1月10日、新宿のオペラシティで行われた
海上自衛隊東京音楽隊の第63回定例演奏会に参加してまいりました。
コロナ発生以降、何度も演奏会の開催のお知らせをいただいていましたが、
その直前になると、疫病感染対策の自粛要請を受けて中止になり、
そのお知らせを頂いてガッカリ、ということを繰り返してきました。
実は今回も直前にオミクロン株型の蔓延防止策が囁かれだし、
またもや中止か、とわたしは早々に心の準備までしていたのですが、
今回は、前日になっても、何のお知らせも来ません。
いつもならこんな心配はしないのですが、何もないのが逆に不安になり、
当日音楽隊に電話をかけて聞いてしまいました。
「本日の定例演奏会ですが、予定通り行われるんでしょうか」
「開催される予定です」
「そうですか・・もしやと思ってしまったものですから」
「お気をつけてお越しください」
電話は守衛室のようなところにかかったようでしたが、
それはつまり音楽隊の人は既に現地入りしているということです。
わたしはようやくホッとしました。
ところで、冒頭画像は演奏会と何も関係のない、
銀座三越前のライオン(マスク着用)です。
なぜこんなのを上げているかというと、
いつもなら演奏会参加ご報告のトップ写真は、東京音楽隊のバナーの入る
演奏開始前のステージということにしていたのですが、
この日、いつものように写真を一枚とったところ、
オペラシティの会場係がすうっといつの間にか横に来て、
会場内の写真は禁止されている、と注意されるではありませんか。
疫病対策と写真撮影は何の関係があるのかわかりませんが、
そういうことになって現場の写真を一枚も残せなかったので、代わりに
三越ライオンのマスク姿でもにぎやかしに上げておくことにしたのです。
ちなみにこのマスクは、以前確か「丸に越」の三越マークが入ったものでしたが、
今回写真を撮ったら、ただの普通の白いマスクに代わっていました。
夜中に盗まれでもして代わりを作るのをやめたのかな・・。
ついでと言っては何ですが、お向かいの和光のショーウィンドは、
年明けになってこのような虎の顔が現れました。
立ち止まってしばらく見ていたら、瞬きしたので驚きました。
毎年和光のショーウィンドは工夫があって目を楽しませてくれますが、
今年のようなのは初めてです。
◆ 開場
この日、わたしは東京駅前でランチを済ませて新宿に向かいました。
これも演奏会とは全く関係ありませんが、この日のスケジュールは
演奏会の前に、MKの「日本で食べたいものリスト」に入っていた
「丸の内ホテルの鯛どんぶり」を頂くところから始まったので、
せっかくだから宣伝方々画像をあげておきます。
東京駅近辺で人とちょっと豪華なランチを食べることになった時、
わたしはかなりの確率で、この大志満椿寿の鯛どんぶり(後半茶漬け)を選びます。
以前は2千円台前半だったのに、少し前値上げしてしまい残念なのですが。
予約したところ、板場から、どうせなら朝イチで食べていただくのがおすすめ、
と言われたので、11時からのブランチと相成りました。
とにかく美味しくて大満足間違いなしの鯛どんぶり、おすすめです。
食後は仕事場に向かうというTOと別れ、MKと車で新宿に向かいました。
オペラシティを訪れる人そのものが少ないのか、駐車場はガラガラで、
MKは車で仮眠を取り、わたしはネットを見て開場まで時間を潰しました。
開演30分前に会場入りすると、コロナ対策のおかげで
会場の人の入りは今まで見たことがないほど少なくされていました。
まず、座席は一席ごとに空けて、前後も重ならないようになっており、
前の三列目までは人を座らせず空けてあります。
吹奏楽団なので演奏者はマスクをするわけにいきませんから、
前列はステージからの飛沫防止対策で空けてあるのです。
会場内では、わたし以外にもスマホで写真を撮って、その途端
係員が飛んできて注意されている人がいましたし、
何しろ久しぶりの開催ということで、顔見知りと話し込む人もいましたが、
会場が少し話し声で騒がしくなるや否や、
「会場内での会話はお控えください」
という注意が、撮影禁止と共にアナウンスされるという厳戒態勢です。
それだけでなく、検温と消毒、換気対策、そして時差退出など、
最大限の対策をやれるだけやって、
何とか開催に漕ぎ着けたこの日を守り切ろうとする努力がうかがえました。
◆開演
それでは、この日のプログラムについてお話ししていきます。
開演のブザーが鳴り、ステージ上に東京音楽隊の隊員が現れました。
本当に、久しぶりに彼らがステージに乗っている姿を目にした気がします。
この日も司会をされたハープの荒木美佳二等海曹によると、
東京音楽隊がこういうステージに乗るのは何と2年ぶりだとか。
確か、代々木の体育館での音楽まつりの後、
クリスマスコンサートをしたのが最後ではなかったでしょうか。
ようやくやっとステージに立つことができたという感慨と、
これから人前で演奏する喜びと興奮のせいなのか、ステージは
彼らから立ち昇る空気で陽炎が揺らめいているように見えたものです。
今まで何度プログラムを組み、演奏会の日に合わせて練習を重ね、
音を作り上げて調整してきたその土壇場でそれが中止になり、
その計画を破棄して、また一からやり直すということをしてきたのでしょう。
発表の機会を絶たれた音楽家の挫折感は、我々一般人が
演奏会の中止に対して思うような、残念だ、などという簡単な言葉では
とても表せないものだったに違いありません。
♩この美しき、”蒼”を守るために
そんな東京音楽隊が最初に選んだのは、音楽隊員オリジナルでした。
作曲者はチューバ(?)奏者の藤田翔吾三等海曹が作曲したということで、
かつて披露されてきた音楽隊員の手による楽曲の例に漏れず、
それは海上自衛隊の伝統である喇叭のメロディをモチーフに取り入れたものでした。
♫デビュー・カドリーユ作品2 ヨハン・シュトラウスII
Debut-Quadrille op. 2 - Johann Strauss II
何度か東京音楽隊の演奏を聞かせていただいていますが、
また珍しい傾向の曲を選んだものだ、と感じました。
例年ウィーンフィルは、年始にわたしも行ったことのある楽友協会ホールで、
ウィンナワルツ、ポルカなどのニューイヤーコンサートを行うことが有名で、
今年もダニエル・バレンボイムが棒を振ったようです。
プログラムはシュトラウス親子の作品が取り上げられるのが慣例ですが、
もしかしたら年始のコンサートということでこの曲が選ばれたのかと思いました。
ただし、東音はウィーンフィルと違い吹奏楽団なので、この
シュトラウスの19歳の時のデビュー曲?を、管弦楽曲から編曲してあります。取り上げられるのも珍しいこの曲が吹奏楽演奏されるのは本邦初とのことで、
この編曲を手掛けたのも藤田三等海曹ということでした。
YouTubeは5分台で収録されておりますが、
短い楽曲が6曲でワンセットとなっています。
♬ 鳳凰が舞うー印象、京都 石庭 金閣寺 真島俊夫
日本吹奏楽界の超大物、真島俊夫が京都をイメージして描いた作品。
「中間部の静かな部分は竜安寺の石庭からインスピレーションを得たもので、
遠く殻鹿脅しや竹林をそよがせる風の音も聞こえます。
そして最後の壮大なクライマックスは華麗な金閣寺とその屋根に、今にも天に向かって羽ばたこうとしている黄金色の鳥、"鳳凰"の印象です。"鳳凰"はまた、空ではなく時空を飛ぶ鳥だと言われています。」
と作曲者はこの曲について語っています。
まるで鼓、篳篥、笙、唄鈴の音に聴こえる各楽器の扱いも、拍子木も鳴子も
オリジナルのスコアに表された通りだと思われますが、
途中で観客の目を奪った、そよぐ風を表すために打ち振られた葉のついた枝は、
もしかしたら当音楽隊オリジナルの工夫ではなかったでしょうか。
それからこれを聴きながらふと思ったことは、西洋音楽の理論で書かれた楽曲に
伝統の拍子木が重ねられる時、それは立派なポリリズムとなっているわけで、
和洋のミクスチュアって、それだけで創造された新しい境地だなあ。と。
訳わからないことを言ってますが、思っただけなので気にしないで下さい。
ちなみに、わたしは京都の、しかも金閣寺の隣から帰ってきたばかりだったため、鷹峰の麓の苔むした岩や高杉がまだ記憶に新しかったこともあり、この曲の調べは、その時の気持ちに見事な親和性を持って響きました。
♭ オーメンズ・オブ・ラブ
吹奏楽団のコンサートを聴きに行ったら、正直一曲くらいはやってほしいのが
T-SQUAREの「宝島」かこの曲、と言ったら、ミュージシャンに怒られるのかな。
いや、彼らもこの王道吹奏楽ポップスを演奏するのは好きだと信じたい。
というわけで、この日オーメンズ・オブ・ラブが聴けて満足なわたしです。
2017年の人見女子講堂での演奏会でのバージョンが見つかりました。
わたしはこの時の演奏も聴いているはずなのですが、
この映像を見て、今回とはメンバーも随分変わっているのに気がつきました。
ついこの間だった気がしますが、もう4年以上前なので、退団した人あり、
転勤してきた人、していった人で顔が変わっていて当然です。
ところで、この日「Omen」の(って略したらなんか変?)メロディは
クラリネットのバンドマスターによるウィンドシンセサイザー(リリコン)でした。
とにかく持っているだけでかっこいい(気がする)楽器ですが、
この日の演奏もT Squareの伊東たけしさんとは雰囲気の違うかっこよさでした。
09 T Square Omens of Love Live The Legend 2016
メロの後、安藤正容さんのギターソロがそれを受け継ぎますが、
この日もオリジナル通りギターが演奏に加わってくれてT Square好きには大満足。
#宿命 藤原聡
#アイノカタチ feat. HIDE(GReeeeN)
「宿命」という曲に関しては何の知識もなかったため、
そういう曲なのね、という感じでただ聴いてしまいましたが、その次の
「アイノカタチ」では、ヴォーカルの中川麻梨子3等海曹の歌に聴き入りました。
久しぶりに見るステージの中川三曹は以前よりほっそりしたようで、
ただでさえ時間の流れを感じずにはいられませんでしたが、何より
ポップス系の曲の歌い方が随分柔軟になられたなあという感を持ちました。
口幅ったいようですが、この自粛期間中、いろんな音楽を聴いて
表現の引き出しを増やすような研鑽をされたのかもしれません。
さて、この日の演奏会は休憩なしのノンストップで行われたのですが、
それは、幕間に人がロビーに参集することを避ける措置だったと思われます。
当ブログでは、ここで一応前半終了とし、残りのプログラムについて
MKの帰国騒ぎなどを交えながら後編でお話ししようと思います。
続く。