パロアルトでの最初の家の宿泊期間が終わりました。
このAirbnbの部屋は大当たりで、大変居心地が良く、
オーナー夫妻は誠実で親切、さすがはスーパーホストの物件でした。
あと2日でチェックアウトという夜中にトイレの水洗レバーが折れ、
次の日、連絡すると、すぐに配管工を呼んで直してくれたものです。
余禄として、部屋の前を連れられて通る、明るい茶色のモフモフした大型犬
(わたしたちはから揚げくんと呼んでた)を見るのが楽しみでしたし、
向こうも我々の滞在に満足してくれたらしく、
後に行われる互いの評価でも、最高のグレードをつけてくれました。
(掃除の必要がないくらい綺麗にして出て行ったのが良かったようです)
というわけで、次のAirbnbに引っ越ししました。次の家は、ここも大学までは車で6分の距離という地理の良さです。
アメリカには良くある、一つの敷地に4軒同じ作りの家が集まっている、
建売の集合住宅で、おそらく築年数は80年くらい経っていると思われます。
玄関のドアを開けたらそこはリビングルーム、靴脱ぎはありません。前のオーナーと違って、家は土足でもOKのようでしたが、
どうしてもそれを受け入れられないのが我々日本人のDNAというものです。
ここのオーナーはアラブ系アメリカ人の技術者夫妻のようですが、
壁の絵はゴッホやカラヴァッジョ、クリムトなどの泰西名画であり、
インテリアを見る限り、エスニックな雰囲気は全く感じられません。
オーナーは、使っていない家を貸し出しているのではなく、
普段本当にここに住んでいて、夏の間長期の借り手が出たら
自分たちはヨーロッパに長期旅行にいくことにしているようです。
つまりサブレット的な活用をしているようでした。
いわゆる「スーパーホスト」(貸し出しを生業にしている人が多い)
ではないので、家は極力片付いていましたが、至る所に「生活の痕跡」が。
ちなみに子供のうち一人の男の子はサッカー少年のようです。
写真の小さな庭の生垣の向こうは幹線道路に面しており、
さらに道路はカルトレインの線路に面していているため、
気になる人にはかなり気になるレベルの騒音は避けられません。
そのため、この一角の住宅地としてのバリューはそう高くなく、
前回のような世帯収入の高そうな家の街並みではありません。
もっとありていに言うと、ヒスパニックなど移民系が多め。
暖炉はアメリカのほとんどの古い家に(アパートでも)備えられていますが、
現在、これを暖房に使用している一般家庭は限りなくゼロです。
大抵は装飾として本棚や飾り棚になり、せいぜいクリスマスに
横にツリーを置く場所という認識となっています。
しかし、たいていの家ではこれを取ってしまうことをしません。
火は灯らなくてもマントルピースは家庭の居間につきものだからです。
リビングの大きなテレビで、ここに来てからAmazonプライムで
(オーナーのアカウントで観られるようにしてくれていた)
「マリリンと僕の1週間」
「マミー・ディアレスト」(ジョーン・クロフォードの暴露本がネタ)
「アルキメデスの大戦」(英語版)
を観ました。
「マミー・ディアレスト」は日本では「愛と憎しみの伝説」という題で、
その年のゴールデンラズベリー賞を総なめにした怪作?です。
さすがというか、一度見たら忘れられない不気味な映画でした。
こちら主寝室はTOの部屋になりました。
こちらの子供部屋は、ピアノがあることから自動的にわたしの部屋に。
二段ベッドの下に寝てみたら、マットレスが体の重みで沈み込んで
まるで気分は蟻地獄の蟻になったようだったので、
次の日IKEAに行ってマットレスの上に乗せるトッパーを購入。
しかし問題は、ここからでした。
寒かったので上の段の掛け布団を使おうとしたら、あまりにも臭くて断念、
枕カバーを洗おうとして2枚かかっているカバーを剥いだら
なかから煮染めたようなしかも臭い枕が出てきて驚愕。トイレを掃除しようとしたらトイレブラシが汚くて愕然。
なので、着いて二日目には、すべての掛け布団と枕とシーツの漂白、
風呂掃除、IKEAで1ドル99のトイレブラシを買いトイレ掃除、
ついでに、生ゴミを入れるゴミ箱(臭かった)内部の清掃を行いました。
掃除が行き届いていないのは、Airbnbにはありがちなことといえ、
少なくともオーナー本人は、物件の清潔さに自信たっぷり。
これをどう評価に反映させるかなあ、と今悩み中です。
ピアノはまたしても聞いたことも見たこともないメーカーのもの。
ここに来て以来、一度も調律されたことがないと断言できる状態です。
キッチンはアメリカンサイズの小、日本では特大です。オーブンも食器洗い機もあり、奥にはランドリーコーナー。
キッチンの向こうには、小さな(といってもソファが入る)書斎があり、オーナーの仕事部屋らしく、プリンターまで設置してありました。
元々勝手口というか、ガレージから近い出入り口として
補助的に設けられたドアは、今使用されていません。
わたしはデスクワークをほとんど立って行うので、
クローゼットからちょうどいい高さのチェストを持ってきて改造しました。
書斎の外は、家とガレージの間の隙間となる「中庭」的なスペース。
午前中日光浴を兼ねてここでコーヒーを飲むこともあります。
世界的に異常気象とやらでどこも暑いようですが、
ここは少なくとも夜間と朝方はまだまだ涼しくて快適です。
写真の大きな木では、ときどき黒リスと茶色いリスの覇権争いが行われ、
ぐるぐる幹を回って追いかけっこする光景はちょっと見ものです。
犬がいたのかな?
お向かいは女児二人のヒスパニック系家族。
右側は、若い白人系カップル、どちらも仕事で出かける多分技術系ワーカー。
隣はBMWのサブに乗っている中年の独身白人男性、白犬持ち。
3日も経つとご近所さんの様子がわかってきました。
一度だけ前の道を歩いてみたら、インコがいなくなったという貼り紙発見。
情報提供がインコの帰宅につながれば賞金100ドルと言っています。
さて、物価高騰の折、基本自炊のわたしたちですが、
ある日、塩ラーメンを作ってみました。
もやしはアメリカではすっかり市民権を得ており、入手しやすくなりました。
フォーなどのエスニック料理がポピュラーになったからでしょう。
今年はなんと、「ジャパニーズ・エッグプラント」という商品名で、
こちらのくびれのない直径10センチの不気味な茄子と違う、
日本のナスが買えるようになっていたので、さっそく塩麹でつけてみました。
こちらはMKの愛用するレシピブックで作ってみた、
煮込みスープとチキン、シラントロをたっぷりご飯にかけていただく料理。
MKは料理もコーヒーを淹れるのも、きっちりと分量を量り、
絶対にアレンジしない派。(わたしはどうしてもしてしまう)
2回目の外食は、MKのおすすめでロスアルトスの日本料理に行きました。
この日はロスアルトスの商店街でワインフェアが開催されていて、
テントの向こうでは地元の素人バンドのロックコンサートが行われており、
ステージの前では多くの人々が踊っているという光景が展開していました。
しかし、このワインフェアのおかげで交通規制があり、
思ったように駐車場に車が停められず予約の時間に遅刻してしまいました。
時間になって、お店の人から確認電話がかかってきたのですが、
全く訛りのない日本人の日本語だったそうです。
アメリカではありそうでない、アレンジなしの日本定食。
小鉢にきゅうりのキューちゃんが来るあたりが日本らしい。元々や焼き鳥屋なので、何本か試してみたらかなりイケました。
■日本スーパーとDAISO JAPAN
現地在住の友人に「アメリカ人は料理をしない」と聞いたことがあります。
それじゃ何を食べているのかというと、冷凍のディナーセット。
一皿に一人分の肉と付け合わせが混在している冷凍食品を、
食べたい時に食べる人がレンジで温めて、部屋で食べるのだそうです。
まさか、そんなの一部のアメリカ人だよね?
と聞いたのですが、実際に彼女の妹の嫁ぎ先というのがそれで、
息子を全員アイビーリーグ出身の専門職に育てあげた母親は、
それこそ息子が「料理をしている母親をみたことない」
というほど料理しなかったそうです。
というわけで、実際にそういう層が一定数いるアメリカでは、
そのニーズに応えるため、どんなスーパーも冷凍食品は充実しています。
写真は、一列すべてできあいの冷凍品というホールフーズのコーナー。
パンケーキくらい面倒がらずに焼けよ、と思うのですが。
第一、冷凍のパンケーキやワッフルなんて美味しいんだろうか。
さて、前々回りクエストを頂いたので、
サンノゼのミツワにいったときに写真を撮ってきました。
ベイエリアには「ミツワ」「ニジヤ」という二大日本スーパーがあり、
このミツワは地域で最も大きな店舗です。
従業員募集のポスターに描かれたマスコットキャラがきもい。
ちなみに従業員は日本語が喋れなくてもいいようです。
見た目日本人のレジの人に日本語で話しかけたら、全く通じませんでした。
こちらの従業員募集は萌えキャラ風。
同じモール内にはあの「シャブウェイ」(SHABUWAY)もあります。
もちろんしゃぶしゃぶ専門店です。凍った肉を自分で鍋で煮て食べるキワモノですが、まあまあいけます。
この日、ミツワのあるモール内を探検してみました。
モールはミニジャパンタウン的に機能しているようで、
一角には日本語の看板をかけた道場がありました。
コミュニティセンターと道場を兼ねたスペース。
畳では柔道、空手、剣道などの教室が開催されているようでした。
もしかしたら茶道とか書道もやっているかもしれません。
車上盗の注意喚起ポスター。
中のバッグを盗もうとして窓を割った決定的な瞬間が
鮮やかに記録されていますが、どうして首から上だけカットするのか。
同じモールにあるダイソーはオープンと同時に人が詰めかける人気状態。
しかも客のほとんどがアメリカ人で日本人はどうやら一部です。
ダイソーが成功したせいか、アメリカでは「ワンコインショップ」が
ところどころにできましたが、いかんせんアメリカのそれは
おいてある商品に全く魅力がないので、アメリカ人がそちらではなく
DAISOに来てしまう理由はよくわかります。
■ ザッカーバーグ御用達パキスタン料理
ある週末のランチ、商店街のパキスタン料理に行ってみました。
日本でもインド料理のほとんどはパキスタン人がやっているそうですが、
インド料理を標榜しないと客が来ないそうです。
オーダーは、いまどきレジで口頭で伝えるアナログ方式。
やたらインド系が多いこの地域、しかもここはシリコンバレーだというのに この効率の悪さはいかがなものか。
ここでオーダーし、番号札を取ったら好きな席に座って
サーブされてくる料理を待つという方式です。
カレーセットとインドバーガー(笑)そして右側はインド風ナンラップ。
ここにいると、ときどき隣にザッカーバーグが座っているそうです。
その頻度がなかなかなので、どうやら彼はここが好きらしいと言う噂。
きっと彼はここのアナログオーダー方式なんてなんとも思っていないものと思われ。
そして、アメリカに来たら一回は食べておきたい、ハンバーガー。パロアルト高校の向かいのショッピングセンターで人気のバーガーです。
何度もここで言及しましたが、アメリカのハンバーガーはマジ美味しいです。
バンズのふわっとしたイケナイ口触りとパテの絶妙な配合は、
さすがにこれが国民食と標榜するにふさわしい伝統と匠の技。
ちなみに左上のはわたしが頼んだ「アヒツナ・タコス」です。
アヒツナといえば、VERVEコーヒーの隣に、
ポキ丼やアヒツナ丼が食べられるおにぎりの店、
「ONIGILLY」というのがあって、人気らしい。
トレーダージョーズで「明確な」というウィスキーを発見。
絶対こんなの日本人のネーミングセンスじゃねえ!と思ってラベルを見たら、
兵庫県の野間川?ぞいで作っているお酒だそうです。
ここ何年かで、どんどん世界がグローバルになって、
少なくとも食に関してはエスニックが当たり前のように溶け込んでいるのが、
最近のシリコンバレー周辺という気がします。
続く。