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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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海上自衛隊東京音楽隊 第63回定例演奏会〜後編

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昨日、海外から渡航してきた帰国者入国者の待機期間が
10日に短縮されるというニュースが流れました。
オミクロン株型の感染者が爆発的に増えているのに如何なることかというと、
この型の潜伏期間が3日程度と短いことがわかったからだそうです。

つまり1ヶ月遅ければ、MKも4日だけとはいえ自粛期間が短かくてすんだのですが、
元々彼はあまり物事に対して文句を言わない性質で、
コンピュータがあってご飯が食べられさえすればそうストレスもないらしく、
14日の待機期間、コンピュータで作曲したり、ゲームをしたり、
ピアノを弾いたりして機嫌よく過ごしていました。

MKは小さい時習わせたピアノは嫌がってやめてしまったのですが、
チェロは性に合ったようで、学校のオーケストラで演奏していただけでなく、
曲を作るようになり、長じてコンピュータミュージックをやるようになってから
マスタリングをプロに講義を受けたり、来年は工学部で授業を取ったりと、
わたしとは全く違う方向からのアプローチで音楽を人生の友としています。


ですので、わたしは今回の海上自衛隊東京音楽隊のコンサートについても、
本人に確認を取らず、二人分の参加を申し込みました。


実にほぼ2年ぶりに行われた海上自衛隊東京音楽隊定例演奏会。

疫病対策で間隔をとった席での緩衝となったため、
平常時の半分以下の観客数で開催されたことになりますが、
それではどんな人たちがいたかということも報告しておきます。

わたしがMKと座ったのは、ステージから通路を挟んで
二番目のブロックだったわけですが、通路の前の席に座っていたのは
察するところ間違いなく自衛隊入隊を希望しているか、検討しているか、
あるいは地本に招待された未来の自衛官のようでした。

音楽隊の任務は演奏を通じて広報を行うことにありますから、
いわば自衛隊入隊を考える若い層は最も招待に値する対象でしょう。

また、ホールの前の広場には、制服を着た高校生の一団が
体育座り(!)して待機していました。

吹奏楽人口の裾野を広げるということと、地域への貢献という意味で
自衛隊音楽隊は近隣の学校の吹奏楽部を指導し、
4年前の瞳記念館の時のように演奏を一緒にすることがありますが、
おそらく彼らもそういう関係で音楽隊から直接招待を受けたのでしょう。
それ以外にも客席には、私服で楽器を持った高校生がちらほら見受けられました。


また、わたしたちの席の近くにいた、アメリカ人らしい母親と子供達。
彼らは在日米軍の関係者として招待されたと思われます。

♩Paradise Has No Border NARGO

さて、それでは東京音楽隊の久しぶりのコンサート、
後半に演奏された曲についてです。

東京スカパラダイス、というバンドの名前をご存知の人も多いと思いますが、
その名前はこのグループが「スカ・バンド」であることからきている、
ということについてはご存知なかったりするかもしれません。

スカ (Ska) は、1950年代にジャマイカで発祥したポピュラー音楽のジャンルです。

一言で言ってリズムの2拍目と4拍目が強いラテン音楽、という感じなのですが、
その頃「イケてる音楽」とされていたニューオーリンズのジャズが好まれた
南米ジャマイカでは、ラジオの感度が悪く、2・4拍目が強調されて聞こえたため、
これが誤ってコピーされてスカになったという眉唾な起源伝説もあるそうです。

スカはレゲエ、メントなどと同じくジャマイカ独特の民族音楽(フォーク)で、
ブラスバンドでこれを行う形式は、イギリス統治下でもたらされました。

1962年といえばジャマイカが独立した年ですが、このムーブメントもあって
アップテンポのスカは、この頃急激にジャマイカの音楽シーンを席巻しはじめます。

また、政府主導でスカを海外に普及させようという動きもありました。

我らが東京スカパラダイスオーケストラの結成は1985年。
2020年には東京オリンピックの閉会式に出演し、
「上を向いて歩こう」などを演奏したのを覚えておられるでしょうか。

東京スカパラダイスオーケストラ 「Paradise Has No Border」
(Live Ver. ゲスト:さかなクン)



この「楽園に国境はない」という意味の曲は、
誰でも一度くらいどこかで耳にしているくらいキャッチーで有名です。
日本人の感覚になぜかピッタリで、とにかくノリがよく気分が上がります。

曲が始まると、早速サックス、トランペット、トロンボーンなどがフロントで
交代でソロを披露して嫌が応にも雰囲気は盛り上がっていくのでした。

ところで、曲の最初から指揮者の樋口好雄二等海佐の姿が見えなくない?
と思ったら、案の定、左の後ろでパーカッションを演奏をしておられました。

樋口隊長は打楽器出身でいらっしゃるので、昔取った杵柄スティックで、
個人所有らしい真っ赤なパーカッションセットを演奏する姿を、
わたしは横須賀音楽隊時代から何度か見てきたような記憶があります。

しかし残念なことに、この日、隊長の「ポジション移動」について
MCからは何の説明もありませんでした。
時節柄あまり目立たないように(?)という配慮だったかもしれませんが、
気づかない人のためにも、これはぜひアナウンスしていただきたかった。


♫三文小説 常田大希

演奏する音楽のジャンルが多岐に渡るので、自衛隊音楽隊の演奏会に行くと
聞いたことがないアーティストについて知ることがでるのも、嬉しいところです。

今回その意味で一番と言っていいほど心に残ったのは、King Gnuという
「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイルバンド」の曲でした。

四人のメンバーそれぞれが、多方向から影響を受けた音楽を持ち寄り、あくまでも
日本語の歌詞にこだわるという音楽スタイル。
ミクスチャー・スタイルというのはこの辺からついたスタイル名だそうです。

「三文小説」。
タイトルだけで只者ではない気がするこの楽曲について、
この日のプログラムには常田大希という名前だけが書かれていましたが、
一般的にはKing Gnuというバンドの曲と認識されています。

King Gnu - 三文小説 (King Gnu Live Tour 2020 AW “CEREMONY” Tour Final in Makuhari Messe)


ドラマの主題歌に使われたので、そちらで聞き覚えのある人はともかく、
初めて聴く人は、この美声のボーカル(ベースの井口和輝)が
男性であるのに驚いたかもしれません。

東京音楽隊は今回これを中川麻梨子三曹の歌唱に乗せて聴かせてきました。

音楽的にメロディも転調もとても高度で、次の展開が読めないのに、
一度聞くと心に残りまくる、とにかく不思議な曲です。

King Gnuの基本仕様は、常田大希がチェリストであることから、
オリジナルにはストリングスが必ず入ってくるのですが、
そんな曲を。吹奏楽団である東京音楽隊が取り上げるに至った経緯というのに
わたしは個人的に大変興味を持ちました。

そこでYouTubeを聴いていただくと、最初の方に、ストリングスに絡みつくように
ブルブルっというように響くシンセサイザーの低音が重なり、
それがとても強い印象を残すのがお分かりいただけるでしょう。

この日、このブルブルシンセサイザーの部分は管楽器で代用されました。
ヴォーカルの中川三曹の反対側にソリストのように立った
バストロンボーン(?)が、この効果を請け負っていたと思われます。

とにかく、その効果があまりにも秀逸だったので、わたしは
この曲を選んだ理由は、この管楽器代替によるサステナブル可能なことが
もしかしたら選曲関係者のツボにハマったからかしら、などと考えてしまいました。

この効果ありきの選曲だったのか、
女性歌手がこの男性ボーカルの曲を歌うのが目的だったのか。

そんな「選曲のモチベーション」についていろんな想像を巡らせるのも、
自衛隊音楽隊の演奏会の後の楽しみと言っていいのではないでしょうか。

ただ、この曲についてはMKが、後から

「歌詞が何を言っているのかわからなかった」

と、ボヤいていたとおりで、それはオリジナルも同じです。
前もって歌詞を把握していないと、何を言っているか聞き取ることは
まず不可能なくらい内容が深遠です。

歌詞の理解しやすさまでを演奏者の力量に背負わせるのは酷というものでしょう。

さて、ここで、MCは、思いっきり海上自衛隊の広報を行いました。

自衛隊の防衛任務についての説明、そして(これがおそらく主目的)
会場の若い人たちに向けて、海上自衛隊への勧誘がひとしきり行われたのです。

改めて自衛隊のイベントというのは、
新たな人員確保のための広報活動なのだと感じました。

🎵 ドラゴンクエストによるコンサート・セレクション すぎやまこういち

【音楽】ドラゴンクエスト すぎやまこういち作曲 
横須賀音楽隊オンラインコンサート2021第1弾



YouTubeで、横須賀音楽隊の演奏を見つけました。
実際のコンサートが自粛されていた期間、自衛隊音楽隊はオンラインで
コンサート映像を配信していたようです。

すぎやまこういち氏が亡くなったのは昨年の9月30日。
これを受けて東京音楽隊では氏の代表作品でもあるこの曲を選んだのでしょう。

亡くなるすこし前となる東京オリンピック開会式の選手入場曲に
日本を代表するゲーム音楽の一つとして挿入されています。

Overture / 序曲
Distant Journey introduction part / 遙かなる旅路のイントロ部分
Unknown World / 広野を行く
Holy Shrine /聖なるほこら
Endless World / 果てしなき世界
At Alefgard / アレフガルドにて
Hero's Challenge / 勇者の挑戦
into the Legend /そして伝説へ

「そして伝説へ・・」はドラゴンクエストシリーズのIIIの音楽で、
まさにわたしがドラクエにハマっていた真っ只中でしたから、
どの曲も耳馴染みがありすぎて、当時のことをありありと思い出しました。

♬アンコール A Whole New World

さて、というわけでこの曲でプログラムは全曲終了したわけですが、
指揮者退場、拍手、アンコールという「儀式」もあっさり目に、
樋口隊長が男性の隊員をステージに連れてきて紹介しました。

自衛隊音楽隊史上初の男性歌手、というのが彼の正体でした。
管楽器には歌の上手い人が多いことから、音楽まつりや男声が必要な時には
いつもの楽器を傍に置いた「副業歌手」がそれを務めるのですが、
どういう経緯か、この度東音では、専用の男声歌手を採用したというのです。

ハシモトコウサク二等海曹と紹介された男性歌手は、
このアンコールを顔見せとして初めてその声をステージで披露しました。

曲はディズニーアニメ「アラジン」から「A Whole New World」。

言わずと知れたデュエット曲ですが、これを先輩歌手の中川三曹と
(後輩の方が階級が上なのが自衛隊という組織の不思議なところ)歌いました。

最初の公式のステージということでおそらくかなり緊張されたことでしょう。
クラシックの声楽法を勉強してこられたと思われる美声でしたが、
MKの講評は辛辣で、まず、真っ先に出た言葉が

「初めて人前で歌うっていうときに、日本語じゃない曲を選ぶってどうなの」

最後は女性歌手とデュエットをしなければならないと決まっていたなら、
「得意じゃない英語の曲なんかじゃなく」
言葉が聞き取れるものにするべきだというのが彼の意見でした。
うーん・・こういうときにふさわしい日本語のデュエットってあるかなあ?

「銀恋」とか「3年目の浮気」は問題外としても、
例えば「アナ雪」の日本語版からとか・・、あ、それは今はアウトか。

あと、MKによると、男声だけでなく中川三曹の歌も、ブラスバンドの音量に
かき消されて聴こえにくい部分が多々あったけれど、これは
PAのバランスでもう少しなんとかできたはず、ということでした。

ところで2月には東京音楽隊は第61回定期演奏会の開催が予定されています。

今ふと気がつけば、そのプログラムには、
プッチーニの「誰も寝てはならぬ」Nessun dorma(トゥーランドット)
という文字が見えるではないですか。

この日が本格的なハシモト二曹の歌手デビューと見て間違いないでしょう。
彼にとって、この曲こそが歌手としての本領発揮となるはずなので、
ぜひ期待して、この日の「本当の初舞台」を待ちたいと思います。


それにしても専門の男性歌手なんて、もしかしたら世界の軍楽隊にも
例のない、初めての存在かもしれませんね。

一体どういう経緯で男性歌手を採用する流れになったのか、
その辺の裏の事情を無性に知りたいのはわたしだけでしょうか。

というわけで東京音楽隊演奏会についてのご報告はここまでです。

素晴らしい演奏会に参加の機会をいただきました音楽隊の皆様方に、心より
感謝すると共に、これからの演奏会が無事に行われることを祈って止みません。



*おまけ*



この演奏会の後、MKはまたアメリカに戻っていきました。
出発は羽田国際線ターミナルから。
右の方は入国者のPCR検査などを行うコーナーとなっています。

出発時間が1830なのに、空港入りしたのは10時半。
空港で東邦大学のPCR検査を受け(2万円くらい)、結果が出る3時半まで
空港で時間を潰すのにずっと付き合っていました。

ちなみに平常ならこのカウンターはカタール航空の受付が行われるので、
画面奥に「祈祷室」が設けられています。



人っ子一人いない昼間の空港。
2月いっぱいは政府が水際対策のため入国を制限しているので、
電光掲示板の発着予定はほぼ全てが「欠航」となっていました。



東京オリンピックで来日する外国人客を当て込んででしょうか。
空港のブリッジに日本橋が出現していました。
本物の木材を使ってオリジナル通りに建造したものだそうです。
歩いている人が誰もいないのが虚しい・・・・。



検査を受けてから結果が出るまで、チェックインもできないので、
わたしたちはデッキに出てガラガラの空港を眺めたり、
第三ターミナル併設のホテルでご飯を食べたり、伊藤園で抹茶を飲んだり、
それでも時間が余っているので第二ターミナル、第一ターミナルと巡って
カードラウンジでネットをしたりして時間を潰しました。

ようやく3時半にPCR検査の陰性の結果をもらって初めてチェックイン。

しかし、ゲートの中に入ってもラウンジはもちろんお店は空いていません。
仕方がないのでまたもや伊藤園の前でギリギリまで時間を潰しました。

なんと8時間もの間空港でただ待っていただけということになります。
入国も大変でしたが、出国も見送りの人間にとってはそれ以上に大変です。
これでは余程の理由がない限り海外に行こうなどと誰も思わないでしょう。

帰国したMKによると、アメリカの入国後は日本のような自粛はありませんが、
ただ、クリスマス期間各地に散らばって帰ってきた学生が
COVID-19を持ち寄って大学にクラスターが起きないように
学校の授業が2週間はリモートになるそうです。


最後に、蛇足のまた蛇足ながら、MKの「日本で食べたいものリスト」のうち、
目標達成したものを粛々と貼って終わりにします。



銀座のTOなじみの小さな料理屋のマグロ。



刺身のほかは、卵とじとなって出てきました。



ニューオータニの寿司屋。

この日、ジャイアンツの4番丸選手と5番の誰かのトークショーがホテルで行われ、
ロビーはすごい人でしたが、寿司屋のカウンターはわたしたちだけでした。



この時握ってもらったヒカリもの。
ここの握りは一貫ではなく一つずつです。



近所のラーメン屋さんの、幻の(滅多に汁が残っていないらしい)坦々麺。
それほどいうなら、と辛いもの苦手なわたしも死んだ気で食べてみました。
半分が限度で、残りはTOのお腹に収まりましたが、美味しかったです。

終わり。



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