戦争花嫁というのは、前にもここで説明したことがありますが、
戦争で他国に行った兵士が現地で婚姻関係を結んだところの女性を指します。
wikiによると、史上最も大規模な婚姻数となったのは、第二次世界大戦後の
米軍兵士とドイツ女性で、2万人以上がアメリカに移住しました。
第二次世界大戦の後アメリカに移住した戦争花嫁は30万人以上で、
そのうち日本女性は5万人とされています。
勿論ヨーロッパでフランス人と婚姻関係を結んだアメリカ軍人も多く、
それはほとんどが戦争末期から占領時代の駐在で生じた関係ですが、
この映画は、それがもし男女逆で、アメリカ軍人が女性、
相手が現地の男性だったとき、さてどうなるでしょう、と言うことを
ドタバタコメディで描いた問題作?です。
タイトルを正確に訳すと、「僕は戦争花嫁だった」となります。
法的にも慣例も「戦争花婿(War groom)」という言葉が存在しないので、
便宜上そう称さざるを得なかったということを表しています。
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その戦争花婿となる予定がこのフランス軍人、アンリ・ロシャール大尉。
なんとあの「アメリカの良心」ことケーリー・グラントが演じております。
フランス人はラテン系で全体的に小柄な人が多い印象なので、
身長190センチを超えるグラントがフランス人役を演じるというと
違和感を感じますが、彼のセリフを聞くと、我々でも分かるくらい
彼がフランス人らしい英語を心がけているのがわかります。
グラント演じるロシャール大尉は、ここ西ドイツのアメリカ占領地区で
フランス軍の経済特務(物資調達)の任務をしています。
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彼がやってきたのはアメリカ軍駐留部隊でした。
早速ドアの略字を読みながら行き先を探します。
「WAICO・・・戦後処理・労使関係調査官室。
SOSDPPDD・・物資調達及び難民財産処分部。
LADIES、ここは労務管理部、内務・・・?」
中から出てきたWACに、ここはトイレですよと言われてしまいました。
彼の訪問先はCDMTWR、何かは説明されないのでわかりませんが。
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ロシャール大尉は前に仕事で絡んだキャサリン・ゲイツ中尉のデスクに
いきなり下着などの洗濯物を生でぶちまけ始めました。
誤配されたのを持ってきてあげたと言いながら、
彼女に対しムカつく理由が何かしらあったのを窺わせる態度です。
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彼は次の任務は晴れて君と縁が切れて別のWACと仕事ができる、
へへーんだ、とゲイツに嬉しがって見せますが、運悪くそのWACの都合が悪くなり、また組むことになってしまいました。
ちなみに二人は過去のミッションで「美術館の所蔵品をナチから奪還」
「V2ロケット研究の極秘文書を発見」などと凄い成果を上げ、
勲章まで貰っているのですが、如何せんこの二人が組むと
必ずトラブルが発生するので、お互い相手が死ぬほど苦手。
特にロシャール大尉は、この「アメリカ女」には何度も
ひでえ目に遭わされているのでもはや天敵とすら思っていますが、
上からの命令とあっては二人とも軍人ですから仕方ありません。
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早速任務地に移動しようと思ったら、車が出払っていて、
サイドカー付きのバイクしか残っていませんでした。
120キロの距離をこれって、ちょっとキツすぎないかい。
案の定道中はてんやわんや(死語?)の事故連発となります。
連結するのを忘れてサイドカーを置き去りにするのを手始めに、
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踏切の中にゲイツ中尉が口紅を落とし、拾いに行かされて
踏切の柵を乗り越えようとして上に持ち上げられてしまったり。
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道路通行止めで迂回するため川沿いにボートを漕いでいけば、
滝に落ちそうになったり、いつの間にか間違えて凸凹の側道を走っていたり、
字を読むために登った道路標識はペンキ塗りたてだったり・・・。
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人類が思いつく限りのドジをやらかしながら辿り着いた宿で、
アンリは疲労困憊したキャサリンにマッサージをしてやります。
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そのうち眠ってしまったキャサリンを見て、アンリはついこいつ寝顔可愛いじゃん、起きてたら最悪だけどと思ってしまうのでした。
これもまたこの手のドラマのお約束。
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しかし、自分の部屋に戻ろうと思ったら、ドアのノブが内側から取れて
部屋から出られなくなってしまい、仕方がないので隣で寝ることに。
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キャサリン、起きたらベッドの隣にアンリが寝ているので大騒ぎ。
そこに宿の女将さんがやってきたので狼狽して
「早く部屋から出て行って!見られたら大変なことになるわ」
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なぜ宿屋の女将に見られたら大変なことになるのかわかりませんが、
出ていけと言われたのでアンリが窓から出てシェードに横たわっていると、
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宿主がちょうどシェードをアンリごと持ちあげてしまいました。
てっきり変質者だと思った女将は、
「何者!淑女の部屋を除くとは〜〜!」(ドイツ語)
とモップで二階から突き落としてしまいます。
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この件で完全に怒ってしまったロシャール。
平謝りのキャサリンを放ったまま、宿主に借りたチロル風洋服を着込んで
ブラックマーケットに潜入を開始しました。
今回の任務というのは、シンドラーという名前のレンズ職人を探し出し、
闇マーケットの仕事を辞めさせてフランスに送るというものです。
よくわかりませんが、アメリカのペーパークリップ作戦の小規模なもので、
「闇市」で仕事する技術者を犯罪人扱いして、摘発という大義名分で
戦後のどさくさに連合軍に引き抜く、という目的なんじゃないかと思います。
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宿でキャサリンは旧知の軍人にカフェでの朝食を誘われるのですが、
そこはマーケットの入り口の真前にテーブルがありました。
「今日はこれからブラックマーケットの一斉摘発があるから
タダで面白いショーが見られるよ」
言っている端からアンリが彼らの目の前を通り過ぎていくではありませんか。
変なチロル服を着てこれから摘発があるというマーケットに入っていきます。
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三人がワクワクしながら見ていると、あっという間に公僕が到着し、
闇市関係者と思われたアンリが連行されていきます。
MPに腕を掴まれたアンリはカフェのキャサリンを見つけると、必死で
「キャサリン、僕の身元を証明してくれ!」
と叫びますが、彼女はすまして、
「さあ、こんな人顔も見たことありませんけど?」
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彼女を罵りながら連れていかれるアンリの姿に三人で大笑い。
あんたらそれ酷すぎないか。
しかしゲイツ中尉、ただ面白がっているだけでなく、現地の伝手で
レンズ職人シンドラーを探してほしいと依頼するのを忘れません。
伊達に過去の任務で勲章をもらっているわけではないのです。
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ほとぼりが覚めてから、ゲイツ中尉が警察に身元を引き受けに行くと、
怒り心頭のロシャール大尉は、クドクドと彼女を罵るのに夢中で、
後ろに探していたレンズ職人のシンドラーその人がいるのに気がつきません。
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シンドラーはこれまで不本意ながら闇市で働いていたという人物で、
今回、フランス政府から旅券と書類も貰ったので、これからは足を洗い、
ドイツを出てフランスで仕事をする、と大喜びで礼を伝えるのでした。
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烈火の如く怒っていたアンリですが、シンドラーの件はうまく行ったし、
キャサリンはとりあえず深く反省しているように見えたので、
機嫌を直して行きと同じくバイクで一緒に帰ることになりました。
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実は、昨日から今まで、アンリはほとんど寝ていません。
サイドカーでほとんど前後不覚になっていたところ、
キャサリンがバイクから降りている間に悪ガキが悪戯をしたため、
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バイクは無人のまま走り出してしまいました。
それって当時の技術として可能なのか?という気がしますが。
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しかしアンリは彼女が運転しているのだと信じていますから、
目を瞑ったまま、延々と愛の告白を始めました。
なぜ目を瞑っているかというと眠い&恥ずかしいから?
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暴走するバイクを必死で追いかけるキャサリンですが、
バイクは大きな干草の山に突っ込んでしまいました。
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追いかけてきて中に入ってきたキャサリンが、干草の中で並び、
色々と謝ったりしているうちに雰囲気がおかしくなりました。
むしろ積極的なのはキャサリンの方で、
「私、フランス男とキスしたことないのよね」
などと言い出すではありませんか。
「なんか噂では特別で、素敵なんだそうね」
「そんな馬鹿な」
「一度試してみたい」
「わかった」
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しかし、もっと素敵かと思ったと気の強いアメリカ女、ダメ出し。
「いや、今のは本気出してないから」
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フランス男の誇りをかけてもう一度。
「君の反応が悪いんだ・・・フランス女性ならだな」
「なんですって?聞き捨てならないわ。じゃもう一度」
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/c6/76994735f6712757f94c28f4f58b7306.jpg)
というわけで、二人は結婚することになりました。
その日のうちに上官に報告です。
しかし、この時少佐が言ったところの「軍人の結婚には困難が伴う」
という言葉の意味が、二人にはまだわかっていませんでした。
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まずは書類地獄。
膨大な量の書類に質問事項を細々と書き込んでいかなくてはなりません。
「従兄弟の政党、叔母の宗教だって?」
やっとのことでサインをし、「至急」のハンコを押して提出したのに
いつまで経っても処理されてこないのです。
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おかしいと思ったら、ゲイツ中尉に思いを寄せている同僚が、
「良かれと思って」書類を隠していたことが判明しました。
人前でも構わず喧嘩ばかりしている二人が悪いという説もありますが。
キャサリンはこれを聞いた途端彼の頭をアルミトレイで引っ叩きますが、
おそらく本気で叩いていると思われます。
アルミトレイの金属音が結婚式の鐘の音に変わり(笑)
二人はようやく法律的に結婚に漕ぎ着けたわけですが、
ドイツで結婚するアメリカ人女性とフランス人男性ということで、
3回結婚式を行わなければならないことが判明しました。
「中国では同じお茶を二人で飲むだけで結婚できるのに」
「あなた中国人なの?」
「違うけど」
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というわけでまずはハイデルベルグ市役所で民事婚を。(ドイツ語)
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キャサリンのために陸軍の従軍牧師が英語で式を。
トレイで殴った男が付き添い人を務めております。
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そしてフランス語で式を。
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その夜、素敵なナイトガウンに身を包んだキャサリンにうっとりするアンリ、
二人が新婚初夜を過ごそうとしていたら、
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20分で準備してハイデルベルグに行くようにと命令です。
部隊ごと帰還命令が出てしまったのです。
ちなみに命令を伝えにきたキティ・ホークス中尉の役をした
マリオン・マーシャルは、当時監督のハワード・ホークスの彼女だったので、
「監督枠」で出してもらった縁故キャストだそうです。
収まらないのは一番いい時を邪魔されたアンリ。
「フランス陸軍ならこんな命令絶対に出さんぞ!」
しかもハイデルベルグには緊急のことで泊まる宿が全く見つかりません。
新婚初日なのに夜中の3時になって路頭に迷う二人。
さあどうなる!
続く。