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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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オークランドの「座頭市」〜ベイエリア滞在

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家族が揃って滞在している間に、サンフランシスコに行くことにしました。
今住んでいるパロアルトからサンフランシスコまでは、
平日の通勤時であっても1時間かかることはありません。

今回はコーヒーとお茶に凝るMKの強い希望により、
オークランドにある有名なロースターを「聖地訪問」し、
その後、去年も行ったサンフランシスコのティーショップを訪ねます。

10時にMKを寮まで迎えに行って、11時までに到着したら、
オークランドで美味しいコーヒーとブランチを楽しむという計画を立て、
いざ車を出発させようとドアを開けた瞬間です。
■レンタカー トラブル発生!



ただ事ではない事態を告げる禍々しいping音が鳴り響き、
エンジンがかからない状態に・・・。

パネルに次々と警告が流れるのですが、
どうやらエンジンが不調なので点検を受けろということらしい。

とりあえず、レンタカー会社にロードサービスを頼もうとしたのですが、
まずイマージェンシーサービスの電話に誰も出ない。
やっと出たと思ったらそれはとてつもなくやる気のない人で(TO談)
しかも、なんかいきなり電話が通じなくなって切れてしまいました。

あーこれは1日潰れたな、と内心覚悟したのですが、
エンジンを切った状態で放置しておいたら、電源が完全に切れたので、
(車に乗ると同時にパネルが点灯し自動的に電源が入ってしまう)
えいやっとスタートボタンを押してみたら、なんと始動!
「かかった!」

「いえーい」

一応これでドナドナを1日待つ必要はなくなりました。
しかし、エンジンマークが点灯していたので、そのままMKを拾い、
レンタカーセンターまで持っていって車を交換することにしました。

ところが、問題はここからだったのです。

まず、車の返却場所で手続きをしていた男性がやらかしてくれました。
ステータスを「交換」ではなく「返却」にしてしまったのです。


そういえば、返却確認係の男性(白人)は、妙に日本語の上手い人で、
手続きのとき、ほとんど日本語を喋っていたので、最後に
日本語上手いですね、と褒めてあげたのにかかわらず、なんか変な反応。

あ・・・まあ・・・みたいな感じで、これは今にして思えば、
自分がミスをしてしまったことに気づいて絶賛動揺中だったのでしょう。

日本語なんか喋れなくていいから、せめてとんでもないミスはしないでほしい。

この日はさらに運の悪いことに、日曜日の昼前で、
レンタカーセンターはメンバーシップ保持者のブースすら長蛇の列。

しかも、やっと順番が来たと思ったら、
そこで初めて返却係のミスを知らされました。

「契約がクローズしてしまっていますが、わたしには復帰させられません。
向こうの一般カウンターにいるマネージャーのところに行って」

とカウンターのタメラと名札をつけた黒人女性に言われてまず愕然。
がっかりしながら一般カウンターに行ったら、さらに呆然。
そこは待っている人100人に対し、開いているカウンターは5つあるかないか、
みたいな世界で、今度こそこれで1日潰れることを覚悟したものです。

ところがそこで意外な救世主?が現れました。

先ほど同じメンバー専用デスクで、わたしたちと同じよう目に遭いながら
散々待たされたうえ、こちらにたらい回しされてきた白人男性が、
盛大にキレまくってくれたのです。

「何のためのプライオリティメンバーなんだ!?
わたしはここで30分も待たされている!子供も待たされているんだ!
しかもその理由は、あなた方の不手際じゃないか!」

と大声で注目を集めつつ文句を言ったせいで、マネージャーが出てきたのです。
もしかしてこの後ろに並んで待てばいいんじゃね?と、わたしたち、
3人でプス・イン・ザ・ブーツみたいな顔をしてオーラを送りまくったところ、
マネージャーが首を伸ばして何があったのか聞いてくれ、
その次の次に書類を書き換えて配車まで済ませてくれました。

彼が作業をしながら日本のどこからきたの?と聞くので答えたら、

「わたし入隊で佐世保にいたことがありますよ。3年だけでしたけどね」

おおなんという海軍的ご縁(?)。サセボバーガーを知る人がこんなところに。

しかも佐世保マネ、「いつもはやらないんですが」
といいながら、料金をごっそり値下げしてくれるではないですか。

というわけで、1日かかるかと思われた手続きも昼には終わり、
新しくゲットした車に乗ってわたしたちは諸々の幸運を喜び合いながら
オークランドに向かってベイブリッジを渡りました。

(ただし、このレンタカーの話には続きがあります。)

■オークランドのレジェンドロースター


要らんことに時間を奪われたものの、昼過ぎに
オークランドのロースター「マザータング」に到着。

日曜日でしたが人はあまり入っていない状態です。

全体的にピンクがかった色をしているのは、ガラスがピンクだから。



テーマカラーがこれなので、店内もピンクです。



わたしはいつものプアオーバーブラック、真ん中はMKのラテ、
右側はTOのオーツラテ。



ブランチのつもりが時間が押したせいでこれがランチになってしまいました。
豆腐とサーモンのオープンサンド、チーズとオリーブの盛り合わせ。
意外なことに?豆腐のサンドが激うまでした。



食事が済むとMKがいきなり「ドーナツが食べてみたい」と言い出したので、
米粉のポンデケージョとチョコスプリンクルがテーブルに並びました。
3人ともドーナツは何年振り(わたしは何十年振り)というレベルです。
一口だけでしたが、その危険な味わいに思わずゾクゾクしました。

吹き抜けの高い天井の壁には映像が投影されていました。
驚いたことに、これが勝新太郎の「座頭市」シリーズだったのです。

同シリーズはあまりにもたくさんあって、そのうちどれなのかわかりませんが、
音声なしで映像を見ているだけでも「お約束展開」なので
完全に話の筋がわかって最後まで楽しんでしまいました。


帰りにおすすめのコーヒー豆を選んでもらい購入して車に戻ると、
「ウマミ マート」という日本酒専門店を発見。

日本の酒以外にも、凝った日本の食品などを扱っているおしゃれなお店で、
店内を見ていると、アメリカ人男性が入ってきて、
お店の人に酒を選ぶのを手伝ってもらって買い物をして行きました。

ちなみにサントリーの「響」が110ドルでしたが、
これは日本で買うより安いかもしれないとのことでした。
■ サンフランシスコでインド系アメリカ人と日本語で会話する



オークランドからベイブリッジを逆に渡り、
去年も訪ねたお茶の専門店、「ソング・ティー」に到着しました。
前回は街全体が賑わっていて車を止めるのが大変でしたが、
この日は街角のカフェも営業していないし、人影まばら。

サンフランシスコの日曜日の午後って、こんなじゃなかったのに・・。

ここは抹茶(手前の箱)もあれば、台湾のお茶も豊富で、
オーナー(白人女性)のお茶に対する情熱とこだわりが反映された店です。

ティールームではなく、葉を売っているだけなのに、
試飲会などのイベントの参加チケットは瞬時に売り切れるのだとか。

この日店に入ると、可愛らしい声の中国系の店員さんが、
「今日のお茶」の試飲を勧めてくれたので、
それを味わいながらお茶の葉っぱの匂いを嗅いだり、
オーナーに質問したりして過ごします。


店内では主に中国系作家の茶器を展示販売しています。



つい買ってしまいそうになった木彫の犬のカードホルダー。
これも売り物です。

わたしたちがいる間、ほとんど人の出入りはありませんでしたが、
男性二人が試飲しながらすこし過ごして出て行ったあと、
インド系の若い男性がひとりで入ってきて、わたしたちに
流暢な日本語で「もしかして日本の方ですか」と話しかけてきました。

彼は店の外からわたしたちを日本人だと見当をつけて、
日本語で話すために店に入ってきたらしいのです。

TOとMKがお茶を探している間、ずっとわたしが話し相手をして、
彼のことを聞いたりしていましたが、それによると、彼はオレゴン生まれ、
高校生の時に日本語を学校で習ったといいます。

しかし、驚いたのは、彼の日本語がほぼ完璧だったことです。
今時の日本の若者が使わないような言い回しすらあったので、
日本に行ったことがあるのか聞いたところ、彼はミネソタ州立大学に進み、
そこで化学を専攻したのですが、就職の段階で住んでいた
コネチカットにMiyoshiという化学薬品系の日本企業があったことから、
そこでの仕事の期間日本(千葉?)に滞在したこともあったとか。

そして今は別の会社でリモート中心の仕事をしており、
ソングティーから歩いて10分くらいの場所に住んでいるとのことでした。

今の仕事に日本語は全く必要なくなってしまったので、
彼はこのように暇そうな?日本人を見つけては話しかけ、
会話のスキルを維持しようとしていたのかもしれません。

「仕事をする上でアメリカ人に生まれてよかったと思う?」
と何となく聞いてみたら、

「日本やアメリカなどに生まれたら仕事の選択肢が多いのがメリットだけど、
逆に選択肢が多すぎて、僕は高校生の時は何も選べませんでした。
医者とか弁護士とかなりたい職業がはっきりしているならともかく、
その歳で自分が何になりたいかなんてわかる人の方が少ないかもしれない」

だからその行く道を岐路に立つたびに選択してきた結果、
今の自分があるわけだけど・・、と彼は答えました。
「それで、今のところは自分の状態に満足してる?」
「まあまあですね。給料もいいし(笑)」
そのとき、二人が近づいてきて「買い物すんだよ〜」と言ったので、
じゃあ行きますね、グッドラック、といって手を握りました。

最後に名前を教えてください、というので全員が名乗り、
彼は自分を「アパチャ」だと名乗りました。

来年もしこの地域を訪ねたら、そこにまだアパチャくんはいるでしょうか。

■ 再び車を交換

せっかく佐世保在日米軍出身のマネージャーが配車してくれた代車ですが、
わたしは猛烈に不満でした。

一応同じ車種と言いつつ、最初の車が最新型だったのに対し、
こちらは4年落ち。タッチパネルなし。インテリジェントキーなし。
おまけにテネシーナンバーだったりして、乗れば乗るほど不愉快になります。

こちらの都合ではなく整備不良で交換を余儀なくされたのに、
この凋落?ぶりに、次の日にはもう我慢できなくなって
わたしはもう一度車を取り替えてもらいに空港に行くことにしました。

そして、車を返すと、プライオリティメンバーのデスクに行く前に
前回と同じ最新型の別の車が返却されているのを確かめました。

並んでいると、チェック係?が何で並んでるのか聞くので、
これこれこうなのでこの車に変えてほしいというと、その黒人女性は、

「この車が気に入らないとかタッチパネルがないから嫌とか、
そんなのいちいち対処していたらこちらもキリがありませんよ。
そんなのこちらとしても担保できません」
と意地悪く諦めさせようとしてきます。

「いやでも、最初の理由は車の故障だったですよね?
その代わりの車があまりにひどいからきたんです」

「故障でも気に入らないでも交換は3回までよ!」

と何が何でもここで諦めさせようとします。
でももう車返しちゃったもんねー。

「じゃあまだ2回目なんで大丈夫ってことですよね?」

「じゃやるだけやってみれば?無理だと思うけど」

厳密にはこんなやり取りではもちろんありませんでしたが、
わたしはそのように聞こえました。

そして順番を待ち、呼ばれたデスクに行くと、なんとまあ、
そこに座っているのは昨日と同じ、タメラさんではありませんか。

「あー、あなたね。覚えてますよ、あなたのことは。
また何かあったんですか」

おお覚えてくれてましたか。それなら話は早い。
今すぐこの写真の新車に取り替えてくれ。気に入らないから。

「そんな理由では無理だと思いますよー?
しかもそこにあるの貸せとか、無理ー」

しかし、そういうことを決定する権限は彼女にないらしく、
マネージャーに聞いてきます、と、書類を持って奥に行きました。

しばらくして出てきた彼女は、

「OKが出たのでおっしゃる車に交換できることになりました」

おそらく、佐世保マネージャーも昨日の今日でわたしを覚えていたらしい。
書類を完成させた彼女に、わたしは、

「タメラさん!本当に助かりました!ありがとう!」

と盛大にお礼を言うと、名前を呼ばれて悪い気はしなかったらしく、
最後に彼女はにっこりと笑ってくれました。

まあ、彼女ははっきり言ってこの件についてお礼を言うようなことは
何もしてくれなかったわけですが、少なくとも窓口でピシャッと断らず、
マネージャーに繋いでくれたことには感謝すべきでしょう。


そして2台目として乗ることになった車は、これまでのベストでした。

アメリカでは決して遠慮したり諦めてはいけない。
(教訓)

■ オークランド再び

週末、マザータングの近くにあった良さげなエスニック料理を試したくて、
わたしたちはもう一度オークランドまで車を飛ばしました。


このお店のカクテルメニューに注目。
Spirited Away(千と千尋の神隠し)
KIKI's Delivery(魔女の宅急便)
Firebender(アバターの技)
The Moving Castle(ハウルの動く城)
Hayao Spuritz(駿の魂スピリット)
Ghibli Magic(ジブリの魔法)
Airbender(アバターの技)
Totoro's Gimlet(トトロのギムレット)

バーテンダーはジブリ好き(確信)


ここはビルマ料理店で、ロティとカレーが最高でした。
あと、チキン、ビーフカレー、豆苗のサラダも激うまでした。

食後、マザータングがバー営業していると言うので行ってみました。
MKとTOはコーヒーのカクテルを楽しみました。



相変わらず店内で座頭市がエンドレスで流れており、
今回この作品が「座頭市逆手斬り」であることが判明しました。


なぜマザータングが座頭市一本槍なのかは謎のままです。


続く。




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