何回にかにわたってお話ししてきた「練習艦隊シリーズ」、
かしまを旗艦とする練習艦隊がレインボーブリッジの向こうに消え、
一旦の終わりを見たわけですが、後1回だけ(笑)追加訂正参考などを。
艦上レセプションでは音楽隊についても触れてみましたが、
そのときにお話ししたオスロでの「 ミリタリー・タトゥー」の映像が来ました。
オスロの街並を「軍艦」を演奏しながらマーチングする音楽隊、
そして注目は三宅由佳莉3曹が「ふるさと」を振り袖姿で歌っていること!
わたしは世界中の人々が彼女の美しい着物姿に魅了されたと思います。
わざわざオスロまでおそらく自前の着物を持参して行ったのだろうか、とか、
オスロで着付けとメイク、ヘアセット(あれはぜったいじぶんではできない)を
誰がやったんだろうとか(笑)そんなバックステージが気になるのですが、
それはともかく、とにかく三宅3曹、素敵です。
艶やかな着物の似合う清楚な「大和撫子」が「JAPAN NAVY」の軍人である、
というギャップは、その歌声と共に忘れられない印象を観衆に与えたでしょう。
日本をこんな形で世界に宣伝してくれた三宅3曹と海上自衛隊東京音楽隊に、
心からありがとうと言いたいと思います。
さて、まずは訂正補足からです。
この画像の下段トランシーバー+青ストラップを
「久保1佐である」
と限定しましたが、違うというご指摘がありました。
人相風体だけで同一人物と決めつけたためのミスです。
だってこの人とそっくりに見えたんだもーん。
ちなみに主席幕僚も「首席」幕僚の間違いです。
首席幕僚は幕僚であっても1佐を示す赤のストラップを使用するので、
青いストラップを付けているのは1佐ではありえないということです。
このトランシーバー+青ストラップは、3佐の船務長で、
何をしているかと云うと、左舷に付けているタグボートと通信中。
艦長の操艦を補佐して、タグボートに押し方や引き方を指示しています。
右側の2佐は かしまの副長で艦長の全般補佐を担う役目です。
左は練習艦隊司令、湯浅海将補、真ん中は前回もお話しした
練習艦隊副官の阿川1尉。
一番右の海士は教えてもらうまで遠目に写真部隊だと思っていましたが、
写真部隊は基本的に海曹なんですよね。
この海士が構えているカメラ状のものはレーザー測距儀。
以前は自衛隊で使うのも光学測距儀だったそうですが、
現在ではこのような優れものが普及しました。
彼は岸壁からの距離を艦長や砲雷長に報告しているところです。
ちなみにこの光学測距儀、市販で買うことができます。
価格ドットコムで値段などを調べてみたのですが、このページによると、
レーザー測距儀を作っているメーカーがカオスです(笑)
まず、マキタ。
主婦ならおそらく一度は聞いたことのあるハンディクリーナーを作っており、
(うちも愛用しております)大正14年創業の工具メーカー。
工事現場で測距儀を使うこともあることから開発を始めたのでしょうか。
ライカは・・・・たぶんというか間違いなくカメラのライカでしょうね。
これは何となく分かる気もします。
ボッシュ。
うちの皿洗い機はボッシュですが、家電では国内撤退したため、
現在日本には修理だけする部門を置いているようです。
電化製品王国に参入したものの販売不振だったってことでしょうか。
でも、皿洗い機に関しては国内のものより大きくて、(アメリカサイズ)
使いやすいのよ。
ボッシュはもともとマキタのような工具メーカーです。
タジマ。
これ、確か体重計とかのスケールを作ってる会社ですよね。
測距儀、歴史が浅いだけに意外なところが製作をしているようです。
海上自衛隊御用達企業は・・・・マキタかな?
この3佐は砲雷長。
2佐と3佐が同じ青いストラップをしていますが、
どちらも艦長でなければ青いストラップを使用します。
この2佐は全中後部の甲板作業指揮艦に指示を出しているところです。
この、一人分だけ円形に突き出した場所。
ここを張り出しと呼んでいるそうです。
なんか居心地がよさそうだなあと思ってしまうのですが(笑)、
この海曹は司令部の信号員長という役職で、群司令の出港命令を受け、
通信幕僚の指示により、信号旗の上げ下げを指示しているところです。
ストラップは白。
海曹、海士のストラップは白と決まっています。
ストラップの色づけは権威のためではなく、遠目に見た場合
役職が一目で分かるためのものでしょうから、
司令部以外がその階級を明らかにする必要などないわけです。
ところでふと思ったのですがこの幹部の双眼鏡ストラップの色、
いつから決まっているのでしょうか。
帝国海軍の時代にはそもそもストラップは全部皮だっただろうし。
たとえば艦長の座る椅子を赤と青とかにする、などという慣例も
戦時中はテキスタイル制作の技術から考えてもありえなかったはず。
戦後の自衛隊から取り入れた慣習なのか、だとしたらそれはどこからのアイデアか、
自分で「双眼鏡 ストラップ」でぐぐっても最初のページに自分のブログが出るくらいで、
「こりゃだめだ」と諦めた次第です。
どなたかご存知の方教えていただけませんでしょうか。
全員の解説をしたのでついでに画面に当初写り込んでいた
女性の実習幹部もアップにしてみました。
あれ?
この人、確か艦上レセプションでお話ししたジュリエット3尉?
希望通りヘリパイロットになれるといいですね。
前甲板で帽振れをしていたのが全員海士だったことから、
「せとゆきに実習幹部は乗っていないようだ」
と書いたのですが、乗っているそうです。
せとゆき乗り組みの実習幹部の皆さんとその関係者の方すみません。
ではどこに乗っていたんでしょう。
この後甲板の一団はアップにしてみたところ全員海曹でした。
やっぱり上甲板にいるのが筋だと言う気もしますが、
左半分は海士ですし、右半分はどう見ても年配の海曹たちです。
「せとゆき」よりも海将たちの帽振れにフォーカスを合わせたので(笑)
はっきり写っていませんが、海将の腕の間に見えているのがそうかな?
これは艦上レセプションのときの「自衛艦旗降下」で、
海曹と海士、二人の喇叭手が喇叭譜「君が代」を吹鳴しているところ。
この喇叭については昔その歴史を調べたことがあるのですが、
喇叭譜のメロディも明治のころに作曲されたものが
今日の最新鋭護衛艦の上でも変わらず合図として演奏されているのです。
出航喇叭譜
この喇叭はピストンがなく自然倍音を息の吹き込み方一つで変えて
音を出す仕組みになっているので、 主三和音の音しか出せません。
その限られた音で、リズムと音列を変え、様々な信号を作っているんですね。
「かしま」の出航のときに出航喇叭を耳に聴こえるまま「ソシレソ、ソシレソ」
と表記しましたが、この喇叭は移調楽器といい、譜面の上ではこれは
「ドミソド、ドミソド、ドミソドッミソッソソー」
と書かれています。
移調楽器の実音と記譜音の違いは楽器によって様々ですが、ラッパの場合
「G管」といって実音は楽譜に書かれたより5音高い音がでます。
他の音を間違って出す心配のないラッパですが、
この出航ラッパは速さもあって結構難しいのではないかと思ったのがこの実例。
はたかぜの出航ラッパですが、皆が見ている前で今か今かと構える喇叭手、
傍目にも緊張しているらしい様子が窺えます。
(喇叭演奏は1:48から)
何度も吹き口を咥えたり離したりして待機していたのですが、
アガッているせいか下のレがみんなすっ飛んでしまいました・・・・orz
わたしが喇叭の先生なら
「そんなに急がなくてもいいから確実に音を出せる速さで練習しなさい」
と指導するところです。余計なお世話ですが。
ところでこの信号喇叭、なんと普通に楽器屋で買えます。
下倉楽器オリジナル喇叭
これによると、海自で使用している喇叭は、陸空自のとは違うようです。
なぜ全隊統一でないのか不思議なところですが、その辺りも
元々陸海は別のタイプを使っていたという経緯があり、
後から出来た空自は陸自に追随したと考えるのが良さそうです。
ちなみにお値段は海自が29,160円、陸空が28,080円で、海自の喇叭が
少しだけ全長が長い(つまり管の長さがかなり違う)だけ、
1000円のお値段差となって表れております。
そしてこの車。
☆が三つついておりますが、横須賀地方総監、武居智久海将の車。
それで横浜ナンバーだったんですね。
こちらは幹部学校校長である福本出(いずる)海将の車。
確かめませんでしたが、これもフロントグラスには☆が三つあるはずです。
いずれの車両も副官と同じくその役職に対して付くものなので、
正式には「横須賀地方総監の車」「幹部学校の車」ということなのでしょうか。
このお髭の海曹ですが、横須賀地方隊先任伍長の関曹長との報告が入っております。
それにしても、不肖エリス中尉の存在をぴしゃりと指摘した人がいたことでも
かなり驚かされましたが(それが誰でどういう情報だったのか知りたい)
こういうイベントに集まってくる人種というのは案外限られているので、
「中の人」から見れば、
「ああ、あの人また来ているな」
ってな調子で身ばれもしているし、そもそもこういうブログを関係者が見れば
「この位置から写真撮ってたとすれば、あれがエリス中尉か」
なんてこともすっかり分かるのかもしれないですね。
それどころか、不特定多数のその他大勢のつもりで気軽に潜り込んでいたけど、
実は防衛省というところはそういった
「意味もなく自衛隊関連行事に参加しまくっている人物リスト」
見たいなのを作っていて、要観察対象にしているかも(つまりスパイ対策)・・。
自衛隊の関係者でこれを見ておられる方、 わたしは決して怪しいものではなく、
ただひたすら海自が好きなだけの、ただのファン、単なる物好きでございます。
その辺ご理解いただきさらにご安心下さいますようお願いして、
これを「練習艦隊シリーズ」終了の辞に無理矢理代えさせていただきます。