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「出港準備、艦内閉鎖」~空母「ホーネット」艦橋ツァー

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空母「ホーネット」艦橋ツァー、航海ブリッジについてまたお話しします。
というのも(笑)、この夏空母「イントレピッド」を観てそのご報告をしたいのですが、
こちらを終わらせないことには記憶が混乱してしまいそうですので・・。

 

伝声管のように見えるけどなんだろう、と画像検索をしてみたら、
戦艦「ミズーリ」の伝声管がこれと全く同じ形をしていました。
というわけでこれは伝声管なのですが、この原始的な仕組みの伝声管、
現代の護衛艦にも使われているらしいですね。

金属の管というのはその中を声が通るときにも空気振動エネルギーが減衰しないので、
確実に声を遠く離れた場所にしかもピンポイントで送ることができます。
電源が喪失したときも伝声管が破壊されない限り伝達方法は失われることはありません。

後ろ側の窓も、伝声管も、荒天のとき、そしておそらく合戦のときには閉められたのでしょう。



アクリルでカバーされていますが、昔はこのボードに直接チョークで書き込んだらしい。



前回のエントリでofficer of the deckにまつわる用語の自衛隊との相関関係について、
裏でこっそり雷蔵さんに確かめたというくらいの素人ですので、
こういうボードの意味も全くわからないのですが、インターネットを探しに探して
やっとのことで「米海軍軍事用語辞典」 というのを見つけ出したので、
たとえば「VS」を引いてみますと、

sector single-unit; sector search; visual signal;  vital signs 

意味がたくさんありすぎてわからないっつの。
状況からして「セクターサーチ」かな。
その次のHS というのも、

helicopter antisubmarine squadron (USN); high speed; homing single-unit; 
homeland security; horizon search; hydraulic oil, steering system 

うーん、「ホリゾンサーチ?」


SAUが

squad automatic weapon (USMC)

という意味しかないので、さらにわからなくなってくるわけですが(笑)

SSKは

diesel-electric propulsion attack submarine (ディーゼルエレクトリック式攻撃潜水艦)

VPは

patrol squadron (USN); vapor pressure; voice privacy 

蒸気圧もボイスプライバシーも関係ないと思うので、これは哨戒部隊・・ときて、
ようやくここでこのボードには、甲板士官が引き継ぎのときに申し送りをする事項が
書かれているらしいことに気づくわけです。やれやれ。

ということはここは Combat Information Center (CIC)というわけですね!

ちなみに、BRGはもちろんブリッジ、RNGはレンジ、Prはおそらくですが、

aircrew survival equipmentman 

航空員のサバイバルエキップメント=パラシュートを整備する係?




さらに拡大。
「Z」「X」「Y」「V」「S」などの文字は、確か



さっきの部屋の片隅にこのような説明がありました。
極限まで拡大して字が小さくて見えないので判然としないのですが、
自衛隊と同じ艦内の閉鎖標識が表になっています。

自衛艦が出港する前に「出港準備、艦内閉鎖」の号令が発せられます。
自衛艦は停泊時、艦内通路の扉をオープン状態にしていますが、
出港時には一部の扉を除き大部分の扉は閉鎖されます。

出港後に予測されるあらゆる事態に対応するため、艦内扉やハッチは
所定の役割にしたがって閉鎖あるいは開放が行なわれるのです。

扉だけでなく、艦内のパイプや通風管などに付属するバルブや蓋などにも決まりがあります。

この表はそれらの閉鎖標識です。

閉鎖標識は文字、色、大きさ,さらに取付ける位置まで細かく規定されており、
この規定にしたがって建造中の新造艦では艤装員長(艦長)が閉鎖標識を選定するのだそうです。
簡単に意味を説明しておきましょうか(せっかく調べたことでもあるし) 

X=航海中、停泊中を問わず閉鎖または停止すべきもの

Y=航海中および停泊中の保安警戒上必要とする場合に閉鎖または停止すべきもの

Z=戦闘中または保安上必要とする場合、閉鎖または 停止すべきもの

W=応急作業上必要な場合または総員離艦の場合以外は、航海中、停泊中を問わず開放または運転すべきもの


表の下部分にある文字を○または D のサークルで 囲んだ標識は、
基本的にもとの標識と同じ意味ですが、ある条件によっては内容が変更されることを意味します。

Wを○で囲った記号 CBR(化 学・生物・放射能)防御が発令された時に閉鎖または停止すべきもの

ZをDの文字で囲った記号  灯火管制時に閉鎖するもの

という具合に。



手元ランプも備え付けで動揺にも影響がないようになっています。
映画「パールハーバー」の旗艦赤城艦上では、艦橋の司令室に直径20センチのうちわみたいな
(土台の方が小さい)集音マイクとか、デスクの上に民芸調の小ダンスがありましたが、
映画スタッフは同じ時代の自分とこの空母を少しは参考にしていただきたかったと思います。

デスクの前にあるパネルの写真は「secondary conn」、第二操舵室とあります。
今回ここを見る前にわたしはツァーを抜けて帰ってしまったのですが。



戦闘の際かぶるヘルメット置き場ですが、どう見ても年代物。
マリアナ沖海戦の時にもこれが使われていた?



甲板の一階上レベルまで降りてきました。
舷側にはまるでオルガンのような形のボックスがありますが、
かつて何かの武器が収納あるいは搭載されていた跡でしょうか。

甲板の向こうには不思議な形の船が見えていますが、これはもしかしたら
モスボール化された古い海軍の艦船かもしれません。
(この岸壁はモスボール保存された船が繋留されていると聞いたもので)



大きなデスクがあるのでチャートルームかな?



このレベルのデッキに出ました。
小さい女の子の背丈では外を見ることもできません。
ところでこの右上のこれ、



これだけを識者に見せて何かと聞いたところ「周りの写真を見て見ないとなんとも」と言われ、
送ったのがこれ。↓



艦橋トップなので、発光信号灯ではないかとのことです。
多分部品がだいぶ欠落して一目ではわからない形になってしまっているような・・。

一番右のお茶の水博士が艦橋ツァーの解説の元「ホーネット」乗組員、
その左の人はこういうところで見るアメリカ人には珍しく一眼レフ持ちでした。

解説員はこのデッキの説明をしたので当然上の機器についても触れたはずですが、
1年半経った今、まったく記憶に残っておりません。



ここアラメダの港からはちょうどサンフランシスコのダウンタウンのビル街、
そこから対岸に続くベイブリッジがすぐそこに見えています。

サンフランシスコに住んでいた時にはこんな近くにかつて日本と戦った空母があるとは
夢にも思っていませんでした。
そのころは取り立てて軍事関係、船や飛行機に興味を持っていたわけではないので、
もし知っていたとしても見に来たかどうかは疑問ですが、
逆にそのころのわたしが将来自分の住んでいるところの近くに博物館となっている
大戦時の空母を見たことを嬉々として書き綴っている将来を知ったとしたら、
さぞかし驚愕するであろうと思われます><


 


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