さて、シカゴ科学産業博物館MSIのU-505関連展示を見て、
艦内ツァーを申し込み、時間まで他のところを見ることになりました。
とりあえずランチをいただくことにしました。
コロナ真っ最中とはいえ、アメリカ人はこのときノーマスクが主流で、
夏休みということもあって結構大変な人でした。
空いたテーブルを見つけるのに食べ物を持ってうろうろするはめに。
まずは「トランスポーテーションの歴史」というコーナーにある
蒸気機関車から見学を始めます。
【エンパイアステート・エクスプレスNo.999】
これがこの汽車の名前ですが、おおスリーナインね、と納得。
エンパイア・ステート・エクスプレスは、
ニューヨーク・セントラル&ハドソン・リバー鉄道の名物客車で、
かつての旗艦列車でもありました。
1891年、ニューヨーク-バッファロー間702kmを7時間6分(停車時間含む)、
平均時速98.8km、最高速度132km/hで走っていました。
当時世界で最も早く、ノンストップ定期運行をした最初の列車です。
エンパイア・ステート号が有名になったのは、これを牽引した
展示されているアメリカ型4-4-0蒸気機関車の魅力でした。
直径86インチの駆動輪を持ち、機関車としては初めて
前部トラックにブレーキを装備した手作り品です。
磨き上げられたバンド、パイプ、トリム。
ボイラー、煙突、ドーム、運転台、テンダーはブラックサテン仕上げ。
テンダーの側面の「Empire State Express」の金箔文字。
シカゴ鉄道フェアをはじめとする数々の博覧会で活躍した後、
1952年引退し、急行用ミルクカーの交換業務に従事していましたが、
1962年にこのMSIに寄贈され、保存・展示されています。
「クィーン・オブ・スピード」と呼ばれたかつての姿
【銀河鉄道999のモデルとして】
ところで、先ほどかるーく「スリーナインね」と書いたわけですが、
これは後から調べたら、マジでした。
No. 999 was the inspiration for the eponymous
steam engined-shaped space vehicle
in the Galaxy Express 999 series of manga
and animated films.
No.999は、漫画やアニメの「銀河鉄道999」シリーズに登場する
同名の蒸気機関車型宇宙船のモチーフとなった。
エンパイアステートエクスプレス No.999
ようこそご乗車くださいました
シカゴの伝説へ
世界新記録
1893年5月10日、
機関車No. 999は時速112.5マイルという記録破りの走行を行いました。
シカゴに到着し、コロンビア万国博覧会に展示された
すべての機関車の中で最も印象的だったのがこのNo.999でした。
1933〜1934年にシカゴで行われた博覧会、
1948〜1949年のシカゴ鉄道博覧会でシカゴに姿を見せた999でしたが、
1952年に退役して10年後にMSIにやってくることになりました。
つまり1962年から今日までずっとここにいるということになります。
このパネルによると、No.999は1948年、1993年、
そして1994年といずれも記念に実際に走行を披露しています。
どこを見ても説明がなかった四輪自動車。
苦労して探したところ、これではないか?というのを見つけました。
1907年 デトロイト・エレクトリック
19世紀後半、自動車の時代が到来すると、世界各地で
ガソリン車と並んで電気自動車が開発されました。
アメリカでは、1907年に発売されたデトロイト・エレクトリックが
最も成功した電気自動車でした。
航続距離は約80マイル(128.75km)で、
最高速度は時速20マイル(32km)だったそうです。
最高時速32キロって・・・・。
電気自動車は1890年代から1900年代初頭にかけて普及しました。
当時は蒸気自動車もありましたが、車を覆う屋根がないのが
屋根のある電気自動車との違いでした。
■ グレイト・トレイン・ストーリー
老若男女全てが目を輝かせて見入る巨大なジオラマがあります。
鉄道模型の旅は、数分で国中を駆け巡り、何時間もあなたを魅了します。
世界各地への輸送や個人的な冒険など、鉄道は人や物を運ぶだけでなく、
長い間、私たちの国の性格や野心を映し出してきました。
シカゴからシアトルまで、1,400フィートの曲がりくねった線路に沿って、
2,200マイルの風景と物語を紹介する
「グレート・トレイン・ストーリー」
に、あなたも乗ってみませんか?
いつもの景色とは違う列車からの素晴らしい眺めを楽しむために。
MSIでは、何世代にもわたって鉄道模型体験が親しまれてきました。
このたび、「グレート・トレイン・ストーリー」で、
これまでで最も魅力的な体験ができるようになりました。
交通ギャラリーの目玉であるこの体験型鉄道模型では、
20台以上の列車が大陸の旅を驚くほど細部まで再現しています。
ロッキー山脈やシカゴの摩天楼の高さから、
小さな交差点灯や浮かぶ海鳥まで、
この巨大なスケールモデルは何度見ても新しい発見があります。
隠されたミニチュアのシーンがたくさんあります、
海辺でのんびり過ごす人々、荒野での仕事の様子・・。
3,500平方フィートの敷地内には、年齢や興味に関係なく、
どこを見ても冒険ができるようになっています。
鉄道好きの幼児、ミニチュアマニア、地理オタクでなくても
展示されているクラフトマンシップに魅了されることでしょう。
ミニチュアのシーンに隠された
さりげないジョークにも注目してみてください。
また、インタラクティブなボタンを使って、跳ね橋を持ち上げたり、
トンネルを掘ったり、木を切ったりすることもできます。
自分のペースで楽しめるのが、このゲームのいいところです。
シカゴの街角に突如現れる牛。
子牛の上には子供が乗っていて、
ベンチでは爺さんが奥さんを抱き寄せ、
腰に手を当てた海軍の水兵が四人。
もちろん牛は本物ではなく、こういうオブジェが実際にあるのだとか。
二階建ての電車も走ってます。
ガード下にも車が入っていく細部表現の抜かりなさ。
電車に搭載されたカメラがあなたをミニチュアの世界での
列車の旅の体験をさせてくれるというわけです。
The Great Train Story: 10th Anniversary Ride
思わず引き込まれて見てしまうこと請け合い。
MSIの鉄道模型は、1941年の開館当時、世界最大の鉄道システムで、
2,340平方フィートの床面積を持ち、1/45スケールの列車と
2レールのOゲージ線路を組み合わせたQスケールで作られていました。
鉄道模型の様々なシーンは、米国の産業界における鉄道の役割と、
南西部の砂漠地帯の農業を表現しており、1,000フィートの線路と、
自動制御盤で操作される40個のスイッチも含まれていました。
60年以上親しまれた模型は2002年5月に閉館した当時、
博物館で最もよく知られ、愛されてきた展示物の一つでした。
新しい技術によって鉄道がより安全で効率的に運行されるようになったため、
何度も改良が加えられてきたのです。
また、この展示は、蒸気機関車に代わって「ディーゼル」エンジンを走らせた
国内初の鉄道会社のひとつでもありました。
今日、博物館の鉄道展示「The Great Train Story」は、
再び現代の鉄道の物語を伝えています。
新しいレイアウトは、オリジナルの鉄道よりも50%大きく、
当初の10本から30本以上の列車を運行できるようになっています。
展示デザイナーは、シカゴの一般的な建築物
(バンガロー、ビクトリア調のコテージ、2階建てや3階建て)を研究し、
ある建物のレンガの数を実際に数えて、本物のモデルを正確に作成しました!
シカゴやその周辺に住んでいる人の多くは、
この展示の中で「自分の家」を見ることができます。
滝の白色は、お化け屋敷のクモの巣に使われる素材と同じものです。
シアトル郊外の湾にある「水」を表現するために、
3つの工程が用いられました。
まず、土台を作るためにベースレイヤーを塗布。
次に、紙粘土を塗り、乾燥させた後、奥行きを出すために
青と緑を何色か塗り、最後に、樹脂を上から流し込みました。
樹脂が乾くと、手作業で彫刻を施し、波を表現します。
「グレート・トレイン・ストーリー」は、
シカゴとシアトルを結ぶ曲がりくねった鉄道の旅を追い、
中西部、平原州、ロッキー山脈、カスケード山脈を通り、太平洋岸北西部へ。
線路を走る30以上の列車は、穀物商品、製造業の原材料、輸出入の消費財、
木材、観光業など、多様な産業に携わっています。
1時間に2回の「夜間モード」になりました。
駅舎の灯りがなぜかせつない・・・。
駅前の様子は、2002年4月3日午後1時56分、
電車を待っていた人たちの姿が再現されているそうです。
自分の姿をそこに見つける人もいるかも・・。
川沿いの広場ではミュージシャンの演奏、
大道芸人、ジョギングをする人・・・。
季節も場所によって様々です。
道路にサンデッキチェアを出して日向ぼっこする人たち。
あまりまめな掃除はしていないらしく、埃がすごい。
ハンバーガーショップもまるで火山灰をかぶったようになってます。
HPによるとメンテナンスはしているようですが。
って土足かい。
山中で何やら作業中の二人。
廃車になった列車を利用したタコス屋さん、
ピザパーラーの前に落ちているのはどう見ても実物のゴミ。
馬ばかりいる牧場。
■オリジナル・タイニーハウス
もう一つミニチュア模型の世界をどうぞ。
ハリウッドの映画スターが、細部にまでこだわった
豪華な夢の「マイホーム」を自作しました。
当時、最も人気のあった映画女優の一人であったコリーン・ムーアは、
業界の仲間を集めて、この幻想的なミニチュアハウスを作り上げました。
大恐慌の時代、彼女はこのミニチュアハウスを共有し、
子供たちのチャリティーのために全国を巡りました。
そして、この唯一無二のお城は、1949年以来、
MSIに迎え入れられ、あらゆる年齢の子どもたちを魅了してきました。
キッチンには、さまざまなおとぎ話の壁画が描かれています。
ドアの上には3匹の子豚、右側には丘から転げ落ちるジャックとジル。
アーチの隙間からハンプティ・ダンプティが見え、
ストーブの上にはリトル・ボー・ピープがいます。
悪い魔女がヘンゼルとグレーテルを閉じ込めたストーブがあり、
オーブンの中には、4羽と20羽のブラックバードで焼いたパイが。
テーブルの上に置かれたロイヤルドルトンのディナーサービスは、
ウィンザー城にあるメアリー女王のドールハウスのために作られたセットを
忠実に再現したものです。
海をモチーフにした書斎。
暖炉の上にはキャプテン・キッドが立ち、
右側の扉にはロビンソン・クルーソーとその部下フライデーが、
もう一方の扉の上には、リリパット族の船を引っ張っるガリバーが。
図書館にある本は、すべて本物です。
100冊以上あり、著名な作家の手書きのものも。
本棚には辞書が置いてあります。
これはコリーン・ムーアが5歳の時に父親からもらったもので、
これが彼女のミニチュア・コレクションの始まりです。
とても全部は紹介しきれませんが、シンデレラの部屋、
プリンセスのバスルーム、ベッドルーム、屋根裏部屋、
そして魔法の庭など、見ているだけで時間を忘れます。
グレート・トレインと共に、ジオラマ好き、ミニチュア好きには
なんとも心を鷲掴みにされる楽しい展示でした。
続く。