MKが帰国する日、朝からTOが具合悪そうにしており、
熱もあるということだったので、空港への出迎えはわたし一人で行きました。
羽田国際空港は海外からの観光客で混雑しており、
空港から出るのに検査とその結果待ちで何時間もかかったり、
バスで千葉のホテルに連れ去られて隔離されたりといった事態が
まるで夢だったかのように平常の年末の様子が戻ってきていました。
出てきたMKにTOが熱を出したことを伝えると、
「コロナの検査キット買って帰ったほうがよくない?」
と提案するので、前回MKのためにキットを買った薬局でブツを購入し、
帰って検査させてみたところ、ビンゴ。
1年前の正月に帰国してきたMKが、
アメリカから来た友人と明治神宮でコロナをもらって発病したのに続き、
我が家で2番目のコロナ罹患者となってしまいました。
2年前ならいざ知らず、コロナがほぼインフルエンザ化した今日び、
家族がコロナになってもそんなにパニックにはなりませんが、
問題はMKが帰ってきてすぐに予定していた家族旅行です。
我が家ではこの年末に家族旅行を2連発で決行することになっており、
第一弾は、実家にMKを連れていく関係で、いつもの京都だったのですが、これでTOの参加は不可能になったため、飛行機の予定をとりやめて、
わたしとMKだけが車で関西に行くことになりました。
わたしたちが濃厚接触者として菌をばら撒く可能性もあったので、
出発の朝わたしたちも検査して陰性であることを確かめての出発です。
実は今年の春、車を買い替えていたのですが、
夏は2ヶ月日本にいないことと極力外出を控えたため、
この車でまともにロングドライブをするのは初めて。
前回から今回の間に車の特にIT関係のシステムが激変しており、
その使い方も隣にエンジニアリング専攻のMKが乗って
あれこれと調べて使い方をサーチしてくれたので一石二鳥です。
今年はカード会社の優待券を利用できる嵐山のホテルをとりました。
昔料亭だった場所をマリオット系のホテルが買い取って、
ラグジュアリーホテルとしてオープンさせた「翠嵐」に一泊。
神戸川崎財閥の創業者、川崎正蔵の別荘として建てられ、
建築当時は「嵐山御殿」と称された屋敷や庭を残し、
当時の趣きと現代の快適さを融合させたホテルです。
のんびり出発したせいで到着が7時になったのですが、
車を外に停めてこの門をはいっていくと、どこで見ていたのか
ホテルマンが二人お迎えに中から現れました。
そのうち一人が金髪長身の白人男性だったのにちょっとびっくり。
外国人観光客用に採用したスタッフだと思いますが、
東京以外でも白人ワーカーが普通にいるのが今の日本。
宿泊棟はホテルとなった時に新築されたようです。
クリスマス前だったので部屋にツリー飾り。
到着したときにはお腹が空いていたので、コンシェルジュの
レストランに予約をとりましょうかという提案にOKを出しましたが、
行ってみると平日のクリスマス前で客はわたしたちだけ。
飲みもしないのにソムリエがいるレストランで、
しかもメニューもそんなに多くありませんでした。(高いし・・)
後から考えれば、ルームサービスかカフェでもよかったのかな。
まあ、このたたき風は普通に美味しかったからよしとしよう。
MKのフィッシュ&チップスも美味しかったそうです。
さすが京都、フィッシュ&チップスが天ぷらに見える。
朝目覚めて外を見れば、目の前に開ける嵐山の麓。
関西人なので子供の頃から数えて嵐山には何度も来ていますが、
川沿いの光景や岸の貸しボート屋などは変わっていません。
左手の奥にはモンキーパークいわたやまなるものがあって、
120匹の猿が餌付けされているのを観察できるそうです。
昔知り合いに、京大の霊長類研究グループの人がいたのを思い出しました。
ここは彼らの研究のフィールドワークの場となっているそうです。
オープンは1957年ということですが、
わたしは今回までその存在を知りませんでした。
ホテルに到着した時はもう日が暮れて真っ暗でしたが、
MKがめざとくホテルの近くに「%アラビカ」というコーヒー店を発見。
京都発のコーヒーブランドで、SNSで有名になり、
京都に3店舗を構えるほか、今や香港、中国、シンガポール、
フランスなど世界17カ国(2021年8月現在)で展開し、
2021年にはニューヨークにもフラッグシップ店がオープンしました。
ドバイにもあるそうです。
次の朝、オープンを待ちかねて行ってみたら、
なんと店の前にはすでに待ち列ができていました。
平日だったせいか、周りにいるのはほとんど海外からの観光客。
日本人に見える人たちはほとんどがアジアからの非日本人でした。
アラビカ京都のシンボルは「パーセント」。
コーヒーチェリーに実がなっている様子に似ていることから選ばれました。
カフェスペースは1卓しかなく(しかも外)、
そこは予約の上料金を払って使用するシステムです。
店内は浅煎りにローストした豆やオリジナルグッズが展示してあります。
グッズは予想通り、%だけをあしらったバッグ、エプロン、シューズなど。
オーダーしたらポケベルを持たされるので、外で待ちます。
冬は「嵐山」の名前の通り強風が吹き、夏になると
ぴたりと風が止まってひたすら蒸し暑い京都でこれはなかなか大変ですが、
美味しいコーヒーを飲むために皆そんな努力を惜しみません。
そしてここでコーヒーを買った人のほとんどがやるように、
わたしも保津川にかかる渡月橋をバックに写真を撮ってしまうのだった。
わたしはオーツのラテ、MKは普通のラテをオーダーしましたが、
どちらかというとオーツの方が美味しかったような気がします。
さて、その後、ホテルの方から人力車ツァーの提案をいただきました。
車での送迎を必要としなかった客は、その代わりに利用できるとのことで、
わたしたちは喜んで12分だけの人力車体験を申し込みました。
きっと寒いだろうとマスクまでして出動しましたが、
カイロのようなものを座席に敷いてくれ、膝掛けもかけてもらい、
覆いもあったので、思ったほどではありませんでした。
ただ、袖口の開いたセーターを着ていたため、そこだけ冷気が辛かったです。
人力車を引く方は追加料金で遠出を提案してくれたのですが、
時間があっても手首が寒すぎてそれは断念しました。
有名な天龍寺の嵐山五百羅漢の前を通りました。お釈迦さまの直弟子が五百人いたことから、彼らをそう呼ぶのですが、
ここには百体の奉納された羅漢像がならんでいます。
羅漢の近くにあった古い石像は、力車の人は知らないということですが、
どうも朝鮮半島経由のもののような雰囲気がします。
写真は力車の人が客のスマホで撮ってくれます。
豆腐屋の前で撮った写真は「雰囲気を出して」モノクロでした。
ホテルの前の駐車場まで帰ってきてツァー終了。
袖口さえ寒くなければ延長をお願いしたかった・・・。
チェックアウトしてから、ホテル内のかつての庵を利用したカフェ、
「茶寮 八翠」で予約したランチをいただきました。
保津川のウォーターフロントで、行き交う遊覧船が望めます。
外のテーブルでいただくこともできますが、遠慮しました。
茅葺き屋根の庵は1910年に建てられたものをそのまま利用。
手前の「アフタヌーンティ」はカレーライス付き。
MKは鯛丼セット、アフタヌーンティは半分ずつ分けて食べました。
この日は祇園のいつもの料亭旅館に宿泊予定でしたが、
合間にわたしの実家に帰り、久しぶりに母の顔を見てきました。
人力車であまりに寒かったので、防寒用のシャツを買うために
無印良品の入っている桂のイオンモールに行ってみたのですが、
これがまたアメリカ並みの規模の巨大モールで、しかも駐車場代ほぼ無料。
昔気の利いたお店どころか何もなかった時代を知っているだけに、
この何年かですっかり様変わりした京都近郊の様子に驚かされました。
阪神の実家からもう一度京都に蜻蛉返りしてきて、
その晩はいつもの祇園の料理旅館に宿泊。
TOのキャンセルは仕込みの関係上できなかったので、
夕食はわたしとMKで三人分食べることになりました。
ただ、コロナで致し方ないことなので、と女将が気を遣ってくださって、
キャンセル料を最小限にしてくれた上、
京都応援クーポンというのを相殺して宿泊料に還元してもらいました。
夕食のメインだった鹿肉、これも三人分を二人で分けました。
元々は4切れずつだったことになります。
旅館と契約しているのは80代の猟師で、もう「趣味の猟」の域だそうですが、
血抜きの処理が滅法上手いので、鹿肉が生臭くならないそうです。
おっしゃる通りこの鹿肉はなぜか歯触りがサクサクとして、
今までフランス料理で食べたどの鹿より美味しいと思いました。
付け合わせのりんごの煮たのとの組み合わせも絶妙です。
最後のお食事はあんかけ風ご飯。
鳥獣戯画のお椀がとっても可愛らしい。
デザートは別腹・・・とはいえ、これを一人半前食べるのは辛かったっす。
渋皮煮の乗った栗のブラマンジェ。
その夜の宿泊は本館から一筋隣の別館二階にて。
珍しく一階の部屋に別の宿泊客がいるなあと思っていたら、
次の日アフリカ系の女性が一人で泊まっていたことがわかりました。
女性の一人旅で料亭旅館を選ぶとはなんと優雅な。
もっとも、女将が元FAでスタッフ全員英語が堪能であることで
ここを選ぶ外国人旅行者は多いそうですが。
昼にピザレストランの予約を取ってあったので、
好むと好まざるに関わらず、朝食は早めに食べねばなりません。
いつものカウンターは人がいるということでお座敷でいただきました。
大きなだし巻き卵と焼き魚を中心とした和食。
蛤の小鍋とMKの頼んだ洋朝食のパンのカゴが並びます。
女将からのいつもの自筆のお手紙は、
今回ピンポイントで病気になってしまった「ご主人様」への伝言付き。
チェックアウトまで部屋でゆっくりしてから、
西洞院のピッツェリア、「エンボカ」に向かいました。
皆さんはNetflixのシリーズ「シェフズ・テーブル」をご存知でしょうか。
同シリーズの「ピザ編」で紹介されていた唯一の日本のピザ専門店、
京都の「モンク」のオーナーが、最初にピザを学んだのがここです。
京都の町屋をそのまま利用し、二階を取り払って吹き抜けにした店内は広く、
かつての座敷部分を残して掘り炬燵風テーブルがあるのがユニーク。
お手洗いの横は、京都の家独特の坪庭がそのまま残っています。
トッピングはハーフアンドハーフがセレクトで可能。
基本のマルゲリータとキャベツをオーダーしてみました。
窯焼きなのでところどころ黒く焦げていますが、
ピザ生地本体はもっちりふわふわで感動の美味しさ。
普通のピザが美味しかったので、デザートピザもいってみました!
これは最初からハーフアンドハーフ。
食後コーヒーを飲んでから京都を出発しようと外に出たら、
エンボカの近くに良さげなロースタリーがあったので入ってみました。
入り口ではコーヒーの試飲ができます。
アメリカでいうプアオーバーは日本ではハンドドリップというらしい。
入り口で試飲した豆をハンドドリップしてもらいました。
フラットホワイトはエスプレッソに泡立てたスチームミルクを注いだもの。
MKが頼みました。
名称は日本でもアメリカと同じくフラットホワイトです。
この後途中2回の休憩を挟み、8時には帰宅しました。
続く(のか?)