航空観閲式、海上自衛隊音楽隊歌手、
三宅由佳莉二曹による国歌独唱が終わりました。
陸上自衛隊第302保安警務中隊による儀仗が終了し、退場します。
儀仗隊は100人の隊員(+隊長1名)で構成されます。
かつて保安中隊という名称であった頃には広報活動として
ファンシードリルを行っていたのですが、2008年、
それまでの東部方面隊直轄から東部方面警務隊直轄の
第302保安警務中隊に改編されてからは行われなくなりました。
特別儀仗専門の部隊になったということですね。
続いて慰霊飛行が始まりました。
殉職した自衛官の魂を顕彰するもので、客席は起立します。
映画「ライトスタッフ」でも登場した「ミッシングマン・フォーメーション」。
4機のF−15の編隊から一機だけが天を目指して飛び去り、それが
ミッシングマン、つまり死者を表わすというフォーメーションです。
この時間はご覧の通り雲が低くたれ込めていたのですが、
この低い雲が思いもよらぬ効果となりました。
離脱した一機が機首を上昇に転じたとたん、機体が雲の中に吸い込まれ、
全く姿を消してしまったのです。
本来は抜けるような青空の中、何処までも高みを目指して飛ぶ
「ミッシングマン」が感動を誘うところですが、これもまた
突然失われた命への喪失感を表わすようで、感動的でした。
続いて観閲飛行が始まりました。
まずは陸自のヘリコプター群から。
対戦車ヘリコプターAH-1コブラに、続いては
観測ヘリOH−1ニンジャ。
このちょんまげシルエットは(笑)アパッチ。
海自からはSH−60哨戒ヘリコプターに続き
救難コンビのUS−1AとUS−2。
そういえば最近の「余命3年時事日記」にいつぞやの辛坊治郎氏と
他一名救出の件が書かれていました。
引用します。
海保が出動、また要請があって自衛隊からP−3C、US−2が救助に飛び立ち、
台風影響下一次出動チームは帰投せざるを得なかったものの、
二次出動US−2飛行艇は薄暮、強風18m、波高4mの悪天候の中、強行着水し、
波高により4発エンジン1発停止にもかかわらず、遭難者2名を救助、
無事厚木基地に帰投しました。
US−2の能力を超える着水条件の中、100億円の機体と、11名の乗員の命かけての
強行着水救出劇は無謀の誹りを免れないでしょう。
しかしながら、この場面での救出断念帰投は、悪天候下、
体温低下等で遭難者の命が助からない可能性が高く、
強行着水はUS2という飛行艇の能力への信頼、チームの訓練、練度の自信、
そして命を救うという使命感からの機長の決断だったと思われます。
そのときにP−3Cも出動していたのは知りませんでした。
あらためてこのときの救難隊のメンバーに敬意を覚えずにいられません。
ただし「余命3年」はその後、辛坊氏の最近の番組での発言をして
この命がけの救出で助けられた人間が日本人を貶め(略)最悪の裏切りです。
海保や自衛隊は怒りに満ちています。
中でも自身の命を張って救出した11人の救助隊員の怒りは
半端ではないことをお伝えしておきます。
と激しく非難をしています。
最後の一文から察するに、筆者は内部の事情を知っているようですが・・。
陸海に続いて空自の航空機群が観閲のため通過します。
順序は
UH−60J 救難ヘリ
CH−47J チヌーク 輸送ヘリ
U−125A 捜索救難機
C−130H ハーキュリーズ 輸送機
C−1 中型輸送機
ときて、この
E−2C早期警戒機が現れました。
続いてやはりお皿を背負った
E767 早期警戒管制機、続いてはこの
KC−767 空中給油/輸送機。
これはわたしも見るのは初めてです。
給油用のノズルは展示用に伸ばしていますが、
離着陸のときには収納します。当たり前か。
B−747−400特別輸送機。
1993年から、つまり20年間政府専用機であった747ですが、
2014年の8月に、後継機がボーイング777-300ERに決まりました。
交代は5年後の2019年です。
続いて戦闘機群。
F−15、そしてこのF−4EJ改、F−2で観閲飛行は終わりました。
次は観閲官訓示。
報道カメラマンが目の色変えて場所取りをしていたのは、
このときの安倍首相の写真を撮るためでした。
去年、わたしは陸自主宰の中央観閲式で観閲官訓示を聴き、
「内容のほとんどであった自衛隊員への慰労と励まし、
隊員家族に対して隊員の命に責任を持つという部分は全く触れず、
ほんの一言の言葉尻を以て各社一斉に『中国への牽制』とした」
ということに、マスコミのご注進気質を見たと書いたわけですが、
今年もこの点においては相変わらずでした。
(平時でも有事でもない)グレーゾーン事態から集団的自衛権の行使まで、
切れ目のない新たな安全保障法制を整備していく」と述べ、
安保法制の早期整備に改めて意欲を示した。
日米同盟の深化に向け、自衛隊と米軍の役割分担を定めた
防衛協力のための指針(ガイドライン)改訂や共同訓練の推進を訴え、
沖縄県の基地負担の軽減に「全力で取り組む」と語った。
「内向きな一国平和主義であってはならない」と述べ、
自衛隊による国際貢献の重要性を強調した。
日経新聞からの引用ですが、他紙も全くと言っていいほど同じ内容です。
こういうの、誰がひな形を作成するんでしょうね(笑)
文言のわずかな違いはあっても各社共通だったのが
「切れ目のない新たな安全保障法制を整備」
という言葉。
朝日を見ても「切れ目」、読売、共同、地方紙も「切れ目」。
今年のマスコミ的キーワードは「切れ目のない」です(笑)
要するにマスコミの関心は第一が集団的自衛権の推進、そして
中国に対する懸念に言及したか否かにしかなさそうでした。
去年のように「力による現状変更は許さない」といえば
「中国を牽制した」となり、今年弾道ミサイルとサイバーテロにしか
触れなければ「首脳会談を控えて中国に配慮したと見られる」。
どれだけ中国好きなんだよ、って感じです。
さて、マスコミが全く報じなかった部分に、隊員と家族への
感謝と労いがあるのは、これもいつも通りだったわけですが、
それ以外に、産經新聞が
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への女性自衛官派遣などを取り上げ
「女性の力が自衛隊にとって新たな活力の源となっている」と強調した。
と報じた訓示内容について捕捉しておきますと、首相はこのとき、
海自の初の女性艦長二人(東・大谷二佐)を取り上げ、東2佐が
「艦長になったとき、娘が一番喜んでくれたのが何よりの喜びだった」
と就任に際して語ったいうエピソードを紹介していました。
これは安倍政権の「女性が輝く日本へ」と銘打った成長戦略を
念頭に置いての言及であろうと思われます。
観閲官訓示中の空自観閲部隊。
U−4のブルーラインのスマートな機体と空自はよく似合う。
そしてブルーに掛かる鮮やかな日の丸が美しい。
日の丸と言えば、モックアップのF−35の機体に何も描いてなかった!
と前々回のエントリで書いたのですが、
よく見たらありましたorz
モックアップにサービスで日の丸入れてくれてたんですね。
見落としていてすまんねアメリカ。
訓示中の観閲部隊は整列休め。
彼らの「休め」「気を付け」の動きのキレはハンパなく鋭く、
一同が号令と共に態勢を変えるときには周りが
「ほう」「すげー」
などと軽くどよめいていました。
海士たちのネービーブルー(これが本当のネービーブルー)
のセーラー服、白いセーラー帽が美しい。
やはり海軍伝統の軍服はデザインに文句の着けようもありません。
戦闘機群の前の空自部隊を写してみました。
今回陸自が遠かったので残念ながら写真はありません。
観閲官の訓示終了に続き、再び(三度かな)栄誉礼。
敬礼を行うのは部隊先頭の士官のみです。
観閲部隊の先頭には女性部隊の隊長が一人含まれます。
この後観閲式は展示視閲へと続きました。
続く。