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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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靖國神社 2024年1月1日午後4時

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東日本大震災以来の未曾有の大災害の報せを何処でお聞きになりましたか。
わたしは他でもない、靖國神社の境内でした。
時間は2023年の年末に戻ります。
■ 2023年末



1年に一度の帰国の機会にMKがやらなくてはいけないことの一つ、
歯医者関係の予約も仕事納めギリギリに入れてもらい、
この日は朝から汐留と歯医者のハシゴとなりました。

汐留ではクリーニング、代官山では矯正の後チェックです。

終わってちょうどお昼時間になったので、いつのまにかできていた
歯医者の向かいのビルのブルーボトルコーヒーに入りました。
後で知ったのですが、このときオープンして1週間目だったそうです。
循環するカフェ代官山@フォレストゲート代官山


当店目玉のブランチプレート、「サーモン」。

といってもよくあるスモークサーモンサンドではなく、宮城産の鮭を
半生に仕上げたメイン、焼いたアボカド、たっぷりの野菜、半熟卵。

パンがまた驚きの美味しさで、パレスホテルにも入っている
「Et Nunc」のものを使用しているとのことでした。



夜は銀座の我が家行きつけの割烹で。
MKがマグロ付きなので、食材については前もってお願いしておきました。


湯気が立ち昇る熱々の蕪の煮物。
わたしは飲めませんが、他の三人(TO、MK、関係者)は
「利き酒」でお酒を楽しんでいました。
ちょっとずついろんなご当地酒を出してもらい、
「これ」というのを決めて注いでもらいます。



カモ好き家族なので、これがメイン。
MKには日本に帰ってきた時の「バケットリスト」があって、
短い滞在時間、しかも年末年始の予約の取りにくいところで
そのTO DOをできるだけ叶えることを目的にしているわけですが、
我が家に比較的近い坦々麺の店がコロナで潰れてしまい、京都の鶏専門店も、
大将が引退して途端に味が変わったため、リストから外れました。
残ったリストの中から実現したもう一つの店は・・・、


東京駅前ホテルの和食店の昼食にしか出さない鯛茶漬け。
市場からの仕入れができない年末年始は予約が難しいのですが、
今年は奇跡的に?30日にいただくことができました。
この日は丸善でMKがメガネの調整、わたしはTOの勧めで
インターネットをするときのブルーライト対応メガネを作るという用事。
眼鏡屋さんのおかげで24時間駐車場が使えたので、
東京駅の地下街を歩き、八重洲口まで行きました。

MKが大学の女友達に「クレドポーの化粧落とし買ってきて」と、
あんたはどこのマダムですか、と聞きたくなるようなお願いをされていたため、
八重洲口の大丸のデパコス売り場しかあるまい、となったのです。
知らなかったんですが、クレドポーって、デパートにしかないのね。
クレドポーどころか、わたしはデパコスそのものに滅多に足を向けないのに、
このお嬢さん、日本旅行の際、日本の化粧品の優秀さにしてやられ、
化粧落としはこれでなくっちゃ、となっているんだとか。

お店の美容部員に、人事のように(人事ですが)
これいいんですかねー、と聞いてみましたが、さすがプロ、
彼女はわたしに買うつもりが全くないのを瞬時に見抜き、
セールスどころか相手にもしてくれませんでした(笑)



晩御飯も東京駅近くで食べます。
迷った末、我が家では評価の高い?スープストックTOKYOで。

31日は大掃除と新年の用意、
年明けの瞬間は家族で祝いました。

同じ時間、おめでとうと言い合った能登半島の多くの人々も、
次の日に災害が起きることなど微塵も過らなかったに違いありません。
わたしたちがそうであったように。
■ 2024年元旦



1月1日の朝。
我が家はお雑煮で祝い、新年ということで日本酒も少しいただいて、
のんびりと初詣に出かけました。

最初はいつもの靖國神社からです。

いつもなら駐車場を待つ長い列が靖國通りに伸びているのですが、
今年はそうでもありません。
わたしたちはいつも通り近くのコインパーキングに停めて歩いて行きます。
到着すると、10分後の3時45分の昇殿参拝にすぐに参列できるのがわかり、
これも今年は人出が少ないせいかなと思いましたが、
すぐに案内されるに越したことはありません。

一度に昇殿する参拝客もいつもの3分の1にもならなかった気がします。

参拝経験者はご存知と思いますが、靖國での昇殿参拝は、
まず受付で玉串料を納め、参集殿(待合所)でお茶を飲みながら待ち、
予約の参集が告げられると、皆で手洗い処を経て、まず拝殿に案内され、そこで神職からお祓いを受けます。
その後、渡り廊下を通って本殿に上がり、そこで神職が
玉串料を納めた参拝者の名前に『〜い』という語尾をつける
独特な呼び方で名前を読み上げ、最後に二礼二拍手一礼をします。

そして本殿から参集殿に戻る渡り廊下の途中で
巫女が注ぐ御神酒を盃に受け、本殿の方を向いていただき、
お下がりを受け取って終わりです。

所要時間は約20分。

わたしたちが本殿に上がろうとしていたまさにその頃、
能登半島全域では地震が起こっていました。

わたしが最初にそのことを知ったのは、本殿に上る寸前、
何があったのか渡り廊下で5分ほど足止めされているときでした。

並ぶ列の後ろから、

「震度6以上だって」
という男性の声が聞こえてきたのです。しかし、東京での揺れは場所によってはほとんど感知できず、
靖国神社の本殿にも揺れるようなものがなかったこともあり、
わたしたちはその重大さに全く気づいていませんでした。


お札に毛筆で字を書き込む人の手が足りず、
受け取り処でTOが待たされている間に福引をしましたが、
ご覧のように全く人が並んでおらず、全く待たずに御籤を引いて
順当に入浴剤を3つゲットしたときも、周りには何の変わった様子もなし。


冒頭の写真を撮った時からこの写真までの間に大災害が発生しました。
このとき歩いている人の中には、実態を把握していた人もいたかもしれません。



そのときも、わたしたちはまだ事の重大さは把握しないまま、
靖国神社に続いて、恒例の虎ノ門金刀比羅宮でお参りをしていました。

毎年のように紹介していますが、この金刀比羅宮は、
高層オフィスビル、虎ノ門琴平タワーを複合施設に含みます。
1679年に虎ノ門に遷座され、2001年には歴史的建造物指定されています。


その日の夕食は永田町のアパホテルへ。
元日なのでホテルしか外食は開いていません。

アパホテルといっても、ここは永田町。
場所柄、ここはアパホテルに「プライド」が付きます。
正確には「アパホテルプライド国会議事堂前」。

併設のレストランもとれたて魚と野菜にこだわった健康志向の小料理屋です。



メインはわたしにとって三度目となる鹿肉のロースト。
美味しかったです。
ただ、わたしとしてはここのBGMが気になって仕方ありませんでした。

何処かで聴いたようなコード進行の、たるいボサノバが4曲、
延々と繰り返されているのですが、普通の人は気づかずとも、
わたしにはその気持ち悪さの理由が2曲目にしてわかりました。

これらのボサノバ、どれも「テーマを演奏していなかった」のです。
最初から最後までアドリブだけ。
盛り上がりなし。パッションなし。アドリブに始まりアドリブで終わる。

注意深く聴いていると、その4曲のボサノバ、
「サマータイム」「枯葉」「オーバーザレインボウ」
(後一つ忘れた)のコード進行でした。

ははーん、これはJASRAC逃れのオリジナルBGMだな、
とわたしはピンときましたね。

こんなことを現実にやっている(というか企画した)人がいたとは、
初めて聴いたのでショックといえばショックでしたが、
アパホテルといえば全国展開しているので、
かすらっくに払うお金は結構大きいんだろうなと察しました。

新年早々、なんかすごいことを知った(聴いた)という感じ。

さて、この頃になると、わたしたちも主にTOのスマホ情報で
能登地震がただごとでないらしいとわかってきました。

それでも、まだ、そのレベルが激甚災害であるとは夢にも思っていません。
■ 1月2日

2日が明ける頃には地震の情報もニュースからわかってきました。
何人かの北陸在住の知人に連絡を入れたところ、
まず先日伺ったばかりの富山の鋳造会社は全く被害なし。
氷見在住の知人はちょうどその時間我々のように神社にいたそうです。

氷見も揺れが激しく、神社の石灯籠が倒れている映像もあったので
心配していましたが、無事ということで一応ほっとしました。



この日は新しくできたばかりの麻布台ヒルズでランチを予定していました。

2023年の11月終わりにオープンした森ビルの「新ヒルズ」で、
今東京で最も注目されている商業施設です。
ショップやレストランはもちろんのこと、レジデンスがあり、
ブリティッシュスクールも併設、ホテルもオフィスもあり。

この日選んだのは創作イタリアン。



カウンター式のテーブルで味わうシェフの一品。
本来はその日の食材をシェフと相談しながら料理法を決めていくのだとか。
この日はお正月なのでプリフィックス?です。



今回の年末年始を通して4回目となる鹿肉料理。
最近どうしてこう鹿肉が多いのだろう。

しかし、ここの鹿が全ての中で最高峰でした。
それはMKも同じ意見。



食後は麻布台ヒルズの中を探索してみます。
ニコライ・バーグマンの専門店があったり、ルルレモン、
(アメリカ西海岸発祥のおしゃれなスポーツウェアブランド)
コンランショップ、リナーリなど、ショップもクラス高め。



一階には大きなスターバックスがあるのも当然ですが、
なんとここには嵐山でお世話になった%アラビカが!



順番を待つ列のためのロープスタンドにも%マーク。
%=コーヒーの実、というのはもうお話ししましたっけ。


1月2日ということもあってすごい賑わいでした。
オーダーしてからポケベルが鳴るまで20分はかかったかもしれません。



カフェからは外のスペースに出ることができます。
聳え立っているのはおそらく住居棟。
地上64階高さ330メートル、現在日本一高いビルとされています。
(2位あべのハルカス、3位横浜ランドマークタワー)

万が一災害が起きた際には、3,600人ほどなら帰宅困難者を受け入れ、
また防災拠点としての役割を担う設備も備わっているのだとか。



そしてその日の夜、MKの「焼き鳥が食べたい」というリクエストで
麻布台ヒルズから東京タワーの近くのホテルに移動したときです。

「JALと海自の飛行機が羽田で衝突したって!」
TOが小さく叫んだのでわたしはすぐにiPadをチェックしました。

なぜ海自の飛行機が羽田にいるのか、とまずそれが違和感でしたが、
秒後にそれがTOの海保との勘違いであることがわかりました。

海保機は能登に緊急物資の輸送に行くところでした。
つまり、地震がなければ起こるはずがなかった事故だったのです。

またもや知る悲惨なニュースに暗澹たる気持ちになってからは、ずっと
海保機の乗員の無事を祈り、安否を案じていたのですが・・・・。
■ 1月3日

次々と明らかになる情報に誰もが心を痛めていたに違いないのですが、
東京はいつも通りの、いや、いつもより観光客の多い、
華やかな賑わいを見せていることがわたしには不思議な気がしました。



MKが4日に帰国するので、われわれはこの日も街に出かけました。
日本橋三越前のCOREDO室町です。

COREDO日本橋の語源?は、きっとお江戸日本橋に違いない、
とわたしは信じてやまないのですが、この日来たのは室町。



道に面した有名な和菓子店では、カウンターで和菓子職人が
4つのサンプルから選んだ好みの和菓子を目の前で作ってくれ、
抹茶と一緒にいただくことができるというサービスをやっていました。



餡のかたまりを指でちょいちょいと触り、茶巾に包んで形を作り、
小さなザルのようなものであっというまに花芯が出来上がり。
計ってませんが、おそらくできるのに1〜2分しかかかっていない気がします。

MKはここでお店が出している「星の子カービイ」の最中、
というのを大学の友達のお土産のために買って帰りました。

■ 1月4日



そして次の日、MKを成田まで送りました。
飛行機追跡アプリを寝る前に確認したら、それは太平洋のど真ん中にいて、
朝起きたら無事にサンフランシスコに着陸していました。

そして、MKからは到着時に機上から撮った大学の空撮写真が。
上の丸は大学のシンボルタワー、下は彼の住むアパートです。


運命とは不思議なもので、今日自分が生きてここにあるのも、
多くの偶然の中からたまたま無事な方を選んできた結果にすぎません。
それがいつも、そしていつまでも同じである保証はどこにもない、
ということを、この年明けにあらためて思い知らされたような気がします。

衒うようでこんなことを言いたくはありませんが、だからこそ
今日一日に感謝して、誠実に生きるべきなんだと。




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