平成26年度自衛隊記念日に行われた、
防衛省・自衛隊60周年記念航空観閲式
に行ってきました。
2年前の海自観閲式に始まり、去年の陸自、そして今回と、
これで全観閲式を制覇したことになります。
観閲式というのは富士総合火力演習などとは違い、
応募したら誰でも見ることができるというものではなく、
自衛隊と何らかの繋がりがないとチケットが手に入らないらしい、
ということも三回目にして分かってきたわけです。
日を分たずして行われる入間の航空祭と、この航空観閲式は
全く趣旨が違うもので、航空祭が世間一般へのお披露目であり、
空自を知ってもらうための広報が主目的だとしたら、
観閲式は、自衛隊最高指揮官である内閣総理大臣の「観閲」を受けるもの。
言わば内部行事なんですね。
というわけで、入場の資格があるのは「自衛隊と関係ある者」
に限られてくるわけです。
因みにわたしがいただいたチケットですが、入手の段階で姓名を申告し、
その当人の使用に限り有効である旨明記されていました。
「招待状を譲渡された場合無効になります」
ところがヤフーオークションでこんなページを見つけてしまいました。
航空観閲式招待券三枚
即決価格一枚3万円
10月23日終了
落札価格一枚2万9500円×2 一枚3万円×1
出品者の素性がわからないのでURLを貼るのは控えますが、
つまり防衛省から関係者として手に入れた招待券を売って、
この人は計8万9千円を手にしたってことなんですね。
こういうのって、どうなの?
わたしなんか、招待券2枚頂いていたのですが、仕事が入っていけなくなった
TOの分を知り合いに譲ろうとして「譲渡無効」の記載に気づき、
相手にごめんなさいしたうえ、涙を飲んで一人分無駄にしたというのに。
ヤフオクって、出品者のIDは追跡できるわけですから、
この出品者は、今後防衛省の監視対象になってしまったりしないでしょうか。
それとも「譲渡無効」っていうのは有名無実だってことなんでしょうか。
そもそも2枚のチケットに5万9000円払う人がいるっているのが驚きです。
よっぽど二人で行かなければならない切羽詰まった事情でもあったのかしら。
と、いきなり殺伐とした(?)話題になってしまいましたが、
気を取り直して始めましょう。
会場へは石岡駅の前からシャトルバスで行きました。
百里基地というのは家から遠すぎて、とてもではないけど
朝いちで乗り込みたいわたしには可能だとは思えなかったため
駅前のホテルを取って、前日に乗り込んだのです。
別に一番乗りしなくても、会場は全てが雛壇式のスタンド席で、
何処に座っても普通に観覧できたのですが、
当方何しろ初参戦で、状況がわからなかったものですから。
滑走路のこちら側エプロンには航空機が20機、
ずらりとノーズを揃えて展示されています。
さすがは空自の観閲式です。
その20機とは別のところにこのような展示が。
こちらは次期戦闘機F−35Aのモックアップ。
はしご段がついているのは、安倍首相に見せるためで、
一般見学者のためではありません。
そしてMV-22オスプレイ。
アメリカ海兵隊の所有機ですので、岩国から飛んできたようです。
早くからこのコーナーは観客の注目の的になっていました。
ほとんどの展示航空機はおなじみのものばかりでしたが、
これは初めて見ました。
E− 767 早期警戒管制機。
ボーイングのこの機体は現在世界に4機しかありません。
その一つがこれで、製作年である1997年の「7」を頭にした
「74−3503」というシリアルナンバーを持っています。
格納庫の中にはF−2などが展示されていて、上に設えた場所から
コクピットが撮影できるようになっていました。
さすがに乗せることはしません。
というわけで、式典に先立ち観閲部隊の入場が始まりました。
このとき10時25分。入場してから3時間経ったときです。
陸自観閲式のように行進がメインではないので、防大や防医大、
工科高等学校、看護学校などの教育部隊の受閲はありません。
シンプルに陸海空、総員700名ほどが観閲を受けます。
陸海は全く同数の120名が参加しました。
P3−Cと艦載ヘリSH−60Jの前の海自部隊。
やっぱりこういう正式の式典で見る制服は、海士のセーラー含め
海自が一番かっこいいと思ってしまいます。
陸自が一番かっこいいのは作業着つまり迷彩の戦闘服のとき。
空自は何と言ってもパイロットスーツでしょうか。
観閲式執行者たる航空総隊司令官、中島邦祐空将入場。
栄誉礼、三宅由佳莉二等海曹による国歌独唱に続き、
観閲飛行が行われました。
観閲飛行は陸海空の順で、陸海は3種類ずつ、空自は12機の飛行です。
この日茨城の天気予報は午後から雨になるということで、
わたしはこのために防水レインコートを買いましたが(笑)
午前中は晴れたり曇ったりの繰り返し。
観閲飛行のときはどんよりと曇り、あまり上手く写真が撮れませんでした。
日の丸と赤のストライプが美しいこのスマートな飛行機は、
B−747−400 特別輸送機。
政府専用機、正式な英語名称はジャパニーズ・エアフォース・ワンです。
ただし、日本国はこの機体を2基所有していて、
2機目を「エアフォース・ツー」と呼びます。
続いて空自移動部隊展示走行。
エプロンには航空機の向こうにこの展示用車両がありましたが、
パック3などの高射隊を先頭に、基地防空隊、移動警戒隊など
6個部隊が車両展示を行いました。
駐在武官などの観覧席の隣には、車いすの専用場所があります。
最高指揮官たる観閲官の巡閲が始まりました。
誰とはいいませんが、どんな民主党のボンクラ首相でも
礼装の胸にこうやってシルクハットを当て、自衛隊の前に立つと
それなりに格好がついているように見えたものですが、
安倍首相のこういうときの格好よさは異常です。
安倍首相が観閲官訓示を行い、栄誉礼が行われた後、
(栄誉礼はこういう式典では何度となく行われる)
展示視閲が始まりました。
まず観閲官の前を車両部隊が通過します。
続いて航空機地上滑走。
これは凄かったです。というか凄い構図だと思いません?
二機ずつ静々と滑走して来る戦闘機。
展示機の手前、エプロン上を航空機が受閲のため滑走するのです。
航空祭では決してない展示で、今回これを見られたのが最大の収穫でした。
アナウンスでも言っていましたが、これらの戦闘機が走行するとき、
微かに「キーーン」という音の混じる猛烈な轟音が響きます。
飛んでもいないのにこんなにエンジン音が大きいとは知りませんでした。
F−15とF−2が通過して行きます。
なぜ戦闘機なのかと思ったのですが、これらは航空展示で
瞬時にして空を通過してしまうので、パイロットにじっくり?
観閲部隊指揮官の観閲を受けさせるという意図かもしれません。
スクランブル発進の展示もありました。
F−15による機動飛行。
機動飛行とはマニューバ・フライトと訳されます。
これ、機体が白い気体に包まれているんだが。
F−15の裏側。
ノーズが下に曲がっているのがよくわかりますね。
排気が翼にかかって上面はこの通り。
機体が排気に包まれる現象についてアナウンスで説明がありましたが、
肝心のところを聞き逃しました。
練習機T−4の編隊飛行。
静浜基地では富士山の形を描いたりするTー4ですが、
今日は「60」です。
自衛隊60周年記念の観閲式であるからですね。
そしてお待ちかね、ブルーインパルスの展示飛行。
気がつけばいつの間にか会場には、いかにもトップガン的な
チューブラーベルズを多用したかっちょいい音楽が流れていました。
もしかしたら数あるブルーインパルスのテーマ曲の一つでしょうか。
1番機だけが後ろに次世代ブルーを乗せて発進。
全機揃ってのほぼ同時離陸で、これだけでも凄い技術です。
本日は航空祭、あくまでも観閲式なのでマニューバの数は半分くらい。
ショー的要素を持つ演目は控える傾向にありました。
ハートを描いたり、ギリギリの距離ですれ違ってみせるなどもなしです。
背面飛行はあり。
写真を撮るために会場の周辺にもカメラを設置している
マニアの姿がちらほらとありましたが、相変わらず雲が多く
真っ青な空にスモーク、という図にならなかったので、
彼らとしても残念な日だったのではなかったでしょうか。
観閲式を終えて退場する安倍総理。
一番外側にSP、総理の周りを防衛省のお役人と、
エスコートの空自隊員が囲みます。
安倍首相は、何もないときには結構難しい顔をしていましたが、
駐在武官席の前に来たときに敬礼する武官たちに答えて
微笑んだのが上の写真です。
安倍首相のような立場の人って、こういうとき何を考えてるんでしょう。
観閲官退場をもって式次第は終了になります。
この後、観覧席の前のエプロンに立ち入りが許され、
観客は地上展示の見学を楽しんでいました。
というわけで、駆け足でこの日の概要をお伝えしてきましたが、
明日以降、例によって詳しく見たことを最初からお話ししていきます。
続く。