「ホーネット」の艦橋ツァー、ようやく最上階まできました。
この写真を見てもおわかりのように、飛行管制を司る管制室です。
当たり前なのですが、空母なので艦橋は右舷にあり、右舷接岸しています。
まったく艦橋をつけない空母は別として、すべての空母艦橋は右舷にあり、
空母史上左舷に艦橋を持っていたのは「赤城」と「飛龍」だけです。
パイロットはプロペラの回転の関係でどうしても着艦後左に寄って行ってしまう、
ということが運用してからわかったというとほほな話だったわけですが、
そういえば着艦をミスして艦橋に突っ込んでいった人の話があったなあ。
最後のワイヤーが奇跡的に引っかかって命存えたとか。
信号灯らしい機器が先端にあるこの部分のデッキ。
経年劣化で上から塗ったペンキが凸凹になっているところを。
ただでさえ米海軍の軍艦はメンテナンスが甘いと言われているので、
博物館となった「ホーネット」の方が現役艦よりまだ手入れされているのでは?
といたるところで思いましたが、さすがにこれは古さを感じさせます。
操舵室から艦橋デッキを伝って移動していきます。
ハッチドアを密閉するためのレバーの多さを観よ。
梯子段が上に向かってありますが、上には
これから行く航空管制室の窓ガラスが見えます。
コードが数本ついた四角いものは何かな?
いまならこういうところにくっついているのはイージスシステムのレーダーですが・・。
階段を(外の梯子段ではありません)上って上階に到達。
向こうに見えている船はモスボールではないかと思うのですが、
クレーンが6本も立っているので軍艦かどうかはわかりません。
日本で言うところの工作艦でしょうか。
狭い艦内を結構たくさんの人たちが一列になって歩くので、
移動には時間がかかります。
一番先に解説員と一緒に部屋に入った子供が何やら触らせてもらっているの図。
ここが「ホーネット」の航空管制室。
椅子はもちろん「エアボス」の席だ。
アポロ11号(か12号)の写真の額が置かれた艦橋の窓。
下が見やすいようにガラスが思いっきり斜め角になっています。
軍艦で天井がガラスというのは怖い(笑)
ですが180度視界が確保されていないとこっちの方がいざという時怖い。
ひびの入っている別のガラスを見たところ、フロントガラスに使われているような
特殊なものではなさそうだし・・・・。
ただ、天井の部分のガラスだけは強化ガラスをさらに重ねているようで
空の色が濃く写っています。
皆が揃うまでエアボスの席で悠々といった感じで座っている解説員。
何度も言っていますが、彼は元海軍軍人で「ホーネット」の乗員でした。
彼のそこはかとなく尊大な態度はよく言えば誇り、悪く言えば
気負いみたいなものから来ている気がしました。
と書いていますが、決してこれは不快というわけではありませんでした。
目の前にこのようなものがあるとついつい触ってみたくなる男性陣(笑)
このパネルはほとんど全てがライトのスイッチです。
丸い時計状の計器には「ロールレンジ」と書かれています。
ロールレンジで検索すると「ささみのロール レンジ」みたいなレシピしか
でてこなかったので具体的には何かわかりませんでした(´・ω・`)
甲板から発着するすべての艦載機情報を書き記す黒板。
「インディアンギャル」「ランドスライド」などのコールネーム、
発艦と着艦の時刻、パイロット名、ミッションなど、情報が事細かに記されます。
これも何度も言うようですが、「ホーネット」からはマリアナ沖海戦で、
「マリアナの七面鳥撃ち」(The Marianas Turkey Shoot)と言われるほど日本軍の
未熟なパイロットたちをやすやすと撃墜したベテランパイロットたちが出撃しています。
ということは、1944年6月11日、ここに攻撃に出たベテランたちの戦果が
誇らしげに記されていたということなのです。
日本人であるわたしがこういうものを見るたびに複雑な思いを抱かずにはいられない
という気持ちを、わかってくださるでしょうか。
スカイホークのカタパルト写真。
「ホーネット」がアングルドデッキに回収されたのは1955年のことなので、
そのとき同時にカタパルトを搭載したようです。
少しわかりにくい角度で写真を撮ってしまったのですが、このハッチは床にあります。
エスケープオンリーと書かれているので、航空管制室が火災などになったとき、
少しでも早く脱出するための非常用出口として普段は閉められていたと思われます。
こういうのを見ると、「戦争をするための船」なんだなと実感します。
これは紛れもなく建造当初から使われていた電話!
こちらはプッシュホン式の電話。
最初のトーン式プッシュホンは、アメリカのAT&Tが1964年にサービス開始したので、
「ホーネット」は現役中にいち早く最新式を取り入れたのでしょう。
大々的なデッキ改修の際に機器の入れ替えも行ったのではないでしょうか。
人大杉のブリッジ。
皆の服装を見てもおわかりのように、この地域一帯は8月中旬の昼間でも
普通に長袖を重ね着するような寒さです。
トレーナーを羽織った子供とTシャツのお父さんは、おそらく
カリフォルニア以外の州から観光に来ていると思われます。
埠頭を渡る風がまた強くて、薄着では特に甲板で震え上がるほどです。
潜水艦「パンパニト」もそうですが、そういう意味で博物館として
ここに繋留してある船にはいっさい冷房の必要はありません。
窓から見下ろすチャンス・ヴォートF-8クルセイダーの雄姿。
このクルセイダーがチャンス・ヴォート社にとって「救世軍」となった経緯を
以前(かなり熱く)お話ししたことがあります。
ウィキペディアを見ると、まさにこの「ホーネット」上の412の写真が出てきます。
さらにwikiの下の方には、去年訪れたサンタローザのパシフィックコースト航空博物館に
展示されているF-8の写真が掲載されていて、なんとなくこういうのって嬉しいですね。
ところでこの管制室の甲板に向かって左右の窓にある角度を示す大きな針ですが、
これは着艦しようとするパイロットのためにあるわけですよね。
風の角度などを考慮した進入角度を指示するものだと思うのですがどうでしょうか。
窓の下に見えている艦載機はたしか白塗りされたまま放置してあるF-4だったと思います。
解説員はここでアングルドデッキ採用の理由などを説明していました。
図解で示されているのは着艦のパターンで、これを見る限り
旋回を広くとるデルタパターン、小さくとるチャーリーパターンというのがあるようです。
ついでにユーチューブで見つけてきたF/A18ホーネット発艦~着艦シーンをどうぞ。
計器の上によじ登って外を見せてもらいご機嫌の女の子。
棚の上に据えてあるモニターテレビの奥行きに時代を感じます。
映画「ファイナルカウントダウン」でコルセアがやっていましたが、
アレスターフックが使えない状態の時にはこうやって網を張る方法を
バリケード着艦といいます。
空中給油しているのはどちらもホーネットの艦載機でしょうか。
もしかしてこれは先代「ホーネット」CV-8の遺影?
「先代は沈められてしまったんだよ」
ジャップに・・・とはさすがに言っていなかったと思う。
これも当ブログでは「ファイナルカウントダウン」でおなじみの着艦システム。
光学着艦装置、OLS(Optical landing system)。
着艦する航空機が適切なグライドパス(降下経路)にあるかどうかパイロットに視覚で教える装置です。
左にこのサインの例がありますが、水平の緑のランプは平行であることを確かめるもの。
一番下の赤いランプは通称「ミートボール」というそうですが(笑)、これは下の方で点灯しているので、
これが見える角度で飛んでいる時、その飛行機は進入高度が低すぎるということになります。
先日広島空港でアシアナ航空の飛行機が高度を低く取りすぎて着陸失敗していましたね。
空母のようなピンポイントで狭いところに降りないといけない場合はわずかの狂いも
事故に直結するので、こういうところでパイロットに調整をさせるわけです。
危険な角度で飛行機が突っ込んできた時、このパネルには赤い点滅ランプが点き、
それを見たパイロットはフルスロットルにして着陸複行(ゴーアラウンド)しなければなりません。
赤い針の下には救急セットが収納されています。
にしても単位が20、30、40とは何なのでしょう。
これが航空管制室から見た甲板(と岸壁)。
前回何かわからなかったこの前の機器ですが、これは状況から見て
間違いなく信号灯のようですね。
ところで、空母ではカタパルト発進が行われるわけですが、カタパルトで発進できるのは
何も航空機でなくても構わない(らしい)ということを表す決定的な証拠を発見。
転勤するエアボスのブーツをカタパルト発進させんとする米海軍の軍人
ブーツだけ一足先に転勤するのですねわかります。
続く。