の模型の後ろのスクリーンに実写の映像を映し、
それをキャメラで撮影するという、涙ぐましいほどせこい方法です。

そして、指揮官率先とばかり、単身現場に飛び込んでいく艦長を、
乗員は誰一人助けず息を飲んで見物しているのも妙な設定です。

この迎撃の前に手袋をとり落としてしまったエマーソンは、
素手で薬莢を移動させる任務をしたため、手に火傷の重傷を負いました。

医療品も炎上して血漿がないので、彼は送り返されることになり、
欠員の出た砲員の席には、下働きだった
フィリピン人のフェリックスが念願かなって入ることになりました。

駆逐艦というような小さな軍艦の場合、下働きなども
一応戦闘時の非常配置というのが決まっていると思うし、
兵員の補充に対してもある程度決まっているはずだから、
何の予備知識もない下働きを
いきなり砲塔に入れることはないような気がしますが。

その夜、すっかり乗員の士気が落ちていると感じた艦長は、
副長のフィリップスに「とっておきの」映画を見せるように命じました。

リールのタイトルを見てフィリップスはやれやれという顔をします。

「熱帯病の原因と対処」

ところが!
その中身はマリリン・モンロー主演の
「Ladies of the Chorus」(日本未公開)でした。
ちなみにこの作品は1948年の公開なので、この頃には存在しません。

フィリップスびっくり、総員大喜びで士気もあがりまくりです。

「熱帯病、最高だぜ!」

これが唯一この映画の映画らしいエピソードかもしれません。
しかし、残念ながら戦争映画に嫌というほどあるパターンです。


ちょうどその時、艦長のもとに無線によるニュースが届きました。
合衆国大統領、フランクリン・デラノ・ルーズベルト死去。

艦長は悲痛な顔をしてつぶやきます。

「大統領は海軍の親友だった」

その次から始まる実写には日本人なら誰でもびっくりです。

なんと、「沖縄の米艦隊を今目指してくる特攻隊」と言う設定で、
義烈空挺隊出撃のニュースリールが延々と流れるではありませんか。

「全員喜び勇んで往きます」

という隊長奥山道郎大尉の挨拶もちゃんと収録された映像です。

ご存知のように義烈空挺隊は空挺決死作戦に散華した部隊であり、
彼らのいう航空特攻、「キャマカゼ」とも「カミカチ」とも
全く関係がありません。

間違いもいいところです。

しかもこの映像を見れば、彼らが搭乗しているのが
輸送機であり、戦闘機でも艦爆でもないことは誰にでもわかります。

要するに中身を全く調査せず適当にフィルムを使っているのでしょう。
色々と残念な映画ですが、これにはほとほと呆れ果ててしまいました。

一瞬本物の陸軍特攻の映像が挟まれますが、すぐに場面は
義烈空挺隊の出征シーンに替わります。

今ならインターネットで調べられるんですけどねえ。
ってそういう問題じゃないだろ!

その義烈空挺隊の特攻が迫る中、駆逐艦「ブランディング」は
特攻で出た負傷者を移送するために護衛艦の接岸を待っていました。

「ロードアイランドに帰れる」

とうっとり呟く両眼をやられた乗員。

しかしそのとき、彼らのいうところの「義烈空挺隊の特攻機」が、
真っ直ぐ護衛艦に突入しました。(もちろん実写)
そして彼らが乗るはずの護衛艦は目の前で轟沈してしまいます。

「あっやられた・・・!」

「沈んでいく!」

手をこまねいて目の前の護衛艦の沈没を見ているしかありません。


その後「ブランディング」は迫るカミカゼを撃墜しましたが、
(どこかの実写映像)、同時に機関を損傷しました。
エンジンを停止したところになんと敵潜水艦が現れたので、
艦長は爆雷の投下を命じました。

実に盛り沢山ですが、きっとこの潜水艦映像も
どこかの映画からパクってきていると思います。

爆雷を受けた潜水艦は何がどうなったのかわかりませんが浮上してきました。
そして直進する「ブランディング」と直角に衝突してしまいます。
はて、駆逐艦のエンジン、さっき停止させたんじゃなかったっけ。

このシーンに浮上したばかりの筈の潜水艦の甲板には
なぜかたった一人だけ、セーラー服を着た水兵が乗っていて、
衝突の前にあわてて海に飛びこんで笑わせてくれます。
(この日本兵役:H.W. Gim)

しかし衝突の衝撃で砲塔から顔を出していたロバーグは死んでしまいました。
ちなみにロバーグというのは砲塔勤務の長老的存在で、
賭けの好きなグリップなど、ロバーグの年齢がいくつか賭けていました。

ここは砲塔内ですが、衝突時、
ロバーグはよりによって外に顔を出していたようです。

ともあれ、これで彼らの任務は終わりです。
虚脱したかのように甲板で夕日を見つめながら吐息をつくのでした。

「祖国に帰れる・・・」

砲員をねぎらうためにやってきた艦長は、まずエマーソンに
(どこで二人の会話を聞いていたのか)こんなことを言います。

「君の予想(カミカゼは我々を飛越す)は外れたな」

それを受けてエマーソンは、

「彼らは我々をパスするべきでした。彼らの目標は間違いだった」

するとグリップが、

「そうだ、カミカゼは頭がおかしい」

この映画の制作者のレベルがよく表されているセリフです。
そして艦長は、それに対し、

「わたしはそう思わない。
彼らは子供で死を尊ぶように洗脳されている。
同じ教育を受ければ我々もああなっただろう」

特攻についてはいろんな扱い方があると思いますが、
「洗脳」の一言で片付けてしまっている映画は初めて見ました。

そして艦長はグリップに手を差し出します。
「よくやった」

そして兼ねてから互いに握力自慢を標榜していた二人は、
お互い握られた手の痛みに顔を歪め、それから笑いだすのでした。
いいシーンのつもりだと思われます。

そして、

「これにて沖縄戦は完全に終結する__エンド」(字幕)

いや、これで終わらなかったし。
ちょっとは沖縄戦について調べろよ!
海兵隊もびっくりだよ。

 

いやー、駄作だとは聞いていましたが、こんな駄作があったとは。
戦争映画のできというのは上を見てもある程度限界はありますが、
下はまるでマリアナ海溝並みでその底知れぬ深さにめまいがしそうです。

この映画をもし一言で言い表すとすれば、

「女性下着をつけていない時の
エド・ウッドの戦争映画」

だと思いました。


最近gooブログの編集形式が変わり、それでなんとなく
文字レイアウトを中央に変えたのですが、
前の画面で3万文字になんとか収めた記事がなぜか制限字数を超え、
2日に分けることを余儀なくされたので、最初に作成したこのタイトル画を
人数半分ずつにわけて2パターン追加で製作しました。

こんなつまらん映画のために手間暇かけて
3パターンも絵を製作してしまうわたしってなに?と改めて思いましたが、
せっかく描いたので、採用しなかったオリジナルを載せておきます。

終わり。

 


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