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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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長野県松本〜雪と温泉と靖国参拝(その1)

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年末のお正月旅行?、長野県松本の温泉についてもう少し。
実はこの温泉、去年TOが訪れ、大変気に入って
「妻子とお正月三が日泊まれないか」と聞いてみたのだそうですが、全くダメ。
こういうところで正月を過ごしたい人、リピーターによって、前年の1月、
つまり一年前から予約が埋まってしまっていたのだそうです。

というわけでTOは年末の仕事を、一週間家に帰らずに大車輪で片付け、
本来師走でもっとも忙しい頃にもかかわらず、この時期の旅行となったのでした。 



松本市内から車で約20分走ればそこはもう人里離れた雰囲気の鄙びた温泉。
実はここには「温泉ブーム」のころまであと2つくらいの温泉旅館があったそうですが、
ブームが去っていずれも淘汰されてしまい、ここだけが生き残ったという構図。

しかし、生き残るにはそれなりの理由があり、それはこの旅館が従来の温泉旅館から
現代の人々にも訴えかけるホスピタリティと、洗練された設備をもつ「リゾート・スパ」
に方向転換をしたことに理由があるようです。 
 



二泊して一泊ずつ別の部屋を楽しんだのですが、どちらにも内風呂がついていました。
夜は勿論、折から積もった雪を眺めながらの朝風呂は最高です。

画像を撮ることが出来なかったのは残念ですが、ここには露天風呂を含む浴場が4つあり、
そのうちひとつ「立ち湯」は、立ったまま浸かれる深い浴槽が、
浴場の一つの壁が切り取られ窓も何もなく外に向けられている「半露天風呂」で、
少しぬるめの親湯は、いつまでもそこに遣ったまま外を見ていられます。
冒頭の景色が浴槽からの眺めとほぼ同じで、渓流のせせらぐ様を眺めながら、
冷たい空気に顔のほてりを鎮められつつ入る温泉はまさに「命の洗濯」といった感がありました。



TOが思わず「買って帰ろうよ」と口走った、備え付けの丹前。
女性客用にこのような真っ赤が選ばれていましたが、実にいい色です。

泊まり客はほぼ100%これを着て館内をうろうろしますが、
若い人は勿論、おばあちゃまが着ても不思議と可愛らしく映る色でした。



殆ど「外」にしつらえられた休憩所。
まるで絵画のように外の景色を眺める一角です。
温暖な気候のときには長居が可能ですが、この季節は無理。
皆、写真を撮りに出てくるくらいでした。



さて、温泉旅館といえば夕食の時間が決められ、時間になれば大広間に行って、
(部屋に持って来てくれるのはマシな方)すっかり冷え冷えになった刺身ばかりのお料理に
一人一つ小鍋がついて来て湯豆腐だの寄せ鍋だの、そういった「温泉的ゴージャス」な、
どこにいってもわりと同じような料理がでてくるものと相場が決まっています。

着物を着た仲居さんが愛想よくしゃべくりながら、ライターで火をつける様子は、
もはやどこの温泉での夕食だったか判然としないくらいよくある温泉風景です。

が、この温泉は少し様子が違う。



レストランは二つあり、そのうち一つはこの「マクロビオティック的創作フレンチレストラン」。

「創作」というのも、その昔のペンションなどでは素人のフランス料理もどきに使われ、
すっかりご利益のなくなった響きですが、ここのは本物です。
腕利きのシェフがセンスよく仕上げた料理は、素材よし味付けよしセンス良し。



「マクロビオティックなのにどうして肉が出てるんだ?」

と仰る方、あなたは鋭い。
マクロビというのは基本穀物菜食でアニマルフード(動物の身体から出たもの)
を使わないというのが身上です。
わたしは一度ボストン郊外の「クシ・インスティチュート」という、マクロビの創始者である
久司道夫氏の「マクロビオティック道場」(合宿所)に泊まったことがありますが、
こういった厳密なマクロビオティック料理とここの料理は全く違います。

ここの道場ではマクロビ道場を「ウェイトウォッチャーズ」だと勘違いしたのか、
「やせる!」と固い決意をして乗り込んで来た太ったアメリカ人が、
まるで修行のように我慢しながら青い顔して野菜の山と格闘する姿が見られ、
わたしたちは

「山を下りたら(タングルウッドという人里離れた山中にあった)この人たち、
絶対その脚でマクドナルドに行くだろうな」

などといっていたものです。

つまりここのシェフは「正食」といわれるマクロビの調理法を学び、
その手法をこのようなフレンチに生かしているだけのようです。



温泉旅館なんて、ご飯と温泉に浸かるしか楽しみがないのですが、
その「ご飯」というのを、ただの「温泉会席」ではなく、都会のグルメをも
唸らせるものにするというこの旅館の戦略は功を奏していると思われました。

温泉は覚えていても、宿の食事なんて、いくつか行けばどこがどこだったか、
わからなくなってしまうくらい画一的なものだからです。

朝ご飯もまたしかり。

ここの朝ご飯は、夜と同じ場所で食べることになっており、
そのレストランも着物ではなく白いシャツに黒のエプロンをきりりと締めた、
ソムリエ風のお洒落な制服を着た若い女性が給仕します。



各テーブルには、いつでも鍋物が出来るような設え。
窓の外の景色が見えるように、下までガラス張りにしてあります。



朝食は和食と洋食から選ぶことが出来、どちらを選んでも
二日目は湯豆腐がついて来ました。



洋食は具たっぷりのスープがメイン。
小皿がいくつもついて野菜たっぷりの健康的なものです。

見たところ、奥さんが日本人であるドイツ人、やはり奥さんが日本人の
こちらはアメリカ人の宿泊客を目撃しました。
来日が長い学者とか、そういった知的職業に就いている人に思われました。


そういう外国人にとってはこの旅館は、日本の文化のよさを体現していると同時に
西欧風に慣れた人でも不足ないと感じるサービスや清潔さがあり、
大変居心地がいいと思われるのではないかとふと思いました。


ところで、ここに到着したとたん、まだ電話での仕事の指示が残っているTOは
外に電話をしにいきました。
なんと、この中では携帯電話の電波が通っていないのです。

急遽追加申し込みをしたテザリングは勿論わたしの携帯Wi-Fiも通じる気配なし。
ここで三日間過ごすというのに、それはわたしにとって非常に辛いものがあります。

「たまに温泉にいるときくらいインターネットも電話もなしで過ごせんのか」

という至極全うなご意見もあろうかと思いますが、
わたしにはこのブログの毎日エントリをアップするという重大な使命があるの。

自分で勝手にやってるだけとはいえ。



さて困った、と館内をうろついてみると、なんと一階に書斎が。
ここに置かれた一台のパソコン。

「ここならもしかしたらWi-Fiが通っているのでは・・・」

そう思ってデバイスをチェックすると・・・・ビンゴ。
ちゃんとフリーのWi-Fiが通じているではありませんか。

以降、温泉とご飯の合間にはMacとiPadと電源一式と本を入れた愛用のバッグを
(皆さん、このカバンの優れているのは、とてつもない丈夫さにあって、
これだけ一式入れて持ち歩いても全く型くずれすることがないのです。
だてに安藤優子氏が『これでいつも漬物石でも運んでいるのか』と言われたわけではないのよ)
抱えてこの部屋に入り浸るエリス中尉の丹前姿が見られるようになったのであった。

しかし、先ほどの「外座敷」とはただガラス戸で隔たっているだけのこの書斎、
ストーブの近くにいても長時間の作業には脚が冷えて大変でした。 



ふと本棚を見るとそこにはなにやら懐かしいものが・・・。
これは初版ではなく、復刻版だと思われます。
うちにもそういえばこれあったなあ。

 

ここには「三回訪れたお客様だけが使えるクラブラウンジ」もありました。
わたしは初めてですしTOも二回目なのですが、そこはそれ、
いろいろあって、二日目に使わせて頂くことになりました。

ちょっとした食べ物が置かれ、お酒も飲めます。

本棚には児童書を含む蔵書があり、その中にわたしが小さいときに読んだ
「エレン物語」という少女童話を見たときには懐かしさのあまり驚きの声がでました。
パラパラと読んでみると、殆どの内容というか一字一句に覚えがありました。
小さい頃の記憶って強烈なものですね。



このクラブのデスクにはその日の新聞が読めるように置かれていたわけですが、 



そこにあった新聞の第一面は・・・・・・!


続く。


 


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