よこすかYYのりものフェスタで公開されていた
アメリカ海軍のミサイル駆逐艦、USS「ハワード」の艦橋にいます。
ブリッジには透明のボードがあって、航空機とのコンタクトなどを
現在進行形で状況を書いていく仕組みになっています。
透明ボードは今まで見てきたアメリカ本土の古い展示艦でお馴染みでしたが、
現役の艦でも使われているのにちょっと驚きました。
超アナログですが、アナログならではの便利さもあるのかもしれません。
それと、この透明ボードそのものは自衛艦では見たことはなく、
アメリカ海軍同時のカルチャーなのかなという気がします。
(自衛艦で搭載されていたらすみません)
といいつつ、ちゃんとその後ろにはコンピュータがあったりする。
ここに写っているのはほとんどが通信用の機器。
左は館内アナウンスの機械、その上にあるのが非常時のアラームベルで、
右のグレーが「フライト・クラッシュ」航空機事故、
黄色が「コリジョン」衝突事故、緑は「ケミカルアタック」化学攻撃、
赤は文字が読めませんが「アバンダン・シップ」総員退艦・・・かも。
気になるのが手書きの文字ですが、一字隠れているので
これが「METAL」でいいのかどうか悩みました。
だとしたらメタルがどうしたというのだろう。
左舷側のウィングに出てみます。
探照灯や測距儀、双眼鏡などこれは世界共通の機器ばかり。
偉い人が座るシートのついた椅子があるのが違いでしょうか。
わたしを含め何人かがここに出ていると、
一人の士官が出てきてにこやか〜〜に
「ナンデモシツモンシテクダサイ」
と日本語でいいました。
(このセリフをカタカナにしたのは、ちばてつや先生リスペクト)
横須賀勤務になるということで日本語を勉強されたようですが、
そんなことを言って、日本語でバンバン質問されたらどうするんだろう、
と心配していたら、近くの男性の質問には、即座にスマートフォンを出して
答えを日本語で示して説明していました。
さすがイマドキの海軍さんです。
写真を撮っていたら二人が出て行ってわたし一人になったので、
知らないから聞くというより、彼の質問への対応が知りたくて、
「ハワード」のバトル・エフェクティブネス・アワード、
戦闘効果賞について聞いてみました。
前にも書いたことがありますが、この文字の「E」は
エフェクティブネス=効果から取られており、
「バトルE」といい、その艦に与えられる評価の印です。
毎年海軍内で行われるコンペティションに勝利した艦のみに与えられ、
この賞をめぐる戦いに勝利するのは、実はなかなか熾烈なのです。
なぜなら、同じ部門における全ての海軍艦艇の中で
Eを取ることができるのは、ごくごくわずかな艦だからです。
それは司令部内の作戦環境において、持続的な速さを保ち、
かつ模擬戦闘に勝つことが条件で、選考対象となるには、
6つの司令部優秀賞のうち最低4つを受賞し、
さらに司令部の直属上司から推薦を受ける必要があります。
年間を通じて実施される、認定と資格試験での優れた実績に加えて、
日常的に優れた実績を示すこと(平常点的な?)が条件となり、
訓練、武器検査、戦術準備検査など、16の項目が審査されます。
「ハワード」の受けた賞について書いておくと、左から
ブルー "E" =ロジスティクスマネジメント 物流管理優秀賞
黄色「E」=海軍陸上軍(CNSF)船舶安全司令官賞
赤 "E" =エンジニアリング/生存能力優秀賞
緑 "E" =コマンド&コントロール 指揮統括優秀賞
緑「H」=「 フォースヘルス&ウェルネスユニット賞」
繰り返しになりますが、最後のHは「ヘルス」であり、
艦に置ける健康増進とか医療の充実が受賞の対象になります。
彼はわたしの質問に対し、
「艦の受ける評価の印で、ウチはHを2回取ってます」
と答えました。
これも前に説明しましたが、評価は重ねて同じものを取れば、
「ハワード」のHのように下線が加えられ、それは3本までで、
もしそれ以上になると、今度はEの上に星のマークが付けられます。
艦歴の長さを考慮すると、「ハワード」はこのコンペで
超優秀というわけではないけれど、取っていない艦よりは取っている、
という微妙な?評価になるかと思われます。
ちなみに、超絶優秀艦として有名らしいのが、現在も横須賀勤務の
USS「チャンセラーズ ビル」のようで、
その優秀さは、バトルEのwikiに引き合いに出されるくらいです。
さて、ひととおり彼の説明を聞いてから、話の次穂に困って、
「あなた艦長さん?」
と聞いてみたら、
「いやそんな偉くないっす」
というので初めて目を落として彼の袖を見たら金線一本でした。
「あ::エンスン(ensign)ね」
「そうっす、エンスンっす」
ということはどう見積もっても20代半ばか。
どうりで若いと思ったぜ。
丁寧に少尉くんにお礼を言ってブリッジに戻りました。
先ほど記念撮影をしていて見られなかったこの謎の機器。
なんか一昔前のSFドラマに出てくるテレビ電話みたいだけど、何かな。
そして何のために二つ同じ機器があるのか。
今までのアメリカの古い艦でも見たことがないですが、
なんかもう不安になるくらいアナログな雰囲気が漂う機器です。
少尉さんにこれ何か聞けばよかった・・。
ハンドルがあればそれを回して見たい、それが少年の習性である。
乗員の監視のもとでやりたい放題。
男は永遠に少年であるという言葉がふと浮かびました(棒)
反対側ウィングにも永遠の少年たちがいっぱい。
ウィングからは前甲板がこのように見えます。
こうしてみると一人で訪れる女性も結構います。
艦橋の屋根の上にはドームを被せたレーダー。
モップがブリッジに立ててありました。
ジェシカとキティとかいう名前ついてそうです。
さりげなく隅っこにモップ。
掃除道具も日本とは仕様が違うのがおもしろい。
左舷側をブリッジの階から下に眺める。
おぢさんたちが撮っているのはおそらくスパイレーダーの写真。
構造物の上部にも至る所にセンサーが。
左舷には作業船が横付けされていました。
ホースと舫が雑然と見えながら秩序を持って配置されています。
この作業船を運行しているのは日本の会社かな?
さて、というわけでUSS「ハワード」の見学を終わり、下艦すると、
岸壁では乗員がTシャツを売っているお店がありました。
過去このような「艦グッズ」をその場の気分で買ってみたものの、
結局利用することがなく、タンスの肥やしになっているので、
最近ではめったなことで心は動かず、このときも、
写真だけ撮っていいですか、と乗員に断って撮影しただけでしたが、
こうしてみると、特に「ハワード」の龍についてのエピソードを知ると、
右側の赤い龍をあしらったTシャツなどちょっと惜しかった気もします。
まあ、そう思っても着ないんですけどね。
「ハワード」で大満足したあとは、その後ろの海保の船に並びました。
これがまた乗るのにえらく時間がかかってしまったのですが、
見学内容は次回にします。
続く。