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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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別れの戦費国債ツァー〜メンフィス・ベル 国立アメリカ空軍航空博物館

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国立アメリカ空軍航空博物館の展示より、
再びB−17メンフィス・ベルについてお話ししていますが、一応主要クルーについての紹介を終わったところで、
正直わたし自身あまり興味がないのですが、
博物館にあった爆撃群司令官について触れておきます。



■ 爆撃隊司令官、スタンリー・レイ大佐



スタンリー・T・レイ少将
Stanley Wray

陸軍士官学校を2位で卒業したレイ少将は、少尉時代に建設に関わり、
コーネル大学で土木工学の修士をとったり、バスケと野球の指導で
体育将校としても勤務していたり、工兵学校終了後、
マサチューセッツ工科大学で軍事科学・戦術の助教授に任命されるなど、
何かと多才な軍人として、飛行訓練も受け、爆撃群の指揮官になります。

1942年、マクディルの第91爆撃群司令官に任命され、
パイロットと地上要員の組織編成を行った後、
グループの第一部隊を率いてイギリスに渡り、この間に銀星章、
オークリーフ・クラスター付き航空勲章、パープルハート、数々の表彰を受け、
B-17による有名なサン・ナゼール上空での低空飛行のリーダーとして、
英国空軍の殊勲十字章を授与されました。



1958年初めに少将に昇進。
指揮官パイロットおよび技術オブザーバーとして活躍。


■ 任務達成ウォーボンドツァー

25回任務を達成した機体は国内に呼び戻し、
メンバーに国債を売るための全国巡業をさせる、というのが
アメリカ陸軍の一石三鳥作戦でした。

まず、目標をクリアすれば生きて帰れる、という希望をクルーに与えること。
彼らをヒーローとして称賛し、航空志願者を増やすこと。
そして、彼らを客寄せにして戦費を集めること、の三つです。

いかに金持ちの国であっても、
国民からお金が集まってこないと戦争は継続できません。

そんな思惑の元に、25回ルールを設定し、
たまたまそのころリーチがかかっていたベルが対象に指定されました。

博物館の一角にある

メンフィス・ベル 25回任務達成国債ツァー
の展示には、こうあります。

USAAF (アメリカ陸軍航空隊)は、
メンフィス・ベルとその乗組員を戦略爆撃の代表として選び、
戦意高揚と士気高揚のため、全国30ヵ所以上を巡って
戦費購入を促進するための宣伝ツアーを大々的に行いました。

メンフィス・ベルとその乗組員は 新聞で賞賛され、
大勢の観衆から英雄として迎えられて国民的有名人となり、
戦争継続努力に対する国民の決意を高めました。

パターソン空軍基地(現在のライト-パターソン空軍基地)
に着陸したメンフィス・ベル木材のゴミに乗ってちょっとでも高いところから見ようとする人たちも


ボンドツァーで最初に立ち寄ったワシントンDCでの記念写真。
1943年6月16日。

後列左から:
セシル・スコット軍曹(ボール・ターレット)
ジェームズ・ヴェリニス副機長
ロバート・パターソン陸軍次官
チャック・レイトン航法士官
ロバート・モーガン機長
ヴィンス・エヴァンス爆撃士
USAAF司令官 ヘンリー ’ハップ’ アーノルド将軍
ボブ・ハンソン(通信士)

前列左から:

トニー・ナスタル(胴部砲手)
ビル・ウィンチェル(胴部砲手)
ハロルド・ロッホ(上部砲手)とシュトゥーカ(マスコット犬)
ジョン・クィンラン(尾部砲手)

ちなみに、ナスタルはレギュラーメンバーではなく、
ベルでの任務は一回だけでしたが、25回任務は達成していたので
ボンドツァーに参加することになりました。

ベルのメンバーにはあまり馴染みのない戦友だったかもしれません。 


副機長ヴェリニス大尉の犬、シュトゥーカは11番目のメンバーでした。
写真で彼らが乗っているのはベルではなく、ヴェリニス大尉の別の機です。
ちなみによく見ると、ドイツ機撃墜マークの横にあるのは
トニー(本名はキャシミールなのでCA)ナスタルの名前。

ナスタル軍曹が25回のミッションを遂行したうちの一つ、
「バージニア」に、ヴェリニス大尉も乗っていたことがわかります。

前にも触れましたが、ボンドツァーでのシュトゥーカの人気は絶大でした。
カメラマンは皆犬を撮りたがって、後を追いかけ回していたそうです。

ハッチに「シュトゥーカ」の名前
身動きできない状態で繋がれていてちょっとかわいそう
映画「メンフィス・ベル」では、尾部砲手のところにこっそり行って、
銃を撃たせてくれと副機長(テイト・ドノバン)が頼むのですが、そのとき

「ただし犬はやらんぞ」

と先手を打ち、砲手のハリー・コニックJr.が、
「あんなノミだらけのいりませんよ」
と軽く受け流すシーンがあります。お風呂に入れていたかどうかはわかりませんが、少なくとも
ペットショップで購入した犬なのでノミはいなかったかと。



この博物館のあるオハイオ州デイトンにも訪れました。

モーガン機長、ヴェリニス副機長、
オーヴィル・ライト、
エドワード・ディーズ。

彼らがいるのはここはNCR、ナショナル・キャッシュ・レジスター社。
当時は名前の通りお店にあるレジスターを製造する会社でしたが、
現在は、それから進化したATMやバーコードシステムを扱う情報会社です。
それにしても、レジの発明者はともかく、
人類初の飛行機を創造した偉人を目の前にしているというのに、
この二人の人事感、さらに全員のよそよそしさはいったいどういうことなのか。
機長と副機長腰に手を当ててるし。どちらもよっぽど話がかみあわなかったのかな。
■ ウォーボンドツァーと共に終わったロマンス

さて、明日はバレンタインデー。
ということで、しつこいですが我らがメンフィスベルの女好き機長、
ロバート・モーガンとマーガレットの恋が
実際どのように終わったかについて、検証します。(意味不明)

The Memphis Belle, Cleveland, Ohio, & The Romance That Ended On The War Bond Tour 1943.
このビデオでは、なぜマーガレットとモーガンが結婚せず、
しかも国債ツァーの終了と同時に別れたかを説明しています。

0:00~:38 タイトル
0:38~うp主の自慢
1:30~メンフィス・ベルの名前の由来、元になった映画のこと、
ノーズアート、マーガレット・ポークのこと
3:00~戦費国債ツァーについて
4:00~クリーブランド
5:49~マスコット犬シュトゥーカについて
7:29~モーガン機長、マーガレットとの再会の瞬間

ここの部分では、お別れの理由をこのように説明しています。

「モーガンはマーガレットにウェディングドレスを贈りたがったが、
マーガレットはこんなに慌ただしい時ではなく、
もう少し落ち着いてから挙式をしたいと考えていた」



「それに、彼女はモーガンに会うためにクリーブランドに向かったものの、
毎日のように目に飛び込んでくる新聞記事を気にせずにいられなかった」



「そこにはモーガンから写真やサインをもらおうと、
彼の周りにひしめき合う女性たちの写真が掲載されていた」
再会した後も、彼女は、モーガンの異様なモテっぷり、
公認の婚約者を物ともせずお構いなしに群がる女性たちに、
嫌な思いをさせることになります。
「彼女はモーガン大尉とツァーで同行していたため、
彼を探す女性たちからじゃんじゃんかかってくる電話を
ホテルの部屋で取り次ぐ羽目になった」

しかもこの男、やっぱり自分が結婚歴があることを言ってませんでした。

「ロバートが以前に少なくとも2〜3回結婚していたのを知ったのも、
この頃だった」
というか、相手のことを何も知らなかったのね。
知る暇もなかったとはいえ、そんな大事な情報を、本人からでなく、
新聞や雑誌のゴシップ記事で知る婚約者の気持ちやいかに。

彼女も大統領の血筋を引く良家の令嬢という育ちのよさゆえ、
こういう恋愛に戸惑い、疲弊して、すぐに気持ちが醒めたってことですね。


当ブログでは二人の「お別れの理由」は周りに騒がれすぎたのが原因では、
と最初予想しましたが、それはほんの一部分に過ぎなかったようです。

要するにモーガン本人がとんでもないクズ男だったことはもちろん、
よく知りもしないのに周りに騒がれて婚約までしてしまったと。

もっとも、そういう男だと知って近付く女性も一定数いますが、
賢明な彼女は、ある出来事をきっかけに、すっぱり彼に見切りをつけます。
9:10~破局の原因になった出来事

次のツァー先、デンバーにマーガレットは同行しなかったので、
彼が宿泊しているブラウンパレスホテルのスウィートルームに電話すると、
なんと電話に出たのは女でした。
(モーガン、なぜ自分で電話を取らないのか)

怒り狂ったマーガレットはその場で婚約を破棄し、
婚約指輪をボブの父親(なぜ父親)に手紙で送りつけ、
この「戦時に咲いたパイロットとノーズアートガールの恋」は、
あっけなく終わりました。

マーガレットは、すぐさま陸軍関係者に電話をして、
婚約破棄のことを伝えています。

彼らの結婚を宣伝してイベントを盛り上げたかった陸軍関係者は慌て、
彼女になんと思いとどまるように懇願しますが、時すでに遅し。

彼女の気持ちが変わらないと知った関係者は往生際悪く、
別れるならそれでいいが、せめて内密にしてもらえないかと頼みますが、
どこから漏れたのか、8月3日に新聞にすっぱ抜かれてしまい、
彼らのウェディングベルは永遠に鳴らないことが世間に知れ渡りました。



10:30~すぐさま別の女性と結婚するボブ・モーガン
B-29「ドーントレス・ドッティ」とモーガン
あー、またモーガンネタで終わってしまった。


続く。


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