サンフランシスコの北に面するソノマ地方にある、
パシフィックコースト航空博物館。
残りの航空展示を一気にご紹介して行きます。
A−4E SKYHAWK McDonnel Douglas
マクドネル・ダグラス社のこのA−4Eタイプの機体が見られるのは
どうやらここだけのようで、wikiのページにはこの写真が載っています。
それはいいのですが、写真につけられた説明が
「太平洋岸航空博物館」て・・・・。
確かに直訳すればこうなるんですが、そもそもなんで訳すのか。
大きな特性として、「アビオニクスパック」を胴体上部に備えたことがあります。
それまでのスカイホークにはなかった仕様です。
このスカイホークは海兵隊所有のものだったのですが、
アビオニクスパックの部分には
「ダイヤモンドバックス」
とわざわざ大書してありますね。
Diamondbackというのは背中にダイヤ模様のある蛇とか、
あるいはダイヤ柄の甲羅を持つ亀のことなのですが、
航空機に搭載する電子機器、つまりアビオニクスを亀の甲羅のように
背中に背負ったことから名乗った飛行隊のニックネームなのだと思われます。
なお、2001年宇宙の旅の原作者であるSF作家、アーサー・C・クラークが
このアビオニクスパックのことを、まるで男性の股間だと言ったとか言わないとか、
怪しげな情報もありますが、調べても分かりませんでした。(調べるなw)
またこのスカイホークE型は、ハードポイントを5カ所に増やしました。
(それまでいくつだったのかはわかりません。いずれにしても
スカイホーク自体は最初から完成度の高い機体だったといわれます)
ハードポイントは読んで字の通り重量強化点ですが、同時に
「機外兵装ステーション」
のことでもあります。
その一つがこれ。
wikiには搭載できるとは書いていなかったのですが、
これはAH−1コブラが積んでいるハイドラ70ロケット弾ですよね?
緑色のは汎用爆弾Mk82ではないかと思われますが、
黒いのはちょっとよくわかりません。
Mk81の方かな。
機体の影にあったなにやら面白そうな記号解説。
ホイスティング・ポイントとか、給油口とか、
酸素取り込み口とか?そういったあたりです。
機体性能が安定していて使い易いのでこの機体は
「ブルーエンジェルス」 の使用機種となっていますし、トップガン
(戦闘機兵器学校)ではアグレッサー(他国の航空戦術を模倣する教官)
によって仮想的役を務めることもありました。
スカイホークは映画の「トップガン」にも教官機として出演し、
映画「ライト・スタッフ」では、
スコット・グレン扮する海軍のテストパイロット、アラン・シェパードが、
空母に着陸するシーンにこのスカイホークが使われていました。
「ホセ・ヒメネス」は シェパードお気に入りの「ネタ」です(笑)
AV-8B( Harrier )
フロリダはペンサコーラにある海軍航空博物館から貸与された機体です。
アリゾナ州のツーソンで現役を引退しました。
ハリアーという名前はトヨタの車にも使われていますが、
オスプレイと同じくこれもタカ科の猛禽類です。(チュウヒ)
ネーミングとしては航空機の方が合っていますね。
なぜなら、鳥のオスプレイとハリアーには 、
「向かい風でホバリングすることが出来る」
というイメージだけではない「名前を採用された理由」があるからで、
空中でホバリングできるVTOL機にはこれ以上ないネーミングといえます。
1962年頃からNATOは垂直離発着戦闘機の研究を始めましたが、
実際にはその2年後にイギリスのホーカー・シドレー社が、
実験機である「ケストレル」を製造しました。
この「ケストレル」というのもハヤブサ科の『チョウゲンボウ』
の英名で、この鳥もホバリングすることが出来ます。
このケストレルの実用型は英空軍に「ハリアー」の名で配備されました。
アメリカでは海兵隊が「AV-8A」の名前で採用したためか、
この博物館の表示には「ハリアー」という文字は見えません。
米軍も「ハリアー」と呼んでいたと思うのですが。
ついでに、スペイン空軍ではこれを
「マタドール」(闘牛士)という名称で配備していました。
なんで闘牛士なのか。
1982年に起こったフォークランド戦争に、AV-8Aは英空軍機として
出撃し、自己無損失に対しアルゼンチン空軍の戦闘機を20機撃墜し、
その優秀さを世界に知らしめることになりました。
現在は後継機のハリアーIIに移行され、殆どが姿を消しましたが、
「マタドール」だったスペインのハリアーはタイ空軍に譲渡され、
またインド海軍でも練習機としての使用が行われているのだそうです。
エアインテークのカバーには・・・・・
ロールスロイス?!
どうやらロゴは本物のロールスロイス社のものらしい・・。
当機はなんとエンジンはロールスロイス社製
ペガサス Mk.103 推力偏向ターボファン・エンジンを搭載しています。
ハリアーは機体側面に合計4つのエンジンノズルを装備しています。
これがそうなのですが、ノズルの周囲には、「0」「10」「55」
等と書かれたメモリがつけられていますね。
この目盛りはエンジンノズルの角度を測定するためのもので、
角度を変えることによって、VTOLを可能とします。
角度は0度(普通の推進)から98,5度までの可動域があり、
(写真の目盛りも90度の次は98度となっている)
98,5度のときにはノズルは真下よりも若干前を向くため、
わずかながらバックすることも出来る仕組みとなっています。
ハリアーはVTOL機のため、固定翼機とは操縦の方法が全く異なり、
修練者は、必ず回転翼機の操縦を並行して学ぶことを義務づけられています。
操作はしかも大変複雑なもので、垂直離着陸のためにボタンを30個、
常に操作していなければならないのだそうです。
この煩雑さが仇となって、何と45人もが操縦ミスで死亡しています。
もしかしたら、「オスプレイは危険だ!」と騒いでいる連中は、
実はたいしたことがないオスプレイの事故比率ではなく、
こちらの事故をオスプレイだと思って騒いでいるのではないかと思うくらいです。
あるいは「同じ垂直離着陸機なのでオスプレイも危険なんだろう!」
と決めつけているような気がしますね。
じゃオスプレイの操縦は簡単なのか?といいますと・・・
難しいんです(きっぱり)
どれくらい難しいかというと、人間には操縦不可能なくらいです。
しかし、だからソフトウェアで飛ばすんですね。ええ。
フライバイワイヤといいまして、飛行制御コンピュータが計算して
複雑な操作を皆やってくれるんです。
だから30個のボタンをいつも脂汗垂らして操作しなくてもいいのです。
この方式が採用されるようになってから、飛行性能が良くても、
操作性や安定性が悪くて乗れなかった航空機が、簡単に乗れるようになりました。
勿論、停電の危険や、操作に対する応力(手応え?)がないため、
戦闘機などではとくに限界Gを越してしまう、などの欠点はありますが、
いずれにしても反対派が騒ぐほど「難しい航空機」ではないのです。
元海幕長の赤☆氏もおっしゃってました。
「オスプレイは絶対に安全です」
バックギャモンを思い出す尾翼の模様。
ハリアーの機体に駐機中の「ハニービー」。
武器は尾翼に搭載されていますが、一度だけしか使用できません。
しかし垂直離着陸、ホバリングが可能で、事故知らずの制御装置付きです。
続く。